Coolier - 新生・東方創想話ジェネリック

春と書いて幸せと読みます

2010/03/29 13:50:44
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今作品は、下のほうにある「はるですよー」の続きにはなっていますが、
読まなくても、のほほんとできると思います。



























今は春。

桜がお酒の入った杯に舞い散ると、風流だと自然に心が温まる季節。

昨日も博麗神社の境内では、宴会が開かれていた。

さくらさくら、桃色の絨毯を敷き詰め、一面を春に染めよ。

朝日と共に、世界に光りを燈せ。


「風流ねぇ」

「春です♪」

「頭痛い……」


宴会が夢の後。

境内に敷かれたシートに寝転ぶのは、幻想郷の母「八雲 紫」。

その膝の上に頭を乗せて、蒼白になっているのは、楽園の巫女「博麗 霊夢」

そして、正座して桜を見上げているのは、春を告げる妖精「リリー・ホワイト」である。

つい先刻まで普通の魔法使いや、永遠に幼き吸血鬼、さらには冥界の姫などなど、

女性ばかりが沢山集まり、飲み食べ騒ぎチャンバラバラと弾幕り、まるで地獄絵図のように楽しんでいたのだが、

朝日が昇ると同時に皆自宅へと帰って行った。

もちろん後片付けもせず、である。


「ちょっと霊夢大丈夫なの?」

「無理、死ぬ……後片付けは任せた」

「藍ー、霊夢直々のご指名よ?」

「今食器洗いで忙しいので、ゴミだけはそっちで分けておいて下さいー!!」

「らんしゃまー! 泡が泡がー!」

「え、ちょっと橙、何をしてあわわーー!!」


おそらく台所であろう所からが聞こえた。

台所から此処までは結構離れているので、隙間経由のやり取り。実に便利だ。


「んー……私も霊夢の膝枕で忙しいのよね~」

「膝枕はもういいわ。私布団で寝てくるから……」


そう言ってなんとか起き上がろうとする霊夢の額を、紫は体を屈めることで止めた。

これ以上霊夢が体を起こすと、唇と唇がコンニチワしそうな距離に、紫の笑顔がある。


「霊夢も、私の、膝枕で、忙しいのよね?」

「コラ、対象が変わってるわよ」

「些細な事ですわ」

「むぅ……」


微妙に体をあげた体制がきつかったのか、霊夢は何も言わず後頭部を柔らかな布地へと着地させた。

霊夢は紫の足に対して体をまっすぐ正面に向けているからか、完全に力を抜いても安定しているようだ。


「はわ……春です」

「あー……リリー、悪いんだけどある程度ゴミ片してもらえる?」

「わかりました~おかたづけ開始です~」


二人を赤面しながら見ていたリリーが、霊夢の託どおり片付けを始めた。

でも横目でチラチラと二人を見ているためか、躓いたり、せっかく集めた桜の花びらに正面から突撃したりと、なかなか作業が進まない。

紫は紫で、そんなリリーを見てクスクスと笑い、霊夢の髪を撫でている。


「はぅあぅ~……桜集めても集めてもまた落ちてきます~」

「先に酒瓶や食器を一纏めにしたらどうかしら?」

「それです! さすが妖怪の賢者さまです~ありがとうございます♪」

「ふふ……どう致しまして」


紫の助言を聞きながら、せっせと仕分けする。

空き瓶、ちょっと残っている瓶。大きなお皿、小さなお皿。

せっせと仕分けする。

燃えるゴミ、燃えないゴミ。誰かの帽子……の上に猫さん?


「にゃー? ねこさん~そこあたたかいです~?」

「……」

「ぶらっくちゃんみたいに黒いねこさん~」

「……ふにぁ……にゃーん」

「あ、どこ行くですかー?」


リリーに声を掛けられた尻尾が二本ある黒い猫はとことこと歩き出した。

そして寝ている霊夢の足に擦り寄ると、そのまま丸くなって欠伸を一つ。

リリーを一目見て、再び目を閉じた。


「はる~……ちょっとうらやましいです」

「確かに羨ましい」

「はるっ!?」


いきなリリーの後ろから声が聞こえた。

振り返ると、背の高い金髪の女性が立っている。

その女性の背中には、ふさふさとした尻尾が沢山生えている。

鼻の頭や、尻尾に泡が付いているのが、少し気になった。


「らんさんでしたかー。びっくりしたです」

「すまない、驚かせてしまったね」


藍はリリーの頭を撫で、紫と霊夢と黒猫を見た。

どうやら紫も春の暖かさに、いつのまにか寝てしまっているようだ。

自然な笑顔のまま、すーすーと寝息を立てている。


「でも……本当に羨ましい。私もこのまま寝てしまいたい」

「食器は仕分けておきましたー」

「お、ありがとう。じゃあ後はやっておくから君も休んでいいよ」

「はい~眠たいです~」


藍は集まった食器を、よいせっと担ぎ上げ、神社の方へ戻って行った。

きっと沢山の食器の量に、まだ台所でがんばっている藍の式が驚くことだろう。


リリーは、藍が見えなくなるのを確認すると、口を両手で押さえながら欠伸をした。

そして、とことこと寝ている三人のところへ。

黒猫とは反対側の、霊夢の腕を抱き枕に目を瞑る。


「今年は、とてもあたたかいです♪」


春の夢を見る眠り子達に、桜は母のように布団を被せる。

楽園の夢よ、永遠に。

そして夢から覚めても、其処が春であり続けますように。





















「らんしゃまの尻尾ぽかぽか~♪」

「こら橙、まだ食器拭けてないだろう?」

「ふにゃ~zzz」

「まったく……私も少しだけ休憩するか」

「むにゅ……らんしゃま~……」

「ふふ。おやすみ、橙」
霊「うーん……重い、暑い……ねぐるしぃ……うぅん」
紫「れいむぅ~うふふ……すーすー」
猫「ごろごろごろごろ」
春「むにゃ……さん……すき、です♪」


雪桜って本当にキレイですよね。京都に住んでいて良かった良かった。
……寒いわ!!
と布団の中で震えるこじろーです。

リリー! 早く来てくれー!(CV栗燐の中の人)


では春はこの辺にして、また将来にお会いいたしましょう。またにてぃ~♪
こじろー
http://maira001.blog113.fc2.com/
コメント



1.奇声を発する程度の能力 in 携帯削除
のほほんとしました~。
私が今居る場所は寒いけど、ほっこり温まりました!
2.名前が無い程度の能力削除
面白かった。
続きがあるなら期待して待ってます。
3.ぺ・四潤削除
今の気分は『はふぅ~~~』って感じ。癒される~~
リリーが一家に一人いたらこの世から争いごとはなくなると思う。
このままシリーズ化で見たいです。
4.こじろー削除
>私が今居る場所は寒いけど、ほっこり温まりました!
リリーは居るだけでも暖かくなる気がします。
リリー人形を作ってみようかなぁ

>続きがあるなら期待して待ってます。
次は桜が散る季節かなと考えてます。がんばって書くよ!

>リリーが一家に一人いたらこの世から争いごとはなくなると思う。
喧嘩してても、リリーが一言、めっ!って言ってくれたらすぐにおさまりそうですよね。
せっかくだから春の間、シリーズ化してみようかな?
5.ずわいがに削除
霊夢そこかわれ!橙でもいい!
6.こじろー削除
>霊夢そこかわれ!橙でもいい!
今ならそっと加われば気づかれないかもしれませんよ?
ちょっとらんしゃまのしっぽにうずもれてきます