うぐいすは鳴き声の練習をするという。
ホーホケキョ。
正しく鳴く為に、必死に歌うのだ。
ホーホー。
キョケキョケ。
ホーホキョケ?
途中、之でいいの? というようなイントネーションで鳴いたりもする。
正直聞かれても困るのだが、少なくともその鳴き方は違うと私は思う。
ホーケキョ。
ホー……ホケキョ。
ホーホケキョ♪
そしていつの日か、綺麗な歌声を聞かせてくれるはずだ。
これはとある歌姫の物語。
<うぐいす>
「は~る~♪」
今日も幻想郷の空に、リリーホワイトの歌声が広がる。
「ですよ~♪」
博麗神社の風呂場から、春の歌声が響いていく。
「こら、じっとしてなさい。洗えないでしょう」
「はる~、あわあわなのですよー」
朝日が昇ってまだ数刻も経っていない、幻想郷の朝。
霊夢とリリーは一緒にお風呂に入っていた。
昨日の夜に汗をかく出来事があったからだ。
「それにしてもあんたさ、なにかおかしくない?」
「なにがですか~?」
「いんとねーしょん、っていうの? ちょっとはるですよーって言ってみて」
「はるですよー♪」
澄んだ声が辺りに反響した。
幼い声のなかに深みがあって、聞いていると心が落ち着く。
そんな声なのだが……
「やっぱり変よ」
「はる~?」
「なんていうかなぁ……そう! 関西弁!」
「かんさいってなんですかー?」
皆さんはお気づきだろうか。
霊夢は「はるですよー」の「は」の部分を強調した言い方なのだが、
リリーは「る」の部分が強調されているのだ。
「なんでやねんって言ってみて」
「なんでやねん?」
「ぷ、くくく……あははははは」
「はる~?」
リリーは何故笑われているのか分からないといった顔だ。
でも霊夢が笑ってるからいいかぁなんて考えてたりしている。
「あんた最高ね。でもね」
リリーの頭をわしわしと泡立てながら、霊夢は続けた。
「春が遅れてるのは、もしかしたらそのせいなのかもしれないわね」
「ん~?」
「あんたががんばってるのは知ってるわ。でも最近寒くなったり、雪が降ったりしたじゃない」
「る~……寒い、です」
人里でも桜は早く咲いたのだが、その日のうちに雪が振ったり、場所によっては霰が降ったという。
そして一度は見なくなったはずのレティ・ホワイトロックの姿を見かけたという情報もあった。
「レティさんにも言われたです。暖かくないから寝られないって」
「動物や木々も起きていいのか分からないのかもしれないわね」
「はる~……」
お湯掛けるわよ、と霊夢がリリーの頭を流す。
ぷるぷると頭を振ってお湯を弾いたら、霊夢に小突かれた。
「痛いです~」
「頭を振るからよ」
「霊夢さん~」
「何?」
「春……来たほうがうれしいですか?」
「そりゃそうよ。私は寒いの嫌いだもの。紫も寝てるし面白くないし」
「でも春が来たら……夏がくるです」
リリーは霊夢に聞こえないような声で、どこか寂しそうに俯いた。
どこかで雫が滴る音が聞こえるような気がする。
「リリー、お風呂入りなさい。風邪引くわよ」
「はる~きゅちゅんっ!」
いつの間にか霊夢は先に湯船に浸かっていた。
リリーもくしゃみを一つ、慌てて湯船に浸かる。
タオルを頭に巻いていないので、綺麗な金色の髪が広がった。
「あーもぅ、せっかく洗ったのに。ほら後ろ向きなさい」
「霊夢さん髪の毛ひっぱっちゃ、やーです!」
「じっとしてないと、お嫁にいけないようにしちゃうわよ」
「は、はる~……それは困るです……」
「こうやってトップで括るだけだから、ほほいっと完成」
「はる? あ、霊夢さんとおそろい、です♪」
リリーはお風呂に入るときの霊夢と同じ格好にしてもらった。
といっても、ただ頭の上で髪の毛を止めているだけなのだが。
またお互いに向き合うと、霊夢は空を見ながら話し出した。
「私は夏も好き。秋はご飯が美味しいし、冬も実はそんなに嫌いじゃないの」
目を瞑り、霊夢は自然のまま自分の想いを続ける。
「私はめまぐるしく変わる、この幻想郷が好き。騒がしかったり、時には静かだったり……そしてリリー」
そして、リリーに視線を戻すと、おでことおでこをくっ付けて言った。
「あんたと会える春が、一番好きなのよ?」
「霊夢さん……」
視線がぶつかり、リリーの頬が桜色に染まる。
なんだかもう上せてしまいそうだった。
「だから元気に春を告げてほしいのよ。皆が優しい気持ちになれる歌を聞かせてほしいの」
「歌を……幸せの歌……春……私がんばるです!」
「そう、その勢よ。でもがんばりすぎて倒れない用にね」
霊夢はウインクを一回して、徐に立ち上がった。
瑞々しい体にお湯が跳ね、少女の肢体を太陽が照らす。
リリーから見たらそれはまるで、女神のように美しかった。
「ん? どこ見てるのよ、えっち」
「ち、ちがうですよー! ただ綺麗ですと思っただけです」
「冗談よ。ありがとってあんた顔真っ赤じゃない。上せたの?」
「そういえばなんだか頭がぽーっと……はるる~? ぶくぶく」
「え、ちょっとリリー、リリー!?」
妖精の小さな体には、「春」はまだ暑すぎたみたいで。
しかし芽吹いた春の蕾は、いつか花を咲かせるだろう。
彼女は春を告げる妖精。その彼女に春を告げてくれる人はきっと……
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
「はるですよー」
「だからそれじゃ関西弁だってば。はるですよー」
「パルですよー?」
「妬ましいわね」
「ハルデスヨー」
「あんたは上海か!」
「はるっ!?」
今日も博麗神社で歌の練習が行なわれている
でもどうやら春はまだまだ来ないらしい
まだ寒いかもしれないけれど
みんな、ちょっとだけ我慢してね
そして彼女の歌が聞こえたら
空を見上げて、声を掛けてあげてほしい
「はるですよー♪」
ホーホケキョ。
正しく鳴く為に、必死に歌うのだ。
ホーホー。
キョケキョケ。
ホーホキョケ?
途中、之でいいの? というようなイントネーションで鳴いたりもする。
正直聞かれても困るのだが、少なくともその鳴き方は違うと私は思う。
ホーケキョ。
ホー……ホケキョ。
ホーホケキョ♪
そしていつの日か、綺麗な歌声を聞かせてくれるはずだ。
これはとある歌姫の物語。
<うぐいす>
「は~る~♪」
今日も幻想郷の空に、リリーホワイトの歌声が広がる。
「ですよ~♪」
博麗神社の風呂場から、春の歌声が響いていく。
「こら、じっとしてなさい。洗えないでしょう」
「はる~、あわあわなのですよー」
朝日が昇ってまだ数刻も経っていない、幻想郷の朝。
霊夢とリリーは一緒にお風呂に入っていた。
昨日の夜に汗をかく出来事があったからだ。
「それにしてもあんたさ、なにかおかしくない?」
「なにがですか~?」
「いんとねーしょん、っていうの? ちょっとはるですよーって言ってみて」
「はるですよー♪」
澄んだ声が辺りに反響した。
幼い声のなかに深みがあって、聞いていると心が落ち着く。
そんな声なのだが……
「やっぱり変よ」
「はる~?」
「なんていうかなぁ……そう! 関西弁!」
「かんさいってなんですかー?」
皆さんはお気づきだろうか。
霊夢は「はるですよー」の「は」の部分を強調した言い方なのだが、
リリーは「る」の部分が強調されているのだ。
「なんでやねんって言ってみて」
「なんでやねん?」
「ぷ、くくく……あははははは」
「はる~?」
リリーは何故笑われているのか分からないといった顔だ。
でも霊夢が笑ってるからいいかぁなんて考えてたりしている。
「あんた最高ね。でもね」
リリーの頭をわしわしと泡立てながら、霊夢は続けた。
「春が遅れてるのは、もしかしたらそのせいなのかもしれないわね」
「ん~?」
「あんたががんばってるのは知ってるわ。でも最近寒くなったり、雪が降ったりしたじゃない」
「る~……寒い、です」
人里でも桜は早く咲いたのだが、その日のうちに雪が振ったり、場所によっては霰が降ったという。
そして一度は見なくなったはずのレティ・ホワイトロックの姿を見かけたという情報もあった。
「レティさんにも言われたです。暖かくないから寝られないって」
「動物や木々も起きていいのか分からないのかもしれないわね」
「はる~……」
お湯掛けるわよ、と霊夢がリリーの頭を流す。
ぷるぷると頭を振ってお湯を弾いたら、霊夢に小突かれた。
「痛いです~」
「頭を振るからよ」
「霊夢さん~」
「何?」
「春……来たほうがうれしいですか?」
「そりゃそうよ。私は寒いの嫌いだもの。紫も寝てるし面白くないし」
「でも春が来たら……夏がくるです」
リリーは霊夢に聞こえないような声で、どこか寂しそうに俯いた。
どこかで雫が滴る音が聞こえるような気がする。
「リリー、お風呂入りなさい。風邪引くわよ」
「はる~きゅちゅんっ!」
いつの間にか霊夢は先に湯船に浸かっていた。
リリーもくしゃみを一つ、慌てて湯船に浸かる。
タオルを頭に巻いていないので、綺麗な金色の髪が広がった。
「あーもぅ、せっかく洗ったのに。ほら後ろ向きなさい」
「霊夢さん髪の毛ひっぱっちゃ、やーです!」
「じっとしてないと、お嫁にいけないようにしちゃうわよ」
「は、はる~……それは困るです……」
「こうやってトップで括るだけだから、ほほいっと完成」
「はる? あ、霊夢さんとおそろい、です♪」
リリーはお風呂に入るときの霊夢と同じ格好にしてもらった。
といっても、ただ頭の上で髪の毛を止めているだけなのだが。
またお互いに向き合うと、霊夢は空を見ながら話し出した。
「私は夏も好き。秋はご飯が美味しいし、冬も実はそんなに嫌いじゃないの」
目を瞑り、霊夢は自然のまま自分の想いを続ける。
「私はめまぐるしく変わる、この幻想郷が好き。騒がしかったり、時には静かだったり……そしてリリー」
そして、リリーに視線を戻すと、おでことおでこをくっ付けて言った。
「あんたと会える春が、一番好きなのよ?」
「霊夢さん……」
視線がぶつかり、リリーの頬が桜色に染まる。
なんだかもう上せてしまいそうだった。
「だから元気に春を告げてほしいのよ。皆が優しい気持ちになれる歌を聞かせてほしいの」
「歌を……幸せの歌……春……私がんばるです!」
「そう、その勢よ。でもがんばりすぎて倒れない用にね」
霊夢はウインクを一回して、徐に立ち上がった。
瑞々しい体にお湯が跳ね、少女の肢体を太陽が照らす。
リリーから見たらそれはまるで、女神のように美しかった。
「ん? どこ見てるのよ、えっち」
「ち、ちがうですよー! ただ綺麗ですと思っただけです」
「冗談よ。ありがとってあんた顔真っ赤じゃない。上せたの?」
「そういえばなんだか頭がぽーっと……はるる~? ぶくぶく」
「え、ちょっとリリー、リリー!?」
妖精の小さな体には、「春」はまだ暑すぎたみたいで。
しかし芽吹いた春の蕾は、いつか花を咲かせるだろう。
彼女は春を告げる妖精。その彼女に春を告げてくれる人はきっと……
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
「はるですよー」
「だからそれじゃ関西弁だってば。はるですよー」
「パルですよー?」
「妬ましいわね」
「ハルデスヨー」
「あんたは上海か!」
「はるっ!?」
今日も博麗神社で歌の練習が行なわれている
でもどうやら春はまだまだ来ないらしい
まだ寒いかもしれないけれど
みんな、ちょっとだけ我慢してね
そして彼女の歌が聞こえたら
空を見上げて、声を掛けてあげてほしい
「はるですよー♪」
最近は暖かくなってきたから、リリーもがんばってるのかな。
というかするんだ!
変なイントネーションで「はるですよー」って飛んでたら頬が緩みまくりだろうww
ああ、もう、可愛いなwww
でも時々急に寒くなったり。
リリーの心情の変化に左右されるのかな?
>幻想郷まで届け!春ですよー!!!!
天までとどけ、いちにのさ~ん♪ ってなんでしたっけ?
春「はる♪」
>もっとちゅっちゅしてもいいのよ
次はもう少し糖分をあげてみてもいいかも。ちゅっちゅとは即ちジャスティス
>ああ、もう、可愛いなwww
リリー可愛いよ可愛いいよリリー
妖々夢で打ち落とすのためらわれるよリリー
でも即ボム