Coolier - 新生・東方創想話ジェネリック

綿月姉妹と神奈子が姉妹な話

2010/04/05 16:32:38
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「たかまのはらにかむづまります すめむつかむろぎかむろみのみことをもちて」

綿月依姫は常にそうするように神座の前で祝詞をあげていた。

「おおわたつみこわだつみもろわだつかみをたたえたてまつりて…」

そこに割って入るように現れた神が一柱。
彼女は依姫に言葉を掛ける。


「我を呼ぶのは何処の人ぞ」


「呼んでませんが、お姉様。」
「だろうね」
「それで、御用の向きは何でしょうか。」
「取り敢えず依姫、あなたに用は無いわ。」


「………」
「………」









「大綿津見の父上は?」
「いらっしゃいません。」

視線を神奈子の後方に促して言う。

「じゃあ穂高見の兄上は?」
「お留守です。」

「いつお戻りに?」
「わかりません。」


「…まあいいわ。
 客が来たのだから茶ぐらい出しなさい。」
「ご自分の御座所においでになって客と言う事も無いと思いますが。」

「お客様は神様だから神様は客なのよ。」


「………」
「………」







ズズッ…
ズズッ…

「いらっしゃるんでしたら三足烏の御使いでもお遣わしになれば良かったのに。」

「いきなり何を言い出すの。
 八咫烏はおいそれと使いに出せる程、軽く扱って良い神では無いよ。」
「死霊に満ちる地底で、地獄鴉に使わせていると聞きましたよ。
 そもそも土着神と宜しくやっておられるお姉様が今更何を憚られるのですか?」

「何かと思えばまたその話か…
 高天原には話を通してあったんだから良いじゃないか。
 その上月の民の都合なんて私の知った事じゃないよ。」
「そうですね、お姉様は月の民より童女の方がお好みですものね。」

「姿形など神にとっては至極無意味なものだ。
 祀るものが求めるものに応じた姿を採る。信仰はそうやって集めるもんだよ。」
「じゃあやっぱりアレがいいんですよね?」


「………」
「………」









「あら、お姉様いらしてたんですの。」
「豊姫か、居たの。」

「依姫が居るときは大体居ますよ。
 ああそうだお姉様、お神酒などお持ちで無いですか?」

「え、酒?」
「いや、そんなに慌てなくても無いなら良いんですよ。
 ちょっと厨が寂しいので有れば良かったなぁという程のことですので。」
「ああ、そうかい。」







「ですからね、」
「なんだ依姫。」

「お姉様にああいう事をされてますと、私達としても外聞が悪いんですよ。」
「私は国を治められる、民は祟りに怯えなくて良い、土着神から恨まれる事も無い。
 誰も損してなかったじゃない。」
「旧弊は根本から断ち切るべきだったのです。」
「これだから頭の固い月の民は困る。
 そんなんだから月夜見様だって天照様に『汝これ悪神なり』なぁんて言われてしまうのよ。」
「言葉にお気をつけください。失礼ですよ。」
「失礼?有った事を言っただけじゃない。」
「心無い者はいつもそう言いますね。」
「保食神を殺すのに心は要ると言うの?」


「………」
「………」







「まあいいさ、あんたが態度を改めるなら考えてやっても良い。
 …あ、豊姫。その行李は父上に差し上げるものだから開けるんじゃない。」

「お土産はないんですの?天界の桃とか。」
「無いよ。」


「………」
「………」
「………」








「で、そうしてなりふり構わず信仰をお求めになって、今の状況が有られる訳ですね?」
「依姫、あんた普段から力を借りてる神を捕まえてそんな科白を吐くのかしら。」
「お姉様のお力をお借りした事など一度もありませんが?」

「またそんな事を…
 こう理屈っぽいのはついた先生が悪かったのかねぇ」
「八意様まで卑しめられるおつもりですか?ご返答によっては私にも考えがありますよ。」

「ああ失礼した。悪いのはヤゴコロ様じゃ無くて元々のあんたの性格だね。」
「…お姉様、今日はわざわざ私を怒らせにいらっしゃったのですか?」

「だから父上に用があったんだよ。それなのにあんたが居たのが悪い。」
「ここは私の家なんですが。父上に用があるだけならこの屋敷でなくても用は済むでしょう。」
「ここでないといけない用があったから来たんだ。」
「なんですかそれは。」
「あんたに話す必要は無い。」


「………」
「………」







「…ああそうだお姉様。屋敷の外にはお出にならないようにお願いします。」
「そりゃまたどうして?」
「よからぬ噂が流れたばかりなのです。
 私達が地上の八意様と手を組んで月の都を転覆せしめるつもりであるとか…
 流言飛語の類いですね。」

「八意永琳と手を組んでるとこまでは大体あってるじゃないか。」
「八意様は間違った事はなされません!」
「弟子に後々までの禍根を残すようなのが良い師匠だとは思わないけどねぇ。
 あんたを月の使者に就けたのは八意永琳だ。あんたはその女を捕まえないといけない。
 捕まえなければ今の状況は変わらない。だが、向こうに捕まる気は毛頭無い。これをどう思う?」

「まだ八意様を悪く言うつもりですか!
 大体月の都での私達の立場が良くないのはお姉様が土着神と手を組んでいらっしゃるのも原因なんですよ!
 私達の事であれこれ言うのでしたらそこを正して下さいよ。」

ガタッ
「だーかーら、あんた達の立場なんか知ったこっちゃないの!
 …そうだ、今から月夜見様の所に参上して八意永琳の居場所を教えてきてあげましょうか。
 奴が捕まればもう妙な噂が立つことも、立場を悪くする事も無いんでしょう?」

ガタッ
「いくらお姉様でもそれ以上言うと許しませんよ!」






「お姉様あ?」
「無いよ!」


「いえ、この酒瓶の事なんですが。」
「あっ!開けるなと言ったろうが!」

「この酒瓶、地上の妖怪の一味に盗まれて切歯扼腕していた所なんですわ。
 わざわざ取り戻して頂いて本当にありがとうございます。
 今日はこれを届けにいらっしゃったのですね?」


「だからそれは…
 お前達の不始末を拭う為に父上に持って来たんだ!
 ああ、この非礼は今度父上にお会いした時に申し上げて置くからね!」
…フッ





「ふふ、行ってしまわれたわ。」
「豊姫お姉様もお姉様です。何故あれだけ言われて黙っているのですか。」
「別に良いとは言いませんよ。
 でも八意様のお名前はあなたの立場を考えれば出さざるを得なかったのでしょうね。」
「………」










「あらこの酒瓶…」
「空ですね。」
別の神様の場合

「呼んだー?」
「い、いや… 呼んでねっすけど…」
「良い度胸じゃねえの」(ザッ


>>1さん
まあ綿月姉妹をお姉様呼ばわりする神奈子様はあんま見たくないっすねw

※追記
神奈子が永琳を扱き下ろしてるとこが舌っ足らずに感じたのでもう少し詳しくしました。

>>2さん
自分で書いといてイイハナシナノカナー?とか実は思ってましたが…
>>3さん
古いのは好きですよ。古今東西。
三日星
コメント



1.名前が無い程度の能力削除
おっ、神奈子の父が大綿津見説のSSですか、面白い。
まあそうだとしても綿月さんと神奈子はどっちが姉でどっちが妹かはわかりませんけど、やっぱり神奈子は姉御肌ですもんねw
2.謳魚削除
そんな神奈子様がお姉様だなんてご褒美過ぎにも程が有りますのにこの綿月姉妹様め……!
大好きです!

でも、妹属性な神奈子様が一柱位居られても良いと思います。

依さんと豊さんに愛でられる末っ子神奈子様とか想像させて頂いただけで生きるのが楽しくなって参ります。
3.名前が無い程度の能力削除
日本古代史好きとみた!もっとやれ!