はいはい大変お待たせいたしました、幻想郷のアイドル射命丸文です!!いたた・・・ちょっと!空き缶を投げたのは誰ですか!!
幻想郷の強きも弱きも寄っといで、みんなでわいわい天下一武道会のお時間ですよ!
やって参りました二回戦、八意永琳選手VS蓬莱山輝夜選手、八雲紫選手VS八雲藍選手という二つの主従対決カードを含め、一回戦を勝ち抜いた選手達によるハイレベルな戦いが期待できます!
あ、一回戦の様子はこちらをご覧下さいね。
大会ルール説明と一回戦序盤:
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一回戦第五試合目以降:
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では早速参りましょう!二回戦第一試合!八意永琳選手VS蓬莱山輝夜選手です!
永琳選手が普段の実力を抑えているのも、全ては主である輝夜選手への忠誠心がため!
その姫君に対して永琳選手は果たして矛を向けるのか!
「姫、一つ確認します」
「何よ」
「姫がもし優勝なさったら叶えたい望みは・・・」
「妹紅が死ぬ事よ!」
「そうですか、分かりました。・・・では姫に優勝をお譲りする訳には参りません」
永琳選手はどうやら本気です!その目に映るのは優勝に対する深い欲望か、それとも!
張りつめる空気の中、試合開始です!
「永琳にはいつもすごく感謝してるのよ。こんな私にここまで付いてきてくれて。そしてきっと、これからも付いてきてくれるのでしょうね。でも私は一つだけ気に入らない。いつまで経っても私を『守って』いること。いつまで経っても私を下と見ていること。優勝を『譲らない』というセリフは・・・認めない!!」
「姫・・・」
永琳選手が目を閉じて静かに大きく息を吸いました。
ゆっくりと弓を構えます。
何という険しい表情でしょう、優勝候補の萃香選手と一回戦で対峙した試合でもあれだけ余裕綽々だった永琳選手と同じ人物とは思えません。
「分かりました。これより先は互い全力。そのお言葉の重さ、我が弓にて量らせていただきます」
永琳選手が十分に弓を引き絞り、まずは一矢を放ちます!その軌道が指すは真っ直ぐ輝夜選手の眉間!永琳選手が本当に主を狙いました!!
輝夜選手は首だけを傾けてその決意の一矢をかわした!
「参ります!」
永琳選手が弓を天へ向けて大量の矢を一斉射撃!同時に輝夜選手へ向かって走り出しました!
輝夜選手へ迫り来るは天からの矢の雨と地からの猛進!これにどう対処するか!
輝夜選手、まずは天に霊気の嵐を放ちました!矢の雨が吹き飛んでいきます!
永琳選手は構わず接近!そのまま弓を振り払いました!だが輝夜選手は隙なく一歩引いてこれを回避!
その引いた足を強く踏みしめて、弓を振り抜いた永琳選手の胸元めがけて霊気を込めた掌底!
しかし永琳選手これを察知し再び距離を取りました!
「スペルカード、難題『龍の頸の玉』!」
息をつかせず輝夜選手がスペルカード発動!五色の弾幕が永琳選手へ襲いかかります!
これに対して永琳選手は・・・跳んだ!弾幕の薄い輝夜選手の頭上を越えて、リングの逆側へ行くつもりと思われます!
ついでに空中から輝夜選手へ弓を連射!
この牽制射撃を避けるというよりくぐり抜けて、輝夜選手が走る先は永琳選手の着地予定ポイント!
両の掌に霊気を溜めて対空迎撃の体勢です!これは永琳選手ピンチか!?
「スペルカード、秘術『天文密葬法』!」
永琳選手これを予測済み!ベストタイミングで発動したスペルカードによる使い魔の光が輝夜選手を幾重にも取り囲んで行く!
これに取り込まれてしまうとそのまま密葬は必至です!今度は輝夜選手がピンチ!
輝夜選手、両手に溜めた霊気を咄嗟に床にぶつけました!反動を利用した凄まじい速度で上空へ脱出!
さすがの永琳選手もそれ以上は追撃できずに着地!
続いて輝夜選手も着地!
ここで一旦両者の攻撃が止みました。
私もやっと一息つけます。何と激しい攻防の応酬、これこそ二回戦の凄みというものでしょうか!
「やっぱり・・・永琳には叶わないのかしらね」
「姫?」
おや、輝夜選手どうしたのでしょうか。私の目には互角に渡り合っているように見えたのですが。
「互角じゃないわ。たったあれだけのやり取りで、私は既に霊力の二割を使わされてしまった。でも永琳が使ったのはスペルカード一枚の他は矢のみで、何の消耗もしていない。これが永琳が本気になった時の戦い方なのよ。搦め手を狙いながら相手の消耗を誘う・・・まさに狩人」
「私の事を、卑怯と思いますか?」
「いいえ。それを成し得るのはあなたの実力。私はそれを知りながら消耗せざるを得ないのだから。・・・そして何より、あなたが全力で私に向き合っている証だもの。私は嬉しい」
「・・・はい」
「とは言え、私もこのままおめおめと削られきる訳には行かないの。・・・永琳、私は今から全ての力を以てスペルカードを使うわ。それが終わった時にあなたが立っていれば、あなたの勝ちよ」
「・・・御意のままに」
輝夜選手、長期戦は不利と見て瞬間火力全開の早期決着を宣言、永琳選手もこれを受諾して、早くも主従対決の最終局面を迎えることになりました。
「行くわよ・・・スペルカード、難題『蓬莱の弾の枝』!!」
始まりました!輝夜選手、そして彼女を守るように現れた使い魔の光から虹色の弾丸が放たれます!
「蓬莱の弾の枝・・・。その弾幕層の厚さは一級品だけれど、距離を空けすぎず、詰めすぎず、適正に保っていれば避けきるのは決して難しくない。・・・でも!」
あぁっ!?永琳選手、何を思ったか弾幕に向かって自ら走り出しました!
「姫の本気に・・・姫の叫びに、私も真っ向から応えたい。応えなければならない!」
無茶です!永琳選手は避けきるという選択肢を捨てて、使い魔に守られた輝夜選手に直接攻撃をしに行くつもりです!
永琳選手が弾幕の中を駆け抜けていきます!平気なはずはありません、視認できるだけでもかなりの量の弾幕に当たっています!だが永琳選手は歩を緩めない!
・・・そしてついに使い魔をすり抜けた!!
「!?」
「姫、これで終わりです!」
決まったぁ!!永琳選手が弓を振り抜き、輝夜選手の体躯を宙高く打ち上げました!!
これは勝負あり!!!
輝夜選手ダウン!ですが永琳選手も思わず膝を落とします!!
「お強く・・・なられましたね」
「結局あなたには歯が立たなかったけどね」
「いえ。姫のお覚悟、体にも心にも深く突き刺さりました」
「ところで永琳、私を倒してまで優勝して叶えたいあなたの願いって何?」
「これからもいつまでも・・・永遠に姫の臣下でありたいと・・・」
「そう・・・必ず優勝しなさい」
「・・・はい」
永琳選手が輝夜選手を抱きかかえて退場していきます。
これは良い試合を見せてもらいました!
二回戦第一試合は、熱き主従対決を制した八意永琳選手の勝利です!!
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さてそんな名勝負の次は二回戦第二試合、チルノ選手VS西行寺幽々子選手の対決です。
敢えて言おう。どーでもいいと。
だってそうでしょう、あんな名勝負を見せられた後にこんな消化試合見られますか?見られませんよね?
一回戦で「つまらない試合は私の休憩タイムとします」って宣言したのに、まだ一度も休憩していないんです!
はい、ではこの試合の間、私は休憩します!一旦CM!!
「ぴょん・・・ぴょん・・・
ガラガラガラ
きゃあっ!!
ガシッ!
ファイトォーッ!
いっぱーつ!!!
滋養強壮に、永琳印の国士無双D!
用法・用量を守って正しくお使いください
お買いあげの方には抽選で、鈴仙の寝顔隠し撮り写真をプレゼント!」
あーうー。まだろくに休憩できていないのに、試合が終了致しましたぁ。
チルノ選手がスペルカードを使用する前に、幽々子選手に吹っ飛ばされて試合終了です。もっと粘ってよね。雑魚妖精め。
「ちょっと失礼!」
あれ、鈴仙選手どうかしましたか?
「いいから、ちょっとマイク貸して!!・・・コホン。どうも、鈴仙・優曇華院・イナバです。先ほどのCMで抽選によるプレゼントについての言及がありましたが、そのような事実は一切ありませんのでお詫びして訂正します、以上!!はいマイク返すわよ」
あ、はい。
鈴仙選手、ツカツカと歩いて・・・てゐ選手の首根っこを掴んで・・・そのまま室外へ。何なんでしょう。
「んぎゃあああああぁぁぁぁぁ・・・・・・」
え、何をして・・・
「んのおおおおおぉぉぉぉぉ・・・・・・」
・・・。
てゐ選手、十分なコンディションで次の試合に臨めるといいですね・・・。
と、とにかく二回戦第二試合は西行寺幽々子選手の勝利です!三回戦で八意永琳選手とぶつかります!
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さて二回戦第三試合は魂魄妖夢選手VS因幡てゐ選手です。が。
今手元に届いた情報によりますと、てゐ選手が何者かに襲われて既に戦闘不能状態との事です。
よって本試合は魂魄妖夢選手の不戦勝となります。
何者か・・・って、何者なんでしょうね。あやや分かんな~い♪いたた・・・ちょっと!空き缶を投げたのは誰ですか!!
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さくさく行きましょう、二回戦第四試合です。リリカ・プリズムリバー選手VS鈴仙・優曇華院・イナバ選手。
「気を付けなさい。今の私は気が立ってるわよ」
「毛並みも逆立ってるみたいね~」
一体何があったんでしょうねぇ。鈴仙選手、まるで今さっき一戦交えてきたかのような雰囲気です。
ちなみにリリカ選手は何気に一回戦を勝ち抜けた唯一のプリズムリバー一家です。お家の看板を背負っての二回戦出場ですね。
それでは試合開始です!
「音なんて波の代表格。あなたよりもむしろ私の支配下に置かれるべきもの。あなたは私に抗う術を持っていないのよ」
「音?音なんて使わないわよ。私の音楽は精神を乱す効果はないのよね。戦いには不向きだわ」
おっとリリカ選手、いきなり元も子もない事を言い出しました。それでは何で戦うつもりなんでしょうか?
「兎を狩るのに力はいらぬ・・・てね。まずはかかって来なさい、うさーぎさぁん」
おー、リリカ選手挑発ですか?
「ふっふっふ、今の私は気が立っていると言ったでしょう。いけない子をもう一匹お仕置きするくらい何でもないのよ」
鈴仙選手がおもむろに懐から瓶を取り出しました。ラベルには・・・「国士無双」!
ぐいっと一本!もう一本!さらに一本!
鈴仙選手、国士無双の薬三本を一気飲みです!
「スペルカード、長視『赤月下(インフレアドムーン)』!」
続いてスペルカードを発動、鈴仙選手は姿を隠しました!
「私の攻撃力は飛躍的に向上した。そしてあなたからはその強力な攻撃がどこから来るか分からない。この状況でもさっきみたいな軽口を叩けるかしら?」
「とんでもない、最初から怖れてるわよ。だってあなたは月で厳しい訓練を受けた優秀なうさぎさんなんでしょう?」
「・・・何が言いたいのよ」
「月のみんなはさぞあなたの高い資質に期待していたんでしょうね。いずれ戦争が起きたときには大きな戦力になるって」
「やめなさい」
「だからこそ特別な訓練を受けて、あなたは期待通りに実力をつけて、月のみんなを喜ばせて」
「やめろ」
「でもいざ戦争が起きそうになったら、あなたはみんなの期待なんてお構いなしに逃げて来ちゃったんだって?文字通り脱兎の如くね」
「やめろって言ってるでしょ!!」
「どうしてお前だけ逃げた?みんな怖いのは同じなのに。みんな同じくらい怖いからお前に期待していたのに。お前がみんなの心の拠り所だったのに。お前を信頼していたみんなに、お前は恐怖だけを残して逃げてきた。その事実に赤い眼を閉じ、長い耳を伏せて、今こんな所でのんきに何をしている!?」
「やめてえええぇぇぇ・・・」
これは・・・鈴仙選手の姿が見えてきました!リリカ選手、狂気を操る鈴仙選手の狂気を操っています!
できるだけ全ての事を口八丁で収めようとする、これがプリズムリバー家で最もずるがしこいリリカ選手の真骨頂!
すごむと結構いい声を出すんですね。
「はい見つけた!スペルカード、騒符『リリカ・ソロライブ』!」
ついに現れた鈴仙選手の実体に、リリカ選手が全力のスペルカード発動!
鈴仙選手、波長を操る暇もなく当たっ・・・てません!それも幻です!!
鈴仙選手の精神はまだ首の皮一枚で正気を保っているようです!
依然として鈴仙選手の姿は目視できません!
「あれ?まだそんな幻ごっこができる余裕があるのね。月の仲間を裏切った事なんて、大した事じゃないと思ってる証拠ね」
「何とでも・・・言いなさい・・・勝つのは・・・私よ・・・」
「どの口がそんな事を言うのかしら。スペルカード一枚発動する精神的余裕もない癖に」
「スペルカードが・・・使えなくても・・・弾幕を・・・撃てなくても・・・薬を一本飲むくらいは・・・できるのよ・・・」
薬を・・・飲む?まさか鈴仙選手、禁断の四本目に手を出すのでしょうか!?
「え、ちょっと待っ・・・」
あぁーっ!!鈴仙選手がついに四本目の国士無双の薬を飲んだようです!リング上で大爆発が起こりました!!
リングには鈴仙選手とリリカ選手の両方がダウンしています!
そして手をついてゆっくりと起きあがったのは鈴仙選手!!リリカ選手は起きあがりません!!
「リリカ・プリズムリバー、戦闘不能と見なし敗北!いつも最小限の労力で事を成そうとする態度はお説教です!」
二回戦第四試合は、己の狂気をぎりぎりで制御しきった鈴仙・優曇華院・イナバ選手の勝利です!
三回戦で魂魄妖夢選手と対決することが決まりました!
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折り返して二回戦第五試合は八雲紫選手VS八雲藍選手の主従対決です!
輝夜選手VS永琳選手のような名勝負を見せてくれるのでしょうか!
「本気でかかってきてもいいのよ?あなたがどれくらいの実力を身につけたか、見てあげる」
「えっと・・・私は・・・その・・・」
うーむ、永琳選手と違って藍選手は交戦意欲がなさそうです。藍選手、棄権しますか?
「やり・・・ます、一応やってみます!どうせいつかは当たらなきゃならなかったんだし」
藍選手が畏縮しきっていて戦局がいまいち不安ですが、試合開始です!
「さぁ・・・いらっしゃい」
ひやーっ。紫選手の背後に無数の目が見えます、おお気持ち悪い。
あれは紫選手が召還した変容を見る目ですね。藍選手が隙を見せた途端にボンッです。
しかも不用意な移動は場外負けを誘発することが一回戦で証明されています。
そんな一瞬の隙を見せることも許されない状況で藍選手は一体どのような行動に出るのか?
「ええい、行きます!」
藍選手、しゃにむに突撃!それはダメだって今私が言ったばかりなのに!魔理沙選手の二の舞ですよ!
「紫様が空間に歪みを作り始めてから人サイズのスキマを開くまで約0.43秒、意識さえしていれば十分に回避できます!」
お、おお・・・さすがに藍選手も紫選手の事を熟知しているんですね。
だが紫選手に接近したところで藍選手の取る行動や如何に!?
紫選手は余裕の笑みを浮かべて微動だにしません!
ですが藍選手の突撃はあまりに直線的です!いくら数式に裏打ちされていてもあれでは返り討ちに合うのでは!
紫選手が足下にスキマを開きました、中からはおなじみ道路標識!藍選手を迎撃します!
ちょっと、藍選手はこれに構わず進んでいます!それじゃまともに道路標識をもらってしまいますよ!
紫選手の道路標識が藍選手にクリーンヒッ・・・トしてない、藍選手消えました!
「あら?」
「せいっ!!」
あーっ!藍選手、紫選手の背後に現れてその延髄に手刀をお見舞いしました!
「きゃあっ!」
これが紫選手にヒット!背後からの不意打ちを喰らってさしもの紫選手も悲鳴をあげました!初めて聞いた気がします!
召還主の意識が途切れ、変容を見る目が消えていきます!
「私が紫様に勝機を見出せるとすれば、その糸口は紫様の油断だけ。紫様に直接稽古をつけてもらっていた頃のレベルで動いておいて、いきなり全力を出せば不意をついて急所を狙えるはず。そこに賭けました」
なるほどなるほど。力も速さも、昔とは違うんですよねぇ。なんせこき使われてますもんねぇ。
さて飼い狐に手を噛まれた紫選手がまさかのダウン!急所への一打で意識を失ったか!?
「・・・なーんちゃって」
やはりダメです、効いていません!紫選手ひょっこり立ち上がりました!
でもなんちゃってとは古い!!いたた・・・ちょっと!あなただったんですか、空き缶を投げていたのは!!スキマから落としていたとはっ!!
「いえ?私は今回だけよ?みんなイラッとした時に思い思いに投げてるからね」
ぶーぶーっ。
もう!さっさと試合再開して下さい!
「あ、私もう降参で」
えぇ!?もう降参ですか?せっかく紫選手に先制攻撃できたんだから、有利ですよ、有利!!押し切ってしまえばもしかしたら・・・。
「あの不意打ちでダメージを与えられなかったらもうダメです。勝ち目が完全に消えました。ここから先は私の公開お仕置きになってしまうので」
「あら、私は公開お仕置きも悪くないと思うけど?恥ずかしさもあってお仕置き効果倍増ね」
「ほらほら、こんな事言いだしてるんですよ?降参です、降参!!」
「八雲藍、戦闘放棄により敗北!主に完全依存したハングリー精神のなさはお説教です!」
「藍も強かったわよ。私の予想を三割は超えていたわ」
まぁ、あれだけ畏れていたご主人様に一撃とは言え攻撃したんだから今日はそれでよしとしましょう。
二回戦第五試合は八雲紫選手の勝利です!
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さて・・・二回戦第六試合のアリス・マーガトロイド選手VSレミリア・スカーレット選手なんですが・・・。
レミリア選手は既にリング上にスタンバイしているのですがアリス選手の方がまだ準備ができていません。
一回戦の激戦による後遺症を、控え室でルナサ選手とこいしさんが治療中なのですが・・・もし間に合わなければレミリア選手の不戦勝ということになります。
お、噂をすれば入場口からルナサ選手です。治療は終わったんですか?
「えーと、まず始めに大変申し訳ない」
え?まだ終わっていないんですか?
「いや、私にできる事はやった。もうこの状態で試合をしてもらうしかない」
まだ前の試合の状態のままということですか?
「いや、前の試合の状態からは変わっているんだけど・・・」
やりすぎちゃって鬱になってるということですか?
「そうでもない。躁+鬱=0という訳にはいかなくってね・・・。こんな風になってしまったんだ。・・・おいで」
そうですね、四の五の言ってないで本人を出していただきましょう。ルナサ選手の後ろから・・・え、誰?
「誰って。ほら、自己紹介しなさい」
「ありしゅ・まーがとろいどでしゅ☆」
は?
ええええええ!?その子がアリス選手ですか!?
何で?え、何で?精神治療しただけでしょ?何で見た目まで変わるんですか!?子供じゃないですか!!
「いや、精神が身体に及ぼす影響は大きいよ。想像妊娠なんてのもあるくらいだからね。自分は妊娠したと強く思いこめばお腹も膨らむし、自分は子供だと強く思いこめば体も縮むさ」
そんなんアリですか?永琳選手、そんなのってあるんですか?
「んー、まぁ普通はありえないけど、ここは幻想郷だから・・・」
いやいや、「幻想郷だから」で済まされて良い問題と悪い問題があるでしょう!!これじゃ試合なんて言ってる場合じゃありませんよ!!
「うるしゃい!しあいはしゅるの!ゆうしょうして、おにんぎょうしゃんを、い~っぱいもらうの!」
・・・。レミリア選手、どうします?
「まぁ・・・やってあげてもいいわよ。不戦勝と大差ないでしょ」
そうと言えばそうですが・・・。
はぁ・・・もういいです。審判さん、始めて下さい。
どうなるか分かりませんが試合開始です。
「さぁお嬢ちゃん、かかっておいで」
「ありしゅからやっていいの?じゃあいきましゅね☆しゅぺるかーど、にんぎょう『れみんぐしゅぱれぇど』!」
「ちょっ」
ぎょえええっ!!アリス選手、見た目は子供でも霊力は元のままなのか!?
アリス選手がおびただしい量の人形を召還、レミリア選手に向かって押し寄せていきます!!
レミリア選手、思わず空中へエスケープ!!人形のパレードを回避します!!
「うわっ!?」
あれ?レミリア選手、空中でバランスを崩しています・・・って、その左羽にはいつの間にかアリス選手がっ!!
「はむはむ・・・このはねおいしいでしゅね」
「ちょっとやめてよ気持ち悪い・・・というかうまく飛べな・・・あーっ」
レミリア選手地上へ転落!!しかもそこは人形パレードのど真ん中です!!レミリア選手大ダメージ!!
人形達が通り過ぎて・・・レミリア選手はまだ左羽のアリス選手と格闘中です。
「離れなさい・・・離れなさいってこの・・・せめてその甘噛みをやめなさい、ばっちぃわね!」
ようやくアリス選手の頭を掴んで放り投げました!!
「ふえええぇぇん・・・いたいよぉ」
「ええい、まどろっこしい!一気に決めてやる!」
わんわん泣いているアリス選手にレミリア選手が急接近!至近距離から大技で決めるつもりです!
「スペルカード、悪魔『レミリア・・・」
「しゅぺるかーど、しぇんしょう『どぉるずうぉー』!」
しかしレミリア選手のスペルカード始動よりも先にアリス選手がスペルカードを発動!!
人形達がアリス選手を守るように陣を張りました!!
不意の反撃にレミリア選手、またもダメージをもらいました!!一旦距離をとります!
「しゅぺるかーど、じゅしょ『ほうらいにんぎょう』!」
アリス選手、子供の癖に追撃の手を緩めません!強力なレーザーの束をレミリア選手に照射!!
レミリア選手はまたも空中へ逃げ・・・られません!左羽にべったりついたヨダレのせいでうまく飛べない様子です!
ここでもレミリア選手、大ダメージ!
というかアリス選手、元より強くなってませんか?
「いや、それぞれのダメージは大したことないんだけど・・・何て言うのかしら、手加減がないというか、見境がないというか・・・」
おお、アリス選手、子供になったせいで「全力を出さない」の方針がなくなったのでしょうか!
何も考えずに次々と大技を繰り出しているのはそのためですね!!
「でも、オイタをする子はお仕置きされる。それは盛者必衰よりも上位に君臨する理なのよ・・・ってコラ、帽子を返しなさい!それお気に入りなんだから・・・うわ食べるなぁー!」
「はむはむ・・・」
「返しなさいってこの・・・スペルカード、神槍『スピア・ザ・グングニル』!」
お、レミリア選手帽子を奪われて頭にきたか、スペルカードを使って取り返しにかかりました!高速で放たれた光の矢がアリス選手を襲います!
「はむはむ・・・」
しかし光の矢は、座り込んで帽子をはむはむしているアリス選手の頭上を通り過ぎて行った!
当然と言えば当然の結果!レミリア選手、少し冷静になって下さい!!
「はむはむ・・・うえぇ、これまじゅい。かえしゅ」
「うぅっ・・・ベタベタ・・・ぐすん」
あの、レミリア選手?大丈夫ですか?
「・・・。くっくっく、ついにお姉さんを怒らせてしまったようね。大人の女性を本気にさせた罪は重いわよ」
はぁ。大人の女性・・・ですか。
「ありしゅだって!!りっぱな!!おとなの!!じょせいだもん!!!」
あーそうなんだへーすごいねー。
「ふっ。あなたが大人の女性とは笑わせてくれるわね。味の違いも分からない癖に!!」
「!?」
「あなたは今私の左羽をはむはむした・・・でも本当は、右羽の方がおいしいのよ!」
「な、なんでしゅってー!!」
あぁ、もういいや。好きにやって下さい。すいませーん、コーラくださーい。
「この右羽・・・さぞはむはむしたいでしょうね」
「ゴクリ・・・」
げほっ・・・何このコーラ・・・「あずき味」?ざけんなっ!
「はむはむしても、いいのよ」
「いいんでしゅか!?」
あのね、幻想郷だからってとにかく突拍子もない味を出せばいいってもんじゃないのよ。こんなの外の世界で売ったら暴動もんよ?
何?もう外の世界では幻想になった味?・・・嘘つけっ!!
「昨日の敵は今日の友。あなたを味の違いが分かる一人前の女性に育てるためよ。さぁ、おいで」
「あ、ありがとぉごじゃいましゅ~」
ん?くだらない駆け引きがようやく終わったようです。このコーラの味については後で糾弾取材ですからね。
さて、レミリア選手の見え透いた罠に気付かず、アリス選手がレミリア選手に向かってダイブ!!
「バカめ、かかったわね!スペルカード、夜王『ドラキュラクレイドル』!」
飛びかかったアリス選手に対して大人げないレミリア選手のスペルカードが炸裂!地獄の特急便ドラキュラクレイドルだ!
紅い弾丸と化したレミリア選手の錐もみ突撃、幼いアリス選手では一溜まりもないか!!
「あーっ!!ありしゅのだいじな、とうしんだいありしゅにんぎょうが!!」
「え?」
え?
ああああ!!何とレミリア選手の突撃を喰らったのはアリス選手ではなく、アリス選手そっくりの等身大アリス人形です!
天からずたぼろになった等身大人形が落ちてきました。この悲惨さがレミリア選手のスペルカードの威力を物語っています。
「ふえぇ・・・しぇっかくぷれじぇんとしたのに・・・れみりあちゃんひどいよぉ」
え、プレゼントですか?
「ぐすっ・・・れみりあちゃんが、はねはむはむしていいっていうから・・・おれいにぷれじぇんとをなげたの・・・」
「プレゼントなら投げるなっ」
アリス選手は右羽はむはむのお礼に自分の宝物である等身大アリス人形を投げつけたら、レミリア選手はそれをアリス選手本人が飛びついて来たと思って攻撃した・・・ということですね。お分かりいただけたでしょうか?
「ああ・・・これちゅくるの、たいへんだったんでしゅよ・・・。ありしゅのむかしのしゃしんをひっぱりだして・・・あれ?むかしの写真?この人形はいまのありしゅを模したものじゃなくて昔の私のしゅがた?じゃあ今の私は大人??うぅっ、頭が・・・頭が痛い・・・!」
このパターンは!!アリス選手が自分を取り戻しつつあります!!頑張れ!もうちょっとだ!!
「こんだけ好き放題やっておいて自分だけハッピーエンドなんて認めないわよ!!スペルカード、夜符『バッドレディスクランブル』!」
ちょっ、何するんですか!!せっかく戻りかけているアリス選手に、レミリア選手が壁を蹴っての超高速突撃!!頭を抱えて苦しんでいるアリス選手では避ける術もありません!!
「きゃあぁぁっ!」
アリス選手、そのままダウン!空気は読めていませんが、これは勝負ありました!
「レミリア・スカーレット、場外に着地したため敗北!圧倒的に大人げない態度はお説教です!」
「え、私が敗北?」
え、レミリア選手が敗北?ですか?
「さっきのスペルカードで会場の壁を蹴ったでしょう。30m四方のリングの外に体の一部が接触した場合は敗北。ルールブックにもそう書いてあります」
ああ、そういえば私も大会前にそんな説明しましたね。レミリア選手、怒りに我を忘れてついでにルールも忘れてしまったようです。
「あんただって忘れてたんでしょ」
細かい事はいいんです。
そんな事より気絶してしまったアリス選手が再び控え室に運ばれていきます。元に戻りかけていた所へ邪魔が入ってしまっただけに、ややこしいことになっていないか心配です。
とりあえず二回戦第六試合は波乱の展開の末にアリス・マーガトロイド選手の勝利です。
しかし気を失ってしまっているアリス選手、三回戦で八雲紫選手と対戦するまでに自我を取り戻すことができるでしょうか?
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二回戦第七試合は小野塚小町選手VS十六夜咲夜選手、これはまともな試合が期待できそうです。
「お前さんとやり合うのはこれで何度目になるかねぇ」
「さぁ。普通に四度目くらいじゃないの?」
もう割とやり慣れてる感じですか?今回の軍配はどちらに上がるのでしょう。
はい、では試合開始です。
まずは咲夜選手がナイフをまとめ投げ、小町選手は鎌を回転させて難なくそれを防ぎました。
・・・と、あれ?咲夜選手がいなくなっています。
時間を止めて移動した先は・・・小町選手の真後ろ!完全に鎌の間合いの内側に入っています!
これでは小町選手が鎌を振り回しても刃が当たりません!
咲夜選手、手にしたナイフでいきなり試合を決めるか!?
おおおお?見る見る内に咲夜選手と小町選手との間の距離が広がっていきます、これは小町選手の距離を操る能力!
咲夜選手のナイフは空を斬りました!
そして逆に鎌の間合いに入った咲夜選手を死神の鎌が捉え・・・ない!
咲夜選手は時間を止めて一歩後退です!
「はぁ。まだるっこしいねぇ」
おや?小町選手が鎌を下ろしました。試合をサボっておしゃべりタイムですか?
「お前さんが時間を操りゃあたいが距離を操る。時間も距離もある意味じゃ同じようなもんだからねぇ。これじゃいつまで経っても戦いが進みやしない」
「・・・いつもの事じゃない。だからどうしたって言うのよ」
「こんな事を繰り返していたって無駄に試合が長引くだけじゃないかい。ここは一つ、お互いにその能力を使わないってのはどうだい?あたいは距離を操らない。お前さんは時間を操らない」
「ちょっとだけ面白そうね。乗ってもいいわよ」
「よし、決まりだ。堂々巡りのいたちごっこじゃ面倒くさいだけだからねぇ。あたいは面倒くさい事が大嫌いなんだ」
「ほお。小町、面倒くさい事とは例えば仕事ですか?前にも言いましたよね、あなたのその態度が私の公明正大を傷つけると」
「ひっ、四季様、いつからそこに!?」
「審判なんだから最初からに決まっているでしょう。バカな事を言わないの。それより、あなたの態度について後でゆっくりと話し合いましょう」
小町選手も上司の目の前で試合とは大変ですね。
ともあれ咲夜選手と小町選手の間で条約を締結、お互いに時間を操る能力と距離を操る能力を使わずに試合することになったようです。
この条約がどちらにどのような利益不利益を生むことになるか?
「時間を止められないなら間合いに気を付けないとね。スペルカード、銀符『シルバーバウンド』!」
まずは咲夜選手が牽制のスペルカード!大量のナイフをばらまいて小町選手を鎌の間合いに近づかせない作戦です!
「うわぁ、まさに弾幕だねぇ。こりゃあたいの古銭じゃ歯が立たないか。三途の舟、カモン!」
小町選手が仕事で使っていると思われる舟を召還、飛び乗りました!向かってくるナイフ弾幕を鎌で退けながら突進です!
これが咲夜選手にヒット!咲夜選手は舟にひかれて尻餅をつきました!すぐに立ち上がります。
「こら小町!その舟を仕事以外で使うなっていつも言っているでしょう!武器として使うなんて以ての外です!」
さて鎌の間合いまで近づいた小町選手、上司のお小言は聞こえない振りで死神の鎌を横に薙ぎ払います!
咲夜選手、ナイフで防御するも鎌の重みにはじき飛ばされた!
さっきから咲夜選手おかしくありませんか?小町選手の攻撃をなされるがままに受けています。
「時間を操れないからねぇ。咄嗟の事態に今まで時間操作で対処してきて、それに慣れてる奴さんに、いきなり時間操作なしで避けろって言っても、判断に一瞬の遅れが生じるもんさ」
「・・・。」
小町選手、それを狙って今回の条約を提案したのですか?
「まさか。そりゃ勘ぐり過ぎだよ。あたいだって距離を操れないんだからね」
「あなたが距離を操れないディスアドバンテージよりも、私が時間を操れないアドバンテージの方が大きいと睨んだわけね。汚いわね。さすが死神汚い」
「おや?負ける前から負け惜しみかい?」
「いいえ。あなたは一つ残念な間違いを犯している。こんな交換条件でなく、例え私だけが一方的に時間を操らなかったとしても、あなたは私に勝てない!」
咲夜選手、自ら小町選手に向かって走り出した!しかしそこは完全に小町選手の間合い!
タイミングを合わせて思いっきり鎌を薙ぎ払います!
「ぎゅむっ」
これに対して咲夜選手、小町選手の頭に手をついて宙返りで回避!おまけに頭上からナイフの雨を降らせます!
「いてててっ」
小町選手、外した薙ぎ払いの回転力を殺さずにそのまま背後の咲夜選手を攻撃!
しかし咲夜選手は既に間合いの外です!
「うぬぬ・・・」
咲夜選手が再び間合いを詰めだしました!小町選手今後は鎌を縦に構えます!
じっくりタイミングを読んでから唐竹に振り下ろす!
・・・と、咲夜選手踊るようにこれを回避して遠心力たっぷりの一撃を小町選手の背中に斬りつけた!
「ぎゃあっ」
小町選手が後ろを振り返るも、咲夜選手は既に再び距離を取っています。
「分かってもらえたかしら?判断に遅れが生じるのは、不意の攻撃を受けるから。だから逆にこちらから攻撃の手を休めなければ・・・特に相手の反応が読みやすければ、考えてから動くだけで十分間に合う」
「あたいの反応が読みやすいってのかい?」
「あなたの鎌は大きすぎるのよ。ナイフみたいに突いたり、投げたり、軌道を変えたりできないでしょ。構えを見ただけで次に何をするか分かるわ」
「ふぅん、なるほどねぇ」
小町選手、感心している場合ではありません、劣勢なんですよ!
「つまりあれだ、お前さんが想像もできないような手で対応すりゃいいんだろ?」
「あら、いい前振りね。何を見せてくれるのかしら」
咲夜選手、小町選手の言葉に物怖じせずにまた間合いを詰めます!
小町選手はどんな手を使うのか!鎌はまた縦に構えています!ここまではさっきと同じ!
そしてまたタイミングを見て鎌を振り下ろしました!
咲夜選手はまた難なくこの鎌をかわします!
・・・と、これは!
小町選手が鎌を振り下ろしたポイントに光の柱が立ち上っています!
柱の内部に取り込まれた咲夜選手は動きが遅くなっている!
あれ?これって「無間の道」では!?
疑うべくもなく最初に使わないと約束した、距離を操る能力による技です!!
小町選手、ここにきて一方的な条約違反だーっ!
小町選手は一旦距離を取ります!
「ふふん。まさか使わないと約束した能力を使うとは思わなかっただろう」
「あなたって・・・開いた口がふさがらないわ。確かにこれは予想しなかったわね」
これは呆れました!プライドもへったくれもありません!
「うるさいねぇ、勝てば官軍だよ」
手段の是非はともかく、咲夜選手は足止めを受けてしまいました!これでは次の攻撃をかわすことができない!!
「さぁ、仕上げと行くよ!」
小町選手は何のためらいもなく鎌を振り上げて咲夜選手に襲いかかります!
逃げる術を失った咲夜選手、反故になった約束を捨てて、時間を操るか!
「スペルカード、光速『C.リコシェ』!」
時間を操る能力は使いません!それでこそ咲夜選手!
それにしてもこのコンマ数秒を争う場面でなぜか時間差のあるスペルカードを発動!果たしてその意図は!
「そんな遠回りナイフ、お前さんをこの一発で仕留めた後でゆっくり避けてやるさね」
小町選手、深く考えずに鎌を振り下ろした!
おおっ!
咲夜選手、死神の鎌を白刃取りしています!!これは見事!
「ぐぐっ・・・」
「さあ、どうするの?じきに私がさっき放ったナイフがあなたの背中に突き刺さるわよ。逃げなくてもいいの?」
鎌の刃を掴まれた小町選手、鎌を手放してナイフを避けるか、鎌を諦めずナイフに刺さるかの二択を迫られました!
さぁ!どうする!さぁさぁさぁ!!
「ちくしょう!」
鎌を手放した!小町選手、大事な鎌を咲夜選手に奪われました!!
咲夜選手は嬉しそうに手に入れた鎌を振り回しています!私も一度やってみたいです。
「それを返しな。お前さんみたいな細腕には使いこなせない得物だよ」
「あなたは『完全』の意味を知らないようね。今からその体にたっぷり刻み込んで上げるわ」
「はぁ・・・分かったよ、あたいの負けだよ。だからもう返しとくれ」
おっと、ここで小町選手が負けを認めました!決着です!
「小野塚小町、戦闘放棄により敗北!お説教の内容は、分かっていますね?」
条約違反をしてまで敗北した小町選手、お説教の長さは計り知れないものでしょう。これぞ自業自得。
二回戦第七試合は十六夜咲夜選手の勝利です!
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二回戦最終試合はミスティア・ローレライ選手VSパチュリー・ノーレッジ選手!
えーっ、パチュリー選手また雑魚妖怪相手ですかー?
しかしミスティア選手は一回戦で奇跡的に霊夢選手を敗った経緯もあります、一応油断はできません!
「すいよ~びはすいすいすい もくよ~びはも~くもく」
「お気楽ね。また勝算でもあるのかしら」
一回戦の奇跡をまた見せてくれるのか!ほんのり期待がかかります!
二回戦最終試合の開始です!
「スペルカード、鷹符『イルスタードダイブ』!」
え、ちょっと一回戦と同じ事をするんですか!?
あーっ、また照明を壊しました!ちゃんと弁償できるんでしょうね!
「スペルカード、夜盲『夜雀の歌』!」
間違いありません、ミスティア選手は確実に調子に乗っています!
一回戦での勝利が忘れられないようです!
ともあれまたしても会場は真っ暗です!
霊夢選手が脆くも敗れ去ったこの作戦に、パチュリー選手はどのような策を以て対抗するのか!
「スペルカード、鳥符・・・」
「スペルカード、日符『ロイヤルフレア』」
おーっ!真っ暗だった会場に太陽が現れました!
実況する側としてはありがたい展開!これでリング上の様子を事細かに実況できま・・・す・・・。
えっと・・・おいしそうに焼けています。
「ミスティア・ローレライ、戦闘不能と見なし敗北!お調子者過ぎる態度はお説教です!」
ミスティア選手、二匹目のドジョウを狙ったつもりが焼き鳥になってしまいました!
やはりあの作戦は鳥目の人にしか通用しなかったようです。
「だから私は鳥目じゃないと何度も」
ちなみに敗者の声はこの実況席には届かない仕組みになっております。
というわけで、二回戦最終試合はパチュリー・ノーレッジ選手の勝利、三回戦で十六夜咲夜選手との対決となります!
これで二回戦の試合が全て終了しました!
選りすぐりの精鋭達を弱者と切り捨て、勝ち残った選手達はまさに修羅!
三回戦では更に激しい戦いを見せてくれることでしょう!
それではまた次回の放送で!!
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続く
幻想郷の強きも弱きも寄っといで、みんなでわいわい天下一武道会のお時間ですよ!
やって参りました二回戦、八意永琳選手VS蓬莱山輝夜選手、八雲紫選手VS八雲藍選手という二つの主従対決カードを含め、一回戦を勝ち抜いた選手達によるハイレベルな戦いが期待できます!
あ、一回戦の様子はこちらをご覧下さいね。
大会ルール説明と一回戦序盤:
ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_p/?mode=read&key=1270841173&log=61
一回戦第五試合目以降:
ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_p/?mode=read&key=1272657221&log=63
では早速参りましょう!二回戦第一試合!八意永琳選手VS蓬莱山輝夜選手です!
永琳選手が普段の実力を抑えているのも、全ては主である輝夜選手への忠誠心がため!
その姫君に対して永琳選手は果たして矛を向けるのか!
「姫、一つ確認します」
「何よ」
「姫がもし優勝なさったら叶えたい望みは・・・」
「妹紅が死ぬ事よ!」
「そうですか、分かりました。・・・では姫に優勝をお譲りする訳には参りません」
永琳選手はどうやら本気です!その目に映るのは優勝に対する深い欲望か、それとも!
張りつめる空気の中、試合開始です!
「永琳にはいつもすごく感謝してるのよ。こんな私にここまで付いてきてくれて。そしてきっと、これからも付いてきてくれるのでしょうね。でも私は一つだけ気に入らない。いつまで経っても私を『守って』いること。いつまで経っても私を下と見ていること。優勝を『譲らない』というセリフは・・・認めない!!」
「姫・・・」
永琳選手が目を閉じて静かに大きく息を吸いました。
ゆっくりと弓を構えます。
何という険しい表情でしょう、優勝候補の萃香選手と一回戦で対峙した試合でもあれだけ余裕綽々だった永琳選手と同じ人物とは思えません。
「分かりました。これより先は互い全力。そのお言葉の重さ、我が弓にて量らせていただきます」
永琳選手が十分に弓を引き絞り、まずは一矢を放ちます!その軌道が指すは真っ直ぐ輝夜選手の眉間!永琳選手が本当に主を狙いました!!
輝夜選手は首だけを傾けてその決意の一矢をかわした!
「参ります!」
永琳選手が弓を天へ向けて大量の矢を一斉射撃!同時に輝夜選手へ向かって走り出しました!
輝夜選手へ迫り来るは天からの矢の雨と地からの猛進!これにどう対処するか!
輝夜選手、まずは天に霊気の嵐を放ちました!矢の雨が吹き飛んでいきます!
永琳選手は構わず接近!そのまま弓を振り払いました!だが輝夜選手は隙なく一歩引いてこれを回避!
その引いた足を強く踏みしめて、弓を振り抜いた永琳選手の胸元めがけて霊気を込めた掌底!
しかし永琳選手これを察知し再び距離を取りました!
「スペルカード、難題『龍の頸の玉』!」
息をつかせず輝夜選手がスペルカード発動!五色の弾幕が永琳選手へ襲いかかります!
これに対して永琳選手は・・・跳んだ!弾幕の薄い輝夜選手の頭上を越えて、リングの逆側へ行くつもりと思われます!
ついでに空中から輝夜選手へ弓を連射!
この牽制射撃を避けるというよりくぐり抜けて、輝夜選手が走る先は永琳選手の着地予定ポイント!
両の掌に霊気を溜めて対空迎撃の体勢です!これは永琳選手ピンチか!?
「スペルカード、秘術『天文密葬法』!」
永琳選手これを予測済み!ベストタイミングで発動したスペルカードによる使い魔の光が輝夜選手を幾重にも取り囲んで行く!
これに取り込まれてしまうとそのまま密葬は必至です!今度は輝夜選手がピンチ!
輝夜選手、両手に溜めた霊気を咄嗟に床にぶつけました!反動を利用した凄まじい速度で上空へ脱出!
さすがの永琳選手もそれ以上は追撃できずに着地!
続いて輝夜選手も着地!
ここで一旦両者の攻撃が止みました。
私もやっと一息つけます。何と激しい攻防の応酬、これこそ二回戦の凄みというものでしょうか!
「やっぱり・・・永琳には叶わないのかしらね」
「姫?」
おや、輝夜選手どうしたのでしょうか。私の目には互角に渡り合っているように見えたのですが。
「互角じゃないわ。たったあれだけのやり取りで、私は既に霊力の二割を使わされてしまった。でも永琳が使ったのはスペルカード一枚の他は矢のみで、何の消耗もしていない。これが永琳が本気になった時の戦い方なのよ。搦め手を狙いながら相手の消耗を誘う・・・まさに狩人」
「私の事を、卑怯と思いますか?」
「いいえ。それを成し得るのはあなたの実力。私はそれを知りながら消耗せざるを得ないのだから。・・・そして何より、あなたが全力で私に向き合っている証だもの。私は嬉しい」
「・・・はい」
「とは言え、私もこのままおめおめと削られきる訳には行かないの。・・・永琳、私は今から全ての力を以てスペルカードを使うわ。それが終わった時にあなたが立っていれば、あなたの勝ちよ」
「・・・御意のままに」
輝夜選手、長期戦は不利と見て瞬間火力全開の早期決着を宣言、永琳選手もこれを受諾して、早くも主従対決の最終局面を迎えることになりました。
「行くわよ・・・スペルカード、難題『蓬莱の弾の枝』!!」
始まりました!輝夜選手、そして彼女を守るように現れた使い魔の光から虹色の弾丸が放たれます!
「蓬莱の弾の枝・・・。その弾幕層の厚さは一級品だけれど、距離を空けすぎず、詰めすぎず、適正に保っていれば避けきるのは決して難しくない。・・・でも!」
あぁっ!?永琳選手、何を思ったか弾幕に向かって自ら走り出しました!
「姫の本気に・・・姫の叫びに、私も真っ向から応えたい。応えなければならない!」
無茶です!永琳選手は避けきるという選択肢を捨てて、使い魔に守られた輝夜選手に直接攻撃をしに行くつもりです!
永琳選手が弾幕の中を駆け抜けていきます!平気なはずはありません、視認できるだけでもかなりの量の弾幕に当たっています!だが永琳選手は歩を緩めない!
・・・そしてついに使い魔をすり抜けた!!
「!?」
「姫、これで終わりです!」
決まったぁ!!永琳選手が弓を振り抜き、輝夜選手の体躯を宙高く打ち上げました!!
これは勝負あり!!!
輝夜選手ダウン!ですが永琳選手も思わず膝を落とします!!
「お強く・・・なられましたね」
「結局あなたには歯が立たなかったけどね」
「いえ。姫のお覚悟、体にも心にも深く突き刺さりました」
「ところで永琳、私を倒してまで優勝して叶えたいあなたの願いって何?」
「これからもいつまでも・・・永遠に姫の臣下でありたいと・・・」
「そう・・・必ず優勝しなさい」
「・・・はい」
永琳選手が輝夜選手を抱きかかえて退場していきます。
これは良い試合を見せてもらいました!
二回戦第一試合は、熱き主従対決を制した八意永琳選手の勝利です!!
******************************
さてそんな名勝負の次は二回戦第二試合、チルノ選手VS西行寺幽々子選手の対決です。
敢えて言おう。どーでもいいと。
だってそうでしょう、あんな名勝負を見せられた後にこんな消化試合見られますか?見られませんよね?
一回戦で「つまらない試合は私の休憩タイムとします」って宣言したのに、まだ一度も休憩していないんです!
はい、ではこの試合の間、私は休憩します!一旦CM!!
「ぴょん・・・ぴょん・・・
ガラガラガラ
きゃあっ!!
ガシッ!
ファイトォーッ!
いっぱーつ!!!
滋養強壮に、永琳印の国士無双D!
用法・用量を守って正しくお使いください
お買いあげの方には抽選で、鈴仙の寝顔隠し撮り写真をプレゼント!」
あーうー。まだろくに休憩できていないのに、試合が終了致しましたぁ。
チルノ選手がスペルカードを使用する前に、幽々子選手に吹っ飛ばされて試合終了です。もっと粘ってよね。雑魚妖精め。
「ちょっと失礼!」
あれ、鈴仙選手どうかしましたか?
「いいから、ちょっとマイク貸して!!・・・コホン。どうも、鈴仙・優曇華院・イナバです。先ほどのCMで抽選によるプレゼントについての言及がありましたが、そのような事実は一切ありませんのでお詫びして訂正します、以上!!はいマイク返すわよ」
あ、はい。
鈴仙選手、ツカツカと歩いて・・・てゐ選手の首根っこを掴んで・・・そのまま室外へ。何なんでしょう。
「んぎゃあああああぁぁぁぁぁ・・・・・・」
え、何をして・・・
「んのおおおおおぉぉぉぉぉ・・・・・・」
・・・。
てゐ選手、十分なコンディションで次の試合に臨めるといいですね・・・。
と、とにかく二回戦第二試合は西行寺幽々子選手の勝利です!三回戦で八意永琳選手とぶつかります!
******************************
さて二回戦第三試合は魂魄妖夢選手VS因幡てゐ選手です。が。
今手元に届いた情報によりますと、てゐ選手が何者かに襲われて既に戦闘不能状態との事です。
よって本試合は魂魄妖夢選手の不戦勝となります。
何者か・・・って、何者なんでしょうね。あやや分かんな~い♪いたた・・・ちょっと!空き缶を投げたのは誰ですか!!
******************************
さくさく行きましょう、二回戦第四試合です。リリカ・プリズムリバー選手VS鈴仙・優曇華院・イナバ選手。
「気を付けなさい。今の私は気が立ってるわよ」
「毛並みも逆立ってるみたいね~」
一体何があったんでしょうねぇ。鈴仙選手、まるで今さっき一戦交えてきたかのような雰囲気です。
ちなみにリリカ選手は何気に一回戦を勝ち抜けた唯一のプリズムリバー一家です。お家の看板を背負っての二回戦出場ですね。
それでは試合開始です!
「音なんて波の代表格。あなたよりもむしろ私の支配下に置かれるべきもの。あなたは私に抗う術を持っていないのよ」
「音?音なんて使わないわよ。私の音楽は精神を乱す効果はないのよね。戦いには不向きだわ」
おっとリリカ選手、いきなり元も子もない事を言い出しました。それでは何で戦うつもりなんでしょうか?
「兎を狩るのに力はいらぬ・・・てね。まずはかかって来なさい、うさーぎさぁん」
おー、リリカ選手挑発ですか?
「ふっふっふ、今の私は気が立っていると言ったでしょう。いけない子をもう一匹お仕置きするくらい何でもないのよ」
鈴仙選手がおもむろに懐から瓶を取り出しました。ラベルには・・・「国士無双」!
ぐいっと一本!もう一本!さらに一本!
鈴仙選手、国士無双の薬三本を一気飲みです!
「スペルカード、長視『赤月下(インフレアドムーン)』!」
続いてスペルカードを発動、鈴仙選手は姿を隠しました!
「私の攻撃力は飛躍的に向上した。そしてあなたからはその強力な攻撃がどこから来るか分からない。この状況でもさっきみたいな軽口を叩けるかしら?」
「とんでもない、最初から怖れてるわよ。だってあなたは月で厳しい訓練を受けた優秀なうさぎさんなんでしょう?」
「・・・何が言いたいのよ」
「月のみんなはさぞあなたの高い資質に期待していたんでしょうね。いずれ戦争が起きたときには大きな戦力になるって」
「やめなさい」
「だからこそ特別な訓練を受けて、あなたは期待通りに実力をつけて、月のみんなを喜ばせて」
「やめろ」
「でもいざ戦争が起きそうになったら、あなたはみんなの期待なんてお構いなしに逃げて来ちゃったんだって?文字通り脱兎の如くね」
「やめろって言ってるでしょ!!」
「どうしてお前だけ逃げた?みんな怖いのは同じなのに。みんな同じくらい怖いからお前に期待していたのに。お前がみんなの心の拠り所だったのに。お前を信頼していたみんなに、お前は恐怖だけを残して逃げてきた。その事実に赤い眼を閉じ、長い耳を伏せて、今こんな所でのんきに何をしている!?」
「やめてえええぇぇぇ・・・」
これは・・・鈴仙選手の姿が見えてきました!リリカ選手、狂気を操る鈴仙選手の狂気を操っています!
できるだけ全ての事を口八丁で収めようとする、これがプリズムリバー家で最もずるがしこいリリカ選手の真骨頂!
すごむと結構いい声を出すんですね。
「はい見つけた!スペルカード、騒符『リリカ・ソロライブ』!」
ついに現れた鈴仙選手の実体に、リリカ選手が全力のスペルカード発動!
鈴仙選手、波長を操る暇もなく当たっ・・・てません!それも幻です!!
鈴仙選手の精神はまだ首の皮一枚で正気を保っているようです!
依然として鈴仙選手の姿は目視できません!
「あれ?まだそんな幻ごっこができる余裕があるのね。月の仲間を裏切った事なんて、大した事じゃないと思ってる証拠ね」
「何とでも・・・言いなさい・・・勝つのは・・・私よ・・・」
「どの口がそんな事を言うのかしら。スペルカード一枚発動する精神的余裕もない癖に」
「スペルカードが・・・使えなくても・・・弾幕を・・・撃てなくても・・・薬を一本飲むくらいは・・・できるのよ・・・」
薬を・・・飲む?まさか鈴仙選手、禁断の四本目に手を出すのでしょうか!?
「え、ちょっと待っ・・・」
あぁーっ!!鈴仙選手がついに四本目の国士無双の薬を飲んだようです!リング上で大爆発が起こりました!!
リングには鈴仙選手とリリカ選手の両方がダウンしています!
そして手をついてゆっくりと起きあがったのは鈴仙選手!!リリカ選手は起きあがりません!!
「リリカ・プリズムリバー、戦闘不能と見なし敗北!いつも最小限の労力で事を成そうとする態度はお説教です!」
二回戦第四試合は、己の狂気をぎりぎりで制御しきった鈴仙・優曇華院・イナバ選手の勝利です!
三回戦で魂魄妖夢選手と対決することが決まりました!
******************************
折り返して二回戦第五試合は八雲紫選手VS八雲藍選手の主従対決です!
輝夜選手VS永琳選手のような名勝負を見せてくれるのでしょうか!
「本気でかかってきてもいいのよ?あなたがどれくらいの実力を身につけたか、見てあげる」
「えっと・・・私は・・・その・・・」
うーむ、永琳選手と違って藍選手は交戦意欲がなさそうです。藍選手、棄権しますか?
「やり・・・ます、一応やってみます!どうせいつかは当たらなきゃならなかったんだし」
藍選手が畏縮しきっていて戦局がいまいち不安ですが、試合開始です!
「さぁ・・・いらっしゃい」
ひやーっ。紫選手の背後に無数の目が見えます、おお気持ち悪い。
あれは紫選手が召還した変容を見る目ですね。藍選手が隙を見せた途端にボンッです。
しかも不用意な移動は場外負けを誘発することが一回戦で証明されています。
そんな一瞬の隙を見せることも許されない状況で藍選手は一体どのような行動に出るのか?
「ええい、行きます!」
藍選手、しゃにむに突撃!それはダメだって今私が言ったばかりなのに!魔理沙選手の二の舞ですよ!
「紫様が空間に歪みを作り始めてから人サイズのスキマを開くまで約0.43秒、意識さえしていれば十分に回避できます!」
お、おお・・・さすがに藍選手も紫選手の事を熟知しているんですね。
だが紫選手に接近したところで藍選手の取る行動や如何に!?
紫選手は余裕の笑みを浮かべて微動だにしません!
ですが藍選手の突撃はあまりに直線的です!いくら数式に裏打ちされていてもあれでは返り討ちに合うのでは!
紫選手が足下にスキマを開きました、中からはおなじみ道路標識!藍選手を迎撃します!
ちょっと、藍選手はこれに構わず進んでいます!それじゃまともに道路標識をもらってしまいますよ!
紫選手の道路標識が藍選手にクリーンヒッ・・・トしてない、藍選手消えました!
「あら?」
「せいっ!!」
あーっ!藍選手、紫選手の背後に現れてその延髄に手刀をお見舞いしました!
「きゃあっ!」
これが紫選手にヒット!背後からの不意打ちを喰らってさしもの紫選手も悲鳴をあげました!初めて聞いた気がします!
召還主の意識が途切れ、変容を見る目が消えていきます!
「私が紫様に勝機を見出せるとすれば、その糸口は紫様の油断だけ。紫様に直接稽古をつけてもらっていた頃のレベルで動いておいて、いきなり全力を出せば不意をついて急所を狙えるはず。そこに賭けました」
なるほどなるほど。力も速さも、昔とは違うんですよねぇ。なんせこき使われてますもんねぇ。
さて飼い狐に手を噛まれた紫選手がまさかのダウン!急所への一打で意識を失ったか!?
「・・・なーんちゃって」
やはりダメです、効いていません!紫選手ひょっこり立ち上がりました!
でもなんちゃってとは古い!!いたた・・・ちょっと!あなただったんですか、空き缶を投げていたのは!!スキマから落としていたとはっ!!
「いえ?私は今回だけよ?みんなイラッとした時に思い思いに投げてるからね」
ぶーぶーっ。
もう!さっさと試合再開して下さい!
「あ、私もう降参で」
えぇ!?もう降参ですか?せっかく紫選手に先制攻撃できたんだから、有利ですよ、有利!!押し切ってしまえばもしかしたら・・・。
「あの不意打ちでダメージを与えられなかったらもうダメです。勝ち目が完全に消えました。ここから先は私の公開お仕置きになってしまうので」
「あら、私は公開お仕置きも悪くないと思うけど?恥ずかしさもあってお仕置き効果倍増ね」
「ほらほら、こんな事言いだしてるんですよ?降参です、降参!!」
「八雲藍、戦闘放棄により敗北!主に完全依存したハングリー精神のなさはお説教です!」
「藍も強かったわよ。私の予想を三割は超えていたわ」
まぁ、あれだけ畏れていたご主人様に一撃とは言え攻撃したんだから今日はそれでよしとしましょう。
二回戦第五試合は八雲紫選手の勝利です!
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さて・・・二回戦第六試合のアリス・マーガトロイド選手VSレミリア・スカーレット選手なんですが・・・。
レミリア選手は既にリング上にスタンバイしているのですがアリス選手の方がまだ準備ができていません。
一回戦の激戦による後遺症を、控え室でルナサ選手とこいしさんが治療中なのですが・・・もし間に合わなければレミリア選手の不戦勝ということになります。
お、噂をすれば入場口からルナサ選手です。治療は終わったんですか?
「えーと、まず始めに大変申し訳ない」
え?まだ終わっていないんですか?
「いや、私にできる事はやった。もうこの状態で試合をしてもらうしかない」
まだ前の試合の状態のままということですか?
「いや、前の試合の状態からは変わっているんだけど・・・」
やりすぎちゃって鬱になってるということですか?
「そうでもない。躁+鬱=0という訳にはいかなくってね・・・。こんな風になってしまったんだ。・・・おいで」
そうですね、四の五の言ってないで本人を出していただきましょう。ルナサ選手の後ろから・・・え、誰?
「誰って。ほら、自己紹介しなさい」
「ありしゅ・まーがとろいどでしゅ☆」
は?
ええええええ!?その子がアリス選手ですか!?
何で?え、何で?精神治療しただけでしょ?何で見た目まで変わるんですか!?子供じゃないですか!!
「いや、精神が身体に及ぼす影響は大きいよ。想像妊娠なんてのもあるくらいだからね。自分は妊娠したと強く思いこめばお腹も膨らむし、自分は子供だと強く思いこめば体も縮むさ」
そんなんアリですか?永琳選手、そんなのってあるんですか?
「んー、まぁ普通はありえないけど、ここは幻想郷だから・・・」
いやいや、「幻想郷だから」で済まされて良い問題と悪い問題があるでしょう!!これじゃ試合なんて言ってる場合じゃありませんよ!!
「うるしゃい!しあいはしゅるの!ゆうしょうして、おにんぎょうしゃんを、い~っぱいもらうの!」
・・・。レミリア選手、どうします?
「まぁ・・・やってあげてもいいわよ。不戦勝と大差ないでしょ」
そうと言えばそうですが・・・。
はぁ・・・もういいです。審判さん、始めて下さい。
どうなるか分かりませんが試合開始です。
「さぁお嬢ちゃん、かかっておいで」
「ありしゅからやっていいの?じゃあいきましゅね☆しゅぺるかーど、にんぎょう『れみんぐしゅぱれぇど』!」
「ちょっ」
ぎょえええっ!!アリス選手、見た目は子供でも霊力は元のままなのか!?
アリス選手がおびただしい量の人形を召還、レミリア選手に向かって押し寄せていきます!!
レミリア選手、思わず空中へエスケープ!!人形のパレードを回避します!!
「うわっ!?」
あれ?レミリア選手、空中でバランスを崩しています・・・って、その左羽にはいつの間にかアリス選手がっ!!
「はむはむ・・・このはねおいしいでしゅね」
「ちょっとやめてよ気持ち悪い・・・というかうまく飛べな・・・あーっ」
レミリア選手地上へ転落!!しかもそこは人形パレードのど真ん中です!!レミリア選手大ダメージ!!
人形達が通り過ぎて・・・レミリア選手はまだ左羽のアリス選手と格闘中です。
「離れなさい・・・離れなさいってこの・・・せめてその甘噛みをやめなさい、ばっちぃわね!」
ようやくアリス選手の頭を掴んで放り投げました!!
「ふえええぇぇん・・・いたいよぉ」
「ええい、まどろっこしい!一気に決めてやる!」
わんわん泣いているアリス選手にレミリア選手が急接近!至近距離から大技で決めるつもりです!
「スペルカード、悪魔『レミリア・・・」
「しゅぺるかーど、しぇんしょう『どぉるずうぉー』!」
しかしレミリア選手のスペルカード始動よりも先にアリス選手がスペルカードを発動!!
人形達がアリス選手を守るように陣を張りました!!
不意の反撃にレミリア選手、またもダメージをもらいました!!一旦距離をとります!
「しゅぺるかーど、じゅしょ『ほうらいにんぎょう』!」
アリス選手、子供の癖に追撃の手を緩めません!強力なレーザーの束をレミリア選手に照射!!
レミリア選手はまたも空中へ逃げ・・・られません!左羽にべったりついたヨダレのせいでうまく飛べない様子です!
ここでもレミリア選手、大ダメージ!
というかアリス選手、元より強くなってませんか?
「いや、それぞれのダメージは大したことないんだけど・・・何て言うのかしら、手加減がないというか、見境がないというか・・・」
おお、アリス選手、子供になったせいで「全力を出さない」の方針がなくなったのでしょうか!
何も考えずに次々と大技を繰り出しているのはそのためですね!!
「でも、オイタをする子はお仕置きされる。それは盛者必衰よりも上位に君臨する理なのよ・・・ってコラ、帽子を返しなさい!それお気に入りなんだから・・・うわ食べるなぁー!」
「はむはむ・・・」
「返しなさいってこの・・・スペルカード、神槍『スピア・ザ・グングニル』!」
お、レミリア選手帽子を奪われて頭にきたか、スペルカードを使って取り返しにかかりました!高速で放たれた光の矢がアリス選手を襲います!
「はむはむ・・・」
しかし光の矢は、座り込んで帽子をはむはむしているアリス選手の頭上を通り過ぎて行った!
当然と言えば当然の結果!レミリア選手、少し冷静になって下さい!!
「はむはむ・・・うえぇ、これまじゅい。かえしゅ」
「うぅっ・・・ベタベタ・・・ぐすん」
あの、レミリア選手?大丈夫ですか?
「・・・。くっくっく、ついにお姉さんを怒らせてしまったようね。大人の女性を本気にさせた罪は重いわよ」
はぁ。大人の女性・・・ですか。
「ありしゅだって!!りっぱな!!おとなの!!じょせいだもん!!!」
あーそうなんだへーすごいねー。
「ふっ。あなたが大人の女性とは笑わせてくれるわね。味の違いも分からない癖に!!」
「!?」
「あなたは今私の左羽をはむはむした・・・でも本当は、右羽の方がおいしいのよ!」
「な、なんでしゅってー!!」
あぁ、もういいや。好きにやって下さい。すいませーん、コーラくださーい。
「この右羽・・・さぞはむはむしたいでしょうね」
「ゴクリ・・・」
げほっ・・・何このコーラ・・・「あずき味」?ざけんなっ!
「はむはむしても、いいのよ」
「いいんでしゅか!?」
あのね、幻想郷だからってとにかく突拍子もない味を出せばいいってもんじゃないのよ。こんなの外の世界で売ったら暴動もんよ?
何?もう外の世界では幻想になった味?・・・嘘つけっ!!
「昨日の敵は今日の友。あなたを味の違いが分かる一人前の女性に育てるためよ。さぁ、おいで」
「あ、ありがとぉごじゃいましゅ~」
ん?くだらない駆け引きがようやく終わったようです。このコーラの味については後で糾弾取材ですからね。
さて、レミリア選手の見え透いた罠に気付かず、アリス選手がレミリア選手に向かってダイブ!!
「バカめ、かかったわね!スペルカード、夜王『ドラキュラクレイドル』!」
飛びかかったアリス選手に対して大人げないレミリア選手のスペルカードが炸裂!地獄の特急便ドラキュラクレイドルだ!
紅い弾丸と化したレミリア選手の錐もみ突撃、幼いアリス選手では一溜まりもないか!!
「あーっ!!ありしゅのだいじな、とうしんだいありしゅにんぎょうが!!」
「え?」
え?
ああああ!!何とレミリア選手の突撃を喰らったのはアリス選手ではなく、アリス選手そっくりの等身大アリス人形です!
天からずたぼろになった等身大人形が落ちてきました。この悲惨さがレミリア選手のスペルカードの威力を物語っています。
「ふえぇ・・・しぇっかくぷれじぇんとしたのに・・・れみりあちゃんひどいよぉ」
え、プレゼントですか?
「ぐすっ・・・れみりあちゃんが、はねはむはむしていいっていうから・・・おれいにぷれじぇんとをなげたの・・・」
「プレゼントなら投げるなっ」
アリス選手は右羽はむはむのお礼に自分の宝物である等身大アリス人形を投げつけたら、レミリア選手はそれをアリス選手本人が飛びついて来たと思って攻撃した・・・ということですね。お分かりいただけたでしょうか?
「ああ・・・これちゅくるの、たいへんだったんでしゅよ・・・。ありしゅのむかしのしゃしんをひっぱりだして・・・あれ?むかしの写真?この人形はいまのありしゅを模したものじゃなくて昔の私のしゅがた?じゃあ今の私は大人??うぅっ、頭が・・・頭が痛い・・・!」
このパターンは!!アリス選手が自分を取り戻しつつあります!!頑張れ!もうちょっとだ!!
「こんだけ好き放題やっておいて自分だけハッピーエンドなんて認めないわよ!!スペルカード、夜符『バッドレディスクランブル』!」
ちょっ、何するんですか!!せっかく戻りかけているアリス選手に、レミリア選手が壁を蹴っての超高速突撃!!頭を抱えて苦しんでいるアリス選手では避ける術もありません!!
「きゃあぁぁっ!」
アリス選手、そのままダウン!空気は読めていませんが、これは勝負ありました!
「レミリア・スカーレット、場外に着地したため敗北!圧倒的に大人げない態度はお説教です!」
「え、私が敗北?」
え、レミリア選手が敗北?ですか?
「さっきのスペルカードで会場の壁を蹴ったでしょう。30m四方のリングの外に体の一部が接触した場合は敗北。ルールブックにもそう書いてあります」
ああ、そういえば私も大会前にそんな説明しましたね。レミリア選手、怒りに我を忘れてついでにルールも忘れてしまったようです。
「あんただって忘れてたんでしょ」
細かい事はいいんです。
そんな事より気絶してしまったアリス選手が再び控え室に運ばれていきます。元に戻りかけていた所へ邪魔が入ってしまっただけに、ややこしいことになっていないか心配です。
とりあえず二回戦第六試合は波乱の展開の末にアリス・マーガトロイド選手の勝利です。
しかし気を失ってしまっているアリス選手、三回戦で八雲紫選手と対戦するまでに自我を取り戻すことができるでしょうか?
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二回戦第七試合は小野塚小町選手VS十六夜咲夜選手、これはまともな試合が期待できそうです。
「お前さんとやり合うのはこれで何度目になるかねぇ」
「さぁ。普通に四度目くらいじゃないの?」
もう割とやり慣れてる感じですか?今回の軍配はどちらに上がるのでしょう。
はい、では試合開始です。
まずは咲夜選手がナイフをまとめ投げ、小町選手は鎌を回転させて難なくそれを防ぎました。
・・・と、あれ?咲夜選手がいなくなっています。
時間を止めて移動した先は・・・小町選手の真後ろ!完全に鎌の間合いの内側に入っています!
これでは小町選手が鎌を振り回しても刃が当たりません!
咲夜選手、手にしたナイフでいきなり試合を決めるか!?
おおおお?見る見る内に咲夜選手と小町選手との間の距離が広がっていきます、これは小町選手の距離を操る能力!
咲夜選手のナイフは空を斬りました!
そして逆に鎌の間合いに入った咲夜選手を死神の鎌が捉え・・・ない!
咲夜選手は時間を止めて一歩後退です!
「はぁ。まだるっこしいねぇ」
おや?小町選手が鎌を下ろしました。試合をサボっておしゃべりタイムですか?
「お前さんが時間を操りゃあたいが距離を操る。時間も距離もある意味じゃ同じようなもんだからねぇ。これじゃいつまで経っても戦いが進みやしない」
「・・・いつもの事じゃない。だからどうしたって言うのよ」
「こんな事を繰り返していたって無駄に試合が長引くだけじゃないかい。ここは一つ、お互いにその能力を使わないってのはどうだい?あたいは距離を操らない。お前さんは時間を操らない」
「ちょっとだけ面白そうね。乗ってもいいわよ」
「よし、決まりだ。堂々巡りのいたちごっこじゃ面倒くさいだけだからねぇ。あたいは面倒くさい事が大嫌いなんだ」
「ほお。小町、面倒くさい事とは例えば仕事ですか?前にも言いましたよね、あなたのその態度が私の公明正大を傷つけると」
「ひっ、四季様、いつからそこに!?」
「審判なんだから最初からに決まっているでしょう。バカな事を言わないの。それより、あなたの態度について後でゆっくりと話し合いましょう」
小町選手も上司の目の前で試合とは大変ですね。
ともあれ咲夜選手と小町選手の間で条約を締結、お互いに時間を操る能力と距離を操る能力を使わずに試合することになったようです。
この条約がどちらにどのような利益不利益を生むことになるか?
「時間を止められないなら間合いに気を付けないとね。スペルカード、銀符『シルバーバウンド』!」
まずは咲夜選手が牽制のスペルカード!大量のナイフをばらまいて小町選手を鎌の間合いに近づかせない作戦です!
「うわぁ、まさに弾幕だねぇ。こりゃあたいの古銭じゃ歯が立たないか。三途の舟、カモン!」
小町選手が仕事で使っていると思われる舟を召還、飛び乗りました!向かってくるナイフ弾幕を鎌で退けながら突進です!
これが咲夜選手にヒット!咲夜選手は舟にひかれて尻餅をつきました!すぐに立ち上がります。
「こら小町!その舟を仕事以外で使うなっていつも言っているでしょう!武器として使うなんて以ての外です!」
さて鎌の間合いまで近づいた小町選手、上司のお小言は聞こえない振りで死神の鎌を横に薙ぎ払います!
咲夜選手、ナイフで防御するも鎌の重みにはじき飛ばされた!
さっきから咲夜選手おかしくありませんか?小町選手の攻撃をなされるがままに受けています。
「時間を操れないからねぇ。咄嗟の事態に今まで時間操作で対処してきて、それに慣れてる奴さんに、いきなり時間操作なしで避けろって言っても、判断に一瞬の遅れが生じるもんさ」
「・・・。」
小町選手、それを狙って今回の条約を提案したのですか?
「まさか。そりゃ勘ぐり過ぎだよ。あたいだって距離を操れないんだからね」
「あなたが距離を操れないディスアドバンテージよりも、私が時間を操れないアドバンテージの方が大きいと睨んだわけね。汚いわね。さすが死神汚い」
「おや?負ける前から負け惜しみかい?」
「いいえ。あなたは一つ残念な間違いを犯している。こんな交換条件でなく、例え私だけが一方的に時間を操らなかったとしても、あなたは私に勝てない!」
咲夜選手、自ら小町選手に向かって走り出した!しかしそこは完全に小町選手の間合い!
タイミングを合わせて思いっきり鎌を薙ぎ払います!
「ぎゅむっ」
これに対して咲夜選手、小町選手の頭に手をついて宙返りで回避!おまけに頭上からナイフの雨を降らせます!
「いてててっ」
小町選手、外した薙ぎ払いの回転力を殺さずにそのまま背後の咲夜選手を攻撃!
しかし咲夜選手は既に間合いの外です!
「うぬぬ・・・」
咲夜選手が再び間合いを詰めだしました!小町選手今後は鎌を縦に構えます!
じっくりタイミングを読んでから唐竹に振り下ろす!
・・・と、咲夜選手踊るようにこれを回避して遠心力たっぷりの一撃を小町選手の背中に斬りつけた!
「ぎゃあっ」
小町選手が後ろを振り返るも、咲夜選手は既に再び距離を取っています。
「分かってもらえたかしら?判断に遅れが生じるのは、不意の攻撃を受けるから。だから逆にこちらから攻撃の手を休めなければ・・・特に相手の反応が読みやすければ、考えてから動くだけで十分間に合う」
「あたいの反応が読みやすいってのかい?」
「あなたの鎌は大きすぎるのよ。ナイフみたいに突いたり、投げたり、軌道を変えたりできないでしょ。構えを見ただけで次に何をするか分かるわ」
「ふぅん、なるほどねぇ」
小町選手、感心している場合ではありません、劣勢なんですよ!
「つまりあれだ、お前さんが想像もできないような手で対応すりゃいいんだろ?」
「あら、いい前振りね。何を見せてくれるのかしら」
咲夜選手、小町選手の言葉に物怖じせずにまた間合いを詰めます!
小町選手はどんな手を使うのか!鎌はまた縦に構えています!ここまではさっきと同じ!
そしてまたタイミングを見て鎌を振り下ろしました!
咲夜選手はまた難なくこの鎌をかわします!
・・・と、これは!
小町選手が鎌を振り下ろしたポイントに光の柱が立ち上っています!
柱の内部に取り込まれた咲夜選手は動きが遅くなっている!
あれ?これって「無間の道」では!?
疑うべくもなく最初に使わないと約束した、距離を操る能力による技です!!
小町選手、ここにきて一方的な条約違反だーっ!
小町選手は一旦距離を取ります!
「ふふん。まさか使わないと約束した能力を使うとは思わなかっただろう」
「あなたって・・・開いた口がふさがらないわ。確かにこれは予想しなかったわね」
これは呆れました!プライドもへったくれもありません!
「うるさいねぇ、勝てば官軍だよ」
手段の是非はともかく、咲夜選手は足止めを受けてしまいました!これでは次の攻撃をかわすことができない!!
「さぁ、仕上げと行くよ!」
小町選手は何のためらいもなく鎌を振り上げて咲夜選手に襲いかかります!
逃げる術を失った咲夜選手、反故になった約束を捨てて、時間を操るか!
「スペルカード、光速『C.リコシェ』!」
時間を操る能力は使いません!それでこそ咲夜選手!
それにしてもこのコンマ数秒を争う場面でなぜか時間差のあるスペルカードを発動!果たしてその意図は!
「そんな遠回りナイフ、お前さんをこの一発で仕留めた後でゆっくり避けてやるさね」
小町選手、深く考えずに鎌を振り下ろした!
おおっ!
咲夜選手、死神の鎌を白刃取りしています!!これは見事!
「ぐぐっ・・・」
「さあ、どうするの?じきに私がさっき放ったナイフがあなたの背中に突き刺さるわよ。逃げなくてもいいの?」
鎌の刃を掴まれた小町選手、鎌を手放してナイフを避けるか、鎌を諦めずナイフに刺さるかの二択を迫られました!
さぁ!どうする!さぁさぁさぁ!!
「ちくしょう!」
鎌を手放した!小町選手、大事な鎌を咲夜選手に奪われました!!
咲夜選手は嬉しそうに手に入れた鎌を振り回しています!私も一度やってみたいです。
「それを返しな。お前さんみたいな細腕には使いこなせない得物だよ」
「あなたは『完全』の意味を知らないようね。今からその体にたっぷり刻み込んで上げるわ」
「はぁ・・・分かったよ、あたいの負けだよ。だからもう返しとくれ」
おっと、ここで小町選手が負けを認めました!決着です!
「小野塚小町、戦闘放棄により敗北!お説教の内容は、分かっていますね?」
条約違反をしてまで敗北した小町選手、お説教の長さは計り知れないものでしょう。これぞ自業自得。
二回戦第七試合は十六夜咲夜選手の勝利です!
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二回戦最終試合はミスティア・ローレライ選手VSパチュリー・ノーレッジ選手!
えーっ、パチュリー選手また雑魚妖怪相手ですかー?
しかしミスティア選手は一回戦で奇跡的に霊夢選手を敗った経緯もあります、一応油断はできません!
「すいよ~びはすいすいすい もくよ~びはも~くもく」
「お気楽ね。また勝算でもあるのかしら」
一回戦の奇跡をまた見せてくれるのか!ほんのり期待がかかります!
二回戦最終試合の開始です!
「スペルカード、鷹符『イルスタードダイブ』!」
え、ちょっと一回戦と同じ事をするんですか!?
あーっ、また照明を壊しました!ちゃんと弁償できるんでしょうね!
「スペルカード、夜盲『夜雀の歌』!」
間違いありません、ミスティア選手は確実に調子に乗っています!
一回戦での勝利が忘れられないようです!
ともあれまたしても会場は真っ暗です!
霊夢選手が脆くも敗れ去ったこの作戦に、パチュリー選手はどのような策を以て対抗するのか!
「スペルカード、鳥符・・・」
「スペルカード、日符『ロイヤルフレア』」
おーっ!真っ暗だった会場に太陽が現れました!
実況する側としてはありがたい展開!これでリング上の様子を事細かに実況できま・・・す・・・。
えっと・・・おいしそうに焼けています。
「ミスティア・ローレライ、戦闘不能と見なし敗北!お調子者過ぎる態度はお説教です!」
ミスティア選手、二匹目のドジョウを狙ったつもりが焼き鳥になってしまいました!
やはりあの作戦は鳥目の人にしか通用しなかったようです。
「だから私は鳥目じゃないと何度も」
ちなみに敗者の声はこの実況席には届かない仕組みになっております。
というわけで、二回戦最終試合はパチュリー・ノーレッジ選手の勝利、三回戦で十六夜咲夜選手との対決となります!
これで二回戦の試合が全て終了しました!
選りすぐりの精鋭達を弱者と切り捨て、勝ち残った選手達はまさに修羅!
三回戦では更に激しい戦いを見せてくれることでしょう!
それではまた次回の放送で!!
******************************
続く
あずき味のコーラってwwwww
やっぱりお嬢様大人げねえwww
みすちーも予想通りと言うかなんというかwwあとてゐwwww
さて……ほーらアリスちゃん。お人形いっぱいあげるからお家においでー。
しかも、おぜう様に勝ったしww
このままロリだったら紫にも勝てるんじゃないだろうか?
ちょっと、魔理沙人形でありしゅをゲットしてくる
お嬢様が姉性本能くすぐられてハートフルな展開になるかと思いきや、結構子供の喧嘩っぽくなりましたね。
まさか場外負けするとは思わなかった…。
これは勝った二人の今後の試合振りが楽しみで仕方ありません!