「ちーんちーん」そんなミスチーの静かな鳴き声すらも響き渡る命蓮寺の一室。
幻想郷に咲く一輪の花こと雲居一輪と幻想郷に現れたごっつい親父こと雲山がのーんびりと寝転がり、本日の予定(主に掃除)を決めようとしていたときだった、
「一輪ー、相談があるんだよー!」
一人の妖怪が壊すくらいの勢いで、障子の襖を開けて浸入して来たのであった。
その妖怪はピッタリと胸のラインが見える服に、ヘビ柄のパンツが見えそうなくらい短いスカート。見るものを惑わす黒い靴下。ピョコンと飛び跳ねたクセッ毛がとってもとっても愛らしい、封獣ぬえであった。
「息を荒げてどうしたのよ。また聖の顔にラクガキしたのがバレたの?」
「いや、星の宝塔を隠して泣かせた事がナズにバレ……。じゃなくってもっと大切な相談があるんだよ」
珍しくキリッっとした顔つきのぬえに、一輪も茶化すのをやめ相談に乗ることに決める。
「だけどぬえが私に改まった相談なんて珍しいわね」
「一輪達じゃないと駄目なんだ。それに、他の奴らに言っても馬鹿にされるだろうし」
そう言って、ぬえはもじもじと顔を赤らめ目を伏せた。一方、一輪は自分を信頼してくれたのを嬉しいと想うと同時に、ある疑問を浮かべる。ムラサ達には相談出来ない理由、それは何かという事を。いつもみんなにイタズラをしてるとはいえ、ぬえは可愛い大事な仲間の一人。その仲間の大切な相談を、ムゲにする事なんて私の知ってるムラサ達はしないだろう。
爆笑はするかもしれないけれど。そう想った、雲山は静かに腕を組んだ。
「あ、相談する前に一つだけお願いがあるんだ。今から話す事は、他言無用でお願いしたい。特に、ムラサやフランやこいしには」
「別にいいけどそんなに大変な事なの?」
「うん。私のプライドに関わる、重大な事件なんだ」
そう言ったぬえの顔は、まるで星が「お腹が空きました、助けてください!」と言ってナズーリンに泣きついた時の様に真剣だった。毘沙門天としての仕事が忙しくて食事が取れなかったんだろう。星の体から「がおー」じゃなく「ぐ~」と腹の音が鳴ったときはあの聖ですら笑っていた。あの悲劇をもう繰り返すわけにはいかない。
そんなぬえの切羽詰った表情を読み取った雲山は黙って頷いた。「なんでも私達に相談しなさい」って事よ。そう一輪が補足した。
「ありがとうね一輪、雲山。相談って言うのは、実はこれなんだ。絶対に見ても笑うなよ」
そう言って、ぬえはぷるぷると恥ずかしそうに体を震わしながら、問題の「アレ」を見せたのであった。それはさながら白い巨塔のように威風堂々とそびえ立ち、見るもの全てを圧倒させた。当然、一輪もその一人である。
「ぶあっはははは。なに、それが相談ごとなの? ごめんぬえ、笑いが、止ま、らない」
「もー、だから笑うなって言ったじゃないの!」
あの雲山さえも無い腹を抱えて苦しそうに笑い出す。本来それはおかしいものではないのだが、ぬえの迫真な顔とあまりにギャップが酷すぎて二人は耐え切れなかったのだ。しかし、ぬえは当然真剣そのもの。笑う二人を見て顔を風船のように膨らます。
「酷いよ二人とも……。私だって、急に生えてきて困ってるのに」
「あはー、ごめんごめん。相談理由が可愛くってつい。謝るからそんなに怒らないでよ」
ぷんすかしてるぬえの頭を一輪が撫でる。「子ども扱いすんな!」ってぬえはまた憤怒するが、そんなのは気にしないように一輪は微笑みかける。
「まぁまぁ落ち着きなさい。それで、ぬえは私に何をして貰いたいの?」
「えっと、抜いてほしいんだよね。一輪の馬鹿力で」
「えっ、抜くの? 私が?」
一輪が驚きに戸惑っていると、ぬえは顔を赤らめながら小さく頷いた。こんな立派なものを抜いたら痛いんじゃないか、というかなんで私が抜くんだろうか、馬鹿力って褒め言葉なのだろうかと、一輪は思案を巡らせる。
「お願いだよぉ。この強くてカッコイイ大妖怪の鵺がこんなもの生えてるなんて、みんなにバレたくないんだよ!」
しばらく一輪が迷っていると、ぬえが憂いに満ちた顔で頼み込んだ。
普段強気な彼女が珍しく乙女みたいなうるうるした目を見せる、
すると一輪も、
「仕方ないわねぇ」
と軽くため息を付いた後、ぬえの「アレ」へと一気に手を伸ばし、思いっきり掴んだ。ぬえ~とした生暖かい液体が一輪の手に付くが、彼女は一切表情を変えなかった。
「ぬへぇ、もうひょっと優しく触ってよぅ」
「文句言わない。抜いてと頼んだのは貴方でしょ。しっかし立派に生えてるわねぇ」
「そんなに触らないでよぉ。恥ずかしいじゃん……」
「ごめんごめん。じゃあ、このまま一気に抜くわよ」
「う、うん。ありがとう一輪」
と、ぷるぷると全身を震せたぬえが言う。目は皺が出来るくらいぎゅ~て瞑り、ロリな祟り神に祈るように可愛く両手をしっかり握ってる。そんな強くてカッコイイ大妖怪を見て、一輪はふっと笑顔を作る。
「まったく、恐怖を司る貴方がそんなに怯えてどうするのよ」
「だ、だって。怖いものは、やっぱり怖いんだもん……」
「そんなに嫌なら永琳さんに頼めば良いのに。あの人テクニシャンだから、すぐに抜いてくれるわよ?」
一輪の言うとおり、あの永琳ならこんなものはいとも簡単に抜くことが出来るだろう。しかもまったく痛みを伴わずに。しかしぬえはそれを拒絶する。
「で、でも。この私がこんな物を生やしてるだなんて、みんなにバレたらプライドに関わるんだよぅ」
「そんな物でイジイジと悩んでいる方が恥ずかしいと思うんだけど?」
「ぬえぇ……、だってさぁ」
ハッキリとしないぬえに、さすがに一輪も苛立ちを覚える。と、言うことは決してなかった。だって、ぬえは前からこういう奴だから。子供っぽく好き放題にイタズラをして、それでいて大人っぽく他人の目を一番気にする大妖怪。そんな彼女を愛しい、または懲らしめるという感情は思えど、腹が立つムカツクという感情はおおらかな一輪には持ち合わせていなかった、
「腫れて痛くなる前に、さっさと医者に見てもらった方が良いわよ。というかさ、私が抜いたら間違いなく血塗れになるわよ貴方」
「でもでも、鵺の誇りがぁ」
「そんなに心配なら、ウサ耳でもつけて行けばいいじゃないのよ。貴方お得意の正体不明の力で、どうとでも誤魔化す事が出来るでしょ」
「おお、なるほどその手があったか。ならさっそく変装用に作ってくるよ!」
と大声を出すと、ぬえは感心したように一輪と握手し部屋を飛び出していった。それはさながら電光石火のごとく。後に残された一輪と雲山は呆気に取られた。
「冗談のつもりで言ったんだけどねぇ。そんな簡単な事を忘れてたなんて、よっぽど悩んでたのねあの子」
そう一輪は呟いて、雲山と一緒に微笑んだ。それはぬえがあまりにも慌てたことが可笑しくて、ぬえの問題が解決したことに安心して出た笑みであった。
「だけど本当にあの子の悩みは可愛いわねぇ。まさかあの歳で親知らずが生えるなんて思わなかったわ」
ちなみにこの後、輝夜の能力すら見破った正体不明の生物「てゐ」によってぬえの変装がバレたことは言うまでもない。
どんな夢だよwwwwwてか後書きに持ってかれたwwwwww
歯っていうのは分かってましたけど…ええ本当に。
あと、私もそんな夢見たいよorz
汚い……なんと卑劣な
謎の生物てゐ
ただの5面中ボスとは思えないミステリアスな雰囲気を持ってるね
さて、その素敵な夢のアレンジをあちらでお待ちしてます。
すばらしいwwwww
>奇声を発する程度の能力さん
寝る前にぬえ! と叫べばきっと見れますよ!
>2さん
親知らずは痛いですよねぇ
>3さん
てゐは正直幻想郷で一番の謎です
>ぺ・四潤さん
しかし自分はあっち用のネタはまったく思いつかないという…。
>5さん
KENZENです
>6さん
そんな卑猥な事はかけません!
>7さん
星さんはただいま絶賛発売停止中です