注意:貴方の嫁が酷い目にあう可能性があります。
陰惨な描写が含まれており救いもありません。
いつもの様に図書館へと侵入した魔理沙が見たものはある意味、異様なものであった。
「なんだこりゃ……」
所狭しと並べられている本棚の群れ。だが一つだけ異なる所があった。
その見渡す限りの全てに、ジェネリック魔導書と表示された紙が張り付けられていた。
「はいはい、魔理沙さん。お答えしましょう」
傍で受付と書かれたテーブルに座っていた小悪魔がニコニコ笑顔で魔理沙に応じる。
「最近、図書館では色々と金欠気味でして。とは言え居候かつ世間知らずなむきゅ~系美少女?である我が主がお金を稼ぐ事は至難。
故にこう、魔導書の中でも色々と特許や契約の切れた物を私達で修正及び複製して売り出そうと言う事になりまして。
俗に言うジェネリック医薬品とか、ゾロ品の様なものでございまして……」
「あ……ああ、そか」
ニコニコ笑顔の小悪魔は続ける。
「ですがご心配なく、いくらジェネリック的な物だとしても此処にはこの図書館の三分の二が収められております故に
選り取り見取りでございます。さらに値段もとてもお手頃、ついでに今ならこのポイントカードサービスも行っております。
本を購入のたびにポイントが貯まり、それを使って割引きか小悪魔のドキドキ触手サービスのどちらかを選んでお受けいただけます、お得ですよ」
「えと……」
そこまで一気に言葉を紡いで、小悪魔は嘆息。
でもニコニコ笑顔は崩さないが。
「流石に原本を売るわけにもいかずに……売ろうとしたらパチュリー様が幼児退行を起こされて駄々をこねましたので……
まあ、めんどくさいのですが不肖この私めが色々とやって複製させていただきました。さて勿論買っていただけますよね」
「……今持ち合わせが……」
ニコニコ笑顔の小悪魔に対し、引きつった笑みで魔理沙が答える。
「そうですか、ならばまたのご来店をお待ちしております。お出口はあちらですよ。
あ、まさかこの本を盗……借りていこうなどとは考えておりませんよね。これは売り物です。
貸し出しサービスは行っておりません故にそれは会計を済ませなければ立派な犯罪。万引きになりますよ?」
「そ、そうだな」
「おわかりいただけておられるようで何より、もし盗ったらサービスさせていただきますので」
「サービスなのかよ」
「はい、あ、罰のサービスと言う意味ですよ?」
「そ、そうか。あ、でも……」
「はい、なんでございましょうか?」
「見学ぐらいは構わないよな?」
「どうぞどうぞ、ですが立ち読みはほどほどにお願いいたしますね」
小悪魔と別れて魔理沙は図書館を探索する。
昨日までは盗り放題であったはずの本棚全てに、ジェネリックの表示がされていて値札が付いていた。
「参ったな」
魔理沙がそう呟いて、手頃な本を一つ手に取った。
昨日までの蔵書が全て売り物になってしまったのだ。
一体これほどの本をどうやって複製したのかは謎だが、ああまで言われてしまうと盗るに盗れない。
いずれ持っていこうと目を付けていた本も沢山あったと言うのに。
「しかし、静かだな」
回りを見渡せば広い図書館に魔理沙一人。
他の客の姿は見えない。まあ当たり前と言えばそうなのだが。
一応開放しているとはいえ、此処は悪魔の住む館。
まともな人間なら寄りつきなどしない。
まあ、それはともかくと魔理沙が辺りを見回した。
改めて誰もいない事を確認すると、その喉がこくりっと鳴った。
考えてみたら自分は泥棒なのだ。
お行儀よく買っていく必要はないのではないかと。
売り物か、蔵書か、目的の物が変わってしまった所でなんだと言うのだと。
借りるなら正々堂々と、それが魔理沙の信条であった。
そうと決めたら行動は早かった。
あらかじめ用意しておいたずた袋にめぼしい本を続々と詰め込んでいく。
それが一杯になるまで大した時間はかからなかった。
「こんなものだな」
後は脱出するだけだ。
魔力を探る限り、今現在この図書館に居るのは自分と、盗られた事に気が付かない間抜けな小悪魔のみ。
箒にまたがり魔力を放出し飛翔、飛び去ろうとしたその視界に赤い髪を捉えた。
いつの間にやら小悪魔が魔理沙の行方を遮る様に立ちふさがっていた。
「どういうつもりでございましょうか?」
ニコニコ笑顔で小悪魔が問いかける。
今度は不敵な笑みで魔理沙が答えた。
「死ぬまで借りていくぜ!」
先手必勝とばかりに魔理沙が八卦炉を前にかざした。
小悪魔ごとき敵ではないが、倒すのに手間取るとパチュリーが出てくる可能性がある。
そうなると少々厄介な事になるのだ。
「マスタースパー……」
一撃で決める必殺の魔力を放つべく魔理沙がスペルカードを宣言……
「んな!?」
出来なかった……何かが魔理沙の腕に絡みつき八卦炉を奪い取ったのだ。
「ひっ!?」
それを見て魔理沙が恐怖の混じった声を上げた。
緑だった。細長かった。何かべとべとしていた。
まごう事無き触手と形容するしかないもので、それがぬるりと魔理沙の腕に巻きついていた
「なんだこれ……」
咄嗟にずた袋を投げ捨て、触手を外そうとする魔理沙だがしっかりと絡みついて離れない。
生理的な嫌悪感を感じる気味悪さから顔をゆがめて必死で格闘する。
「警告はしましたよ?」
「こ、小悪魔、一体これはなん……」
小悪魔の声が近くで聞こえ、魔理沙が思い出したかのように問いかけようとして……気が付いた。
緑の気味の悪い触手の出所……辿っていくと小悪魔のスカートの中に行きつく。
「サービスするって……」
「ひぃぃぃ、なんでこんな能力が!?」
「それは……駄々をこねる主をおもわず本の角で叩いたら倒してしまいまして……レベルが上がってしまったのです」
「訳が分からないぞ!!」
叫ぶ魔理沙の視線の先、駄目押しの様にそれが落下した。
小悪魔のスカートの中からさらに数本。
うねる触手が魔理沙へと延びていく。
「天国へのご案内~です~」
「いやだぁぁ」
「やはり強気っ子には触手が似合う」
「や、やめて、どこ触って!!てか作者!これがやりたかっただけだろ!!!!!」
「メタ発言はおやめくださいな」
「ひっ……」
「ひぎぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!?」
-終-
さて、続きをあちらでお待ちしております。
小悪魔のドキドキ触手サービスって小悪魔に触手を這わせることができるサービスかと思ったのに
『小悪魔の触手』を這わせられることだったとは……でも小悪魔にされるのなら……
むしろ触手を使って小悪魔を……
ここまでの能力を身に付けるとは、さては一気に5レベル位アップしたな?
パッチェさんは、はぐれメ○ル並の経験値だな。
とりあえず迷惑さ加減に磨きがかかって良い事ですwww
先生、レベル99の小悪魔はどうなりますか?