これは、「とある人形使いのお泊り」の続編となっております。先にそちらを一読することをお勧めいたします。
◇
居間でお茶を飲みながら、アリスは小さく溜息を吐く。つい先程霊夢が、アリスの泊まる部屋を掃除してくると言い残し、出て行ったため一人残されている。掃除くらいなら自分でやると言ったのだが、お客なんだからのんびりして欲しいと強く言われ、仕方なくお茶を啜りながらもう一度溜息を吐く。
霊夢が深く訊いて来なくて良かった――勿論、魔理沙のせいで家がキノコだらけにはなっているし、そんな所に住みたくも無い。が、普通に考えれば態々神社まで来なくても良かったのだ。
寧ろ、魔理沙の家に泊めて貰った方が距離的には近いし、魔理沙も掃除が終わるまで自分の家に居て良いと言ってくれたのだが、その申し出を断って神社に来たのだ。
どうしてそんな事をしたのかと言えば、どうも自分は霊夢に避けられているらしい、感じていたからだ。勿論、アリスには霊夢に嫌われる様な事をした心算などないが、もしかしたら気付かない間に何かをしたのかも知れない。だとするのなら、何としても仲直りしたい。
アリスは霊夢の事が嫌いではない。それどころか一種の憧れに似た感情を抱いていた。人間の身でありながら、この幻想郷でも最強と名高く、人間と妖怪のどちらからも慕われる魅力を持っている彼女に、例に漏れずアリスも惹かれていたのだ。だからこそ、自分と話す時に感じる彼女の余所余所しさが、何よりも悲しかったのだ。
実際にはアリスの考えとは真逆の理由なのだが、こういう事は悪い方に考えてしまうのが人情と言うものだろう。いや、人間じゃないけど。
兎にも角にも、何とかして霊夢に好かれようと一生懸命考えた結果が、今回のお泊りなのだ。そのため、掃除は長くなればそちらの方が良い。その分霊夢と長く一緒に居られるから。
「アリス、部屋の掃除終わったから。私は買い物に行って来るから、部屋でゆっくり……」
「あ、私も一緒に行くわ。お世話になるんだもの、少しくらい働かせてよ」
アリスがそう言うと、霊夢はピシリと固まり視線を泳がせる。ああ、やっぱり嫌われてるんだ……アリスは内心泣きそうだったが、必死で堪えて笑みを浮かべ霊夢の返答を待つ。だが、今霊夢の頭の中では一つの単語がグルグルと動き回っていた――二人で買い物……それって、つまりデート!?お、落ち着け、動揺を悟られるな。アリスに格好悪い所を見せて堪るか!
冷や汗をダラダラと流れ、軽く眩暈もするが耐えてみせる!頑張れ、霊夢……お前はやれば出来る子だ――自分を鼓舞し終えると、酷く引きつった笑みを浮かべてアリスの提案を了承するのだった。
◇
何を話すでもなく――それどころか視線を交わす事無く、スタスタと人里を歩く巫女と人形使い。一緒に歩いているにしては、その雰囲気は重い。人形使いの方はずっと下を向いて歩いているし、巫女の方は一見すると普段と変わらない様に見えるが、足と手が一緒に動いており人とは思えない動きになっている。
そんなコンビが注目を集めない筈も無く、里の人間の興味の視線に晒されながら、買い物を進めて行く。
「そこのお二人さん、ちょっとお話良いですか?」
突然背後からかけられた声に振り向くと、よく見慣れた黒髪の少女が笑みを浮かべて、立っていた。
◇
居間でお茶を飲みながら、アリスは小さく溜息を吐く。つい先程霊夢が、アリスの泊まる部屋を掃除してくると言い残し、出て行ったため一人残されている。掃除くらいなら自分でやると言ったのだが、お客なんだからのんびりして欲しいと強く言われ、仕方なくお茶を啜りながらもう一度溜息を吐く。
霊夢が深く訊いて来なくて良かった――勿論、魔理沙のせいで家がキノコだらけにはなっているし、そんな所に住みたくも無い。が、普通に考えれば態々神社まで来なくても良かったのだ。
寧ろ、魔理沙の家に泊めて貰った方が距離的には近いし、魔理沙も掃除が終わるまで自分の家に居て良いと言ってくれたのだが、その申し出を断って神社に来たのだ。
どうしてそんな事をしたのかと言えば、どうも自分は霊夢に避けられているらしい、感じていたからだ。勿論、アリスには霊夢に嫌われる様な事をした心算などないが、もしかしたら気付かない間に何かをしたのかも知れない。だとするのなら、何としても仲直りしたい。
アリスは霊夢の事が嫌いではない。それどころか一種の憧れに似た感情を抱いていた。人間の身でありながら、この幻想郷でも最強と名高く、人間と妖怪のどちらからも慕われる魅力を持っている彼女に、例に漏れずアリスも惹かれていたのだ。だからこそ、自分と話す時に感じる彼女の余所余所しさが、何よりも悲しかったのだ。
実際にはアリスの考えとは真逆の理由なのだが、こういう事は悪い方に考えてしまうのが人情と言うものだろう。いや、人間じゃないけど。
兎にも角にも、何とかして霊夢に好かれようと一生懸命考えた結果が、今回のお泊りなのだ。そのため、掃除は長くなればそちらの方が良い。その分霊夢と長く一緒に居られるから。
「アリス、部屋の掃除終わったから。私は買い物に行って来るから、部屋でゆっくり……」
「あ、私も一緒に行くわ。お世話になるんだもの、少しくらい働かせてよ」
アリスがそう言うと、霊夢はピシリと固まり視線を泳がせる。ああ、やっぱり嫌われてるんだ……アリスは内心泣きそうだったが、必死で堪えて笑みを浮かべ霊夢の返答を待つ。だが、今霊夢の頭の中では一つの単語がグルグルと動き回っていた――二人で買い物……それって、つまりデート!?お、落ち着け、動揺を悟られるな。アリスに格好悪い所を見せて堪るか!
冷や汗をダラダラと流れ、軽く眩暈もするが耐えてみせる!頑張れ、霊夢……お前はやれば出来る子だ――自分を鼓舞し終えると、酷く引きつった笑みを浮かべてアリスの提案を了承するのだった。
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何を話すでもなく――それどころか視線を交わす事無く、スタスタと人里を歩く巫女と人形使い。一緒に歩いているにしては、その雰囲気は重い。人形使いの方はずっと下を向いて歩いているし、巫女の方は一見すると普段と変わらない様に見えるが、足と手が一緒に動いており人とは思えない動きになっている。
そんなコンビが注目を集めない筈も無く、里の人間の興味の視線に晒されながら、買い物を進めて行く。
「そこのお二人さん、ちょっとお話良いですか?」
突然背後からかけられた声に振り向くと、よく見慣れた黒髪の少女が笑みを浮かべて、立っていた。
本当にシリーズ化してくれてありがとう!
続きが楽しみです。
この勘違いコンビいいなww
ジャーン ジャーン
げえっ 天g!