「えー、なになに」
「私達は嫉妬心を二十一世紀に対応するファクターとして進化させるべく、
嫉妬型生活総合扶助事業『パルシステム』を創造いたしました。」
「『パルシステム』は会員の皆様が持っている嫉妬心を協同の理念に基づき、
くらしの課題解決に向け、インテグレート及び還元するサービスです。」
「jealous&createを基本構想としたソリューションで幻想郷の皆様に新しい生活を提案します。」
「何よこれ。(訪問販売お断りのお札も必要ね…)」
「書いてあるとおりですよ、はい。」
「はいじゃないが」
「つまりですね、簡単に言うと私が皆さんの嫉妬心を運用して還元しようと言う物なんですよ。」
「ゴメンあなたが何言ってるのか分からない。」
「察しの悪い人ですねぇ。
まず、あなた方の持っている余分な嫉妬心を集めて私の所に集中させます。
これには萃香さんが協力してくれることになっています。
それから、集めた嫉妬心について私が増幅や分配等の管理をする訳ですよ。
嫉妬心を持て余している時、呪術で嫉妬心が足りない時に私達のサービスを活用してもらえば、
理想的な丑の刻参りライフが堪能出来るんですよ。
もちろん用途に応じて変換する事も出来ます。」
「いらんわそんなもん!
っていうか萃香、アンタも何でこんな下らん事に協力してるのよ…」
「いや面白そうだから。」
「霊夢さんは嫉妬の素晴らしさを分かっていないようですね。
他人を妬むことなく常に前を向いて自分を高めようとする姿勢と言うのは一見格好良いかも知れません。
でもですね、それで全てが片付くほど世の中上手く出来てないんですよ。
そんな時は思いっきり嫉妬すればいいんです。
そうすれば一日の終わりに『今日も良い嫉妬をしたなぁ』と思って気持ちよく床に就けるんですよ。」
「嫌な悟り方をしてるわね。」
「幻想郷の方は自分自身を恃む所が大き過ぎなんですよ。
自尊するのは結構ですけど、それだけじゃ疲れちゃいますよ?
皆さんもっと盛大に嫉妬すべきなんです。」
「いや…アレは何て言うか…お約束みたいなとこもあるし…」
「ってか、お互いに大口叩きつつ嫉妬し合うとか考え得る限りで最悪の世界観じゃない!
いくら出て来るのが全員美少女つっても見るに堪えないわ…」
「うーん、霊夢さんにはまだ嫉妬の良さがお分かり頂けないようですねえ…」
「ちょっと外に出ましょう。萃香さん、お願いします。」
「ほいきた。」
ワラワラワラワラ
「おぉい!運ぶな!」
「行くから、自分で行くから!」
――――守矢神社――――
「で、何よ。」
「あそこに居る人を見てください。」
「早苗ね。それがどうしたの。」
「萃香さん、またお願いします。」
「うん」
「まず空気を」
ゴォッ
「萃めて」
「早苗の所に。」
「え、何すんの?」
「それを」
「散らす!」
「神奈子様ー。掃除が終わりまs」
どぉーーーーーーーーーーーーーーーん!!!
「きゃあーーーーーー!?」
「早苗!?さなえーーーーっ!」
「大丈夫かい!…ああなんて酷い怪我を!!」
「ちょっと!!!」
「何てことしてくれんのよ!私知らないからね!」
「どうですか?
霊夢さんがあんな事になってもあんな風に心配してくれる人なんか居ないでしょう?妬ましくないですか?」
「ねぇどんな気持ち?ねえねぇどんな気持ち?」
「(この鬼殺してぇ…)」
「NDKじゃないわよ!とにかく、私はあのカワズ野郎に祟られるつもりはないから!」
「へー。それは残念だったね。」
「!?」
「あ、あのぉ諏訪子様?これはそこの鬼がですね…
あっ、奴ら逃げやがった!!」
「地上を恐怖のどん底に陥れてやると言ったが、ありゃ嘘だ。」
「まずお前らから地獄に叩き落してやる。」
※おまけ
「GHKにんげんドキュメント・鉄輪と向き合う」
雲上の神社から少し離れた小屋。彼女はそこに居た。
「まぁ好きではじめた仕事ですから」
まず、素材の入念なチェックから始まる。
基本的な形は決まっているが、最近のユーザーの嗜好に合わせ
多種多様なものを作らなければいけないのが辛いところ、と彼女は語る。
「でも自分が選んだ道だからね。後悔はしてないよ」
鋼に満足できないとその日の営業をやめてしまうという
「こう・・・一人で仕事小屋に篭って徹底的に鉄輪と向き合ってると
ピリッと体が引き締まる思いなんです。
やはり、もともと神事に使う道具なのでいい加減なことはできませんしね」
「もちろん出来上がった物は一つ一つ妖怪で試しています」
「自分が使いやすいのもちろんだけど、使ってくれる人はもっと気持ちよく妖怪退治できないといけないね」
「時々ね、わざわざ手紙までくれる人もいるんですよ
またお願いしますって。ちょっと嬉しいですね」
「やっぱねえ、たたらだからこその弾性ってあるんです
機械がいくら進化したってコレだけは真似できないんですよ」
工程ひとつにかける時間はかなり長いが、作業は素早く、素人がとても真似できるようなものではない
「やっぱりアレですね、たいていの若い人はすぐやめちゃうんですよ
八卦炉使ったほうが早いとか、陰陽玉がいるからいいとか……
でもそれを乗り越える奴もたまにいますよ
ほら、そこにいる早苗もそう
そういう奴が、これからの鉄輪界を引っ張っていくと思うんですね」
砥師の八坂さんとはもう十万年来の付き合いです。
「やっぱり手に取った時点でね、(大量生産品とは)違うって分かるんですよね」
採石場に着いた洩矢さん。高師小僧を手に取りガブリ!
「最高の材料だ。良いのが出来るよ。」
今日も彼女は、日が昇るよりも早く火を入れた
明日も、明後日もその姿は変わらないだろう
そう、鉄輪職人の朝は早い───
嫉妬心にはもっと有効な利用法があると主張したい!パルシステム、上手く使えば神にも悪魔にもなれるのじゃ