「勇儀はどこいってんのさー!!」
ここは元地獄、旧都。街を駆ける土蜘蛛、旧都のアイドルであるヤマメは、鬼の四天王である星熊勇儀を、必死に探していた。本日は宴会の予定で、一週間前から企画していたが、勇儀はふらりと地上に行っていたため、連絡が行き届いていなかった。
今、ヤマメは勇儀が旧都に戻っていることを切に願っている。流石に地上まで探しに行ったら、その間に旧都は終わってしまうだろう。それ以前に旧都の妖怪が簡単に地上にでることも控えなければならないのだが……。
「早くしないと……早くしないと旧都が全滅しちゃうよーっっへぶっ!!」
全速力で走っていたヤマメは体操服のマットに衝突した。
「おい、どうしたい。そんなにあわてて、ケンカか?」
おお、地下世界に半分封じられるような形でいた我らだが、神は我らを見捨てておられなかった!! 我らの希望が目の前におわせられるではないですか!! まだ間に合うかもしれない。
「ケンカどころじゃないよ!! もうキスメとさとりのペット達がやられてる!!」
「ほう?そんなに骨のあるやつたぁおもしろいね。地上の河童や天狗はなにやら遠慮してて興がそがれるんだよ。せっかくスペルカードルールでの弾幕ごっこ(お遊び)なんだから、全力できてもいいんだがね」
こんなときにこいつは地上にわざわざ力試しに行っていたのかと少しイラついたが、今はそれどころではない。
「残念ながらこっちは『お遊び』じゃないんだよ。急がないと手遅れになる」
『遊び』ではないと聞いた勇儀が真面目な顔になる。普段はのらりくらりとしているが、こういったときは頼りになる姉御である。
「……どこだい?」
短い言葉だが、状況の説明を求めないあたりは助かる。ぐだぐだしていられない。
「3丁目の飲み屋」
「二つある」
「先週店主が痴漢で捕まった方」
「よし! IKUZO!!」
勇儀は地を蹴って飛んで行った。ヤマメも続く。ヤマメが出遅れたのは、勇儀の全身から発せられる仲間思いの鬼の気に感動し、あてられたのか、それとも勇儀の台詞のアルファベットに突っ込みたかったからか…。実際は、自分も飛んでくればよかったという後悔なのだったが…。
店に着くまでの間、勇儀は事情を聞いてきた。
「まさかそこの店主か?」
まぁさっきの痴漢うんたらを聞いたなら、そう思うのが妥当かもしれないが
「あいつを捕まえたの、さとりのペットじゃん。力関係的にありえないよ。問題はパルス……」
「パルスィが来てたのか!?」
勇儀の顔が驚愕に変わる。それもそのはず、橋姫、水橋パルスィは宴会事どころか、飲み屋にすら滅多に顔をださない。旧都ではパルスィが来た店の酒は嫉妬される程にうまいという噂がまことしやかに囁かれている。
「畜生……なんで誘ってくれなかったんだ!!」
「勇儀いなかったよね?」
勇儀さえいればこんな事態はすぐに沈静化されたかもしれなかっただけに、言葉に八つ当たり交じりの棘を含ませる。
「ともかくパルスィがって、ちょっと!? 待ってよ!!」
「畜生!! パルスィのピンチに何故私がいないんだ!!」
「先行するなって!! 自重なさい!! だから、そのパルスィが…」
「黙れ!! パルスィは今泣いてるんだ!! 何故おまえにそれがわからない!! なら戦うしかないじゃないかー!!」
「いや、なにを?」
「勇パル成就のために、旧都よ!! 私は帰ってきた――――!!」
「はやっ!?」
勇儀は通常の3倍の速度で旧都の街を飛んで行った。
あやややややや
ヤマメが追いついたとき、勇儀は飲み屋の前で待っていた。
「はぁ……はぁ……。勇儀……流石にパロネタでも、さっきみたいにいっしょくたに混ぜたら批判来るよ?」
勇儀は動じない。
「おーい。勇儀サン?」
「ヤマメ。中の状況はどうなってる? えらく中が静かなんだが」
「あれ?」
さっきのふざけた空気はどこへいったのか、姉御顔に戻っている勇儀。事情も聞かずに来たものだから、うかつに入れないようだ。いつもなら誰が相手だろうが、真正面からぶつかっていく勇儀にしてはらしくない。
「ああ。ここまで来たなら見たほうが早いかも…」
「じゃあいくぞ!!」
やっぱり勇儀である。話の途中で容赦なく扉を蹴り壊した。しかして待っていたものは…
「んあ?ほしぐま?」
酒で頬を染めているパルスィその人(妖怪)と、大量の妖怪達の亡骸だった。
「パル…スィ?」
「ひょーはしゃわがしーのがひないってんできたのり、ひてんじゃないわよ!!」
酒でろれつが回っていない口調で勇儀の目の前まで歩いてくる。千鳥足で。
「まぁいーわ。みんらみたいにだまらへてあげるわぁ~」
そして勇儀の顔を両手で固定し、背伸びをするように顔と顔を近づけ……
「そこまでです!!」
酒樽に隠れていたさとりが勇儀を突き飛ばした。普段なら鬼を突き飛ばすなんてできないのだが、混乱で油断していた勇儀は、パルスィの拘束から逃れ、床に倒れた。
「さとり!!まだ無事だったんだね!!」
「よくやってくれましたヤマメ。そして勇儀、後は頼みます」
「さとり!!」
さとりは勇儀を逃がした代償に、パルスィに捕まってしまっていた。
「あら、しゃとりじゃない。いままでろこにいたのよー?」
「勇儀、ヤマメ……お燐と空に伝えてください。私の死体は灼熱地獄で火葬して、灰は地上に撒いてください。……今まで長い間地下世界にいましたから、最後は日の光の当たる場所で……」
さとりは肩を掴まれ、顔をパルスィに固定されたまま、そう、言った。
「おい、何を言ってるんだ、さとり……それじゃあまるで」
そう、遺言を、言った。
「しゃとりったら何言ってんにょかわかーんにゃーい♪でも、しょんなしゃとりが……」
パルスィとさとりの顔が近づいていき、やがてその距離が――
「妬ましい」
チュッ
「幸せ死ぬっ!!」
「さとりーっ!!!!」
その距離がゼロになり、クチビルが離れたとき、さとりは死んだ。しかし、その死に顔は、一片の悔いも残してはいない者の顔だった。
くわしく説明するなら、黒目が上を向いており、頬はだらしなく笑顔のカタチに引き攣り、口からは涎が垂れている。
「さとり!!しっかりしてよさとり!!遺言を遂行しようにも、二匹ともやられちゃってるよ!それに、まだ、さとりにパルスィの隠し撮り写真貸したまんまじゃないか!!起きてよ!!返してよ!!ネガがパルスィに破られたから、焼き増しできないんだよアレ!!返してよさとりぃぃ!!!!!」
「ヤマメ」
さとりの亡骸にしがみついて、泣いているヤマメに、勇儀の落ち着いた声が、冷水のようにかかった。
そう、かえってこない写真よりも、問題は今だ。この状況を打開するために呼んだ四天王の一角じゃないか。ヤマメは涙を拭い、さとりの亡骸をそこらへんのテキトーな場所に放り投げ、進むべき前を見ることにした。
「そうだね、泣いてる場合じゃないよね。このままじゃ旧都の妖怪は全滅してしまう。じゃあまずは私が……」
「ヤマメ!」
勇儀はヤマメの台詞を遮り、ヤマメに顔を向け、微笑み、さとりの亡骸を蹴飛ばし、鼻血を垂らしながら言った。
「後は頼んだぞ!!」
「あ、それ、私が言おうとしたのに!!」
旧都は崩壊した。
私もこんな事されたら死ねます…死んだらハードディスクの中身は見ないで破壊しておいてください…
あとそのネガ僕にくだs(ry
てかもっとヒドイww
『幸せ死ぬっ』とか叫ぶさとりにやられたw
あ、あとそのネガ私にも(ry
ちょっと鬼殺し持って旧都跡地まで行ってきますね
こいしちゃん不在時を狙えばほっぺのこの辺に頂けるハズなので
これがちゅっちゅ道か……僕にも解る……感じるぞアジサイさん!!
なので
>パルスィとこいしは幸せに暮らしましたとさ
ここ詳しく
さて、まだ死にたくない私は地霊殿へ行って写真を探すか……
「幸せ死ぬっ!!」確かに死にそうなほどであることは間違いない。
しかしその先にあるもっと幸せな幸せを堪能するまで俺は意地でも死ぬことはできない。
あと、ネ(ry