「お……」
パチュリー様にお茶を入れて、そこにそこに挨拶を済ませて図書館から去ろうとした時、見知った顔が椅子に腰掛けて本を読んでるのを見つけた。
見知った顔というレベルではなく、恐らくこの館に住んで者を除けば最近一番顔を見ている。
「アリス」
「うっ……咲夜、あんたか」
両手が開いていたので、後ろに回りこんでアリスの顔を両脇から包むように手を伸ばした。
最初は驚いた身を固めたが、私が手を引っ込めて両肩に乗せると少し息を吐いて本の説明をし始めた。
「ちょっと気が向いたから、恋愛物の本を読んでみてるのよ」
「ふーん、で、面白いの?」
「…んーとねー………話は斬新ね、でもねぇ」
「でも?」
「人を殺しすぎなのよね」
「恋愛者で人が死ぬの?」
むしろ恋愛者は人が生まれる物語なんじゃないか?
「恋愛じゃないのかもね、それっぽい雰囲気だったんだけど最初は」
「主人公はどんなやつ?これ?」
挿絵に書かれている男性を指差す。
「そうそれ」
「でもなんか、変じゃない?この子」
「よく気がついたわね、この子ロボットなのよ」
「え?」
「実はねー、この子最初は普通の人間だったけど、なんか宇宙人みたいなのにさらわれて気がついたらロボットになってたのよ」
「すごい話ね、ロボットなんてほとんど見たことないわよ」
「うん、で、このロボットの主人公は実は最初の普通の主人公とは別物でね」
「ほう」
「その主人公を元にしたコピーのロボットだったのよ」
「なんと…」
「で、この男の子にはガールフレンドがいてね」
おお、彼女は普通の人間か…
「この子はさらわれた男の子を助けるために頑張ったんだけど、その途中で災難にあってね」
「死んだの?」
「死んでないけど、死ぬくらいつらかったんじゃないかな、で、今その子がやっとロボットの主人公と再会することができたの」
「山場じゃない」
どおりで真剣に読んでいたわけだ。
私は本の内容が気になったので、隣にあった椅子に腰掛けてアリスの隣から本を覗き込んだ。
するとアリスも気を使って、テーブルの上に本を広げた。
こんな読み方をするなんてなんて子供地味てるんだ、そう思ったが。
図書館の静寂と二人っきりの空間がそうさせた。
私たちはしばらく無言で本を読んだ。
私は面倒そうな行を読み飛ばすクセがあるので、アリスより早くページを読み終える、でも次のページまでのその待ち時間が、ちょうど良く私を焦らす。
「………」
「………」
あれから30分で、本を読み終えた。
非常に空気が重くなったが、とりあえず私は咲夜の部屋に招かれた。
「………いやー、驚いた」
「そうね…」
ようやっとロボットの主人公に出会った彼女は、その恋が報われることはなかった。
むしろ宇宙人の侵略者によって人間達は無残にも虐殺されたのだ。
とんでもストーリーだった。
「女の子ってああいう恋が好きなの?」
「……さぁ」
二人は、最終的には記憶を取り戻した主人公の心の中で再会して結ばれることができた。
それでお話はおしまいだ。
「でもさぁ、咲夜」
「ん」
「綺麗な終わり方ではあったわね」
「…斬新なことは認めるけど」
なかなかグッとくる要素がなかったわけでもない。
でも、咲夜の心には響かなかったらしい。
「私は、普通の恋でいいわ」
「……ん」
「ハラハラするのもいいけど、やっぱり安心していたいじゃない?」
「………そうね」
「咲夜」
「ん」
「私だったらこういう恋愛は結構アリだと思うんだけど、貴方は嫌なの?」
「ええ」
「でもちょっと憧れるじゃない、運命的な再会とか」
「……再会ってことは、結構離れていた期間があるわけじゃない?」
「ええ」
「その時点で嫌よ」
咲夜の恋愛論は、結構現実的らしい。
「ずっと一緒にいればいいのよ」
「……」
「好き同士なら一緒にいればいいの」
「………そうかもね」
そうだ、一緒にいれば確かに何も困らない。
それに私たちは同じように年月を歩み続けていけるわけじゃない。
もしかしたら、咲夜はそのことを考えて言ってくれたのかもしれない。
「んじゃ、アリス、気分転換に温泉でも入りいきますか」
「いいわね、着替え覗かないでよ」
「じゃいい……」
「……」
パチュリー様にお茶を入れて、そこにそこに挨拶を済ませて図書館から去ろうとした時、見知った顔が椅子に腰掛けて本を読んでるのを見つけた。
見知った顔というレベルではなく、恐らくこの館に住んで者を除けば最近一番顔を見ている。
「アリス」
「うっ……咲夜、あんたか」
両手が開いていたので、後ろに回りこんでアリスの顔を両脇から包むように手を伸ばした。
最初は驚いた身を固めたが、私が手を引っ込めて両肩に乗せると少し息を吐いて本の説明をし始めた。
「ちょっと気が向いたから、恋愛物の本を読んでみてるのよ」
「ふーん、で、面白いの?」
「…んーとねー………話は斬新ね、でもねぇ」
「でも?」
「人を殺しすぎなのよね」
「恋愛者で人が死ぬの?」
むしろ恋愛者は人が生まれる物語なんじゃないか?
「恋愛じゃないのかもね、それっぽい雰囲気だったんだけど最初は」
「主人公はどんなやつ?これ?」
挿絵に書かれている男性を指差す。
「そうそれ」
「でもなんか、変じゃない?この子」
「よく気がついたわね、この子ロボットなのよ」
「え?」
「実はねー、この子最初は普通の人間だったけど、なんか宇宙人みたいなのにさらわれて気がついたらロボットになってたのよ」
「すごい話ね、ロボットなんてほとんど見たことないわよ」
「うん、で、このロボットの主人公は実は最初の普通の主人公とは別物でね」
「ほう」
「その主人公を元にしたコピーのロボットだったのよ」
「なんと…」
「で、この男の子にはガールフレンドがいてね」
おお、彼女は普通の人間か…
「この子はさらわれた男の子を助けるために頑張ったんだけど、その途中で災難にあってね」
「死んだの?」
「死んでないけど、死ぬくらいつらかったんじゃないかな、で、今その子がやっとロボットの主人公と再会することができたの」
「山場じゃない」
どおりで真剣に読んでいたわけだ。
私は本の内容が気になったので、隣にあった椅子に腰掛けてアリスの隣から本を覗き込んだ。
するとアリスも気を使って、テーブルの上に本を広げた。
こんな読み方をするなんてなんて子供地味てるんだ、そう思ったが。
図書館の静寂と二人っきりの空間がそうさせた。
私たちはしばらく無言で本を読んだ。
私は面倒そうな行を読み飛ばすクセがあるので、アリスより早くページを読み終える、でも次のページまでのその待ち時間が、ちょうど良く私を焦らす。
「………」
「………」
あれから30分で、本を読み終えた。
非常に空気が重くなったが、とりあえず私は咲夜の部屋に招かれた。
「………いやー、驚いた」
「そうね…」
ようやっとロボットの主人公に出会った彼女は、その恋が報われることはなかった。
むしろ宇宙人の侵略者によって人間達は無残にも虐殺されたのだ。
とんでもストーリーだった。
「女の子ってああいう恋が好きなの?」
「……さぁ」
二人は、最終的には記憶を取り戻した主人公の心の中で再会して結ばれることができた。
それでお話はおしまいだ。
「でもさぁ、咲夜」
「ん」
「綺麗な終わり方ではあったわね」
「…斬新なことは認めるけど」
なかなかグッとくる要素がなかったわけでもない。
でも、咲夜の心には響かなかったらしい。
「私は、普通の恋でいいわ」
「……ん」
「ハラハラするのもいいけど、やっぱり安心していたいじゃない?」
「………そうね」
「咲夜」
「ん」
「私だったらこういう恋愛は結構アリだと思うんだけど、貴方は嫌なの?」
「ええ」
「でもちょっと憧れるじゃない、運命的な再会とか」
「……再会ってことは、結構離れていた期間があるわけじゃない?」
「ええ」
「その時点で嫌よ」
咲夜の恋愛論は、結構現実的らしい。
「ずっと一緒にいればいいのよ」
「……」
「好き同士なら一緒にいればいいの」
「………そうかもね」
そうだ、一緒にいれば確かに何も困らない。
それに私たちは同じように年月を歩み続けていけるわけじゃない。
もしかしたら、咲夜はそのことを考えて言ってくれたのかもしれない。
「んじゃ、アリス、気分転換に温泉でも入りいきますか」
「いいわね、着替え覗かないでよ」
「じゃいい……」
「……」
凄い甘いお話でした!
最後で台無しwだがそこがいい!超現実的!
別れの時になっても「一緒にいたい」で後追いしてしまうアリスを幻視。
でもそれは果たしてBADENDなのだろうか、本人らが幸せならそれでも良いのではないかとも思ってみたり。
それにしてもあなたの作品はきゅんきゅんする。
楽しみにしてくれている方ありがとうございます、私の養分です。
二人の別れの後、アリスがどうするのかとか
そういうのを考えたりもするんですが、私の苦手な切ない系になる気もするのであんまり気が進みません。
でも自分の中で話が出来上がって、綺麗なものになったんじゃないかと想ったら書くのもありかなと想います。
タオルケットシリーズは記憶に残る名作だと想います。ですが2週目はない。