全く妖怪に見えないのがとても腹立たしい。
妖怪を名乗るくせに見かけは人間そのもの。
そのくせ尼の真似事のような格好しちゃって、何も知らない人間どもには慕われちゃって。
「一輪、あんた本当は人間でしょ」
「馬鹿ねえ、人間ならあんたと千年付き添ってないっつーの」
尼妖怪は、嵐の海に慣れた私には眩しすぎる太陽のように微笑んだ。
まるで、嵐という揺りかごを根城にしていた私を引き摺り出そうとするような。
いや、実際私は引き摺り出されたのだ。
だから今は私は此処にいて、
里に去り行く少女達の背中を見る一輪の隣で、真っ赤な空を眺めている。
「今の小娘達に教えてあげたいね、この人妖怪なんだよって」
何も知らない彼女らは、一輪を「さようなら、シスター」と呼んで別れの挨拶とした。
しかし、何故そこで尼とかじゃなくてシスターになるんだ?
確かに日本な筈なのに、幻想郷はいまいち文化が分からない。
「何、村紗酔ってんの?やけに絡むわね」
「今日一日一緒にいて私がアルコールを摂取していたかな?」
「お昼蕎麦屋でお冷やを飲んでいたわ」
「一切含まれてないよ」
言うと、一輪がやれやれと肩を竦めた。
拗ねているとでも受け取ったのかね。
ああ、こんな大人ぶった態度も気に入らない。
そんなに歳も変わんないのに、何なのさこの差は一体。
………あれ、そういえば一輪って何歳なんだろう。まあいいや気にしない。
「じゃあ何……ん、雲山?『女心は秋の空』?あー違いない」
何を言うかこの雲は。
常に私たちの上を浮遊している入道を睨み付ける。
頑固親父のように厳めしい顔の雲山は、私の視線を受けても表情一つ崩さない。
彼はまた分からない言葉(らしきもの。見かけの割にか細い声だから聞きとれてないかも)を彼女に投げ掛ける。
それを聞くと一輪は苦笑しながらこちらを向いた。
「雲山何て?」
「『乳酸菌取ってるぅ?』ってさ」
「いやそれ嘘だよね」
そんなん言われたら逆に怖いっての。
私はわざと聞こえるようにため息をついてから足を動かした。
飛んで帰ってもよかったけれど、何となく歩いてみる。
一輪は何も言わずに私の後ろを着いてきていた。
振り返らなくても分かる、私の前に大きな靄のような影が伸びていたから。
「村紗さ」
うかがうような真っ直ぐな声が私の耳に飛び込む。
澄み渡る青空のような声は、海に沈んだ私の身体に血流となって運ばれていく。
「妬いてる?」
「まさか。別に一輪が誰と付き合おうと関係ないし」
うん、別に関係ないのだ。
一輪が娘達と仲睦まじくしているところを見て、
私にはあんな風に話しかけてくれないくせに、なんて思ってなんかないのだから。
それに、名前すら知らないだろうにやけに馴れ馴れしい娘達に負の感情なんて抱いてないし、
柄杓の水をかけてやろうかなんて断じて思わなかったのだ。
「キャプテン・ムラサもまだまだ子供ね」
一輪はくすくすとわざわざ効果音付きで笑っている。
だから違うと言っているのにこの妖怪めが。
何で千年生きてる幽霊の私が小娘に嫉妬せにゃならんのだ。
「その頭巾取るよ、入道使い」
「そーゆーとこが子供って言ってんの」
呆れたようなにやにやしたような変な笑顔で一輪は私を見つめていた。
もう何か色々腹立たしい。本当。
妖怪を名乗るくせに見かけは人間そのもの。
そのくせ尼の真似事のような格好しちゃって、何も知らない人間どもには慕われちゃって。
「一輪、あんた本当は人間でしょ」
「馬鹿ねえ、人間ならあんたと千年付き添ってないっつーの」
尼妖怪は、嵐の海に慣れた私には眩しすぎる太陽のように微笑んだ。
まるで、嵐という揺りかごを根城にしていた私を引き摺り出そうとするような。
いや、実際私は引き摺り出されたのだ。
だから今は私は此処にいて、
里に去り行く少女達の背中を見る一輪の隣で、真っ赤な空を眺めている。
「今の小娘達に教えてあげたいね、この人妖怪なんだよって」
何も知らない彼女らは、一輪を「さようなら、シスター」と呼んで別れの挨拶とした。
しかし、何故そこで尼とかじゃなくてシスターになるんだ?
確かに日本な筈なのに、幻想郷はいまいち文化が分からない。
「何、村紗酔ってんの?やけに絡むわね」
「今日一日一緒にいて私がアルコールを摂取していたかな?」
「お昼蕎麦屋でお冷やを飲んでいたわ」
「一切含まれてないよ」
言うと、一輪がやれやれと肩を竦めた。
拗ねているとでも受け取ったのかね。
ああ、こんな大人ぶった態度も気に入らない。
そんなに歳も変わんないのに、何なのさこの差は一体。
………あれ、そういえば一輪って何歳なんだろう。まあいいや気にしない。
「じゃあ何……ん、雲山?『女心は秋の空』?あー違いない」
何を言うかこの雲は。
常に私たちの上を浮遊している入道を睨み付ける。
頑固親父のように厳めしい顔の雲山は、私の視線を受けても表情一つ崩さない。
彼はまた分からない言葉(らしきもの。見かけの割にか細い声だから聞きとれてないかも)を彼女に投げ掛ける。
それを聞くと一輪は苦笑しながらこちらを向いた。
「雲山何て?」
「『乳酸菌取ってるぅ?』ってさ」
「いやそれ嘘だよね」
そんなん言われたら逆に怖いっての。
私はわざと聞こえるようにため息をついてから足を動かした。
飛んで帰ってもよかったけれど、何となく歩いてみる。
一輪は何も言わずに私の後ろを着いてきていた。
振り返らなくても分かる、私の前に大きな靄のような影が伸びていたから。
「村紗さ」
うかがうような真っ直ぐな声が私の耳に飛び込む。
澄み渡る青空のような声は、海に沈んだ私の身体に血流となって運ばれていく。
「妬いてる?」
「まさか。別に一輪が誰と付き合おうと関係ないし」
うん、別に関係ないのだ。
一輪が娘達と仲睦まじくしているところを見て、
私にはあんな風に話しかけてくれないくせに、なんて思ってなんかないのだから。
それに、名前すら知らないだろうにやけに馴れ馴れしい娘達に負の感情なんて抱いてないし、
柄杓の水をかけてやろうかなんて断じて思わなかったのだ。
「キャプテン・ムラサもまだまだ子供ね」
一輪はくすくすとわざわざ効果音付きで笑っている。
だから違うと言っているのにこの妖怪めが。
何で千年生きてる幽霊の私が小娘に嫉妬せにゃならんのだ。
「その頭巾取るよ、入道使い」
「そーゆーとこが子供って言ってんの」
呆れたようなにやにやしたような変な笑顔で一輪は私を見つめていた。
もう何か色々腹立たしい。本当。
ムラいちはいいですよねぇ。おとなっぽい一輪さんに対して船長は若々しいというかなんていうか、可愛い
ごちそうさまでした
ムラいちおいしいです。
嫉妬する船長可愛い。
素敵なムラいちご馳走さまです。
やんちゃな船長を大らかに受け止める一輪さん。ということで一輪さん萌え。
作者さんと一緒にムラいちとタイタニックで心中しよう。次作も期待します。
なんともくすぐったい二人が実に良いですな~次の作品も期待してます。
さぁ、早く次のムライチを書く作業に戻るんだ
じゃあ、私も一緒に心中をお供させていただきます!!!
ムラいちひゃっほい!
でもタイタニックは危ないwwwww
ムラいちもっと見たい!
ああ、ムラいちは良いもんだ…
内容も、日常にあった1シーンを切り取ったような感じで、読み易く、そして面白かったです。
こんなにたくさんの暖かいコメントを戴けて、もう嬉しくて感動で……調子に乗ってしまいそうです。
皆さん本当にありがとうございます。
>1様
このコメントを戴いた瞬間タイタニック号の末路を思い出して一人オワタ状態になってましたw
ムラいち、自分も大好きなのです。共感いただけて何よりです。
>2様
あわわ光栄です…!ムラいちおいしいです
>3様
ありがとうございます!これからもムラいち支援してまいります!
>4様
こちらこそありがとうございます…!←
>5様
私も、二人は息の合ったコンビだと思っています。
船長も何だかんだでまだ子供っぽいとこが残ってると思うのです。
>6様
こちらこそお粗末様でした!
>ぺ・四潤様
私の中で、まさにそのようなイメージです。
何と言うか、すべてを受け止める母的な雰囲気を感じたりします。
それでは私はあちらの甲板でお待ちしていますね。
>無休様
私も何処と無く大人びてる一輪さんが好きです。
ありがとうございます、次作の時はまた読んでやってくださいm(__)m
>9様
よしきた!←
ムラいちフリークがいてくれて嬉しい……
>わおん様
じゃあ俺はサント・アンヌ号!!
>11様
こちらこそ読んでくださってありがとうございます!
許可を戴けたので、早速次のムラいちに取りかかろうかな><
>奇声を発する程度の能力様
つまり、ムラいちはラブロマンスであって決してタイタニック号の末路を忘れていたわけではry
さて、じゃあそろそろ甲板に……
>だだだんご様
ムラいちは俺の……えっと……い、イージス艦とか……。
もはや一輪さんが関係ないですね…。
>14様
しかもムラサがヒロインで一輪がヒーローという。
世界に広がれムラいちのリング!←
>15様
戦闘中もアイコンタクトで意志疎通とか、背中を預けられる存在とかだったらいいな、なんて思ったり。
本当いいですよね、ムラいち……
>喉飴様
そう言っていただけて嬉しいです!ありがとうございます!
>17様
自分の中で雲山は銀様口調……なんちゃって(テヘ