少年を襲った恐怖・・
そして再びの目の前の恐怖。
こんな森の中の湖に少女が一人でいるなんて・・ありえない・・早く逃げなきゃ・・
しかし走ってまだ水も飲んでなく、飯も食べてない少年は走れる訳がなかった。
しかし少年は這いつくばって何とかここから逃げようとする。
「いやだ・・いやだ・・」
ズル・・ズル・・
「どうして逃げるの?・・・」
少女が泣きそうな声で言う。
その言葉で少年は這うのを止めた。
そして恐る恐る少女のいる後ろを振り向く・・
「え?・・」 少年は驚く・・
その少女は泣いていた・・こちらを向いて泣いていた・・
あんなに悲しそうな顔は少年は見たことがなかった・・
少年は自分が悪いことをしてしまったのだと理解した・・
それから暫くの沈黙が続いた・・・
辺りはすっかり暗くなっている・・
そして・・少年は何を言えばいいか迷っていた・・でも一言小さな声でこう言った
「ご、ごめんなさい。」
それと同時に夜は明けた。
~村の少年の家にて~
「いいかの?お前の兄は河童の仲間だったんじゃ・・」
「兄ちゃんが・・・そんな・・ゲホ、ゴホ・・」
村長が少年の弟に残念そうな顔で話しかける。
「わしも信じられんわい・・じゃがな、皆が言うには 村でもかなり温厚な性格のあやつが棍棒を持って暴れたと 言っておる」
「ゲホ、ゲホ、ゲホ・・きっと何か・・理由が有る筈です・・兄ちゃんは怒ってもそんな事はしないのに・・・」
「じゃろうな・・・そこであやつに事情を聞こうと思うのだがな・・・どうやら村人の一人が見たらしいのだが・・」
「いったい・・どうしたんですか?・・」
「何でも あの森の 中に走って行ったらしい・・・んじゃ・・」
「そ、そんな・・・」
「捜索をすると言っても、わしら二人ではどうにもならん・・これを口外すればわしらも村から追い出されるだろう・・」
弟が今にも泣きそうになる。
「じゃがな、わしは思う。あやつがお前を置いてどこかへ行く奴では無いとな。」
「だから必ずきっと帰ってくるだろう・・・」
「で、でも・・村人達は兄ちゃんを・・・」
「安心せい・・時が来れば説明しようぞ。」
「はい・・・」
~湖にて~
「・・・・・・・・」
「・・・・・・・」
二人は間を置き終始無言だった・・・
それもその筈。
少年からしてみれば こんな場所に一人でいるなんておかしい
少女からしてみれば こんな場所に一人でくるなんておかしい
もっとも・・・
少年はこの少女が河童という事に気づいていなかった。
「ねぇ・・・君?なんでこんな所へ来たの?・・」
少女が口を開いた。
「え?・・・・・・・う、うん・・ちょっとね・・」
そして少女は彼が私に石をぶつけた少年だと分かっていた。
「そういえば君、たしかこの前河童に石ぶつけたよね。私見てたんだ。命中したよね。」
「・・・・・・わざとじゃなかったんだ・・・」
「え?」
「当たるなんて思わなかった・・・ただ早く逃げてほしかったんだ・・」
「どうして?」
「村の皆はおかしいんだ・・・自分達よりも姿が違って、異質というだけで迫害する・・」
「・・・・」
「仲良くすればいいのに・・でも・・・・そんな事で片付けれる訳が無いよね・・・」
「じゃあ・・・」
「君は誰とでも、ううん、妖怪でも仲良くできるの?君らを襲うんだよ?」
「僕は・・・・・・できるよ・・・・・」
「本当に?」
「うん。」
「じゃあ・・・私が・・河童って言っても驚かない?・・逃げない?・・」
「き・・君・・河童な、なの?・・」
「・・・そうだよ・・・」
少年は震えていた。なぜなら・・河童で頬に傷がある・・・そう自分が投げた石が当たったあの河童だったからだ・・
あの時は暗くてあまり姿が見えなかったのだが・・・
「ごめんなさい!ごめんなさい!ごめんなさい!」
「ちょ・・何謝ってるの?!」
「そ、その頬の傷・・・」
「うん・・君が投げた石が当たった傷だね。」
「ひぃ・・・・・ごめ・」
「だ~か~ら・・謝らなくてもいいよ。」
「で、でも・・」
「本当にいいの・・もう慣れてるから・・・」
悲しい声で言う。
「そういえば、君、あの村に帰らなくていいの?」
「・・・・・・・・」
「?」
「無理だよ・・・もう帰れない・・・」
「え?・・」
それから少年は今までの事をすべて話した。。
「成程ね・・・・」
「どうすれば・・・」
「・・・・多少手荒だけど、あるよ。弟さんを連れ出す方法が。」
「私が村人達の気を引いてる間に君が弟さんの所へ行く・・」
「でも!それじゃ・・君が・・」
「いいの、いいの、人間とこんだけ話せただけうれしいからその恩返しとでも思ってくれよ。」
「う、うん・・・」
「でもこれはおそらく暫く後にならないと出来ないね。」
グルグルギュ~~
「あっ・・・」
少年の腹が鳴る。
そういえば昨日からずっと何も食べていなかったのだった。
「これ・・食べる?」
少女が渡してくれたのは少年が見たこともなかった物だった。
「それ・・何なの?」
「え?・・蟹味噌だけど?」
「蟹?・・」
そう少年が住んでいた村は山で囲まれていたために魚介類というものを見たことが無かった。
「ほら、結構おいしいよ?」
「う、うん・・」
蟹味噌を少女もとい河童の少女から分けてもらう少年、そして口の中に恐る恐る入れる・・
「お・・・・おいしい!!!!」
「そ、そんなに?!」
「うん!こんなおいしいの食べた事が無い!」
「そ、そう。よかった。」
「ところで・・君、名前なんていうの?」
河童の少女が尋ねる。
「丹の二助っていうんだ。君は?」
「う~ん・・私は河童だからな~・・名前か~・・」
「じゃあ・・僕の名前から”に”を取って・・にとり!・・なんかどう?」
「に・・にとり?」
「こういう名前の付け方って僕の村じゃ習慣になってるんだ。」
「にとり・・ふふ・・・二助って結構温厚な割におもしろいね!」
「そ、そうかな?僕なりに考えたんだけど・・」
「うん!ありがとうね。大事に使わせてもらうよ。」
それからというものの人間の少年と河童の少女の話は夜になるまで続いた。
「へぇ~・・・人間って寝床とかあるんだ・・」
「にとりはいつもどこで寝てるの?」
「私は水の上だね。着てよ。」
というとにとりは湖に飛び込んだ。
「ほら、着いてきて!」
「うん!」
少年はゆっくりと水の中に入る。するとどうだろうか・・?水がすこし温かいではないか・・
「こっちはもっと温かいよ!」
にとりが手招きをする方向へ少年もゆっくり泳ぐ。
泳いでいる途中少年はある事に気づいた。
「綺麗だ・・」
そう水は青く透き通っていた。そしてそれほど深くは無かった。
そして何よりこの湖は川と繋がっていることも分かった。
「ほら、仰向けになってご覧。」
にとりが言うままに少年は仰向けになる。
「あ・・・」
少年が目にしたのは・・・・綺麗なお月様だった・・・
水面を月の光が照らしていたのだった。
しかし・・
いつの間にか少年は溺れそうになっていた・・
それもその筈。人間と河童の体の構造は違って水に長く浮く事など無理だからだ。
「ほーら・・こうすれば大丈夫。」
にとりはそう言うと少年の右手をぎゅっと握った。
すると少年の体は軽くなった。
「綺麗な月だねぇ・・・」
「うん・・・」
「腕疲れない?・・」
「大丈夫。」
「にとりって・・ずっとここにいたの?」
「二助が生まれる前からだろうね・・・」
「寂しくなかった?・・」
「そりゃ寂しかったよ・・私はただ人間と仲良くなりたかっただけなんだけどねぇ・・随分嫌われちゃってね・・」
「まぁ・・・でも今はこうやって人間と身近で仲良く話せてるんだ・・寂しくはないね・・」
「眠たくなっちゃった・・・」
「私も・・・」
「おやすみ・・・・」
「うん。おやすみ。」
水に浮いて寝ている少年と河童の少女・・・
月の光が水面を彼らを照らしていた。
続く。
そして再びの目の前の恐怖。
こんな森の中の湖に少女が一人でいるなんて・・ありえない・・早く逃げなきゃ・・
しかし走ってまだ水も飲んでなく、飯も食べてない少年は走れる訳がなかった。
しかし少年は這いつくばって何とかここから逃げようとする。
「いやだ・・いやだ・・」
ズル・・ズル・・
「どうして逃げるの?・・・」
少女が泣きそうな声で言う。
その言葉で少年は這うのを止めた。
そして恐る恐る少女のいる後ろを振り向く・・
「え?・・」 少年は驚く・・
その少女は泣いていた・・こちらを向いて泣いていた・・
あんなに悲しそうな顔は少年は見たことがなかった・・
少年は自分が悪いことをしてしまったのだと理解した・・
それから暫くの沈黙が続いた・・・
辺りはすっかり暗くなっている・・
そして・・少年は何を言えばいいか迷っていた・・でも一言小さな声でこう言った
「ご、ごめんなさい。」
それと同時に夜は明けた。
~村の少年の家にて~
「いいかの?お前の兄は河童の仲間だったんじゃ・・」
「兄ちゃんが・・・そんな・・ゲホ、ゴホ・・」
村長が少年の弟に残念そうな顔で話しかける。
「わしも信じられんわい・・じゃがな、皆が言うには 村でもかなり温厚な性格のあやつが棍棒を持って暴れたと 言っておる」
「ゲホ、ゲホ、ゲホ・・きっと何か・・理由が有る筈です・・兄ちゃんは怒ってもそんな事はしないのに・・・」
「じゃろうな・・・そこであやつに事情を聞こうと思うのだがな・・・どうやら村人の一人が見たらしいのだが・・」
「いったい・・どうしたんですか?・・」
「何でも あの森の 中に走って行ったらしい・・・んじゃ・・」
「そ、そんな・・・」
「捜索をすると言っても、わしら二人ではどうにもならん・・これを口外すればわしらも村から追い出されるだろう・・」
弟が今にも泣きそうになる。
「じゃがな、わしは思う。あやつがお前を置いてどこかへ行く奴では無いとな。」
「だから必ずきっと帰ってくるだろう・・・」
「で、でも・・村人達は兄ちゃんを・・・」
「安心せい・・時が来れば説明しようぞ。」
「はい・・・」
~湖にて~
「・・・・・・・・」
「・・・・・・・」
二人は間を置き終始無言だった・・・
それもその筈。
少年からしてみれば こんな場所に一人でいるなんておかしい
少女からしてみれば こんな場所に一人でくるなんておかしい
もっとも・・・
少年はこの少女が河童という事に気づいていなかった。
「ねぇ・・・君?なんでこんな所へ来たの?・・」
少女が口を開いた。
「え?・・・・・・・う、うん・・ちょっとね・・」
そして少女は彼が私に石をぶつけた少年だと分かっていた。
「そういえば君、たしかこの前河童に石ぶつけたよね。私見てたんだ。命中したよね。」
「・・・・・・わざとじゃなかったんだ・・・」
「え?」
「当たるなんて思わなかった・・・ただ早く逃げてほしかったんだ・・」
「どうして?」
「村の皆はおかしいんだ・・・自分達よりも姿が違って、異質というだけで迫害する・・」
「・・・・」
「仲良くすればいいのに・・でも・・・・そんな事で片付けれる訳が無いよね・・・」
「じゃあ・・・」
「君は誰とでも、ううん、妖怪でも仲良くできるの?君らを襲うんだよ?」
「僕は・・・・・・できるよ・・・・・」
「本当に?」
「うん。」
「じゃあ・・・私が・・河童って言っても驚かない?・・逃げない?・・」
「き・・君・・河童な、なの?・・」
「・・・そうだよ・・・」
少年は震えていた。なぜなら・・河童で頬に傷がある・・・そう自分が投げた石が当たったあの河童だったからだ・・
あの時は暗くてあまり姿が見えなかったのだが・・・
「ごめんなさい!ごめんなさい!ごめんなさい!」
「ちょ・・何謝ってるの?!」
「そ、その頬の傷・・・」
「うん・・君が投げた石が当たった傷だね。」
「ひぃ・・・・・ごめ・」
「だ~か~ら・・謝らなくてもいいよ。」
「で、でも・・」
「本当にいいの・・もう慣れてるから・・・」
悲しい声で言う。
「そういえば、君、あの村に帰らなくていいの?」
「・・・・・・・・」
「?」
「無理だよ・・・もう帰れない・・・」
「え?・・」
それから少年は今までの事をすべて話した。。
「成程ね・・・・」
「どうすれば・・・」
「・・・・多少手荒だけど、あるよ。弟さんを連れ出す方法が。」
「私が村人達の気を引いてる間に君が弟さんの所へ行く・・」
「でも!それじゃ・・君が・・」
「いいの、いいの、人間とこんだけ話せただけうれしいからその恩返しとでも思ってくれよ。」
「う、うん・・・」
「でもこれはおそらく暫く後にならないと出来ないね。」
グルグルギュ~~
「あっ・・・」
少年の腹が鳴る。
そういえば昨日からずっと何も食べていなかったのだった。
「これ・・食べる?」
少女が渡してくれたのは少年が見たこともなかった物だった。
「それ・・何なの?」
「え?・・蟹味噌だけど?」
「蟹?・・」
そう少年が住んでいた村は山で囲まれていたために魚介類というものを見たことが無かった。
「ほら、結構おいしいよ?」
「う、うん・・」
蟹味噌を少女もとい河童の少女から分けてもらう少年、そして口の中に恐る恐る入れる・・
「お・・・・おいしい!!!!」
「そ、そんなに?!」
「うん!こんなおいしいの食べた事が無い!」
「そ、そう。よかった。」
「ところで・・君、名前なんていうの?」
河童の少女が尋ねる。
「丹の二助っていうんだ。君は?」
「う~ん・・私は河童だからな~・・名前か~・・」
「じゃあ・・僕の名前から”に”を取って・・にとり!・・なんかどう?」
「に・・にとり?」
「こういう名前の付け方って僕の村じゃ習慣になってるんだ。」
「にとり・・ふふ・・・二助って結構温厚な割におもしろいね!」
「そ、そうかな?僕なりに考えたんだけど・・」
「うん!ありがとうね。大事に使わせてもらうよ。」
それからというものの人間の少年と河童の少女の話は夜になるまで続いた。
「へぇ~・・・人間って寝床とかあるんだ・・」
「にとりはいつもどこで寝てるの?」
「私は水の上だね。着てよ。」
というとにとりは湖に飛び込んだ。
「ほら、着いてきて!」
「うん!」
少年はゆっくりと水の中に入る。するとどうだろうか・・?水がすこし温かいではないか・・
「こっちはもっと温かいよ!」
にとりが手招きをする方向へ少年もゆっくり泳ぐ。
泳いでいる途中少年はある事に気づいた。
「綺麗だ・・」
そう水は青く透き通っていた。そしてそれほど深くは無かった。
そして何よりこの湖は川と繋がっていることも分かった。
「ほら、仰向けになってご覧。」
にとりが言うままに少年は仰向けになる。
「あ・・・」
少年が目にしたのは・・・・綺麗なお月様だった・・・
水面を月の光が照らしていたのだった。
しかし・・
いつの間にか少年は溺れそうになっていた・・
それもその筈。人間と河童の体の構造は違って水に長く浮く事など無理だからだ。
「ほーら・・こうすれば大丈夫。」
にとりはそう言うと少年の右手をぎゅっと握った。
すると少年の体は軽くなった。
「綺麗な月だねぇ・・・」
「うん・・・」
「腕疲れない?・・」
「大丈夫。」
「にとりって・・ずっとここにいたの?」
「二助が生まれる前からだろうね・・・」
「寂しくなかった?・・」
「そりゃ寂しかったよ・・私はただ人間と仲良くなりたかっただけなんだけどねぇ・・随分嫌われちゃってね・・」
「まぁ・・・でも今はこうやって人間と身近で仲良く話せてるんだ・・寂しくはないね・・」
「眠たくなっちゃった・・・」
「私も・・・」
「おやすみ・・・・」
「うん。おやすみ。」
水に浮いて寝ている少年と河童の少女・・・
月の光が水面を彼らを照らしていた。
続く。
それってもしかして、ずわいがn
どうなるか楽しみです!