Coolier - 新生・東方創想話ジェネリック

とある人形使いのお泊り その4

2010/03/30 21:37:06
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これは、「とある人形使いのお泊り その3」の続編となっております。先にそちらを一読することをお勧めいたします。

























文が飛び去った後、何とも言い様の無い空気の中、何をするでもなく人里を歩き回っていた。何故、文にこっそり訊かなかったのか――相手が自分の事をどう思っているのか、それを知る唯一の情報源だったのに。
とはいえ、過ぎてしまった事はしょうがない。今問題なのはこの後どうするかだ。

既に必要なものは買い終わり、後は神社に戻るだけだったのだが、先程入った横槍の所為で帰る気分ではなくなった。
つまりは、邪魔が入ってしまった二人きりの時間を、取り戻したいというだけなのだが、本人達に自覚は無い。
そもそも買い物中も二人きりの時間などを楽しむ余裕など無かった。霊夢は必死で理性を保つために、アリスに関わろうとしなかったし、アリスはそんな霊夢の態度に、「やっぱり嫌われている」と勘違いを更に深めるだけだった。

しかしながら、多少の勘違いはお互いにあるものの、二人の根本にあるのは相手に対する好意であり、一緒にいたいという答えで考えが一致している。だから、ただ歩いているだけでも、それはそれで楽しい。
そんな事を考えながら、霊夢は内心頭を痛めていた。

まだ帰りたくは無い、こんなデート気分なんて、二度と味わえないかも知れない。だけど、さっきからアリスは一言も喋らず下ばかり見ている。
ひょっとしたら、私と一緒に居るのが嫌なのかも知れない。
だとしたら、ここは帰った方が良いだろう……そこまで考えると、首を小さく横に振る。

バカか、私は――どうせ嫌われているのなら、この最後かも知れないチャンスを逃してどうする?据え膳食わねば男が廃ると言うではないか。女だけど。
それに今は嫌われていても、この後の展開次第で印象を変える事が出来るかも知れない。ならば執るべき手段は一つ――アリスの好きそうな場所に行き、少しでも良いから会話する事だ。

「……む、霊夢。大丈夫?」

「きゃ!?び、ビックリした……大丈夫って何が?」

「いや、さっきから顔を顰めたかと思ったら、急ににやけるし……気分が悪いなら神社に……」

どうやら、先程の考えが顔に出てしまったらしい。心配そうな表情の裏に、少しばかり距離を置かれている様な気がする。印象を良くする計画を考えていたのに、実行する前から逆効果になってしまった。これで余計に引く事ができなくなった……

大丈夫、私になら出来る筈だ。根拠は無いけど、信じれば夢は叶うって子供の頃に紫に聞いたもの……どうしよう、凄い勢いで胡散臭く思えて来た。ちくしょう、誰から聞いたかまで思い出すんじゃなかった。

























霊夢が打算に塗れた計画を立てていた時、アリスは何とも言えない心境だった。今のこの状況は望ましい状況だ。この瞬間を得られただけで、神社に泊まった甲斐はあったと言えるだろう。

だが、これはあくまで過程だ。最終目標は少しでも霊夢に好かれる事なのだ。一緒に歩いていても会話が無ければ、好かれた内には入らない。その証拠に、さっきからずっと不機嫌そうな表情を浮かべ、一度も視線を向けてくれない。

彼女は元々興味の無い事には極端に無気力なのだ。異変解決だって「博麗の巫女」という立場だからやってるだけで、魔理沙の様に乗り気ではない。それどころか自分の邪魔をする者は誰であっても、容赦しない。
その性格から考えれば、二度も敵対した自分はどれほど嫌われているのか、想像もつかない。悪い方悪い方に考えてしまっている事は自覚しているが、どうしようもないのだ。霊夢とそれ以外では重さが全く違う。

ふと顔を上げて霊夢を見ると、嬉しそうに笑みを浮かべている霊夢が視界に入る。

待てよ――何故霊夢は、あの鴉天狗の取材に乗ったのだろう?確かに私はインタビューを自ら受けた。しかしいつもの霊夢ならば、絶対に人に流されたりはしない。もし無理に取材を進めようとしても、力で捻じ伏せていただろう。そうしなかったわけ、そしてさっきの嬉しそうな笑顔……

カチリ、と音を立ててアリスの頭の中のピースが揃う。勿論、悪い方向で。
は、ははは……何だ、そういう事か。だけど何でこんなに辛いんだろう?別にどうでも良いではないか、霊夢が誰を好きでも。自分が彼女に向けている好意は、そういった類のものではない筈だ。

そう思いながら声をかけると、驚いた表情を浮かべて顔に手を当てている相手をジッと見る。どうやら無意識だったらしい、それほどあの天狗にご執着か。
こんな事なら、嫌われてままの方がマシだったかも知れない。そう思っていると、目の前の彼女は見た事も無い様な笑みを浮かべて、口を開いた。

「着いて来て貰いたい場所があるの。来て貰えるかしら?」
前作のコメントで、「短文ばっかじゃなく、長文も書け」と皆様から鞭を頂き、長文に挑戦して挫折しました。挑戦した結果がこれだよorz
長文書ける方が羨ましい、妬ましい……パルパルパル……

それでは。ここまで読んでくれた皆様に、最大の敬意を込めて。
天川 紅
コメント



1.しゅらもにか削除
一年以上ぶりにのぞいたら、妖々夢時代からのゆずれない願いが具現化していた・・・。
やはり霊アリは良いですね。ヘタ霊夢受けのアリ霊なら尚良し!
続き楽しみにしております。
2.奇声を発する(ry in 霊アリLOVE!削除
この先どうなるのか!凄い気になる!!
続きを楽しみに待ってます!!
3.名前が無い程度の能力削除
この短さでこの早さでこの量出せるんなら、一つにまとめた方がいい気がする。
4.名前が無い程度の能力削除
いいペースですなー。
さぁ、このあとどうなる!
5.名前が無い程度の能力削除
面白かったけど、続きが気になりますねww
自分は待っている時間も楽しめて、読了後も記憶に残るので、
小出し(今の分量のまま)のほうが良いような..
続編期待して待ってます。
6.名前が無い程度の能力削除
この短期間でこれだけのペースで書ける事はすごいと思います。
が、それならそれで溜めて一気に投稿した方が良い。
小出しにする事で流れてしまう作品もある事を少しは考慮してください。
gdgd書きましたがあなたのレイアリは好きです。
完結を待ってます。
7.名前が無い程度の能力削除
終わり方が上手いなぁ…
これでは続きが気になって寝れないじゃないか…
8.名前が無い程度の能力削除
どのぐらいなら長文になるのかは分かりませんが長文書こうとして挫折したとの事ですが長文=一日で書き上げた物ではないと思います。他に毎日長文を投稿してる人なんていないので一日で書けないなんて普通の事ではないでしょうか?作品自体はとても好きなので頑張って下さい。
9.名前が無い程度の能力削除
長文とはいえない量ですが私は好きですよ
あなたはひきがうまい
10.名前が無い程度の能力削除
初々しいふたりが見れてあたしゃ幸せだよ
11.名前が無い程度の能力削除
続きが気になって仕方ない。
別に長文じゃなくてもいいじゃない。
投稿ペースが早いのは嬉しいさね。
続編楽しみにしてますぜ!