縁側でぼうっとしてたら、さっきまで一緒にぼうっとしてたやつに後ろから抱きしめられた。
私の肩に腕を乗せきて、ぐっと押しつけられているようだった。
背中はぴったりと密着していて、そいつの体温がぼんやりと伝わってくる。
「……ねえ、文」
「なんでしょう」
耳元の声はいつもと変わらない。
なんでしょうなんて、私が聞きたいくらいなのに。
こいつの行動はいつも突然だし、どんな意図があるかなんてどうでもいいけれど、
それでも、これだけは言ってやろうと口を開いた。
「重いし、暑い」
思いっきり体重をかけられて、体がごきごきごきってなった。
「ごめんなさい」
文は反省してますという雰囲気だけをうまく漂わせている。
こいつは外面を取り繕うのがすごくうまいのは知りきっていることだった。
今だって、しゅんとしているのは見せかけだけで心の中で舌を出してるに違いない。
「あの、霊夢」
「なによ」
文がちょっとだけ申し訳なさそうに声をかけてきて、それにちょっとだけ身構えて返す。
こいつは口もうまいから、騙されないように気をつけないといけないのだ。
言いづらいことのように視線を遊ばせて、言葉を選んでいる。
どんなことを言ってきても騙されないんだから、と気合を入れて文の顔を見返した。
「思ってたより体硬いんですね……?」
「遺言はそれだけか」
「ごめんなさい……」
反省してない鴉を正座させてやる。
構えた自分が馬鹿だった。
こいつに反省とか、そういうものを期待する方が間違いだったのだ。
「とりあえず、あんなことした理由は?」
それは後々反省することにして、今はこっちが最優先だろうと会話を戻す。
文はやっぱり言いづらそうにしてむう、と唸った。
その態度にはいつもみたいな、余計なことまで言ってのけるような図々しさが見えない。
さっきのこともそうだけど、こいつが言い渋ることなんて滅多にないことなのだ。
「はっきり言いなさいよ。らしくないわね」
「どうせ、私らしくありませんよ」
指摘してやると文は拗ねたようにそっぽを向いてしまった。
言う気はないという意思表示も兼ねてるんだろう。
……ちょっと、気になる。こうもあらかさまに拒否されて気にならない人間もいないだろうし。
いつも言いたくないことをうまく隠してるやつが相手だったら尚更だ。
「言いなさい」
「単なる、気まぐれです」
私の目を覗き込んで、平然と嘘を言ってみせる。
不機嫌そうな瞳は絶対に言うもんか、と語ってるように見えた。
「……まあ、言いたくないならこっちにも考えがあるけど」
「霊夢?」
さっきの文みたく、後ろから抱き付いてみる。
文は不思議そうな声を出して、振り返ろうとしたけれど、その前にぐっと体重をかけてやった。
漏れたのはむぎゅうという声だけ。あまり苦しそうには聞こえなかった。
「あの、痛いんですけど」
「む、あんまり効かない……」
「霊夢と違って体が柔らかいんです」
「違っては余計よ」
そういうことこそ言わないべきだ、と首を絞めるポーズをとってやる。
文は流石に慌てて、やめてくださいよと言ってきた。
「言う気になった?」
腕の力を強くしながら訊ねてやると、ぐう、とだけ唸って黙り込んでしまった。
きっと言いたくない気持ちと必死に戦っているのだろう。
「あー。もう分かりましたよ。言いますから。離してください」
文はようやく観念したのか、投げやりにそう言って、私の腕をぺちぺち叩いた。
こういう状況はお気に召さないようだ。
やるのは結構楽しいのになあ。されるのはもちろん嫌だけど。
「まあ、離すのは言ってからよね。あんた逃げるか嘘言うかしそうだし」
うぇ、という苦い声を聞いて、思った通り逃げる気だったんだろうなあとぼんやり考える。
逃げたとしても、ここまで来たら意地でも聞いてやる気ではあるけれど。
文は私の考えを読んだのか、どうしても逃げられないと悟ったのか、
はあ、と大きなため息を吐いて、ぽつりとつぶやいた。
「……霊夢が、どこかに飛んで行きそうだったので」
「は?」
文はいきなりおかしなことを言う。
この期に及んでまで嘘を言わない奴だっていうのも知っているけれど。
そんなこと言われても、正直どう反応していいか分からない。
「何言ってんのよ?」
「そう言われると思ったから、言わなかったんです」
文の後頭部は自分でも分からない、と言いたげだった。
でも、嘘ではないんだろうな、と何となく納得して文から離れる。
「えっと、そういう気分になることもあるわよね?」
「そういう気分にさせないでくださいよ」
そっちが勝手になったんだろうに。私に責任を押し付けられても困る。
いつもはそっちから勝手に来て勝手にいなくなるくせに。
私にだけ言うのはずるいと思う。
「飛んでいきそうなら、私に合わせて飛びなさいよ」
「何で私が霊夢に合わせるんですか」
自分から言い出したくせに、文は不満そうに唇を尖らせて言う。
不満を言いたいのは私の方だ。
「いいけどさ。勝手にいなくなっても私は知らないから」
「それは許しません」
その言葉には少し、力が入っているように思えた。
私の目を覗き込んで、文は言う。
「大事な取材対象を逃がしてなるものですか」
その言葉は、嘘が入ってないって確信できるくらいにまっすぐだった。
本当にこいつらしくて、自分勝手な言葉だったけれど。
見つめてくる瞳には、私以外の何も映ってないのが、見つめ返しててよく分かる。
「今さら後悔しても遅いんですよ」
「覚悟は、しておくわ」
そう答えてやると、文は気が抜けたような笑顔を見せた。
「ええ。今まで以上に張りついてあげますから」
文はへへ、と笑ってさっきまで拗ねたり、不満にしてたのが嘘みたいに嬉しそうな声で言った。
そんな喜んで言うことでもないんだけれど。
「……まあ、逃がさないようにがんばりなさい」
「逃げる方の言うセリフじゃないですよ」
そうだけど。言いたくなったんだから、仕方ないじゃない。
それじゃあ、精々逃げてやろうじゃないか。
文の方が後悔したりしても、遅いんだから。
そう思って、呆れた表情の文に笑いかけてやると、よく分からない笑顔が返ってきた。
私の肩に腕を乗せきて、ぐっと押しつけられているようだった。
背中はぴったりと密着していて、そいつの体温がぼんやりと伝わってくる。
「……ねえ、文」
「なんでしょう」
耳元の声はいつもと変わらない。
なんでしょうなんて、私が聞きたいくらいなのに。
こいつの行動はいつも突然だし、どんな意図があるかなんてどうでもいいけれど、
それでも、これだけは言ってやろうと口を開いた。
「重いし、暑い」
思いっきり体重をかけられて、体がごきごきごきってなった。
「ごめんなさい」
文は反省してますという雰囲気だけをうまく漂わせている。
こいつは外面を取り繕うのがすごくうまいのは知りきっていることだった。
今だって、しゅんとしているのは見せかけだけで心の中で舌を出してるに違いない。
「あの、霊夢」
「なによ」
文がちょっとだけ申し訳なさそうに声をかけてきて、それにちょっとだけ身構えて返す。
こいつは口もうまいから、騙されないように気をつけないといけないのだ。
言いづらいことのように視線を遊ばせて、言葉を選んでいる。
どんなことを言ってきても騙されないんだから、と気合を入れて文の顔を見返した。
「思ってたより体硬いんですね……?」
「遺言はそれだけか」
「ごめんなさい……」
反省してない鴉を正座させてやる。
構えた自分が馬鹿だった。
こいつに反省とか、そういうものを期待する方が間違いだったのだ。
「とりあえず、あんなことした理由は?」
それは後々反省することにして、今はこっちが最優先だろうと会話を戻す。
文はやっぱり言いづらそうにしてむう、と唸った。
その態度にはいつもみたいな、余計なことまで言ってのけるような図々しさが見えない。
さっきのこともそうだけど、こいつが言い渋ることなんて滅多にないことなのだ。
「はっきり言いなさいよ。らしくないわね」
「どうせ、私らしくありませんよ」
指摘してやると文は拗ねたようにそっぽを向いてしまった。
言う気はないという意思表示も兼ねてるんだろう。
……ちょっと、気になる。こうもあらかさまに拒否されて気にならない人間もいないだろうし。
いつも言いたくないことをうまく隠してるやつが相手だったら尚更だ。
「言いなさい」
「単なる、気まぐれです」
私の目を覗き込んで、平然と嘘を言ってみせる。
不機嫌そうな瞳は絶対に言うもんか、と語ってるように見えた。
「……まあ、言いたくないならこっちにも考えがあるけど」
「霊夢?」
さっきの文みたく、後ろから抱き付いてみる。
文は不思議そうな声を出して、振り返ろうとしたけれど、その前にぐっと体重をかけてやった。
漏れたのはむぎゅうという声だけ。あまり苦しそうには聞こえなかった。
「あの、痛いんですけど」
「む、あんまり効かない……」
「霊夢と違って体が柔らかいんです」
「違っては余計よ」
そういうことこそ言わないべきだ、と首を絞めるポーズをとってやる。
文は流石に慌てて、やめてくださいよと言ってきた。
「言う気になった?」
腕の力を強くしながら訊ねてやると、ぐう、とだけ唸って黙り込んでしまった。
きっと言いたくない気持ちと必死に戦っているのだろう。
「あー。もう分かりましたよ。言いますから。離してください」
文はようやく観念したのか、投げやりにそう言って、私の腕をぺちぺち叩いた。
こういう状況はお気に召さないようだ。
やるのは結構楽しいのになあ。されるのはもちろん嫌だけど。
「まあ、離すのは言ってからよね。あんた逃げるか嘘言うかしそうだし」
うぇ、という苦い声を聞いて、思った通り逃げる気だったんだろうなあとぼんやり考える。
逃げたとしても、ここまで来たら意地でも聞いてやる気ではあるけれど。
文は私の考えを読んだのか、どうしても逃げられないと悟ったのか、
はあ、と大きなため息を吐いて、ぽつりとつぶやいた。
「……霊夢が、どこかに飛んで行きそうだったので」
「は?」
文はいきなりおかしなことを言う。
この期に及んでまで嘘を言わない奴だっていうのも知っているけれど。
そんなこと言われても、正直どう反応していいか分からない。
「何言ってんのよ?」
「そう言われると思ったから、言わなかったんです」
文の後頭部は自分でも分からない、と言いたげだった。
でも、嘘ではないんだろうな、と何となく納得して文から離れる。
「えっと、そういう気分になることもあるわよね?」
「そういう気分にさせないでくださいよ」
そっちが勝手になったんだろうに。私に責任を押し付けられても困る。
いつもはそっちから勝手に来て勝手にいなくなるくせに。
私にだけ言うのはずるいと思う。
「飛んでいきそうなら、私に合わせて飛びなさいよ」
「何で私が霊夢に合わせるんですか」
自分から言い出したくせに、文は不満そうに唇を尖らせて言う。
不満を言いたいのは私の方だ。
「いいけどさ。勝手にいなくなっても私は知らないから」
「それは許しません」
その言葉には少し、力が入っているように思えた。
私の目を覗き込んで、文は言う。
「大事な取材対象を逃がしてなるものですか」
その言葉は、嘘が入ってないって確信できるくらいにまっすぐだった。
本当にこいつらしくて、自分勝手な言葉だったけれど。
見つめてくる瞳には、私以外の何も映ってないのが、見つめ返しててよく分かる。
「今さら後悔しても遅いんですよ」
「覚悟は、しておくわ」
そう答えてやると、文は気が抜けたような笑顔を見せた。
「ええ。今まで以上に張りついてあげますから」
文はへへ、と笑ってさっきまで拗ねたり、不満にしてたのが嘘みたいに嬉しそうな声で言った。
そんな喜んで言うことでもないんだけれど。
「……まあ、逃がさないようにがんばりなさい」
「逃げる方の言うセリフじゃないですよ」
そうだけど。言いたくなったんだから、仕方ないじゃない。
それじゃあ、精々逃げてやろうじゃないか。
文の方が後悔したりしても、遅いんだから。
そう思って、呆れた表情の文に笑いかけてやると、よく分からない笑顔が返ってきた。
私にはもっと別の何かの対象として見ているような感じにしか見えないのは何故(殴
あれそれってけっこ
何気に文ちゃん霊夢って呼び捨てだしww
…あぁ、興味が尽きなくて仕方がないんですね、おっけー把握。
ところでこのデレ気味霊夢が可愛い過ぎて地味に生きるのがしんどい。
いや、間違ってはいないんだろうけど?w
俺も乗るべきか…このあやれいむの波に…!
俺はレイアリ派なんだよぉ!!!
私はちゅっちゅじゃなくてぎゅっぎゅが見たいんだ
取材って実は凄くニヤニヤできる行為だったんですね。分かりますよ。
ありがとうございます。