Coolier - 新生・東方創想話ジェネリック

短編 連続

2010/05/06 12:57:07
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1
 引き出しをそっと開いた。そこには、封印が施された箱がある。
 その箱を開けると、一枚の写真が入っている。もう、戻れない遠い故郷が・・・・・・。
「私と外を繋ぐのはこの写真だけですね。霊夢さん見ますか?」
「へぇ、写真。天狗が撮ったのじゃないのね」
 幻想卿に来てから、故郷の記憶が曖昧になっていった。友達の顔も親の顔も楽
しかった思いでも夢のように揺らいでいた。この写真以外・・・これだけが、私の宝物。
 幻想卿は全てを受け入れる。故郷を捨てた私も・・・。
「もう少ししか覚えてません。記憶が抜けていくのは、なんだか怖いですね」
「そうなの、私にはわからないけどね」
「・・・・・・。幻想卿は現実なんですね。故郷が今では夢のようです」
 私は、写真を封印の箱に戻した。いつか・・・これも・・・幻想に消えるだろう。
「霊夢さん。私・・・・・・・・」
 手の上に一筋の涙が落ちた。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
  
 私は、いつ死ぬ事をあきらめただろう。ぼんやりした頭を覚ますように
少し歩く事にした。
人里。友人がいる寺子屋がある。慧音はいるかな。
「妹紅。人里まで来るとは珍しいな」
 窓から覗くと慧音は、顔をだした。
「うん?どうした」
「いや。なんでもないよ」
「そうか。そうならいいが」
 私は慧音の後ろにある黒板を見た。懐かしい外の都だった。
「・・・平安京?」
「そうだが、妹紅は・・・そうかここに住んでいたんだな」
 思い出した。輝夜にばかにされた父の無念を、どうでもいいけどね。
「妹紅?何を笑っているんだ」
「昔を思い出してね。都や国に蓬莱の玉の枝なんてないのにバカな父のこと」
 私は慧音の顔を見た。
いつ死ぬ事をあきらめただろう。死ぬ事のない私には意味のない話だな。
 バカは私だ・・・。今日も永遠亭に行こう終わりのない輝夜を殺すためににね。
 だから、私は笑った。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 幻想卿の記憶と呼ばれる少女がいる。人の里の屋敷の奥で、椅子に座りながら
レコードを流していた。和服の少女。
『御阿礼の乙女』稗田当主、稗田阿求は眠っていた。
幻想卿縁起の編纂は一段落を向えて、浅い眠りを誘う。
「・・・・・・紫さん。何の要ですか?」
阿求は目を少し開けて、空間に現れた裂け目に呼びかけた。そこから、八雲紫の
上半身が出てきた。
「阿求。相変わらず、抜け目がないわね」
「お互い様です。それと、頼んでいた物はありますか?」
「ええもちろんよ」
紫は手を裂け目に入れて、英語で書かれた缶を取り出した。
「はい。アールグレイでよかった?」
「いつもありがとう御座います」
阿求は缶を受け取るとティーポットにお湯を入れた。カップは二つ。
もうすぐ、私はいなくなる。それまでに楽しまなきゃね。
三つの超掌編です。
雛菊
コメント



1.名前が無い程度の能力削除
とりあえず、幻想卿→幻想郷
2.名前が無い程度の能力削除
それと、ためににね→ためにね
    何の要→何の用
3.奇声を発する程度の能力削除
うーん、少し物足りないかな?私はそう思いました。