ある朝、天子は天使の夢を見た。
空から見おろす天使が地上の民に愛を振りまく姿を、上から眺める。
彼女のようになってみたいだなんて願っていたら、私にも翼が生えてきたではないか。
いざ空へ飛び立とうとすると、どうしたことか、翼が動かない。
体が地に堕ちて行く中、目に入る天使の笑顔は。
私には手に入らないと、告げられた気がした。
夢から目覚めて、襲う虚無感。
それはきっと天子が長く眠れない理由。
ある朝、衣玖は天子の姿を見た。
天から見くだす天子が地上の民に嫉妬を振りまく姿を、横から眺める。
彼女のために何かをしたいだなんて願ってみても、私には口を出すことも出来無いか。
いざ空へ飛び立とうとすると、どうしたことか、足が動かない。
足が地から離れない中、目に入る天子の横顔は。
私には変えられないと、知らされた気がした。
自ら感じて、襲う無力感。
それはきっと天子が長く笑わない理由。
ある夜、天子は夜空の星を見た。
夜空に浮かぶ星々が地上の私に光を振りまく姿を、下から眺める。
彼らのように輝いてみたいだなんて願ってみても、私には光ることさえ許されないか。
いざその場を去ろうとすると、どうしたことか、体が動かない。
目が空から離れない中、頬を伝う透明の水滴は。
私には似合わないと、教えられた気がした。
尚更溢れて、襲う脱力感。
それはきっと天子が長く泣かない理由。
ある夜、天子は思考の海にいた。
天から注ぐ月光が地上の私に力を与える姿を、下から眺める。
光のように煌きたいだなんて考えてみたら、私には出来ることなんて1つだけだったか。
いざ決意を固めたかと思うと、どうしたことか、気持ちが落ち着かない。
心の高ぶりが治まらない中、頭に浮かぶ私の姿は。
私には相応しいと、信じられた気がした。
それすら忘れて、満ちる高揚感。
それはきっと天子が長く落ち着かない理由。
ある時、天子は異変の中にいた。
下から迫る霊夢が天界の私に会いに来る姿を、上から眺める。
彼女のように目立ってみたいだなんて願ってみたら、私にはこんな形しかなかったんだ。
いざ戦いを始めようとすると、どうしたことか、笑いが止まらない。
顔から笑いが取れない中、心に滾る私の闘志は。
私には素晴らしいと、感じられた気がした。
さながら戦士で、漲る第六感。
それはきっと天子が凄く楽しそうな理由。
ある朝、衣玖は天子の姿をみた。
下から訪れる萃香が天子と共に酒を飲む姿を、横から眺める。
彼女の笑みは天使みたいだなんて思ってみてら、私にも笑みが溢れてきていたんだ。
いざその場を去ろうとしても、どうしたものか、天子が離れない。
横から天子に抱きつかれる中、目に入る彼女の笑顔は。
私には美しいと、魅せられた気がした。
温もり感じて、溢れる幸福感。
それはずっと天子を強く思っていた理由。
ある朝、天子は霊夢の前にいた。
下から見上げる霊夢が笑顔の私に皮肉を振りまく姿を、上から眺める。
彼女とすぐに遊び始めたいだなんて思っていない、私には皮肉さえも楽しくなるんだ。
いざ空から降り立とうとすると、どうしたことか、心が温かい。
心から温もりが溢れる中、庭先の美しい朝顔も。
私には敵うまいと、心から思えた気がした。
君から私へ、満ちる充実感。
それはずっと天子が強く望んでいた自由。
天子にはやっぱり笑顔が似合いますねぇ。
夢から現実へ。天子が楽しそうで何よりです。