!注意!
!Caution!
!Atenção!
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│この物語は幻想郷的にフィクションです。
│登場する人名、地名、状況などは実際の東方プロジェクトのものと少ししか関係なく、
│筆者による改変が著しいこと甚だしいでしょう。
│オマージュやパロディを多く含むでしょう。
│第三者が多く登場します。
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Thank you !
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│この物語は以下の東方アレンジを聴き幻視したものをアウトプットしました。
│素晴らしいアレンジを作って下さったアレンジャーに敬意を表します。
│
│BITPLANE 「Eastern Fairy Tale」 より 「DEVILISH DREAM / 東方妖々夢 」
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以上を良くお読みの上、承知された方のみ以下へお進みください。
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吹きすさぶ風に砂埃は舞い、何処までも広がる地平線は彼方に霞んでいた。
そして荒々しい地上をよそに、空はどこまでも青く、静かで、孤独だった。
この何者も寄せ付けぬ死の大地で、ただ一人旅を続けるモノがいた。
とあるオアシスのことである。
バーのオヤジはこの時の事をよく覚えている。
「最初目にした時は~こりゃまたちんまい剣士だと笑ったサ。
だがな、俺だってこの店継いで長い事やってんダ。
分かるんだよ。相手のくぐった修羅場の数ってのがヨ。」
その剣士は飲み物も頼まずいきなりこう聞いてきたとゆう。
『ここに春はあるか?』と。
あまりに突拍子もないことなので、その場にいた者は皆笑い転げた。
バラを差し出し「春はここに」とからかう者すらいた。
「ヤツはちょいと世渡り下手だ~ナ。
俺としても酒のひとつも呑んでくれりゃ良かったんだガ。」
求めるものがないと分かると、剣士はすぐにその場から立ち去ろうとした。
が、バーの若者は入り口を塞いで尚もふざけた。
身なりの小さな女性が一人でバーなどに入るなどとゆうことは、
キツイ酒で倒れるか、力づくで倒されるか、そんな末路しか用意されていなかったのだ。
それまでは。
「マジで問答無用だぜ? アリエネーし!
ほれ、ここだよ! 5針! ハラキリなんて冗談じゃねぇ!!」
不幸なことに、その剣士は会話が二の次だった。
『邪魔をするやつは、斬る。』
入り口の若者の腹は、既に一文字に切れていた。
店内は凍った。
「マジ舐めてっしょ?! だからよ、キレちまった。
あいつの首にその場で賞金を出してやったのさ。」
かくして賞金首となった剣士は町中から追われることとなった。
角を曲がり、隙間へ潜り、屋根へ跳び翻弄するも、、
思い思いのエモノを片手に荒い輩が次々と追っ手となり、
ついには荒野へと迫られた。
背には行き場もなく、正面にはかき集めの軍勢。
絶体絶命の中、しかし剣士は不敵に笑った。
「みんな血走っちゃって、そんなにお金が欲しいかしら?って。
でも実際に見てみたら少しわかったわ。
あんなにはしっこくて可愛いんだもの。襲いたくもなるわよねぇ?」
「あいつの振り回したエモノは腰の小さい方だったかネ。
ま、店ん中で背中のデカイ方は振り回せんだろ~がヨ。
…背丈に比べたらって話ダ。わかるだロ?」
「笑えるだろ?
俺の一声で大の大人が寄ってたかってガキをいたぶろうってんだ。
どいつもこいつも屈強な、この町を築き上げた野郎共だ。
だのにあいつは……くくっ、マジで笑えてきやがるぜ。」
男達は睨み合う時間は非常に長く苦痛に感じたに違いないし、こうも思っただろう。
何故撃てないのか? 何故かかって行けないのか?
剣士は双振りの刀を構え微動だに動かず、男達もまた誰も動けなかった。
緊張が続いた。
風鳴りが響き、空は青かった。
先に仕掛けたのは銃だった。
(弾は脳天への軌跡をたどり、剣士は何もすることなくあの世へ行くのだ。)
しかし不思議には思わないだろうか?
誰しもがピクリとも動けないとゆうのに、
誰しもが弾が飛んでから着弾するまでの僅かな間に、そう思考したのだ。
ともすれば、思考と行動とは別物なのだろうか?
ならば合点がいく。
彼女はそれが逆に働く。
『お命…は求めていない。』
弾は彼方へ、刀は手の筋へ。一瞬だった。
悲鳴とともに怒号が走り、堰を切ったように男達が襲い掛かった。
鉛弾の弾幕を盾に斬りかかるツワモノ。
とても少女にする仕打ちとは思えないが、
しかし、彼らはとても少女であるとも思えなかった。
まるで遊ぶかのように弾をかすらせ、剣豪をすり抜け、
刀を踊らせ、筋を斬り、次々にエモノを地に落とす。
そして気づけば、剣持ち数人しかその場に立っていなかった。
「情けないわよね~。武器が使えないってだけで降参なんだもの。
まるで去勢手術された犬みたいだったわ。ま、それはそれで可愛げあるけど。
けど、後ろのガンマンを先に仕留めたのはどうしてかしらねぇ?」
「へへっ、こいつ、息上がってるぜ。」
「調子に乗るな。何もできてないくせに。」
「耳は痛いけど絶好のチャンスかな?かな?」
反射的に動くとゆうことは、普通に動くことの何倍ものエネルギーを要する。
だからこそ見切るとゆうことは重要であり、立ち回りを考える必要がある。
しかし複数の銃弾を見切れたとして、果たして動けるか?
それ以上の反射運動をするには、少し体力が少なすぎた。
「手負いの獣は怖いぜ。用心しな。」
「余所見すんな。こっちも手負いだらけだ。」
「こっちの怪我人は108人おるぞ!」
燃料は少ない。
相手は3人。
全力でやればすぐに1人は片付く。
残り二人はどうする?
時間をかければ他のやつらが復活するかもしれない。
同時に攻められても負ける。
一点突破。
後は―――
「小さい方を収めたぞ!」
「いいからお前は前を見て―」
『現世斬』
「………え? あ?」
前にいたはずのヤツが後ろで屈んでた。
マッシュがうずくまってる。
そうだった…
銃弾を避けるバケモンだぞこいつは…
銃弾くらいに速くてもなんの不思議もねぇ…!
でも今なら動けない! そうだろ!!??
「そんなデカイ動きをしちゃあよぉぉぉぉ!?」
随分と大振りな太刀筋は、しかし確かに切っ先を髪に触れ、首筋背筋を通った。
やった…! やった!!
ついに…!!
なのに! なんで! 血が出ない?!!!
なんで俺は!! 影の下にいる!?
『残像だ。』
「残像は喋らねぇよ!!!」
『修羅の血・弱』
「がはぁ!!」
信じられない…
バケモノが二人に増えた…
しかも実体がないだと…
正真正銘のバケモンじゃないか…
こんなの勝てる訳がない…
「オルテガ…」
『あと一人』
『2対1』
『まだやるの?』
『問答無用』
「わかったよ! 降参だ! お持ち帰りもしない! だから助けて!!」
かくして剣士のはったりは見事に決まり、
戦いは平和的に収束したのであった。
「お疲れ、銀狼さん。」
『ぎん…? いえ。して、どういったご用件で?』
「やぁねぇ。これが欲しいって言ってたんじゃないの?」
婦人がどこからか取り出したものは、桃色鮮やかな小さな花びらだった。
この乾いた空気で、その水分が抜けている様子もなかった。
『何処でこれを?』
「やだわ、そんなことまでねだるの?」
婦人は悪戯そうに微笑んだが、剣士に冗談は通じないようだった。
『…失礼しました。えーと…』
「パープルよ。ミス・パープルって呼んで頂戴。」
『ミス・パープル、ありがとうございました。』
休む間もなく剣士は旅立つ。
婦人の加護の下にあっても、この町にいることは適わないと剣士は悟っていた。
早くここから去らねばならない。
「これから何処へ?」
『わかりません。』
「何故そこまで?」
『敬愛する主人のためです。』
「いつか死ぬわよ?」
婦人は終始微笑んでいた。
剣士も笑ったようだった。
『もう半分死んでますから。』
吹きすさぶ風に砂埃は舞い、何処までも広がる地平線は彼方に霞んでいた。
そして荒々しい地上をよそに、空はどこまでも青く、静かで、孤独だった。
『お待ちください、幽々子様。必ずや春を集めて見せます。』
双振りの刀を携えるそのモノの名を、魂魄妖夢とゆう。
聴いてみました!私は和の感じがしました。
何か和服姿の妖夢が扇子を持って桜吹雪の中を踊ってる感じ。…変ですかね?
なんつーか、ここまでやっといて何故かとっても綺麗な終わり方してるのが面白い。