Coolier - 新生・東方創想話ジェネリック

はじめて

2010/05/14 00:07:51
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 無意識の世界からうっすらと意識が戻ってくる――



 すぐ目の前には頬を紅く染め、ポカンとした表情で私を見つめるお姉ちゃんの姿。
 いったいどうしたのかな?

「………だったのに」
「え?」
「初めてだったのに!」

 そう言い残して、パタパタと駆け出していっちゃった。
 独り残された私は、とりあえず状況を整理してみる。

 紅潮したお姉ちゃん。
 初めて。
 そして、唇に僅かに残る甘い感触。

 もしかして、無意識にお姉ちゃんのファーストキスを奪っちゃったとか?
 なるほど、それなら怒って飛び出していってしまうのも無理はない。
 ということは、お姉ちゃんのファーストキス、私が貰っちゃったんだ。
 なんだか嬉しいな。お姉ちゃんの初めての人になれて。
 でも、無意識だったせいで全然覚えてないのが少し残念だな。ううん、かなり残念。
 だって、私も初めてで、お姉ちゃんが初めての人だから。

 って、呑気に考え込んでいる場合じゃない。
 無意識にとはいえ突然キスしちゃうのは流石にまずい。
 とにかくお姉ちゃんに謝りに行かなくちゃ。
 お姉ちゃんが好きすぎて、ついやっちゃいました。って言えば許してくれるかな?





――――――――――――――――――




コンコン




 ノックしてみるけどお姉ちゃんの返事はない。

「お姉ちゃん?」

 部屋に鍵は掛かってないみたいだから、そっと中を覗いてみると、お姉ちゃんはベッドの上で膝を抱えて俯いていた。

「入るね」

 そっと近付いても、俯いたままで目を合せてくれない。やっぱり怒ってるよね。

「お姉ちゃん、ごめんね…」
「………」

 謝ってもお姉ちゃんは拗ねたみたいに口を閉ざしたまま。
 さて、どうしたものか。

「ごめんってば、お姉ちゃん…」
「………」

 やっぱり返事はない。
 そんなに私に初めてを奪われたのが嫌だったのかな。
 流石にそこまで機嫌悪くされると、私もショックだよ…。

「無意識だったからしょうがないよ……。お願い、そんなに怒らないで」
「……こいしは何もわかってない」
「え?」
「無意識だったから怒ってるの!ファーストキスというのはもっとこう……、雰囲気が大切っていうか、ムードが大切っていうか………。とにかく!お互いの気持ちをしっかり確認してからするのに意味があるの!私はまだ、こいしの本当の気持ちだって知らないのに………」

 ……うん?
 どういうこと?
 キスしたことを怒ってるんじゃないの?
 というか、雰囲気が大切って。お姉ちゃん、意外と乙女だったんだ。
 なんだかとっても可愛らしい。

「どうしたら、許してくれるの?」


 お姉ちゃんがすっと立ち上がり、伸ばした両手が私の頬に触れる。
 漸く目と目が合い、優しい眼差しはまるで全てを見透かしているよう。

 熱く紅潮する頬も。
 早まる鼓動も。
 私の、想いさえも。

「こいしの気持ちを教えて…」

 本当はもう全部知ってるくせに。

「私は、お姉ちゃんのこと……」

 でも言葉にするのはやっぱり恥ずかしい。
 だけどしっかり伝えないと。
 またお姉ちゃん怒っちゃうから。

「大好き、だよ」
「ありがとう、こいし。私もあなたのことが大好きよ」

 あぁ。今なら、お姉ちゃんの乙女心がわかる気がする。
 だって、凄く嬉しいんだもん。
 お姉ちゃんに好きって言ってもらえて。
 お姉ちゃんの気持ち、私にもちゃんと伝わったよ。
 だから……。

「お姉ちゃん」

 お姉ちゃんの身体に腕を回し、そっと目を閉じる。

「こいし」



 そして―――――



 柔らかくて、暖かくて、優しくて、甘い感触に包まれる。
 心も、身体も、幸せで満たされていくのがわかる。
 こんな気持ちは初めて。
 だからきっと、これが本当の初めて。




 どれくらいの時間が経ったのかな。
 名残惜しいけど、そっと唇を離す。
 凄く長いように感じたけど本当は一瞬だったのかもしれない。
 お姉ちゃんはうっとりとして紅くなってるから、私もきっと同じだと思う。

「許してくれた?」
「そうね、どうしようかしら」

 お姉ちゃんは意地悪だ。

「許してくれるまで、何度でもしちゃうから」
「なら、絶対に許してあげないわ」

 ほらね。
 だけど、私だって本当は許してもらおうなんて思ってないよ。
 私も意地悪だから、たくさん甘えて困らせちゃおう。
 お姉ちゃんなら、どんな我儘を言っても全部受け入れてくれるから。
 だからお願い。


「意地悪……」


 もう一度―――――


 瞳は閉じているというのに、そこに広がるのは暗闇ではない。
 眩しい光と暖かい温もりだけが、私達の世界を満たしていた。




 おわり
 最後までお読み頂きありがとうございました。
 こめいじちゅっちゅが好きすぎて脳内を文章化してしまいました。
 後悔も反省もしていますが、そもそもこういったものを書くこと自体が初めてなので表現力が乏しかったり、文章が不自然だったり、キャラ崩壊してたり、思い付きだからベタベタだったり、突っ込み所が多かったりするのは寛容な心でお許し下さい。
 それでも、

『古明地姉妹が幸せなら皆幸せ』

 少しでも幸せを共感して頂けたなら幸いです。
trokky
コメント



1.名前が無い程度の能力削除
砂糖なしのブラックコーヒーが甘く感じましたw
こめいじちゅっちゅを普及して、皆幸せにすることが貴方の善行です!!
2.奇声を発する程度の能力 in 携帯削除
激甘でした!
幸せだぁ…
3.名前が無い程度の能力削除
こめいじちゅっちゅはよいものです
古明地姉妹が幸せだと自分も幸せになれる
4.ぺ・四潤削除
古明地姉妹が幸せだとみんな幸せ→作者が幸せになってもっと書く→俺達もっと幸せ→世界平和
ということで古明地幸せは世界を救う。いいぞもっとやれ。