たけのこ掘りで迷った子供を送りに。
日が暮れる前でよかったよ。ほんと。
泣くんだ。暗いと。
もう泣きたくなるね、そうなるとさ。
子供の泣き声はほんとに参る…
早く爺ちゃんにって何回も何回も耳元で泣きながら怒鳴るんだ…
ん? 疲れてるって?
疲れもするさ…
ま、ちょいと一杯やっていくとするさ。
じゃ。
夜道には気をつけなよ? ほんとに。
夕暮れっていいよね~。
人も獣も妖も草木も建物も、暗いお空に照らされて真っ黒け。
この瞬間がね、たまらなくワクワクするの。
全てが私の世界に包まれる、その瞬間。
灯りがついてきたね。
そろそろ帰らなきゃ。
あなたも気をつけてね? 暗いと転んじゃうから!
お土産どうしようかな~
なにがいいかな~ どれがいいかな~ だれがいいかな~
作業しながらでもいい?
ありがと。
屋台を出すの。いつもこの時間にね。
明るいうちだと少し都合が悪いんだ。色々とね。
いい匂いでしょ? そのタレが肝だからね、ウチの蒲焼は。
苦労したんだぁ~。
色々アレコレ諸々混ぜ込んでね~。
クロウ 苦労す クロ~ゼッッ
でもわったっし~は~夜雀~~ ってなもんだ!
さ、準備完了、ってことでお客さん!
お近づきの印に、ここらで一杯やらないかい?
弾むよぉ~? 今なら肝もつけちゃう!
そこの爺さん(73)のお迎えに来たんだ。
ちょうどいい、愚痴でも聞いてっておくれよ~。
その爺さんがさぁ…
せめて一晩は一族と過ごしたいってせがまれてね…
誰も爺さんのことは見えないって言っても聞かないんだ。
頑固爺はこれだから…
いやーさー、
無理にでも連れて行けるよ?
でもそれだとあんまりじゃない? でしょ?
だからこうやって酒を呑みながら待ってんのよ。
たけのこを肴に、ってのも季節柄悪くないねぇ。
柔らかくていい風味だ。
つまみだけにつまみ食い……や、なんでもない。
EX ~近頃は足の生えたUFOと書いて蛇足と読むらしい~
「隣、空いてるかい?」
「…何か用?」
「気の毒だけど期待には答えられないね。」
「何の話よ…腹が立つな。」
「悪かったよ。たけのこやるから機嫌直しなよ。」
「どこから出したんだ…」
「まぁ気にするなって。ほら、採れたてだってさ。」
「ん……おいしい。」
「だろ? 良いもんだろ?」
「盗人猛々しい…」
「手間賃代わりだよ。本人が持ってけって言ったんだから違いない。」
「ふぅん? …いつからこっちに?」
「あたしかい? 昼からいるけど。」
「…そうか。」
「良い孫を持ったって死ぬほど喜んでたよ。」
「……………そうか。昼間から呑んだくれてるのか。」
「さ、もっと呑めって。一杯くらいは奢ってやるからさ。」
「おかみさん、肝も追加だ。」
「あいよ~!
肝が肝心火の用心~~
焼けて焦がれる恋心~~
小骨も食せと言わねども~~
せめてこの身を愛で候~~」
やんややんや
スルーしかけたwwww
とっても良かったです。蛇足の新しい読み方!
ルーミアお土産持ってっちゃダメーーー!
このシリーズ好きだなー。