「大ちゃん」
そう呼びかける声。いつもの氷精と同じ、元気いっぱいな声。
「遊ぼう?」
「うん、いいよ」
「何しよっか」
「あの作りかけのお花のかんむり、作っちゃおうか?」
「うん、そうしよう!」
二人は冠の元へとてとてと歩いていった。作りかけの冠を手にとって、続きを始めた。
ちぎちぎ、と花を茎を束ねて結んで絡めてゆく。
何度も作ったことのあるそれ。けれどいつも出来はあんまりよくない。でも、悪くない。
「んんー……できた!」
「私もできたよー」
「大ちゃんは上手だね」
「チルノちゃんも上手だよ。それより、手が汚れちゃったね」
「手、べたべただね。洗ってこよ」
「うん」
二人は湖へ向かってとてとてと走っていった。作り終えた冠を手にしながら。
さんさんと煌く太陽の光が湖を照らして、まるで宝石のようだった。そんな湖に二人は着いた。
走って向かってきた二人の内の一人が、足をつまずかせて転んでしまった。その手からは冠が放物線を描き放たれ、湖へと落下してしまった。「あっ!」と声を揃えて二人はどきりとした。ぽちゃん、と冠が湖に飛び込んで、水面に波紋を描く。
「あたい、取ってくる!」
「でもっ、」
大妖精の声も聞かず、続け様に湖に飛び込んだ氷精。ほどなくして、浮かび上がってきた。
「ほらっ、大ちゃんのかんむり!」
「ありがとう、チルノちゃん」
ほっ、と息を吐くようにお礼を言った。
「チルノちゃんはスゴイね。私のかんむりのために……」
「だいじょーぶ、いつもビショビショになってるから。はい、かんむり」
ぽす、と大妖精の頭に乗っけてやる。大妖精は瞬き、その次には笑顔になっていた。
「ありがとう、チルノちゃん。カッコイイよ」
「えへへ、そうかな。大ちゃんはあたいが守ってあげるからね」
「ありがとう、ありがとう……。チルノちゃん、絶対どこにも行かないでね、絶対だよ」
「うん、あたいはずっと大ちゃんの友達だから」
「うん、私もずっとチルノちゃんのお友達だよ」
世界の瞬きのような時間。
究極の幸せはそこにあった。
木陰からホワイトロックさんやリリーW&Bさんが生暖かい視線を送っていると妄想するともっと幸せになりました。
有り難う御座います。
心地好い。
癒されました。