朝・・・
「起きた?」
にとりの声がする。
「う、、うん・・・」
「どうやら弟さんに会えるのが早まったみたいだね。来て。」
というと少年の腕を掴み、湖から出て、すこし歩き木の茂みから村を見た。
「祭りじゃー!!」
「ワッセ!ヨッセ!」
そう・・この日は村の祭りの日だった・・
「いい?村で祭りがある時は皆、村の中の村長さんの家の周りに集まるの。そこで、
私は村の裏側に回って村人達の様子を見てくるわ。恐らく高確率で私はばれるけど、そこで二助の出番よ。
恐らく村の人達は河童が祭りの邪魔をしに来たと思って怒り狂って私を追いかけてくる。
そこで二助。なんとか弟さんを連れ出してきなさい。」
「で、でも・・にとりは?・・」
「前にも大丈夫って言ったわ。山まで、この湖まで追いかけてはこないからね。」
「そして・・・ありがとうね・・二助・・」
「え?・・」
「人間とこんなに話せてうれしかったよ。」
「に、にとり?」
「ほら、これを持っていって。」
と言ってにとりは少年に布袋を渡した。
中にはなんと物凄い額のお金が入っていた。
「こ、こんなの貰えないよ・・・僕には・・・」
「弟さんを連れ出した後の生活はどうするの?・・」
「うっ・・・・」
「二助が言ってた、ここからずっと行った所の町でこのお金があれば十分な生活はできるわ。」
「でも・・にとりは・・・」
「私はずっとここで暮らすの。心配ないよ。また何かあったら会いに来てくれればそれでうれしいよ。」
「でも・・・・!」
「?・・」
少年がにとりを見つめる。
「で、でも!!僕は・・・にとりの・・事」
にとりが少年の口を手で素早く塞ぐ。
「駄目だよ・・・二助はまだまだ子供だ・・大人になれば好きな人もたくさんできるだろう・・
それに私は妖怪なんだ。二助が思ってるよりも恐ろしい奴らさ。でもね二助のその気持だけはありがたく貰っておくよ。」
「・・・・・」
「ほら!始めるよ。」
そういうと、にとりは走っていった。
「いいかい?この機会は一度しかないんだよーー!!」
にとりが走りながら言った。
僕はただ立ち止まっていた。
あの少女を見たとき・・・あの少女と話したとき・・・あの少女と手をつないだ時・・・
あの胸の高鳴り・・ドキドキする・・
そう・・少年は妖怪に恋をしていたのだった・・・
~村で~
「河童が出たぞーーーーーーーーーーー!!!!!!」
村の若者が叫ぶ。
「なんだとぉぉ!!!?まさか神聖な祭りの邪魔をしにきたな!」
「弓矢を用意しろ!!今日こそ退治してやる!」
「おぉぉぉぉ!!!!!」
村の人達は村の外へ走っていく。
勿論、門は開けっ放しだった・・
今だ!
少年は茂みから飛び出して村の中へ走った。
村の中にはにとりが言った通り誰もいなかった。
そして少年の家へ近づく・・
扉を開ける・・・
「四助!!!!」
「に・・兄ちゃん!!!」
「ああ・・ごめんな・・四助!・・」
「う、うん・・良いんだよ・・」
ガラッ・・・
「さて・・事情を話してもらおうかの?」
村長さんがいた。
「ふ~む・・・成程・・」
「・・・・」
「兄ちゃん・・・」
「それで・・村から出た後は河童といっしょにいたと・・」
「は・・・はい・・」
「・・・・・・分かった!何とかその誤解を解いてみようかの。」
「ほ、本当ですか!?」
「じゃがしかし・・時間が少々いるな。それまでどうするかじゃのぉ・・・」
「そ、それなら・・!僕は町へ行こうと思います。」
「悪くは無いんじゃが・・のぉ・・生活はどうするのじゃ?」
「それなら・・これが!」
と言って取り出したのは多額のお金だった。
「これは・・・?!」
「あの河童の少女・・いや・・にとりから貰ったんです。生活費に使え。と」
「・・・・分かった!暫くすれば町の商人が来る。そやつとは仲が良いのでな。後ろに乗せていってもらえ。」
「は、はい!ありがとうございます!」
そして・・・
「あれま?誰もいないですね・・」
商人が言う。
「皆河童を追いかけてるようじゃな・・」
村長が言う。
「その顔は何かまた企んでますね・・村長。」
「ほっほ・・流石じゃな。」
「それで・・?」
「えぇ。それなら構いませんよ。」
「そうか!お主にはよく世話になるのぉ・・」
「いえいえ・・それでは!」
こうして二人は町へ向かった・・・
~湖にて~
「はぁ・・はぁ・・はぁ・・ここまで来ればもう来ないな・・」
湖に飛び込むにとり・・
「蟹味噌でも食べるかねぇ・・・」
「そういえば・・二助は無事にうまくいったかねぇ・・」
「心配だなぁ・・・・・」
「今日も何をしようかなぁ・・・?」
誰も彼女の問いに答えはしない・・・
ピチャン・・・
湖に一滴の涙が落ちる。
それは波紋となって広がっていく・・
「あれれ・・?おかしいなぁ・・?私、何で泣いてるんだろ?・・」
「人間と妖怪が一緒に暮らせる訳なんてないのに・・・恋をする事なんてないのに・・おかしいなぁ・・?」
「妖怪なんだよ・・?私は・・・二助は人間なんだ・・」
「そうだよ・・おかしい・・そんな訳・・無いのに・・でも・・」
この気持は?胸に突き刺さるこの気持は?何なの?
妖怪は少年に恋をしてしまった・・・
それからというものの・・
二助にとっては残酷な事が起こった・・・
村長が病死したのだった・・・あの事を伝える事も無く・・
そして・・・何より・・・・悲しいのが・・・
四助も病死してしまったのだった・・・
町で小さな小屋を買ってそこで住み始めて1ヶ月程の出来事だった・・
この地域一帯で飢饉が発生していて、元々病弱な体の四助はすぐに病気にかかってしまった。
村でも死亡者は半数を超えたらしい。
「・・・・・・」
二助は手作りの棺桶を作り、その中に弟を入れた。
そして石と石を叩きつけ火を起こす。
そしてその火を松明につけて・・・そして棺桶につける・・
ゴォォォ・・・
火は棺桶を一瞬で飲み込んだ。
「・・・・ごめんな・・ごめんな・・四助!・・」
二助は泣きながら謝った・・
それからというものの二助は魂が抜けた様に町中を彷徨っていた。
ある時は裏路地に迷い込みにとりから貰ったお金の半分以上を取られてボコボコにされた。
ある時は食べる物が尽きて牛小屋から草を奪って食べていた。
そして何よりも・・二助とにとりが別れてから3年も経っていた。
二助は会いに行こうとするがそんな力も無かった。
にとりは会いに行きたいが自分は妖怪だ・・
二人の思いは断ち切られたのであった・・・
それからまた何年も経った・・ある日。
「表を上げい。」
「ははぁ!・・」
「そちは何と申すか?」
「ははぁ!丹の二助と申します!」
「お主。その武術はいかで?」
「ははぁ!独自で鍛えたものです!」
「真か?!」
「はは!」
二助は城内の殿の前にいた。
続く。
「起きた?」
にとりの声がする。
「う、、うん・・・」
「どうやら弟さんに会えるのが早まったみたいだね。来て。」
というと少年の腕を掴み、湖から出て、すこし歩き木の茂みから村を見た。
「祭りじゃー!!」
「ワッセ!ヨッセ!」
そう・・この日は村の祭りの日だった・・
「いい?村で祭りがある時は皆、村の中の村長さんの家の周りに集まるの。そこで、
私は村の裏側に回って村人達の様子を見てくるわ。恐らく高確率で私はばれるけど、そこで二助の出番よ。
恐らく村の人達は河童が祭りの邪魔をしに来たと思って怒り狂って私を追いかけてくる。
そこで二助。なんとか弟さんを連れ出してきなさい。」
「で、でも・・にとりは?・・」
「前にも大丈夫って言ったわ。山まで、この湖まで追いかけてはこないからね。」
「そして・・・ありがとうね・・二助・・」
「え?・・」
「人間とこんなに話せてうれしかったよ。」
「に、にとり?」
「ほら、これを持っていって。」
と言ってにとりは少年に布袋を渡した。
中にはなんと物凄い額のお金が入っていた。
「こ、こんなの貰えないよ・・・僕には・・・」
「弟さんを連れ出した後の生活はどうするの?・・」
「うっ・・・・」
「二助が言ってた、ここからずっと行った所の町でこのお金があれば十分な生活はできるわ。」
「でも・・にとりは・・・」
「私はずっとここで暮らすの。心配ないよ。また何かあったら会いに来てくれればそれでうれしいよ。」
「でも・・・・!」
「?・・」
少年がにとりを見つめる。
「で、でも!!僕は・・・にとりの・・事」
にとりが少年の口を手で素早く塞ぐ。
「駄目だよ・・・二助はまだまだ子供だ・・大人になれば好きな人もたくさんできるだろう・・
それに私は妖怪なんだ。二助が思ってるよりも恐ろしい奴らさ。でもね二助のその気持だけはありがたく貰っておくよ。」
「・・・・・」
「ほら!始めるよ。」
そういうと、にとりは走っていった。
「いいかい?この機会は一度しかないんだよーー!!」
にとりが走りながら言った。
僕はただ立ち止まっていた。
あの少女を見たとき・・・あの少女と話したとき・・・あの少女と手をつないだ時・・・
あの胸の高鳴り・・ドキドキする・・
そう・・少年は妖怪に恋をしていたのだった・・・
~村で~
「河童が出たぞーーーーーーーーーーー!!!!!!」
村の若者が叫ぶ。
「なんだとぉぉ!!!?まさか神聖な祭りの邪魔をしにきたな!」
「弓矢を用意しろ!!今日こそ退治してやる!」
「おぉぉぉぉ!!!!!」
村の人達は村の外へ走っていく。
勿論、門は開けっ放しだった・・
今だ!
少年は茂みから飛び出して村の中へ走った。
村の中にはにとりが言った通り誰もいなかった。
そして少年の家へ近づく・・
扉を開ける・・・
「四助!!!!」
「に・・兄ちゃん!!!」
「ああ・・ごめんな・・四助!・・」
「う、うん・・良いんだよ・・」
ガラッ・・・
「さて・・事情を話してもらおうかの?」
村長さんがいた。
「ふ~む・・・成程・・」
「・・・・」
「兄ちゃん・・・」
「それで・・村から出た後は河童といっしょにいたと・・」
「は・・・はい・・」
「・・・・・・分かった!何とかその誤解を解いてみようかの。」
「ほ、本当ですか!?」
「じゃがしかし・・時間が少々いるな。それまでどうするかじゃのぉ・・・」
「そ、それなら・・!僕は町へ行こうと思います。」
「悪くは無いんじゃが・・のぉ・・生活はどうするのじゃ?」
「それなら・・これが!」
と言って取り出したのは多額のお金だった。
「これは・・・?!」
「あの河童の少女・・いや・・にとりから貰ったんです。生活費に使え。と」
「・・・・分かった!暫くすれば町の商人が来る。そやつとは仲が良いのでな。後ろに乗せていってもらえ。」
「は、はい!ありがとうございます!」
そして・・・
「あれま?誰もいないですね・・」
商人が言う。
「皆河童を追いかけてるようじゃな・・」
村長が言う。
「その顔は何かまた企んでますね・・村長。」
「ほっほ・・流石じゃな。」
「それで・・?」
「えぇ。それなら構いませんよ。」
「そうか!お主にはよく世話になるのぉ・・」
「いえいえ・・それでは!」
こうして二人は町へ向かった・・・
~湖にて~
「はぁ・・はぁ・・はぁ・・ここまで来ればもう来ないな・・」
湖に飛び込むにとり・・
「蟹味噌でも食べるかねぇ・・・」
「そういえば・・二助は無事にうまくいったかねぇ・・」
「心配だなぁ・・・・・」
「今日も何をしようかなぁ・・・?」
誰も彼女の問いに答えはしない・・・
ピチャン・・・
湖に一滴の涙が落ちる。
それは波紋となって広がっていく・・
「あれれ・・?おかしいなぁ・・?私、何で泣いてるんだろ?・・」
「人間と妖怪が一緒に暮らせる訳なんてないのに・・・恋をする事なんてないのに・・おかしいなぁ・・?」
「妖怪なんだよ・・?私は・・・二助は人間なんだ・・」
「そうだよ・・おかしい・・そんな訳・・無いのに・・でも・・」
この気持は?胸に突き刺さるこの気持は?何なの?
妖怪は少年に恋をしてしまった・・・
それからというものの・・
二助にとっては残酷な事が起こった・・・
村長が病死したのだった・・・あの事を伝える事も無く・・
そして・・・何より・・・・悲しいのが・・・
四助も病死してしまったのだった・・・
町で小さな小屋を買ってそこで住み始めて1ヶ月程の出来事だった・・
この地域一帯で飢饉が発生していて、元々病弱な体の四助はすぐに病気にかかってしまった。
村でも死亡者は半数を超えたらしい。
「・・・・・・」
二助は手作りの棺桶を作り、その中に弟を入れた。
そして石と石を叩きつけ火を起こす。
そしてその火を松明につけて・・・そして棺桶につける・・
ゴォォォ・・・
火は棺桶を一瞬で飲み込んだ。
「・・・・ごめんな・・ごめんな・・四助!・・」
二助は泣きながら謝った・・
それからというものの二助は魂が抜けた様に町中を彷徨っていた。
ある時は裏路地に迷い込みにとりから貰ったお金の半分以上を取られてボコボコにされた。
ある時は食べる物が尽きて牛小屋から草を奪って食べていた。
そして何よりも・・二助とにとりが別れてから3年も経っていた。
二助は会いに行こうとするがそんな力も無かった。
にとりは会いに行きたいが自分は妖怪だ・・
二人の思いは断ち切られたのであった・・・
それからまた何年も経った・・ある日。
「表を上げい。」
「ははぁ!・・」
「そちは何と申すか?」
「ははぁ!丹の二助と申します!」
「お主。その武術はいかで?」
「ははぁ!独自で鍛えたものです!」
「真か?!」
「はは!」
二助は城内の殿の前にいた。
続く。
次で最後みたいですね。楽しみです。