Coolier - 新生・東方創想話ジェネリック

『赤ずきん』(東方星蓮船ver.)

2010/05/23 22:35:03
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むかしむかし、命蓮寺というお寺にナズーリンという名のお母さんと真赤な頭巾をかぶった一輪という名の女の子が住んでいました。

「やぁ、赤ずきん」
「何よ、ネズミ」
「ネズ……!?君、仮にもお母さんに対してネズミ呼ばわりは酷いんじゃないか」
「ネズミのお母さんなんて持った覚えがないわよ。話がそれだけなら、私は行くからね」

どうやら、赤ずきんとお母さんはあまり仲がよろしくないようです。

「待つんだ。君に頼みたいことがあるんだよ」
「だが断る」
「魔界まで行って、聖にこの飛倉の破片を渡してきてほしいんだよ」
「姐さんのところ!?それなら喜んで行くわ。ほら、早く飛倉の破片を渡しなさいよ、ネズミ」
「君は本当にいい性格をしているね……」

この二人は本当は仲がいいんですよ!本当は!きっと、今流行のツンデレという奴ですね。

「行く途中にご主人様に気をつけるんだよ。宝塔を失くしてウロウロしているはずだから」
「また失くしたの?はぁ……まぁ、心配はいらないわ。私には雲山という心強い味方がいるからね」
「……(こくこく)」

言い忘れていましたが、喋っていないだけで雲山はずっと赤ずきんと一緒にいました。シャイなんです、彼。

「それでは行ってくるわ」
「ああ、頼んだよ」

こうして、赤ずきんと雲山は大好きなおばあ……ゴホゴホ……姐さんのいる魔界に飛倉の破片を届けることになったのです。





赤ずきんがしばらく歩いていると茂みで豪華な服を着た成り上がりの虎がしゃがんで何かを探していました。

「困りました困りました、どうしましょう。また宝塔を失くしたことがみんなにバレたら……」
「もうバレてるわよ」
「わっ!……赤ずきんと雲山じゃないですか。ビックリしましたよ」
「天下の毘沙門天の弟子がこんな所で何をしているのよ。言わなくてもいいわ……また宝塔を失くしたのね」
「はい……」

虎こと星ちゃんはしゅんとしています。かわいいね。

「おや、赤ずきんが持っているのは飛倉の破片じゃないですか」
「そうよ、これを今から姐さんのところまで届けに行くの」
「そうですか。でしたら私が持っていきましょう。私が宝塔を見つければ、それと飛倉の力で聖の封印を解くことができます」
「嫌」
「えー」

実を言うとおばあ……ゴホゴホ……姐さんこと聖白蓮は魔界のさらに奥、法界に封印されているのです。
そんなところにおつかい感覚で行かせるなんて、どうかと思うよ僕は。

「貴方に渡したら、それまで落として失くしてしまいそうじゃない。姐さんは私がこの命蓮様の力だけで何とかするわ」
「そんな!宝塔がないと絶対に封印は解けませんよ!とにかく破片を渡してください!」
「雲山!」

飛びかかってきた星から、間一髪で赤ずきんは雲山に乗って逃げ出しました。
まず飛びかかってくる辺りが、さすが元・虎です。

「それにしても道に迷ってしまったわね。魔界までどうやって行けばいいのかしら」
「そこにいるのは一輪ね。どうしてこんな所にいるの?」
「水蜜!」

村紗水蜜は漁師です。……え?猟師じゃないよ、漁師だよ。

「ちょうど良かったわ。姐さんのいる魔界に飛倉の破片を持っていくところなんだけど、道に迷っちゃって」
「それなら私の聖輦船に乗っていけばいいわ。魔界だろうとどこでも連れて行ってあげます」
「さすが水蜜ね。ありがとう」
「それでは船が魔界に到着するまでの間、私の相手でもゴニョゴニョ」
「え?ちょ、ちょっと、なんで手をワキワキさせながら私に近づいてくるのよ。船の操縦は?」
「自動操縦、自動操縦」
「きゃー」

ちなみに雲山は船の周囲を護衛しています。紳士です。こんな雲(おとこ)になりたい。





「やっと宝塔を見つけました。さぁ、聖。今、私が封印を解いてあげますからね」
「あら、星じゃない。こんな所で会えるなんて奇遇ね」
「ひ、聖!?」

本当なら聖輦船の方が速いはずですが、ムラサが余計なことをし始めた為、星が先に魔界に到着してしまいました。

「聖、貴方は封印されていたはずではないのですか」
「なんか千年頑張ったら、封印が解けちゃったみたい。やったわ、私」
「そ、そうですか……」

さすがおばあ……ゴホゴホ……聖です。お話の都合なんて全く気にしません。

「それにしても良かったです。わざわざこうして宝塔を持ってくる必要もなかったようですね」
「あら、それは何かしら」
「ああ、これは宝塔といってですね。ここをこう捻ると」
「きゃ」
「え」

残念、聖は宝塔の力でまた封印されてしまった!

「しまった!うっかりして封印を解くのとは逆に捻ってしまいました!ど、どうしましょう……
 は!また宝塔の力で封印を解けばいいのです!ここをこう捻ると……『パワーが足りない』!?」

宝塔の力だけでは封印は解けません。飛倉の力も必要なのです。

「どうしましょう……まさか私が聖を封印したなんてことがみんなにバレたら……
 早く何とかしないと赤ずきんが来てしまいます!誤魔化さないと!」

そうこうしている内に、赤ずきんとムラサ漁師が聖輦船に乗ってやってきました。

「貴方のせいで余計に時間がかかってしまったわ……」
「一輪だって嫌がってなかったじゃないですか。気にしない気にしない」
「今、私一輪じゃなくて赤ずきんだから」
「わかっているわ、一輪」
「……」

(わ!赤ずきんの他に村紗までいます!聖の真似をして誤魔化すしか……)

「この封印の向こうに姐さんがいるのね……姐さん、聞こえますか!赤ずきんです!」
『お、おや、赤ずきんかい?こんな所まではるばるよう来たねぇ』
「姐さん?もしかして少しお歳を召したのでしょうか。何か喋り方が……」
『そ、そうでした。大丈夫です。今、若返りの魔法を使いました。こんな所までよく来てくれましたね、赤ずきん』
「私もいますよ、聖」
『ムラサもありがとうございます。そ、それでは私は用事があるのでこの辺で』
「封印されてる以外にどんな用事があるんですか!?待っていてください、今封印を解いてあげますから」
『いや、そんな無理をされなくても……放っておけばいつか解けますから』
「もう千年も経ってますよ!?」

もういろいろとギリギリです、いろいろと。

「封印が解けない……!やっぱり星の宝塔がないから」
『そ、そのようですね(ほっ)。今日はもう諦めて帰って……』
「せめて星が宝塔を失くしてさえいなければ……本当にあの子はドジっ虎ね!」
「うっかりしすぎですよねー。ナズーリンもいつも大変ね」
『そ、そうですね。本当に星はうっかりしていて……ナズーリンも……』
「ネズミも悪いのよ。もっと星には言ってあげないと」
「毒舌なようで、ナズーリンも星さんには甘いものね。やっぱり彼女も」

『わ、私は何を言われても構いませんが、ナズーリンのことを悪く言うのはやめてください!』

「……そ、そうね。確かに言いすぎでしたわ、ごめんなさい」
「ナズーリンは良くやっていると思うわ」
『ええ、彼女は私なんかの為に本当にいつも尽力をしてくれています。そもそも彼女がいなければ私は』
「話の腰を折ってごめんなさい。随分とナズーリンの肩を持つんですね、あ・ね・さ・ん」
『え』
「後、さっきから封印の向こう側からグーグーって音が聞こえるんですけど、何ですか?」
『これは……私のお腹の音です。宝塔を探すのに夢中でご飯を食べていなかったもので』

「「しょおぉぉぉ~~~!」」
『ごめんなさーい!』

その後、飛倉と宝塔の力で封印は解かれ、白蓮は無事にみんなと再会することができました。
星はたっぷりと白蓮と赤ずきんとナズーリンにお説教をいただいたようです。
出番のなかった雲山は今も聖輦船を守っています。

めでたしめでたし





「というお芝居を子供たちの前でやろうと思うのだけれど、どうかしら、みんな」
「ちょっと待ってください、姐さん。いろいろと突っ込みたいところはありますが、聖輦船でのやり取りは明らかにいりません。
 子供たちになんてものを見せるんですか!」
「え?私はむしろそこだけでもやりたいけど……」
「水蜜!」
「聖!私はそこまでうっかりしていません!私の扱いが少し酷くはないでしょうか!」
「いや、こんなものだと思うよ、ご主人様は」
「ナズーリン!?」
「私の出番はー?何、この光球になって照明係とか」
「……(ワシの出番、あれだけ?)」

「不許可です。異論は認めません♪」
『えー……』

劇が実際に子供たちの前でやられたかどうかは誰も知らない。
某所でネタを見て二時間で書いたので、いろいろとギリギリです、いろいろと。
関係ないけど、聖輦船×紅魔館のカプ、もっと流行らないかなー。
俺も書きたい。
雲海
コメント



1.奇声を発する程度の能力削除
>かわいいね
大いに同意!

ツッコミ所が多くて面白かったです!
そして、無機物カプが増えつつある…
2.ぺ・四潤削除
聖姐さん!子供達におばあ(南無三)おb(南無三)呼ばれることになるけど大丈夫?!
あとがきの聖輦船×紅魔館はメンバーなの?建物なの?ww
3.名前が無い程度の能力削除
これいいよキャラが立ってる
某所がどこなのかは知らないけれどっ