Coolier - 新生・東方創想話ジェネリック

ジェネリックなので常識とか薬品名とかに囚われてはいけないのですね!

2010/04/25 00:26:18
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 騒がしい幻想郷にも静かな場所はある。
 永遠亭は時が流れてから、少しだけ音のある静かな場所になっていた。
 そして新たな音が一つ、玄関から流れた。
 それは戸を叩く音だ。控えめに、しかし間隔を置いて家人を呼んでいる。

「はーい、どちらさまですかー?」

 鈴仙・優曇華院・イナバが廊下の奥から足早にやってきた。
 彼女が扉を開けると、

「あの……風邪薬もらえますか?」

 ゴホッと咳を一つ、東風谷早苗がそこにいた。





「ただの風邪ね。最近春なのに寒かったからかしら、結構増えてるらしいのよねぇ」

 鈴仙に案内された診察室に入って一分、八意永琳は喉を軽く見ただけで早苗にそう告げた。

「……あの、もう少し丁寧な検査とかないんですか? さすがに喉を見ただけというのは……」
「じゃあその発育良さそうなの触診してあげるけど?」

 早苗は身体を横に胸を腕で覆い隠すようにし、
「セ、セクハラ!」

 永琳は半目で睨んでくる早苗を見て、フッと笑うと、
「それだけ言えるのなら風邪程度ね。薬出しておいてあげるから大人しく養生してなさい」
「弱っている乙女になんて優しくない……」
「お師匠様の所に来たのが運の尽きよ、嫌なら里の医者にでも行きなさい」
「うどんげ、後で話があるから」
「申し訳ございませんでした」

 ……医療業界の下っ端は外もここも変わらないのね……。
 淀みなく土下座をした鈴仙を見て、早苗は今の職場が恵まれていることを再認識した。神奈子様、諏訪子様、この間は神の粥に飽きたとか言ってごめんなさい。いくら似ているからと言って雑炊までお粥の範疇に含めるのは冒涜でした、お粥に。

「ま、何かあったら来なさい。うどんげこれを」
 永琳はカルテらしき紙を鈴仙に渡すと、彼女は頷き、目を通す。

「薬ですか?」
「別の場所にまとめて保管しているのよ。それを持ってくるのはあの子の役目」
「ならお願いなんですが、ジェネリック医薬品にできるものは変えて頂けますか?」
「……ジェネリック?」

 永琳と鈴仙は同時に疑問符を浮かべた。先に口を動かしたのは鈴仙だった。

「お師匠様、ジェネリック? などという種類のはありましたっけ?」
「確か、『一般的な』『ノーブランドの』といった意味の言葉ではあったけど、そのような薬はここにはないわね」
「いえ、優しさが半分とかの商品名じゃなくて、あの何か安いやつです」
「安いねぇ……別に風邪薬程度ならそんなに高い物ではないけど?」
「こちらに来てからは助成金とかがあるわけではないので、お金はなるべく使いたくないんですが……」

 風邪程度で医者に来ている時点で節約とか無いんじゃないかと鈴仙は思うが、人間の思考とは矛盾するものだ。それにこの巫女は最近紅白のに見習って嬉々として妖怪退治をすると聞く。余計なツッコミを入れて身を危うくすることもあるまい。

「? 鈴仙さん何か?」
「い、いえ……その、ジェネリックってどんな薬なんだろうなーと思いまして」
「私も興味があるわね。外で開発された物なのかしら?」
「それが私も詳しくは知らないんですが……従来薬品会社が独占していた薬を、他の会社でも作れるように作り方を公開して安くするとかなんとか」
「ふーん、つまり同じような成分を持つ安い物をお求め、ということかしら?」
「ええ、そんな感じです」
「さすがお師匠様、よく今の話だけでわかりましたね」
「フフッこの程度、とっておきでもなんでもない……。うどんげ、今から書く物を持ってきなさい。風邪によく効く安い薬よ」





 しばらくして鈴仙が持ってきたのは、

「……これが薬ですか?」
 早苗が指差す先、永琳が鈴仙から受け取った物は、

「ええそうよ。風邪によく効く安い薬、薬を使う程ではない風邪ならこれで十分治せるわ」

 はい、と手渡される。早苗はしげしげと眺め、やがて納得したかのように頷いた。

「では、ありがとうございました」
「お大事に」





 妖怪の山は高く険しい。山の上に存在する守矢神社の境内は、麓より幾分か寒かった。

「ただい――へくちっ! ……う~」
「おかえり、結果はどうだったかい?」
「神奈子そこじゃ寒いって。中に入ってからにしようよ」

 くしゃみ混じりに戻った早苗を出迎えたのは、八坂神奈子と洩矢諏訪子だった。彼女達は早苗を心配そうな目で見て、

「それもそうだね。……ん? 早苗、それは……」
 神奈子そして諏訪子の視線の先に、早苗が手に持つ買い物袋から覗く物がある。
 早苗は靴を脱ごうとしてそれに気付き、

「ああ、これですか? 幻想郷のジェネリック医薬品です」
「ジェネリックって、あの安いやつかい?」
「へー、こっちにもあるんだねぇ……って早苗!」
「はい、なんでしょう諏訪子様?」

 諏訪子は一息入れ、

「……それ、薬?」
「はい、幻想郷の常識ではそうみたいです」
「騙されたとかじゃなくて?」
「そんな、騙していたら妖怪退治に出向かないといけないじゃないですか。それに、私も昔これが風邪にはよく効くって聞いた覚えがありますから」
「だからと言って、ねぇ……神奈子、あんたはどうよ?」
「私に振るか!? ん、まぁ言いたいことは分かるけどさぁ」

 二柱は声を合わせ、尋ねる。

「ところで早苗さ、今夜のご飯って」
「何って、そりゃあもちろん――」

 早苗は"薬"を指し示し、



「――ネギたっぷりのネギ粥です!」
>古くから薬効成分が含まれている植物と知られていた。痰や鼻水を押さえる作用があるようで、風邪をひいた時に、ネギをくるんだ手拭やガーゼなどを首に巻くというものは有名な民間療法である。
Wikipedia「ネギ」の項目より引用

>料理に少量添えて用いられる香りや味の強いハーブ、スパイスのこと。ここではこれについて説明する。香味の強い食材は、毒消しや、強壮・健胃などの働きがあることによる。
Wikipedia「薬味」の項目より引用


にしても最近は処方箋で出される風邪薬より野菜の方が高いですねー。
つくね
コメント



1.奇声を発する程度の能力削除
>野菜の方が高い
てことは、今の時代野菜で栄養取るより薬で栄養取った方が安いのかなぁ。(サプリとか
2.名前が無い程度の能力削除
食べるもん食べてちゃんと寝るのがいいよね。
3.ぺ・四潤削除
ごめん多分ネギなんだろうなーって思いながら読んでた。
でもそれ医薬品じゃねえから!!

でも永琳なら大したこと無い病気なら体の為にも安易に薬に頼らずに食事療法で治しなさいとか実際言いそうだ。
4.名前が無い程度の能力削除
お尻に挿すもんだと思ってました、ネギ