Coolier - 新生・東方創想話ジェネリック

Return Or Dead ~紙を操る程度の能力~

2010/05/11 00:02:02
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「!?」

 魔理沙は目を疑った。
 帰ろうとした魔理沙の目の前に広がるのは、一面の紙、紙、紙。
 紙の壁だった。
 それだけじゃない。
 それまでなかったはずの紙切れが、いくつも魔理沙の回りに浮いている。

「なんだよこれ、パチュリーの新しい魔法か?」

「逃がさないわよ。」

 慌てふためく魔理沙の背後にパチュリーは姿を現した。











 魔理沙はいつものように図書館に本を借りに来た。
 いつものように門番を消しとばし、図書館の戸をぶち破り、「借りてくぜー」と言いながら持参の袋に本を詰め込む。
 そこまではいつも通りだった。
 さぁ帰ろうと思った時である。
 真っ白な壁が、魔理沙の前に立ち塞がったのだ。

「おいパチュリー、これは一体何の真似だ?紙ごときで私を止めようってのか?」
「私の紙地獄を抜けられると思ってるの?」
「…………あんまりこの魔理沙さんをなめるんじゃないぜ。」

 言って、魔理沙は懐から八卦炉を取り出し、構える。

「ただが紙切れ、私が吹っ飛ばしてやるぜ!!マスタァァァァァスパァァァァァァァァク!!」

 ミニ八卦炉から放たれる巨大な光線。
 魔理沙の得意技だ。
 しかし、

「嘘だろ……おい……。」

 紙の壁は健在だった。
 表面に焦げ跡が残っているのは分かるが、その先を見通すような穴は一つとてない。

「なんだよ、一体どういう紙なんだ?」
「別になんでもないわ。この図書館に溢れる本の、それらに閉じられている紙束の、そのほんの一部に過ぎない。」

 そんな馬鹿な。
 そんな紙が、私のマスタースパークを防いだというのか?

「私の紙を焦がした報いを与えるわ。」

 そう言ってパチュリーが手をかざせば、魔理沙の周りを漂っていた紙が、紙飛行機となって魔理沙に向けて撃ち出される。

「うわっ!?なんだよ!?」

 とっさに避ける。紙飛行機の先端は本棚にまっすぐ突き刺さった。まるで弾丸である。
 しかも避けても避けても紙は増える。キリがない。
 当たり前だ。ここは図書館、常に紙に囲まれているのだ。

「チッ、パチュリーの奴いつの間にこんな魔法覚えたんだ?」
「魔法じゃないわ。」
「だったら……。」
「魔理沙。貴方は本が好きよね?」
「大好きだぜ!とくにパチュリーの貸してくれる本とかな!」
「私も大好きよ、本。本が好きな人なんて、この世にごまんといる。でもね、その逆は何人いるかしら?」
「逆?」
「私は沢山の本を読むうちに、本泥棒と戦ってるうちに、本に好かれたのよ。今こそ名乗らせて貰うわ。私はパチェ子・リードマン、人読んでペーパーマスター――――




        返すか 死ぬか
 選びなさい。Return Or Dead ?」





「Escapeだぜ!!」

 魔理沙はまっすぐ出口に向かう。
 しかし

「げっ!?」

 大量の紙が、扉に貼付けてあった。
 何重にも重ねられており、とても抜けられるものではない。
 そして、図書館の出入口はここしかない。

「なけりゃ作るまでだぜ!」

 魔理沙は壁に向かって八卦炉を構え……られなかった。

「な、なんだよこれ!?」

 袋から取り出した八卦炉は真っ白な塊だった。
 辛うじてそのシルエットは見えてはいるが、紙に厚く包まれた八卦炉はとても使い物になりそうにない。
 盗んだ本と同じ袋に入れていたのが間違いだったのだ。

「埋もれなさい。」

 盗んだ本の入った袋から、大量の紙が溢れ出した。





 気付けば魔理沙は簀巻き(ただし紙で)にされていた。

「さぁて、本を返してもらおうかしら。」
「く……ことわ――――
「この紙で貴方の鼻と口を塞ぐわ。」
「わかった!返す!返すってば!」












「あー酷い目にあったぜ……。」

 パチュリーに借りた本をまとめて返す作業に、いったい自宅と紅魔館を何往復しただろうか。
 今日は厄日である。

「……霊夢のとこにでも行くか。」

 気分転換に緑茶でも貰おう。












「!?」

 魔理沙は目を疑った。
 博麗神社に着いた魔理沙の目の前に広がるのは、一面の葉、葉、葉。
 葉の吹雪だった。

「あ、魔理沙ー?緑茶飲んでく?」

 霊夢が中から出て来て言った。

「ああ……うん……。」

 そんなことよりこの葉っぱはなんだ。
 何故空中に舞っているんだ。
 何故一枚も地面に落ちないんだ。

「えいっ」

 ……何故霊夢が手を振ったら纏めて神社の中に入って行くんだ。
 霊夢にこんな特技があっただろうか。
 かくし芸か?

「薄め?濃いめ?」
「濃いめで。」
「はいどうぞ。」
「早っ!?」

 一瞬である。
 しかも私はしっかり濃いめと言った。
 こんな一瞬で濃いお茶を入れられるというのか?

 飲んでみる。

「……もう少し濃いめがいいな。」

 しかし、しっかり緑茶の味はするのが凄い。
 一体どんな手品だ?

「あらそう、ちょっと貸して。」
「へ?」

 霊夢は私から茶を奪った。
 もしかして怒らせたか、と思ったが、霊夢は緑茶に一息吹き掛けたと思えばすぐに返した。

「こんなもん?」
「は、はぁ?」

 意味が分からない。
 飲む。

「う……うめぇ。」
「ん、魔理沙はそれくらいね。覚えとくわ。」
「待ってくれ、何したんだ?」
「何って、緑茶を操ったのよ。」
「操る?緑茶を?」
「ああ、魔理沙は最近来てなかったから知らないか。私ね、緑茶を愛する余り、緑茶に愛されるようになったらしいのよね。隙間いわく。」

 どっかで聞いたフレーズである。

「お茶の濃さを自由に変えられたり出来るわ。おかげで水と茶葉があれば一瞬でお茶ができるわね、わざわざお湯作る必要も無いみたい。いや、これが色んな人に大ウケでね?人よんでティーマスター……ってあれ、どこ行くの?」

















「なんなんだよ……。」

 大切に物を使えばツクモガミが憑くとか聞いた事がある。
 しかし、愛されるってなんだ。パチュリーは本と結婚したのか。霊夢は緑茶と結婚したのか。
 馬鹿も休み休み言え。愛していれば愛されるんなら私は今頃キノコマスターだ。

「あら、魔理沙じゃない。」

 ……っと、人里には珍しい顔だ。

「あ?幽香か、なにやってるんだ?」
「最近新しい遊びを覚えてね。」

 風見幽香の新しい遊び?

「例えば……あれ。」

 と、幽香が指をさしたのは、今にもすれ違おうとする早苗と小傘である。
 早苗は買い物の帰り、小傘はまた驚かすのに失敗したのか俯いて歩いている。
 あれがどうかしたのか。

「こうするとね」

 くいっと、幽香が指を動かした。
 すると、それまでまっすぐ歩いていた早苗が小傘の肩を掴み。

「ヒャッハー!妖怪は退治だー!」

 何を言い出すかと思えば、押し倒しては殴る蹴るの暴行。
 楽しそうな顔だなオイ、風見幽香。

「なんか知らないけど他人の嗜虐心を操れようになったのよね。人呼んで、サディスティックマスター。」
「…………。」

 二の句が継げない。お前もか風見幽香。
 流行っているのか。
 と、

「もう怒った!傘の妖怪の力を見せてあげるわ!」

 珍しくキレたらしい小傘がそう言った瞬間だ。
 幽香の傘が、まっすぐ小傘の頭上へ飛んでいった。
 幽香の傘だけではない。里中の傘という傘が小傘の頭上へ集まっている。その数、三桁はあるだろうか。

「これが!アンブレラマスターの力です!」

 傘の先端が一斉に早苗に向けられる。
 四方八方を傘に囲まれており、逃げ場がない
 現人神とはいえど、身は人間。あんなものをくらったらひとたまりもない。
 だが、

「傘なんて……非常識です。」

 そう早苗がいった瞬間、私は目を疑った。
 消えた。あれだけあった傘が、全て一瞬の内に消滅したのである。

「は…………へ…………?」

 小傘は完全に呆気にとられた
 私も、多分幽香もだ

「私は常識と非常識を自由に操る存在……常識マスター。もはや現人神などではありません。私は……私が神なのです!!」

 早苗が狂った。。
 しかし彼女が今しでかした事を考えれば、それはいくつかの説得力をもつ。
 それを見た幽香が、ゆっくりと立ち上がる。

「神だかなんだか知らないけど……私の傘を消した罪は重いわ。」

 静かな怒りを表しながら幽香が早苗へ歩き出した。
 静かだが、確かな殺意がある。殺意だけで殺されそうな、凄まじい気迫。

「神に逆らう存在など……非常識!!」

 その幽香さえ、早苗の声と共に消えた。
 あの風見幽香が消滅したのだ。
 自分の足が震えているのがわかる。
 彼女は今、確かに神に等しい存在なのだろう。

「魔理沙さん?」

 早苗と目があうや否や、私は一目散に逃げ出した。













 悪い夢だ。
 そうとしか思えない。
 自宅と紅魔館を往復し続けた結果、私は錯乱しているのだ。
 よって、寝る。
 きっと寝たら目が覚める。そんな気がした。
 というか、外に出たくない。帰りたい。

「あ、魔理沙?」

 ビクッ!
 自分でも情けなくなるほどにびびっている。

「ああ、アリス。悪いな、今は気分が悪いんだ。」

 しかし……アリスが愛してやまないのは人形である。変なマスターになどなりはしまい。
 しかし、やっぱりなんか怖いから避けて歩く。

「ふふ、どうしたのよ。なにか怖いものでも見たの?」
「まぁな……。」

 ………………。

 なんで私はアリスの胸に顔を埋めてるんだ?

「何があったのかしら。」
「なな、何でもないぜ!」

 私はアリスを突き飛ばし、走った。



 アリスの方へ……!



「!?」

 どうしてアリスの逆方向に走り出したのにアリスにぶつかる!?

 やばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばい!!

 私の本能がアリスに対して強烈な拒否反応を示した。
 逃げようとする。しかし逃げられない!
 アリスが私の背中に手を回していた。力無く、ただ添えているだけのような手。
 にも関わらず、それを振りほどけない。まるで金縛りのように体が言うことをきかない!

「私ね、すごい力を手に入れたの。」

 なんの力だよ!もういい加減にしてくれ!

「魔理沙を愛している……。愛しすぎて、私は魔理沙に愛される存在になったの!」

 愛してねぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!

「今日から私は魔理沙マスター……私だけの……私のための魔理沙に……!!」

 やめろ! やめてくれ! っくそ、脱がすなって!
 ちょ、まっ、待ってくれ!誰か、誰か助けっ……あっ……

 わあああああああああああああああああああああああああああああああ!!
























 ――ぁぁあああああああっ!?」

 目が覚めた。

「ああ、あああああぁぁぁ……あ……………朝……?」

 ……………………
 ………………
 …………

 ……って

「本当に夢オチかよ!?」

 ただしばらくの間、紙と早苗とアリスが苦手になったとさ。
前々からネタ帳にあったパチェ子・リードマン+早苗にあなたは非常識ですと言われた瞬間ゆうかりんが消滅した夢を見た=こんな話

記念すべき(?)30本目がこんな適当なネタでいいのか。しかし、書きあがった以上出さないわけにはいかない。
今ちょっとだけ真面目な話書いてるよ!過去に書いたシリアス3部作(笑)のリベンジになるといいね!

いや、完成の目度も立っていなければ、そもそもオチすら考えてないのが現実。
よって次に投稿する話はまたへんてこなお話でしょう。
過剰睡眠摂取症候群
コメント



1.名前が無い程度の能力削除
早苗の能力が神過ぎるwww

神だから非常識な能力を持つことは常識になるのか。
美鈴はシエスタマスターとして眠気を操れるんだろか
2.名前が無い程度の能力削除
魔理沙マスターw
おもろい!
3.こじろー削除
霊夢の吐息が混じった緑茶のみたい!
4.奇声を発する程度の能力削除
どう突っ込めばいいのやらwwwwww
5.名前が無い程度の能力削除
タイトルを見た瞬間
「朱鷺子・リードマン」なる名前が脳裏に浮かんだ。
こんな俺は、おかしいのか……。
6.名前が無い程度の能力削除
幽香の能力もスゲェけど早苗の能力がチートすぎるwww
7.名前が無い程度の能力削除
うめえw
これはうまいw
発想力に負けましたw