Coolier - 新生・東方創想話ジェネリック

紫は忘れる

2010/04/06 19:31:18
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ねぇ藍、聞いてちょうだい。
あなたは小さな手に頬をのせ、汗ばんだ額に金色の髪をくっつけて、安らかに眠っているわね。
私は、ひとりで、こっそり藍の部屋にやってきたのよ。
今しがたまで、私はね、部屋で文々。新聞を読んでいたのだけれど、急に、息苦しい悔恨の念にせまられたわ。
罪の意識にさいなまれて、藍のそばへやってきたのよ。
これまで私は藍に、ずいぶんつらく当たっていたのね。
藍が顔を洗っている最中に、水を怖がってちょっと顔を濡らしたただけだといって、叱った。
やっと二本になった尻尾の毛をちゃんと毛づくろいしないからといって、叱りつけた。
また、帽子や本を床の上に放り投げたといっては、どなりつけた。
今朝も食事中に小言をいった。
食物をこぼすとか、丸呑みにするとか、テーブルに肘をつくとか、油揚げばかり食べすぎるとかいって、叱りつけた。
それから、藍は遊びにでかけるし、私は結界の監視に行くので、一緒にマヨイガを出たけれど、別れるとき、藍はふりかえって手をふりながら、「紫しゃま、行ってらっしゃい!」と言ったわね。
すると私は、顔をしかめて、「妖怪らしく胸を張りなさい!」とどなった。
同じような事がまた夕方に繰り返された。
私が帰って来ると、藍は庭の土にヒザをついて、毛玉で遊んでいた。
法衣はヒザのところが砂だらけになっていた。
私は藍を家へ追い返し、一緒にいた野良子狐の前で恥をかかせた。
「法衣は大切なものなのよ。藍が自分で法衣を準備するなら、もっと大切にするはずでしょ!」
これが、私の口からでた言葉なのだから、我ながら情けない!
それから夜になって私が書斎で文々。新聞を読んでいるとき、藍は、悲しげな目つきをして、おずおずと部屋にはいってきたわね。
うるさそうに私が目を上げると、あなたは、入り口のところで、ためらったわね。
「何の用」と私がどなると、あなたは何もいわずに、さっと私のそばにかけよってきた。
両の手を私の首にまきつけて、私にキスした。
藍の小さな両腕には、神さまがうえつけてくださった愛情がこもっていた。どんなにないがしろにされても、決して枯れることのない愛情。
やがて、藍は、ばたばたと足音をたてて、自分の部屋へ行ってしまった。
ところで、藍、そのすぐあとで、私は突然なんともいえない不安におそわれて、手にしていた文々。新聞を思わず取り落としたの。
何という習慣に、私は、取りつかれていたのだろう!
叱ってばかりいる習慣。
まだほんの子供にすぎないあなたに、私は何ということをしてきたのだろう!
決して藍を愛していないわけではないのよ。
私は、まだ尻尾も生え揃わないあなたに、無理なことを期待しすぎていたのね。
藍を一人前の大妖怪と同列に考えていたのだ。
藍のなかには、素晴らしい、立派な、真実なものがいっぱいある。
藍のやさしい心根は、ちょうど山の向こうからひろがってくるあけぼのを見るようだ。
藍がこの私にとびつき、お休みのキスをした時、その事が、私にははっきりわかったのよ。
他の事は問題ではない。
私は、藍に詫びたくて、こうしてひざまずいているのよ。
私としては、これが、藍に対するせめてもの償いなの。
昼間にこういうことを話しても、あなたにはわからないでしょう。
けれど、明日からはきっと、よい主になってみせる。
藍と仲良しになって、一緒に喜んだり悲しんだりしよう。
小言を言いたくなったら、舌を隙間に放りこもう。
そして、あなたがまだ子供だということを常に忘れないようにするわ。
私は藍を一人前の妖怪とみなしていたようだ。
こうして、あどけない寝顔を見ていると、やはり藍はまだ赤ちゃんだ。
昨日、遊びに来た幽々子に抱っこされて、気持ちよさそうにその肩にもたれかかっていたではないか。
私の注文が多すぎたのね。 
原文-「父は忘れる」

原文を読んで非常に感動しました。
その内容を即座に「紫×藍」に変換した自分の脳ミソはもう駄目に違いない。
KASA
コメント



1.名前が無い程度の能力削除
>紫しゃま、行ってらっしゃい!
やだ藍しゃまかわいい
2.名前が無い程度の能力削除
これを読んだ後、原文もググって読みました。
なんとも良い話じゃあ……
3.奇声を発する程度の能力削除
藍さま可愛いよ!!