太陽の光も届かない魔法の森の奥地にテーブルとイスが置かれていた。その上にある蔦でできた繭がごそごそと動いている。
「プハァ。やっとできたわ」
簪だらけの頭をした少女、草柳 萱野はテーブルを見た。そこには、傘を差した八雲 紫がイスに座っている。
「あら?せっかく来てあげたのに招待した本人がいないなんてね」
「隙間め……開始は昼過ぎよ。こんな、朝早くに来るなんてどういう神経してるのよ。まったく」
「萱野はお寝坊さんですから、早い方がいいと思いまして」
萱野は、目を細くして紫を見た。
確かにお茶会をしようと言ったのは私だ。しかし、それは何年も前の話しだし――約束して、こなかったのは隙間の方だった。それが何だ、深夜になって紫の式神が「萱野様、ここでお茶会をするそうです」なんて言ってきた。
「……隙間。何年前の話だと思ってんのよ。最近はお茶会しようといった覚えがないわよ、私は」
「そう?いいじゃない。ちゃんとお茶菓子もあるわよ」
紫は境界にに手を入れて、博麗霊夢と書かれた菓子折りが出てきた。
「これは、巫女の隠しておいたお菓子。お土産話もあるわよ」
「はいはい。すぐに用意する」
紫の話は、森に住む魔法使いの話だった。その魔法使いは最近ペットを飼い始めたそうだ……しかも、妖怪をだ。その時は、気にもしていなかった。
――数日後
魔法の森にある妖精の木が数多の蔓で覆われた事件があった。しかし、それはすぐに収まって何事もなく忘れ去られてしまった。
ガサゴソと魔法の森の高い草道を萱野は進んでいた。
「もう。いったいどこに行ったのよ、あいつは……」
先月から手下の槌の子が一匹いなくなったのだ。
槌の子は大食いだからどこか食べ物がある所にいるだろうしかし、こんなに帰ってこないことはなかった。
「別に心配してるわけじゃないからね。一応主人として――」
萱野は一瞬止まって、まわりを見渡した。誰もいない。
「って、別に独り言じゃないわよ……」
はあ。誰に言ってんだろうと虚しくなった。
萱野は手下の蛇たちや槌の子たちの顔を覚えている。可愛らしい奴らだ。たくさん集まるとイライラするが、いなくなると寂しいものだ。
手下たちも、いなくなった槌の子を心配している。
「本当にどこ行ったのよ」
そういえば、この近くに住んでいた妖精の家が蔦に襲われたって噂があった。それを解決したのが霧雨の家出娘だった。
「まさかね……いや。行ってみるか」
それから半刻が過ぎて太陽が天高く昇った。
森を進む萱野は滴る汗をぬぐった。
「あっついな。あいつ、特に大食いだからな。……ん?」
森の奥に一軒のガラクタの山があった。倒れた表札に〈霧雨魔法店〉と書かれてある。
萱野は、静かに忍び寄っていく……。
「ここか家出娘の家は、ここにあったんだな」
その魔法店から聞きなれたいびきが聞こえてきた。
まさかな、と恐る恐る窓から覗くと本の山に囲まれた鳥かごに一匹の槌の子がいた。
コンコンと窓を叩くと槌の子は萱野に気づいて頭を上げて尻尾をふってる。
「ここにいたのか。どうりで……おやぁ」
後ろに誰かがいた。白黒のシルエットの少女だ。
「誰だ?撃つと動く……だから動く」
振り向かずに窓に映った影から見た。
「家出娘かあ?あの槌の子どうしたの」
「私のペットだ。可愛いだろ」
「そうねぇ。まあ、いつかは返してもらうけど、それまで可愛がってよ」
「???」
萱野は後ろの気配に向って指を鳴らす。すると、萱野を中心に地面が波打った。
「おわぁ。な、なんだあああ」
木の葉と根と蔦の猛襲……。
「じゃあね。家出娘――」
萱野の姿は木の葉に隠れていなくなった。
「なんだったんだ?」
魔理沙は呆然と見ていた。
「プハァ。やっとできたわ」
簪だらけの頭をした少女、草柳 萱野はテーブルを見た。そこには、傘を差した八雲 紫がイスに座っている。
「あら?せっかく来てあげたのに招待した本人がいないなんてね」
「隙間め……開始は昼過ぎよ。こんな、朝早くに来るなんてどういう神経してるのよ。まったく」
「萱野はお寝坊さんですから、早い方がいいと思いまして」
萱野は、目を細くして紫を見た。
確かにお茶会をしようと言ったのは私だ。しかし、それは何年も前の話しだし――約束して、こなかったのは隙間の方だった。それが何だ、深夜になって紫の式神が「萱野様、ここでお茶会をするそうです」なんて言ってきた。
「……隙間。何年前の話だと思ってんのよ。最近はお茶会しようといった覚えがないわよ、私は」
「そう?いいじゃない。ちゃんとお茶菓子もあるわよ」
紫は境界にに手を入れて、博麗霊夢と書かれた菓子折りが出てきた。
「これは、巫女の隠しておいたお菓子。お土産話もあるわよ」
「はいはい。すぐに用意する」
紫の話は、森に住む魔法使いの話だった。その魔法使いは最近ペットを飼い始めたそうだ……しかも、妖怪をだ。その時は、気にもしていなかった。
――数日後
魔法の森にある妖精の木が数多の蔓で覆われた事件があった。しかし、それはすぐに収まって何事もなく忘れ去られてしまった。
ガサゴソと魔法の森の高い草道を萱野は進んでいた。
「もう。いったいどこに行ったのよ、あいつは……」
先月から手下の槌の子が一匹いなくなったのだ。
槌の子は大食いだからどこか食べ物がある所にいるだろうしかし、こんなに帰ってこないことはなかった。
「別に心配してるわけじゃないからね。一応主人として――」
萱野は一瞬止まって、まわりを見渡した。誰もいない。
「って、別に独り言じゃないわよ……」
はあ。誰に言ってんだろうと虚しくなった。
萱野は手下の蛇たちや槌の子たちの顔を覚えている。可愛らしい奴らだ。たくさん集まるとイライラするが、いなくなると寂しいものだ。
手下たちも、いなくなった槌の子を心配している。
「本当にどこ行ったのよ」
そういえば、この近くに住んでいた妖精の家が蔦に襲われたって噂があった。それを解決したのが霧雨の家出娘だった。
「まさかね……いや。行ってみるか」
それから半刻が過ぎて太陽が天高く昇った。
森を進む萱野は滴る汗をぬぐった。
「あっついな。あいつ、特に大食いだからな。……ん?」
森の奥に一軒のガラクタの山があった。倒れた表札に〈霧雨魔法店〉と書かれてある。
萱野は、静かに忍び寄っていく……。
「ここか家出娘の家は、ここにあったんだな」
その魔法店から聞きなれたいびきが聞こえてきた。
まさかな、と恐る恐る窓から覗くと本の山に囲まれた鳥かごに一匹の槌の子がいた。
コンコンと窓を叩くと槌の子は萱野に気づいて頭を上げて尻尾をふってる。
「ここにいたのか。どうりで……おやぁ」
後ろに誰かがいた。白黒のシルエットの少女だ。
「誰だ?撃つと動く……だから動く」
振り向かずに窓に映った影から見た。
「家出娘かあ?あの槌の子どうしたの」
「私のペットだ。可愛いだろ」
「そうねぇ。まあ、いつかは返してもらうけど、それまで可愛がってよ」
「???」
萱野は後ろの気配に向って指を鳴らす。すると、萱野を中心に地面が波打った。
「おわぁ。な、なんだあああ」
木の葉と根と蔦の猛襲……。
「じゃあね。家出娘――」
萱野の姿は木の葉に隠れていなくなった。
「なんだったんだ?」
魔理沙は呆然と見ていた。
あなたの他の作品にも言えることですが、非常に独り善がりに感じました。