Coolier - 新生・東方創想話ジェネリック

花占いかぁ。こんなの迷信よね? …………好き…嫌い…好き…嫌い…好き…好き…好き……大好き♪

2010/05/18 18:00:20
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この作品は「私が家庭を持ったらどんな感じになるのかしら。お母さんってどんな事してたっけ。いつもニコニコとお払い棒を振り回してた記憶しかないのだけど 」の裏ストーリーになっています。
そちらから読んでもらえると幸いです。















背景 名前が無い程度の能力様

 このあっつい中、皆様どのようにお過ごしでしょうか。
 
私は五月病前回全開です。むしろ雛の膝枕病です。

長い間私達のLAVE LAVELOVELOVEを盗み見見て頂き有難う御座いました。

恥ずかしくもあり、充実した日々であったと思います。

さて、私達の物語はこれからもずっと続いていきます。

朱鷺時に笑い、時にケンカし、時に涙することもあると思います。

けれど、その姿を皆様にお見せすることは、もうできません。

なぜならば、私達は一つの幸せの形に行き着いたからです。

ぶっちゃけ、これ以上はリアルすぎて色々と危険なんだよね。

でも之だけは言えます。私達は幸せです。これからもずっと幸せです。

では、またお会いできる日を夢見て。


               川代河代 にとり


「はいにとり。訂正入れておいたわよ」

「もうちょっと雛枕を堪能してから直すー」

「んもぅ……あと5分だけだからね?」

「みゅ~……zzz」






P.S. にとりのタキシード姿に惚れ直しました♪
PP.S. 雛のウェディングドレスは鼻血物だったよ♪





一つの夢は終わり、新たな夢へと誘う。

それは交わり。

それは誓い。

それは繋がり。

それは糸。

二つの絆はやがて、全ての糸の土台を編む。

物語は複雑に組み合わされ……








< 花占いかぁ。こんなの迷信よね? …………好き…嫌い…好き…嫌い…好き…好き…好き……大好き♪ >


~あらすじ~


神奈子がぎっくり腰になりました。

霊夢が紫に(親友的な意味で)好きって言いました。

美鈴が嫉妬したっぽい。

霊夢が部屋から飛び出し、修羅場な雰囲気。

でも本当は……







「私の好きな霊夢さんなら、許してくれると信じてますから♪」


博麗神社に響き渡る声。

その声を発した主は、紅 美鈴。

霊夢の整体師としての師匠である。


「絶対に許早苗」

「え、私ですか?」

「間違えた。絶対に許さない」


台所で目下作業中な二人は、この神社の巫女、博麗 霊夢と、

別の神社の風祝り、東風谷 早苗である。

二人は仲良く何かの生地をコネコネしているところだった。


「ではこの、かすてーらは誰の為に作ってるんですか?」

「……自分の為よ」

「あー……遠回りに自分の為にもなるって事ですね!」

「うっさい。だまってこねくり回せ」


霊夢は頬を赤らめながら、生地をコネコネ、コネコネ。

ちょっと強いくらいの力で、コネコネ、コネコネ。

卵8個に、砂糖、強力粉適当。

ハチミツ多めでちょっと甘口。

細かな泡になるように、泡立て器で一所懸命コネコネ。


「さっきから思うんですけど……」

「あによ」

「生地が異様に硬くありませんか?」

「……分量間違えた」


ぼん、と生地の入ったボールを手元に置く。

作り直しだ。

早苗も、自分の持っているボールを置こうとしたところで……ふと気が付いた。


「霊夢さん」

「あによ」

「霊夢さんって意外と可愛いですよね」

「な、ななな……」

「ちょっとだけ、美鈴さんや紫さんの気持ちが分かった気がします♪」

「う、うっさい!」


恥ずかしさのあまり、勢い良く早苗に背中を向けた。

そのとき、霊夢の袖が生地のたっぷり入ったボールにヒット。

早苗が、あっと声をあげる暇も無く、空中へと舞い上がったボールはそのまま回転しつつ霊夢の頭へと……


「はぁい霊夢。今の美鈴の声聞こえ、へぶぁ!」


霊夢の頭を飛び越え、突然現れた紫の顔へとクリーンヒットした。


「……随分と食い意地はってるのね紫」

「あっ! 霊夢さん危ない!」

「早苗、もう遅いから」


紫と早苗の双方へツッコミを入れた霊夢は、紫の顔から落ちてきたボールをキャッチ。

そのまま流し台へとほおりこんだ。

がらんがらんと、ほとんど空になったボールの音がやけに大きく聞こえる。

紫はどろっとして粘つく白い液体を、顔からふき取ることもせず唖然としていた。

とおもったら、ちょっと涙ぐんでいるらしい。先ほどから小さな嗚咽が聞こえている。

しかし霊夢は何事も無かったかのように、冷蔵庫(氷を入れておくタイプ)から卵を取り出した。

先の言葉の通り、作り直すようだ。


「卵八個に、砂糖適当、強力粉はさっきの半分以下っと。お湯も作り直さないとね」

「霊夢さん霊夢さん。こっちの失敗作はどうします?」

「そっちも作り直しね。冷蔵庫の卵を適当に使って」


流しに転がっているボールを水で流しつつ、適当に答える。

何事も適当。それが博麗の巫女なのだろうか。

でも色恋ごとに対しては……博麗の巫女も乙女なのだ。


「霊夢さん、この失敗作はどう処理しましょう?」

「適当に処理しておいて」


何事も適当。大体はそれでうまく行く。

色恋以外は。


「適当に、適当に……あ、そうか。ボールって本来投げるものですよね!」


早苗はのちに語る。

適当とは、常識に囚われてはいけないと言う事とイコールであると。

幻想郷では適当に生きるべきであると。


そして、台所から悲鳴が上がったのは、わずか一秒後のことであった。




◇ ◇ ◇ ◇ ◇ 




「ぐす……なんで私がこんな目に合わなくてはいけないのよ……」

「ごめんなさい……やっぱりボールは投げるものじゃないですよね」

「早苗グッジョブよ。紫は日頃の行いが悪いからこうなるのよ」


紫は体中から甘い匂いを立たせて泣いていた。

顔や髪の毛には、まだ生地がねっとりと付着している。

まるでアレの後のようで、なんというか……


「エロいわね」

「卑猥ですね」

「貴方たちが私にぶちまけたのでしょう!?」


もはや何の為に出てきたのか分からないゆかりん。

自分の式神である八雲 藍に手入れして貰えばいいのに、そのことすら頭に回っていないようだった。

その証拠に、むーむー怒りながら、霊夢をぽかぽかと叩いている始末だ。


「ぶちまけるとか……すけべ用語は引くわー」

「ぶちまけるだなんて……えっちなのはいけないと思います!」

「私が悪いの!?」


霊夢と早苗はさでずむに目覚めた!!



一方、霊夢と早苗が紫いじりに華を咲かせていた頃、客間では美鈴が神奈子へのマッサージの仕上げを行なっていた。


「はい、之で本日の治療は終了です。お疲れ様でした!」

「ありがとうね、えっと……門番さん?」

「美鈴。紅 美鈴です」

「そうか。ありがとう美鈴、かなり楽になったよ」

「どういたしまして~」


タオルに針に汗の吸ったシーツ。

手際よく片付けていく美鈴に、神奈子は目を細めた。

その瞳に見透かされた者は、震え上がるだろう蛇の睨み。

しかし美鈴は、笑顔で首を傾げるだけで何とも思っていないようだった。


「鈍感なのか、それとも肝が据わっているのか。もしくはタダの馬鹿か」

「私は馬鹿の金メダリストらしいですよ?」

「そうだったね。でも私の言いたいことくらいは理解しているだろう?」


後片付けよりも、さっさと霊夢の所へ行け。

さっきから神奈子はそう瞳で訴えているのだ。


「でも洗い終わるまでが料理っていいますし」

「あたしはまな板の上の鯛かい」

「お~。それは言い得て妙ですね~」


針を人差し指と親指で挟んで神奈子へ向ける美鈴。

獰猛は犬のように犬歯を覗かせてはいる。


「……チワワね」

「チクワですか?」

「もういいわ、好きにしなさいな」

「ほえ?」


のんびりと片付けを再開する。

神奈子はそれを見ているだけ。

着替えたくても、服が腰から破れているので動けないというのも、あるだろうけれど。

布団で隠しているとはいえ、今頃になって恥ずかしさが戻ってきたらしい。

頬が赤く染まるくらいには、まだ神奈子は女の子だった。


「よし」

最後の一本の針をしまい、シーツを使用済み袋へとたたみ入れたところで、美鈴は漸く立ち上がった。

口元をきゅっと、決心の付いた心が逃げ出さないように締めて。


「行ってきます」


そんな姿を見て、神奈子はもう何も言わなかった。

いってらっしゃいとも、がんばりなさいとも。

空気が違う。風が違う。そう感じたから。

静かに戸を閉めて、美鈴は部屋を後にした。

愛する人の下へ。ありったけの想いを、その大きな胸に詰め込んで。



「読めない奴だわ。心配して損した……さて、と」


一人残された神奈子は、とりあえず着るものが無いかと部屋を探す。

神奈子が部屋の角へと目をやると、気になるものがあった。

そこにはいつの間にか、一個の帽子が落ちていた。

目玉が二つ付いた変な帽子だ。

少し驚いたような、困ったような複雑な顔で、神奈子は言った。


「破れたパジャマの着替え、持ってきてくれないかい?」


大きな目玉が二つ。神奈子の言葉に応じるかのように瞬くと、帽子はスッとその場から消え去った。




◇ ◇ ◇ ◇ ◇ 



美鈴が部屋を出た頃、台所では3人が「かすてーら」の生地を作っていた。

完成まではまだまだ。

細かい泡になるよう、カシャカシャ泡立てる。

三人が同じリズムでカシャカシャとかき回す。

一定のリズムを崩さないまま、紫が問いかけた。


「ねぇ霊夢、美鈴のことだけど」

「……」

リズムは変わらない。

同じ速さ、同じ力。それでもきっと味は違う。


「分かっているのでしょう?」

「紫、先にあやまっておくわ。ごめん」

「霊夢……」


何に対しての贖罪なのか。

ただ一つ分かっていることは、紫の作る「かすてーら」は少し塩分が多めだということだ。


それでもリズムは変わらない。

同じ速さ、同じ力。それでもきっと味は違う。

一つは適当な味。

一つはちょっと大人な味。

一つは……


「隠し味は~神奈子様への~あ~い~♪ なんちゃって♪」


ものすごく甘くなるだろう。

早苗のボールだけ、なにか異様な粘り気になっていたが……

それでも同じリズム。同じ力。違う味。

そこに、ふと違うリズムが加わった。

床を賭けるドラムだ。

どんどん大きくなる。

ピアノからフォルテへと。そしてフォルテッシモへ。

曲調が最高潮に達したとき、霊夢へと飛び込む大きな物体があった。

それは、紅 美鈴。

霊夢の整体師としての師匠だ。


「霊夢さん!」

「飛び込んでくるなり大きな声だすんじゃないの」

「す、すいません……」


先ほどの気迫はどこへやら。

霊夢の一言で、迷子の子犬のようになってしまった。


「かすてら」

「はい?」

「かすてら、まだ時間掛かるから待ってて」

「……はい!」


変わらずずっと生地をかき回す。

気持ちを込めて。素直な気持ちを、泡に閉じ込めるように。


「二度と変なこと考えないように」

「はい!」

「それと……」


泡が飛ぶ。風に乗って。想いを乗せて。

リズムが止まり、霊夢は美鈴へと向かって、想いを続けた。


「私も好きよ、美鈴」





◇ ◇ ◇ ◇ ◇ 





「はぁ……負けたわ」

「いいんですか?」

「いいのよ。私は之まで通り、霊夢を見続けるだけ。そっとね」

「そうですか……世間一般ではそれをストーカーと呼ぶそうですよ?」

「……あなた思ったよりも性格悪いわね」


台所に残された3つの生地。

一つは届かない想い。

一つは届けたい想い。


どちらが美味しいかは、きっと食べた人だけが分かるだろう。

でも一番美味しいのは、「届いた想い」かもしれない。








◇ ◇ ◇ ◇ ◇ 






――これはゆめ


――だれのゆめ?


――わたしのゆめ


――わたしたちのゆめ






「美鈴、ごめんなさい。大嫌いなんて言って……許してくれる?」

「許すも何も、私は最初から怒ってないですよ。ちこっと嫉妬はしましたけど、なんて♪」

「美鈴……」


二人の間に、仄かな百合の香りが立ち込めた。

お互いの手を取り合い、自然と顔が近づいていく。

まるで恋する乙女のように、お互いの瞳は輝く。

世界で一番綺麗な宝石が、其処にはあった。


「霊夢さん、ごめんなさい。私の事も許してくれますか?」

「……」


美鈴の問に霊夢は眼を瞑って答えた。

小さな唇が僅かに振るえ、ほんの少しだけ開かれる。

全てを受け入れるかのように、小さな穴から紡がれる言葉。

それは、大切な大切な調べ。

もっと傍に寄らないと聞けないほど小さな曲。

でも美鈴には分かっていた。その曲の意味を。

だから、美鈴も目を瞑った。

これから奏でられる二人の音楽。

その序曲が今、始まろうとして……


「許早苗♪」

「えっ? あいたー!」


始まらなかった。

近距離で放たれたのは、霊夢のヘッドバット。

おでことおでこが、ごっつんこのアレである。


「そう簡単にこの私が許すはずないじゃない?」

「ひ、ひどいですよ霊夢さん~。うぅ、たんこぶが出来てしまいました……」

「許してほしかったら、暫く此処で働きなさい」

「ふえ?」

「庭掃除に雑巾かけ。こき使ってあげるわ」

「は、はい!」





――これはゆめ


――だれのゆめ?


――わたしのゆめ


――わたしたちのゆめ


――だからすなおになれる


――ゆめだからいえる



「霊夢さん……好きです」

「美鈴……好きよ」



――わたしのゆめ


――わたしたちのゆめ



「弟子としてですけどね!」

「師匠としてだけどね!」



――それはきっと……げんそう
一歩進んだら肩が触れ合う距離でした。こじろーです。

離れても、どれだけ離れても信じる絆があるから、私は安心してご飯をつくれる。
離れても。どれだけ離れても愛する人がいるから、私は安心して仕事ができる。

だから、私は生きていられるのだ。


それではまた将来にお会いいたしましょう。またにてぃ~♪

P.S. 我のPCのIMEなんとかしてくだち……(にとりの手紙の誤変換を見つつ)
こじろー
[email protected]
コメント



1.名前が無い程度の能力削除
感動のフィナーレキタ!
とてもいい話でした。

ところで東方IME辞書というものがあってだな…
>河代 にとり
雛おしい、「川城」だ
2.名前が無い程度の能力削除
終わりましたねぇ~。
こじろーさん、三度の飯やら睡眠やらはちゃんととっていますか?
あなたのペースを見ているとちょっと本気で心配になってきます。

あと誤字報告
>河代
河城です。1氏も惜しかったんですが。
3.名前が無い程度の能力削除
霊夢サイド来た!これで勝つる!!
そーかそーか…二人が仲直りするまではこうだったか…
あの時仲直りするところが見たいと、待ち続けた甲斐があったというもの。
うん、こういう話大好き!
4.こじろー削除
>ところで東方IME辞書というものがあってだな…
それをですね、会社のPCにですね。アッー!

>こじろーさん、三度の飯やら睡眠やらはちゃんととっていますか?
睡眠は通勤電車の中でちゃんととってますよ♪ ねみぃ……

そして両方、誤字報告ありがとうございます!素で間違えて覚えていただなんてイエナイ
でもあえて残しておくと、雛が可愛く見えてくる不思議なので、このままでもイイカナ?

>うん、こういう話大好き!
そう言っていただけると次回のやる気もまんまんと満ちてきます♪
ケンカをしてもお互いのことを心の奥で信頼し合っている二人。いいから結婚しチャイナ(中国だけにチャイnうわなにをするやめry
5.奇声を発する程度の能力削除
う~んとっても良かったです!