Coolier - 新生・東方創想話ジェネリック

いぬのきっもち♪

2010/06/06 21:35:40
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「咲夜、これを付けなさい」

 そういって、レミリアお嬢様が寄こしたのは妙なカラクリが付属された首輪だった。
 猛烈にいやな予感がするため、これがどういったものかを尋ねる。

「これは、なんでしょうか?」
「バウリンガル、という外の世界の物らしいわ」

 外の世界。その単語一つでむくむくと不安が増幅されていった。

「なんでも、これを犬に付けることでそいつの考えてることがわかるらしいわ」

 どうやらお嬢様は私の忠誠心を本物の犬、もしくは種族を人狼か何かと認識していたらしい。
 私ほど報われない従者が果たして他にいるのだろうか。

「いったいどこでこれを」
「道具屋にあったのを面白そうだから譲ってもらったのよ」
「代金は払ったのですか?」
「持ち合わせがないから代わりにグングニルで突いてやったら喜んで差し出してくれたわ」

 この幻想郷にまともな奴はいないのか。せめて春先で頭を一時的にやられている輩が多いだけであると信じたい。

「多忙で忠実な咲夜のことだから、きっと普段から言いたいことも言わずに我慢してるんじゃないかと思ってね。これを使って咲夜の望みを少しは叶えてやろうという主としての配慮ってやつよ」

 その為にこんな玩具を選択するあたり、やはりお嬢様はいろいろと足りてない。
 というか、つい先ほど面白そうだからと口を滑らせたことにも気づいていないらしい。このレミリア・バカーレットめ。

「さあ、咲夜。早くそれを付けるのよ」
「……わかりました」

 いろいろと言いたいことはあるが、これが本当に犬用なら私が付けたところでなんの効力も発揮されないことだろう。
 首に巻いて装着すると、途端に人として崩してはならない何かに亀裂が入ったのを感じたが、今は気にしないことにする。

「さあ咲夜、早速わんと鳴いてごらんなさい」
「はい、お嬢様」

 何も起こらないことを祈りつつ、言われた通りに犬の鳴きマネを演じることにする。
 端から見ると珍妙なプレイに興じる危ない主従関係に思われそうである。

「わん」
『はらへった』

 首輪から妙に腹立たしくなるゆっくりとした音声が発せられた。ずいぶんとフランク、と言おうか、飼い犬ならもっと丁寧な言葉使いをしたほうがいい気もするが。
 もしかしたら、脳内地位が飼い主を上回っている駄犬用なのかもしれない。

「ふむ、昼食ならついさっき取ったはずなんだが。咲夜は大飯食らいだったのね」

 今度から食事の量を増やそうかしらとお嬢様は解釈しているようだが、実際は空腹感など感じてはいない。
 予想通り、犬以外が使用したところで本心を告げることはできないようである。
 
「さあ、咲夜。この調子で内なる想いを全て吐き出してしまいなさい。今この時だけは無礼講で構わないわ」
「わかりました、おぜう様」
 
 どうせ効いてないならと、最近のお嬢様はカリスマが不足しています、我儘がすぎて時々ついていけません、夜中のトイレぐらい一人で行ってください等、そんなあれやこれやの想いを込める。

「わん」
『にゃんにゃんしたい』
「犬なのに!?」

 あまりにもあんまりな通訳に思わずツッコミをいれてしまった。
 一方、お嬢様は腕を組んでふむと思案顔でいる。
 間違っても、私とのくんずほぐれつのギシギシにゃんにゃんを検討している訳ではないだろう。

「やっぱりね、そうじゃないかとは思ってたのよ」

 うんうんと一人頷いて顔を上げたお嬢様は、自分の考えは正しかったと言わんばかりの不気味な笑みを浮かべていた。

「時期が時期だし、咲夜も辛いんじゃないかってね」
「お嬢様?」
「安心しなさい、咲夜。望みは叶えると言ったでしょ。こんなこともあろうかと」

 パチンッとお嬢様が指を鳴らすと、外に待機していた何人かの妖精メイドが扉を開いた。
 開いたドアから部屋の外を見ると、妖精メイドの中に交ざって立ち尽くす人物がいた。。 
 短い白髪にピンと立った獣の耳、巫女のような腋出しルックの服装に尻尾をぱたぱたと落ち着きなく振っているその人物は、妖怪の山に住み着く狼天狗であった。
 お嬢様に手招きされてふらふらと夢遊病患者のような足取りで部屋の中へと入ると、尻尾がより一層激しく振られ始めた。
 
「咲夜と同じく発情期まっただ中のこいつを連れてきておいたわ」
「はい?」
「ちなみに、パチェに特別製の結界を張るように頼んどいたから、音漏れの心配はしなくていいわ」
「あの、お嬢さ」

じゃあ存分に楽しむのよと、そんな事を言い残して立ち去ろうとするお嬢様を引き留めようとしたところ、私とお嬢様の間に入って行く手を遮る者が一人。

「よ、よろしくおね、おねおね、おねががががが――わんわんおー!!!」
 
 お嬢様が部屋から出て扉を閉めるのと同時に、顔を真っ赤に火照らせた狼天狗が飛びか








マッー!
「これはニャウリンガルという外の世界の道具で、用途は猫の気持ちを表してくれる道具だ」
「はあ」
「いまなら君の能力で僕のトラウマを読んでくれたらただで譲ってあげよう」
「結構です」
フルーツ波
コメント



1.奇声を発する程度の能力削除
レミリア・バカーレットってwwwwww
おぜう様が出て行った後に何があったのか詳しく!
2.名前が無い程度の能力削除
こーりんが末期w
なんかニヤニヤしましたw
3.名前が無い程度の能力削除
犬のンギモッヂイイとはたまげたなぁ