暗い暗い水の中・・
聞こえるのは水が流れる音のみ・・
光が水を照らしている・・
でも奥深くまでは微かな光しか届かない
それでも彼女はなお泳ぎ続ける。
水の奥深くで・・・
「河童が出よったぞーーー!!」
「弓を用意せい!我が射てみよう。」
いつもこれだ・・・人間は・・
「河童?あれには近づくな!」
「今度この村にも河童退治のお方を雇おうかねぇ・・」
なんでそんな事言うの?・・・・私はただ・・
「あれ河童じゃないかな?」
「うわ!!本当だべ!」
「村に近づくなーーー!!」
「おい!ほらお前も投げろ!」
「えっ・・う、うん・・」
「えい!」
ゴスンッ!
村の少年達の内の一人がなげた石が顔に命中した。
「痛・・・・・」
「うお!命中したぜ!やるな!お前!」
「う、うん・・・」
「俺らも!当てるぜ~!」
石がたくさん飛んでくる・・
こうなるともう逃げるしかない・・
「あっ!逃げたぞ!」
「追いかけようぜ!」
「いや、もう暗いよ・・あっ・・・そうだった・・w僕は帰るね。弟の世話をしなくちゃ・・」
一人の少年がスタスタと帰っていく。
「ちぇ・・なんだいあいつ・・」
「河童に石を命中させたのもあいつなのになんで楽しめないんだ?」
「今度からあいつ遊びに入れないようにしよーぜ。」
「いいねぇ!」
村の近くの森・・
なんでなんだろう・・?私はただ人間と仲良くしたいだけなのに・・
私が河童だから?私が妖怪だから・・?
「痛・・あっ、そうだった・・石が当たったんだった・・」
彼女の頬から血が出ている・・
彼女は石を当てられた事は何回もあった・・
時には矢、時には泥の塊、時には・・
やめておこう・・・悲しくなるだけだ・・・
でも彼女は物をぶつけられる事には怒っていない・・
怒ってしまったらそれこそ大変な事になってしまうと自分が一番良く知っているからだ・・
そう思いつつ彼女は村の近くの森の中をしばらく歩き、湖に飛び込んだ。
ここは誰にも知られていない、所謂名も無い湖だった・・・
彼女はここに住んでいる。友達も家族もいない・・
動物すら私を嫌ってここには近づかない。誰も近づかない。そう誰も・・
~翌日・・村にて~
「おい!お前なんで昨日一人で帰ったんだよ?」
「弟が病弱でご飯をつく・・」
「嘘だな!お前河童の仲間なんだろ?!え?違うか!」
「え?なんで・・・?」
「じゃあなんで昨日お前が河童に石をぶつけたのに喜ばなかったんだ?命中したんだぞ?!」
「そ、それは・・・」
「言えないのか!」
「だって・・・それは・・」
「それは?!・・何だよ?!」
「・・・・・そ、それは・・かわいそ・・」
「・・・・・・」
「何とか言え!」「そうだ!そうだ!」
「・・・・・」
「おーし!黙るならお前は今日から河童の盟友だなw!」
「皆さーん!ここにー!河童の仲間がー!います・・」
バキッ!
気がつけば少年は落ちていた棍棒で叩きつけてしまった。
少年は村でもかなりの温厚な性格だった・・
「い・・痛い・・・痛いよーーーー!!!」
「あっ!違うんだ!わざとじゃない!みんなが・・・」
誰かが走ってくる音・・
次の瞬間。
バキッ!突如顔にくる強烈な痛み。
「家の子になにをした!!?」
どうやら顔を蹴飛ばされたみたいだ・・・
そして・・
気がつけば少年の周りには村の人だらけ・・
「こいつ・・河童の仲間なんだ!」棍棒で殴られた少年が大声で言う。
「なにぃぃ?!」
「おい・・本当かよ・・・」「あの子・・確か両親いなくて・・弟がいたわよね・・」
「は、話を聞いてください!ぼ、僕は!」
「うるせぇ!!村に近づくな!!この河童が!!」
そういうと僕は服を掴まれて村の門の外へ弾き飛ばされた。
「うげぇ!!!」
衝撃で頭を強く打つ。
「いいか?!今回は命は助けてやる!もう二度とくるなよ!けっ!」
「そ・・・そんな・・僕は河童なんかじゃない・・・」
そんな思いとは裏腹に門は閉ざされる・・・
村の外は朝は別に大した事はないのだが夜になると格段と恐ろしくなるのだ。
さらに村は四方八方を山で囲まれていて、別の村などに行く時は山を通らなければいけない。
その山は武芸の達人でも恐れる程で夜にその森に入るなど自殺行為なのだった・・・
でも生きる為にはこの森を超えなければいけない・・
この森を越えたずっとずっと先に大きな大きな町があって、そこまで辿り着けば・・何とか・・
「でも・・・弟が・・!!」
そう彼の弟は元々病弱な体だった・・・
弟がいるのは村の中、でも門があって通れない・・・
まだ弟に夕食を作ってない・・勿論僕も食べてない・・
寒い・・ここらでは夜は冷え込む・・
ここで待っていても誰も助けてくれない・・・
少年の脳裏をよぎる言葉・・「死」・・
「嫌だ・・嫌だ・・死にたくない・・・・・うわぁぁぁ!!!!」
遂に少年は何所かへと走り出した。
闇雲に・・とにかく死にたくないために・・・
後ろから迫る何か・・凄い速さで迫る・・
でも少年は必死で走る・・!己の命が大事なために・・
どれくらい走っただろう・・?
気がつけば少年は湖に着いた・・
後ろから襲ってくる「何か」ももういなかった・・・
「た・・助かった・・・?」
そう言って少年は走ったせいで乾いた喉を潤すべく湖の水を手で酌んで飲もうとした・・
「ん?・・」
水面に泡ができる・・
何かが水面に上がって来ているのだ。
バシャーン・・・
水面から出てくる何か・・
「え?・・・」
「おりょ?・・・」
一人の少年と河童が初めて見詰め合った瞬間だった・・・
でも・・・・
でも・・・・
「な・・・な・・な・・なな・・」
少年は戸惑う・・
目の前にいるまるで人とどこも変わらない河童に・・・
続く。
聞こえるのは水が流れる音のみ・・
光が水を照らしている・・
でも奥深くまでは微かな光しか届かない
それでも彼女はなお泳ぎ続ける。
水の奥深くで・・・
「河童が出よったぞーーー!!」
「弓を用意せい!我が射てみよう。」
いつもこれだ・・・人間は・・
「河童?あれには近づくな!」
「今度この村にも河童退治のお方を雇おうかねぇ・・」
なんでそんな事言うの?・・・・私はただ・・
「あれ河童じゃないかな?」
「うわ!!本当だべ!」
「村に近づくなーーー!!」
「おい!ほらお前も投げろ!」
「えっ・・う、うん・・」
「えい!」
ゴスンッ!
村の少年達の内の一人がなげた石が顔に命中した。
「痛・・・・・」
「うお!命中したぜ!やるな!お前!」
「う、うん・・・」
「俺らも!当てるぜ~!」
石がたくさん飛んでくる・・
こうなるともう逃げるしかない・・
「あっ!逃げたぞ!」
「追いかけようぜ!」
「いや、もう暗いよ・・あっ・・・そうだった・・w僕は帰るね。弟の世話をしなくちゃ・・」
一人の少年がスタスタと帰っていく。
「ちぇ・・なんだいあいつ・・」
「河童に石を命中させたのもあいつなのになんで楽しめないんだ?」
「今度からあいつ遊びに入れないようにしよーぜ。」
「いいねぇ!」
村の近くの森・・
なんでなんだろう・・?私はただ人間と仲良くしたいだけなのに・・
私が河童だから?私が妖怪だから・・?
「痛・・あっ、そうだった・・石が当たったんだった・・」
彼女の頬から血が出ている・・
彼女は石を当てられた事は何回もあった・・
時には矢、時には泥の塊、時には・・
やめておこう・・・悲しくなるだけだ・・・
でも彼女は物をぶつけられる事には怒っていない・・
怒ってしまったらそれこそ大変な事になってしまうと自分が一番良く知っているからだ・・
そう思いつつ彼女は村の近くの森の中をしばらく歩き、湖に飛び込んだ。
ここは誰にも知られていない、所謂名も無い湖だった・・・
彼女はここに住んでいる。友達も家族もいない・・
動物すら私を嫌ってここには近づかない。誰も近づかない。そう誰も・・
~翌日・・村にて~
「おい!お前なんで昨日一人で帰ったんだよ?」
「弟が病弱でご飯をつく・・」
「嘘だな!お前河童の仲間なんだろ?!え?違うか!」
「え?なんで・・・?」
「じゃあなんで昨日お前が河童に石をぶつけたのに喜ばなかったんだ?命中したんだぞ?!」
「そ、それは・・・」
「言えないのか!」
「だって・・・それは・・」
「それは?!・・何だよ?!」
「・・・・・そ、それは・・かわいそ・・」
「・・・・・・」
「何とか言え!」「そうだ!そうだ!」
「・・・・・」
「おーし!黙るならお前は今日から河童の盟友だなw!」
「皆さーん!ここにー!河童の仲間がー!います・・」
バキッ!
気がつけば少年は落ちていた棍棒で叩きつけてしまった。
少年は村でもかなりの温厚な性格だった・・
「い・・痛い・・・痛いよーーーー!!!」
「あっ!違うんだ!わざとじゃない!みんなが・・・」
誰かが走ってくる音・・
次の瞬間。
バキッ!突如顔にくる強烈な痛み。
「家の子になにをした!!?」
どうやら顔を蹴飛ばされたみたいだ・・・
そして・・
気がつけば少年の周りには村の人だらけ・・
「こいつ・・河童の仲間なんだ!」棍棒で殴られた少年が大声で言う。
「なにぃぃ?!」
「おい・・本当かよ・・・」「あの子・・確か両親いなくて・・弟がいたわよね・・」
「は、話を聞いてください!ぼ、僕は!」
「うるせぇ!!村に近づくな!!この河童が!!」
そういうと僕は服を掴まれて村の門の外へ弾き飛ばされた。
「うげぇ!!!」
衝撃で頭を強く打つ。
「いいか?!今回は命は助けてやる!もう二度とくるなよ!けっ!」
「そ・・・そんな・・僕は河童なんかじゃない・・・」
そんな思いとは裏腹に門は閉ざされる・・・
村の外は朝は別に大した事はないのだが夜になると格段と恐ろしくなるのだ。
さらに村は四方八方を山で囲まれていて、別の村などに行く時は山を通らなければいけない。
その山は武芸の達人でも恐れる程で夜にその森に入るなど自殺行為なのだった・・・
でも生きる為にはこの森を超えなければいけない・・
この森を越えたずっとずっと先に大きな大きな町があって、そこまで辿り着けば・・何とか・・
「でも・・・弟が・・!!」
そう彼の弟は元々病弱な体だった・・・
弟がいるのは村の中、でも門があって通れない・・・
まだ弟に夕食を作ってない・・勿論僕も食べてない・・
寒い・・ここらでは夜は冷え込む・・
ここで待っていても誰も助けてくれない・・・
少年の脳裏をよぎる言葉・・「死」・・
「嫌だ・・嫌だ・・死にたくない・・・・・うわぁぁぁ!!!!」
遂に少年は何所かへと走り出した。
闇雲に・・とにかく死にたくないために・・・
後ろから迫る何か・・凄い速さで迫る・・
でも少年は必死で走る・・!己の命が大事なために・・
どれくらい走っただろう・・?
気がつけば少年は湖に着いた・・
後ろから襲ってくる「何か」ももういなかった・・・
「た・・助かった・・・?」
そう言って少年は走ったせいで乾いた喉を潤すべく湖の水を手で酌んで飲もうとした・・
「ん?・・」
水面に泡ができる・・
何かが水面に上がって来ているのだ。
バシャーン・・・
水面から出てくる何か・・
「え?・・・」
「おりょ?・・・」
一人の少年と河童が初めて見詰め合った瞬間だった・・・
でも・・・・
でも・・・・
「な・・・な・・な・・なな・・」
少年は戸惑う・・
目の前にいるまるで人とどこも変わらない河童に・・・
続く。
今後の展開が楽しみです。