アリスが私の部屋を飛び出していった。
まったく、乱暴な足音とドアを閉める音、淑女としてのたしなみはないのか。
ほぼすれ違いで、不思議そうな顔をした小悪魔が私の部屋に入ってきた。
「なんだかすごい怒ってましたよ、咲夜さんなにしたんです?」
「……さぁーねぇ」
さっぱり覚えが無いといえば嘘になるが、ただ単に紅茶の好みについて話していただけだ。
意見が食い違うこと自体は別に珍しいことじゃないが、今日のアリスのヒステリーぶりは異常だった。
「癇癪起こしたのよ」
「癇癪ですか」
「前々から思ってたけど、あいつ短気なのよ、そのくせ変に堪え性があるから急に爆発するんだわ」
「なんとなく、わからないでもないですが…」
いまいち納得してない顔の小悪魔、アリスに気を使えといいたいんだろうが、私にだって我慢できない領域はあ
る。
今回は私のほうから謝る気は絶対ない。
「咲夜さん、もしアリスさんが謝る気がなかったらどうするんです?」
「……んー」
「ずっと喧嘩したままじゃいやじゃないですか、悪くないと思っていても、謝ることだって必要ですよ」
「貴女の言うことも、そりゃあわかるわよ」
ただ、私はアリスのわがままに付き合うのが面倒だと思ったんだ。
「それに……癇癪は私は病気だと思います」
「病気…ね」
「そういうところも、受け入れて付き合っていった方が私はいいと思います」
「……簡単に言うわね」
小悪魔はもっともらしい言葉を並べている時、表情を変えなかった。
ずっと少し物悲しそうな顔をしていた。
「小悪魔、私は貴女みたいに機械的に人と話したりできないわ」
「え…」
「少しも私情を出さない、今だってアリスを庇いたいって思ってるだけでしょ」
「…」
「貴女は自分っていうのをどこに置いてきてるの?貴女が自分のことで泣いたり笑ったりしてるところって見たこと
ないの」
「私は……」
「自分を隠して人と接すれば当然当たり障りのない会話はできるでしょうね、でもそんなの何が面白いの?小悪
魔、貴女の思ってること、考えていることってどうやったら教えてもらえるの?」
「貴女は、本当にアリスは気の毒だと思ってるの?」
終始俯いていた小悪魔は、私が言いたいことを全て言い終えるとゆっくりと顔を上げた。
さっきまでのような物悲しい顔ではなく、目つきは鋭くなり、いかにも不機嫌そうな顔になった。
そして大きく息を吐いて、はき捨てるように言った。
「思ってるわけないですよ」
「……」
「むしろ咲夜さんの言うことには、全面的に同意します、勝手に癇癪を起こして怒って不機嫌になるなんて、面倒く
さいことこの上ありません」
「ですが、同時に咲夜さんに対しても腹を立ててます」
「…教えて」
「あれだけ仲良くお茶を飲んだりしているのに、なぜ謝るくらいのことができないんですか?いくら合点がいかない
ことがあったからって、それはただ単にすねているだけです」
「……」
「迷惑なんですよ、誰かと喧嘩をしているからという理由で普段から不機嫌でいられると、こちらとしてはそんなこ
と重要でもないし、気にしたくも無い、だから勝手に仲良くしていてくれたほうがいいんです」
すごいな……思わず私も腕を組んで小悪魔の言葉に耳をかした。
「私が普段自分を出さないのは何故かといいましたね?つまりはこういうことです、私は口が悪いんです、正直性
格も悪いのでせめてもの良心で普段堪えているんです」
「…じゃあ、普段の私への不満とかも、この際教えてもらえるかしら?」
「いいですよ、まず咲夜さんは保身的過ぎるんです、自分だけは焼けどしないようにって無難に振舞う、いわゆる
ええかっこしいです」
ええかっこしい…
「独善的とまでは言いませんが、大分頑固でもあります、人の意見を積極的に取り入れて柔軟に対応するってこ
とがどうしてできないんですか」
「……」
「もちろん、普段からそれを上回るくらい咲夜さんには良い所があります、だからこんなに慕われて、立派に仕事
をこなしているんですからね」
「…」
「あとは、女の子の誘いにほいほいついていっちゃうところ、可愛ければ誰でもいいんですか貴女は」
「どうですか?咲夜さん、これが私の本音です、驚いたでしょ?」
「確かに」
あんなに屈託の無い笑顔と、親切な態度の裏腹にこんなすごいことを考えていたとは。
でも、嘘はひとつも言っていない、多分全部小悪魔の言うとおりだ。
「私は普段からそうしてればいいと思うわ」
「そうはいきません、パチュリー様に怒られますから」
「パチュリー様にも?……そりゃそうか」
「確かに普段からこうしていれば、どれだけ楽なことかと思いますがねぇ」
両手を絡めてグッっと上に伸ばす小悪魔。
大変だろうな、言いたいことも言えずにずっと笑顔を浮かべているのは。
「いいわよ小悪魔、私の前ではそうしていなさい」
そういうと、小悪魔は表情を一転させた。
「いいんですか?多分毎日来ますよ」
「好きにしなさい」
小悪魔はニヤリと笑った。口をあけて笑うでなく、口元をゆがませて笑う。
「そうやって笑うのね」
「ええ、こうしたほうが悪魔っぽくないですか?」
「そうね、素敵よ」
「……本当に、女の子なら誰でもいいみたいなところもどうかと思いますね」
それは誤解。私は女の子は好きだけど、本当に好きなのはこういうストレートで隠し事をしない、気が強い子。
ある意味、アリスもカスってはいるんだけどな…
そんなことを考えながら、顔を赤くして私を睨む小悪魔に、微笑み返した。
すると小悪魔は、照れて視線を逸らした。こんな小悪魔は初めてだ。
「アリスさんにさっさと謝ってくださいよ、」
「そうね、考えておくわ」
。
まったく、乱暴な足音とドアを閉める音、淑女としてのたしなみはないのか。
ほぼすれ違いで、不思議そうな顔をした小悪魔が私の部屋に入ってきた。
「なんだかすごい怒ってましたよ、咲夜さんなにしたんです?」
「……さぁーねぇ」
さっぱり覚えが無いといえば嘘になるが、ただ単に紅茶の好みについて話していただけだ。
意見が食い違うこと自体は別に珍しいことじゃないが、今日のアリスのヒステリーぶりは異常だった。
「癇癪起こしたのよ」
「癇癪ですか」
「前々から思ってたけど、あいつ短気なのよ、そのくせ変に堪え性があるから急に爆発するんだわ」
「なんとなく、わからないでもないですが…」
いまいち納得してない顔の小悪魔、アリスに気を使えといいたいんだろうが、私にだって我慢できない領域はあ
る。
今回は私のほうから謝る気は絶対ない。
「咲夜さん、もしアリスさんが謝る気がなかったらどうするんです?」
「……んー」
「ずっと喧嘩したままじゃいやじゃないですか、悪くないと思っていても、謝ることだって必要ですよ」
「貴女の言うことも、そりゃあわかるわよ」
ただ、私はアリスのわがままに付き合うのが面倒だと思ったんだ。
「それに……癇癪は私は病気だと思います」
「病気…ね」
「そういうところも、受け入れて付き合っていった方が私はいいと思います」
「……簡単に言うわね」
小悪魔はもっともらしい言葉を並べている時、表情を変えなかった。
ずっと少し物悲しそうな顔をしていた。
「小悪魔、私は貴女みたいに機械的に人と話したりできないわ」
「え…」
「少しも私情を出さない、今だってアリスを庇いたいって思ってるだけでしょ」
「…」
「貴女は自分っていうのをどこに置いてきてるの?貴女が自分のことで泣いたり笑ったりしてるところって見たこと
ないの」
「私は……」
「自分を隠して人と接すれば当然当たり障りのない会話はできるでしょうね、でもそんなの何が面白いの?小悪
魔、貴女の思ってること、考えていることってどうやったら教えてもらえるの?」
「貴女は、本当にアリスは気の毒だと思ってるの?」
終始俯いていた小悪魔は、私が言いたいことを全て言い終えるとゆっくりと顔を上げた。
さっきまでのような物悲しい顔ではなく、目つきは鋭くなり、いかにも不機嫌そうな顔になった。
そして大きく息を吐いて、はき捨てるように言った。
「思ってるわけないですよ」
「……」
「むしろ咲夜さんの言うことには、全面的に同意します、勝手に癇癪を起こして怒って不機嫌になるなんて、面倒く
さいことこの上ありません」
「ですが、同時に咲夜さんに対しても腹を立ててます」
「…教えて」
「あれだけ仲良くお茶を飲んだりしているのに、なぜ謝るくらいのことができないんですか?いくら合点がいかない
ことがあったからって、それはただ単にすねているだけです」
「……」
「迷惑なんですよ、誰かと喧嘩をしているからという理由で普段から不機嫌でいられると、こちらとしてはそんなこ
と重要でもないし、気にしたくも無い、だから勝手に仲良くしていてくれたほうがいいんです」
すごいな……思わず私も腕を組んで小悪魔の言葉に耳をかした。
「私が普段自分を出さないのは何故かといいましたね?つまりはこういうことです、私は口が悪いんです、正直性
格も悪いのでせめてもの良心で普段堪えているんです」
「…じゃあ、普段の私への不満とかも、この際教えてもらえるかしら?」
「いいですよ、まず咲夜さんは保身的過ぎるんです、自分だけは焼けどしないようにって無難に振舞う、いわゆる
ええかっこしいです」
ええかっこしい…
「独善的とまでは言いませんが、大分頑固でもあります、人の意見を積極的に取り入れて柔軟に対応するってこ
とがどうしてできないんですか」
「……」
「もちろん、普段からそれを上回るくらい咲夜さんには良い所があります、だからこんなに慕われて、立派に仕事
をこなしているんですからね」
「…」
「あとは、女の子の誘いにほいほいついていっちゃうところ、可愛ければ誰でもいいんですか貴女は」
「どうですか?咲夜さん、これが私の本音です、驚いたでしょ?」
「確かに」
あんなに屈託の無い笑顔と、親切な態度の裏腹にこんなすごいことを考えていたとは。
でも、嘘はひとつも言っていない、多分全部小悪魔の言うとおりだ。
「私は普段からそうしてればいいと思うわ」
「そうはいきません、パチュリー様に怒られますから」
「パチュリー様にも?……そりゃそうか」
「確かに普段からこうしていれば、どれだけ楽なことかと思いますがねぇ」
両手を絡めてグッっと上に伸ばす小悪魔。
大変だろうな、言いたいことも言えずにずっと笑顔を浮かべているのは。
「いいわよ小悪魔、私の前ではそうしていなさい」
そういうと、小悪魔は表情を一転させた。
「いいんですか?多分毎日来ますよ」
「好きにしなさい」
小悪魔はニヤリと笑った。口をあけて笑うでなく、口元をゆがませて笑う。
「そうやって笑うのね」
「ええ、こうしたほうが悪魔っぽくないですか?」
「そうね、素敵よ」
「……本当に、女の子なら誰でもいいみたいなところもどうかと思いますね」
それは誤解。私は女の子は好きだけど、本当に好きなのはこういうストレートで隠し事をしない、気が強い子。
ある意味、アリスもカスってはいるんだけどな…
そんなことを考えながら、顔を赤くして私を睨む小悪魔に、微笑み返した。
すると小悪魔は、照れて視線を逸らした。こんな小悪魔は初めてだ。
「アリスさんにさっさと謝ってくださいよ、」
「そうね、考えておくわ」
。
人が怒ったら癇癪起こしたとか言っちゃう人とよく仲良くできるなぁと思ってしまった・・・
でも咲夜さんは瀟洒だからそう思われないようにうまく立ち回るんだろうな
いいなぁ、羨ましい
ところで中途半端な改行はいいとしても空白一行間に挟んじゃってるのでちょっと見づらいです。
アリスがんばれ!
アリスには早苗さんに次いでのライバル出現というか、一難さってまた一難、というか。
いっそのこと四つ巴になっちゃえばいいよ。
悪戯好きで好色な小悪魔さんは私の大好物です。
改行や空白は俺がよくやってしまう癖で、自分ルールで感覚をどんどんあけてしまいます。
行をつめてしまうよ読みづらいかなと思うこともあるんですが、あけすぎもよくないですね…
アリスにはこれからも頑張っていただきたい
どうしてこんなことになってるのか…編集キー忘れてしまったし。
今後気をつけますorz