Coolier - 新生・東方創想話ジェネリック

さくらあめ

2010/04/13 18:14:31
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霊夢がその異変に気がついたのはお花見宴会の次の日の朝だった。

酷い二日酔いもなく、気分がよかったので
散った花びらの掃除でもするかと、箒とちりとりを持って境内に出た時の事だ。

「あら」

掃くべき花びらが無い。
博麗神社の境内はどこにも花びらが落ちておらず、
誰が見ても文句のつけようがないくらいに綺麗だった。



親切な誰かが掃除してくれたのだろうか。

そんなわけがない。
霊夢は思った。
知り合いの連中にそんな甲斐性のある奴などいないのだ。

もしかしたら信心深い里の人が――

そんなわけがない
霊夢は強く思った。
そもそも、里の人が、この、博麗神社に……

なんだか悲しくなってきた霊夢はこの事については考えるのををやめた。



なんにせよ不思議な事である。
霊夢は境内をきょろきょろと見回して、ふと気がつく。



よくよく目を凝らしてみると、
舞い落ちる桜の花びらが、地面に落ちるその瞬間、すうと溶けて消えていっている。

なんだか雨みたいねえ、と初めに思う。
そして次に、でかした! と思う。

花びらが地面に溜まらない。
つまり掃除の必要がない。
なんたる僥倖。

別にせかせかと生きているつもりもないし、
逆に度を過ぎてのんびりしているわけでもないのだが、
自由に使える時間ができる事はやはり喜ばしい事なのだ。

霊夢は箒とちりとりを置き、
さてこの余った時間で何をしようか、と考え始めた。



不思議な事についてどうして、とかなぜ、なんて考えない。
だってここは幻想郷なのだから。





*  *  *





「おいおい霊夢、二日酔いにしてもこれは酷いだろう」

お花見宴会から二日、
ちょうどお昼時を狙って友人の霧雨魔理沙がやってきた。
今日は一人分しかご飯炊いてないのに、と思った霊夢は、
少し迷惑そうな顔をつくり彼女を出迎えた。

それで、一言目がこうだ。

「あら、魔理沙。別に二日酔いにはなってないけど?」

「じゃあ単なるサボりか。なおさら悪いぜ」

「なに、喧嘩でも売ってるの? どこをどう見たら私がサボっているっていうのよ」

現に今日の霊夢は屋内の掃除を終え、おさんどんを済ませ、
今はお札の生産中なのだ。
サボっているどころか、働き者と言われたっておかしはくない。

「あーいや、お前自身はサボってはいないんだろうがな、外から見たらサボっているようにしか見えないよ」

「どういうことよ」

「境内の掃除してないだろ。桜がすごい事になってるぜ」

「ええ?」



そんな莫迦な。
いや、確かに掃除はしていないんだけど。
昨日も今朝も、境内には何度か出たけれど綺麗だったわよ。

二人は連れ立って境内に出る。
そこには昨日、そして今日と変わらない、綺麗な境内。
魔理沙は目を白黒させた。

白黒だけに!
霊夢は思った――が、口には出さなかった。

「ほーら。よく見なさい、花びらなんてどこに落ちてるっていうのよ」

「お、おお?」

霊夢は、驚いてきょろきょろと見回す魔理沙に、
嬉しそうに説明する。

「よくわからないんだけどね、一昨日からこうなのよ。もしかしたら結界が歪んで他の場所に降ってるのかも。特に不吉なものも感じないし、原因を調べるのは桜が終わってからでもいいかなーって」

「あー……ああ、そういうことか」

話を聞き流しつつ、霊夢から離れ境内を歩き回っていた魔理沙は、
一人合点のいった様子でつぶやいた。
そしてにやりと笑う。
霊夢には見えないように。

「まあそういうわけ。どう?」

「ああ。どうも私の見間違いだったみたいだな」

「ほらね。もしかして疲れてるんじゃない?」

「充分休んでるつもりなんだがなぁ」



――気付いた時が見ものだな。
魔理沙は霊夢の元に戻ると、気付かぬふりをして他愛もない会話を始めた。





霊夢が境内にこんもり溜まった桜の花びらと、
腹を抱えて笑う妖精を見つけるのはもう少し後の話。
「ねえ、魔理沙さん気付いちゃったみたい」
「しょうがないじゃない。全部の角度をカバーするのは骨なんだもん」
「きっと魔理沙さんなら大丈夫よ。あのひと悪戯好きみたいだし」
黒のあ
コメント



1.名前が無い程度の能力削除
面白かった。文章と話がやわらかくて好みです。
2.奇声を発する程度の能力削除
ほのぼのとしてて良かったです!
凄い和みましたw
3.名前が無い程度の能力削除
サニーずっとやってるのかwwwお疲れ様すぎるwww