私は、アリス・マーガトロイドと
私は、霧雨魔理沙と
仲が悪い。
「よっ」
「何の用?」
「ただでご飯を食べるならここがいいからな」
「あ、そう」
嘘。アリスに会いにきただけだ。
「とりあえず全力でお断りします」
「邪魔するぜ」
「人の話聞きなさいよ。耳ついてる?」
「さて、私は客だ。お茶でも貰おうか」
「招かざる客ね。ったく開けなきゃよかった。会わずに済んだのに」
「まあそういうなって」
嘘。本当は魔理沙に会えて嬉しい。
「はい、紅茶」
「私は緑茶派なんだけどな」
「文句いうくらいなら飲むな」
「誰もそんなこといってないぜ」
「客は慎ましく出されたものを飲みなさい」
「あとこれにあうとびっきり甘いお菓子も欲しいな」
ま、アリスの存在と声だけで、充分お茶請けなんだけどさ。
「はあ。言うと思って、用意してるわ」
「さすが」
「もっと褒めてもいいのよ」
「アリスやべえ、ちょう素敵。尊敬するわ」
「やっぱやめて」
し損じた。それ以上褒められたら、無表情が保てないじゃない。
「ん?それ……人形製作の途中だったのか」
「そうよ。夕飯まで時間あるし、続けるから悪いけど相手はできないわね」
「まあそこらへんの本でも読ませてもらう……あ、そうだ。私も作ってみたいんだが、どうだ?」
「急にどうしたのよ」
「なんとなくな」
だって、人形の話だったら、お前は乗ってくれるだろ?
「製作経験は?」
「まったくない。まあ日用的にほつれを縫うくらいは当然のたしなみとしてしてるが」
「それと人形作りとじゃ全然違うわよ。それと、人形のどこが作りたいの?」
「服でも作ってみようかな、と。難しいか?」
「うーん、どうだか。とりあえず自分のを参考にしながらするといいんじゃないかしら。根気がいるけど丁寧にやりなさいね」
「わかった。にしても、人形の話になると優しくなるよな、お前ってさ」
「優しいかはわからないけど、人形遣いだもの、当たり前よ。ま、精々頑張りなさい」
違う。確かに人形の話は好きだけど、魔理沙だから、特別。
「ん、おー……いてっ」
「刺したの?」
「まあ、こんなの舐めときゃ治る」
「駄目よ、ちゃんと消毒しなきゃ。持ってきてあげましょうか?」
「そんなこといって血を取る気なんだろ?」
「あら、ばれちゃしょうがないわね」
「抜け目ないぜ……」
くそ。やっぱり優しいじゃないか。これ以上好きにさせるなよ。
「……おー、できた!どうだアリス!」
「不細工」
「なっ、う、うるさい!初めてだからこんなもんだろ」
「初心者でもそんなに指先に怪我しない」
「ぐっ」
「大体慣れないことはするもんじゃないのよ、あんたパワー馬鹿なんだから」
まあ、そういう無茶したがるところが可愛いんだけど。
「言わせておけばいいたい放題いいやがって……そのパワーに泣きを見てるのは誰だっけな?」
「誰なの?知らないから聞かれても困る」
「自覚なし、か。こりゃ手に負えないな」
「何が言いたいのよ」
「弾幕はブレインだってお高くまとまっている自称都会派に馬鹿って言われたくないってことさ」
まあ、そういう強がりなところが可愛いんだけどな。
「なるほどね、この雑草魔法使い。喧嘩なら受けてたちましょう」
「おお、食前運動にはうってつけだ。私の新しいスペルは痛いぜ?」
「痛々しいのなんて前からでしょうに。それに私の完成したゴリアテに敵うわけない」
「人生何でもやってみなきゃわかんないって」
「生い先短いあなたは、もっとすることを選ぶべきね」
「ぴちぴちの乙女をババァみたいにいうなよ」
「ぷっ」
「よしわかったさっさと表に出ろ」
今日も私たちは仲が悪い。
悪態をつけば、更にそれに悪態を返す。
まあ、でも。
「(なんだかんだいってても)」
「(なんだかんだいいつつなあ)」
私のこと、好きな癖に。
素直じゃないなあ、と思う。
これは良いマリアリ!
そしてさとりん乙
ツンデレ同士、いつかはデレデレになる日が来るのか?