彼女と手を繋ぐのが苦手だった。
白く細長い指を持った彼女の手は、いつも指輪が嵌っている。
左右の手とも、それぞれの指に。
彼女は私に好きよ、と言う。
横を歩けば自然に腕を、指を絡ませる。
すると、私の指にひんやりとした感触が伝わる。
幾つもの、指輪。
その指輪からは、私には良く分からないが魔力の糸が伸びているらしい。
その魔力で彼女の大好きな、大切な人形達を操っている。
彼女の手を見るのが苦手だった。
白く細長い指を持った彼女の手は、いつも指輪が嵌っている。
左右の手とも、それぞれの指に。
彼女の指は、複雑な動きで人形達を操る。
その動きに合わせ、彼女の指輪は幾重もの光を反射させる。
私はいつもそれを眩しいと思う。
彼女に触れられるのが苦手だった。
白く細長い指を持った彼女の手は、いつも指輪が嵌っている。
左右の手とも、それぞれの指に。
彼女が指輪を外したところを私は一度も見た事がない。
彼女は指輪が嵌った手で私に触れてくる。
暖かい彼女の指と、冷たい金属の指輪が不協和音を生んで、私の熱は上がっているのか下がっているのか分からない。
彼女に抱かれるのが苦手だった。
白く細長い指を持った彼女の手は、いつも指輪が嵌っている。
左右の手とも、それぞれの指に。
彼女は指輪の嵌った手で私の全身を撫で回す。
指輪の嵌ったままの手で、私の中に入ってくる。
奥は熱いのに、入り口は冷たい。
絶頂に飛ばされるのに、現実に引き戻される。
一度だけ、指輪を外してくれと頼んだ事がある。
彼女は少し考えた後、こう言った。
「何時何があるか分からないもの。何かあった時に指輪を外していて貴女を守れないのは嫌だわ」
その言葉に嘘偽りはないだろう。
きっと、本心なのだろう。
でもね、でもねアリス。
私はいつも貴女の左手の薬指に嵌っている指輪を見る度に、悲しくなってしまうの。
白く細長い指を持った彼女の手にはいつも指輪が嵌っている。
左右の手とも、それぞれの指に。
その指輪を外す事が出来なくても良い。
いつか、薬指に私が送る指輪を重ねづけしてくれたらと思う。
相変わらずの繊細な咲アリでなんて言うかこちらこそありがとうございます。
後書き読んで気づいた!本文に全く咲夜さん表現がない!
なのにタグも見ないで読んでたのに最初から咲アリのつもりで読んでたのは何故なんだwww
ていうかこれもしかして投稿する場所を間違えたんじゃないですかwww
実は咲夜さんの日記でした、とか妄想して萌えてしまいましたw
少しばかり規定の関係で心配な箇所があるのですが、多分これくらいならセフセフ!
人形操作用の指輪を咲夜さんがあげれば万事解決!w
苦手だと感じていても一度しか言葉にできない所に不器用さが出てて好きです。
最後の一文にニヤニヤ。
そうなると良いね!