「咲夜ってば、指怪我してるよ」
幼い声に指摘され、ふと自分の指を確認してみる。
あぁ、本当だ。自分で言うのも何だが…白い肌には紅がよく映える。
「気が付きませんでしたわ」
腰の辺りにくっ付いて、離れようとしない幼い吸血鬼の頭をひと撫で。
見た目相応の無邪気な笑みが本当に可愛らしい。
どこぞの人形使いも、このくらい素直に笑ってくれたら可愛いだろうに。
「左手の薬指だなんて、まるでエンゲージリングみたいで素敵ね」
私の左手をとり、幼い吸血鬼がコロコロと笑う。
エンゲージリング。そんな言葉どこで覚えたんだろう…
それに言われてみれば…そう見えなくもないから不思議ね。
「あら、それなら相手は誰なのかしらね?」
紅茶をひと口含み、まだ眠気から覚めていない瞳を向けてくるのは我が主。
本人はきっと不敵な笑みを浮かべているつもりなのだろうが…
眠気眼のせいでいつも以上に幼く見えるのはこの際黙っておこう。
「相手ってだぁれ?」
私の左手は離さないまま、幼い吸血鬼は私の方を見上げてくる。
この、好奇心に満ち溢れた瞳に一度捕まってしまったら…逃げるのはそう容易くはない。
「ご想像にお任せ致しますわ」
「相手が居るのは否定しないのね」
お嬢様のまさかのツッコミ。しっかりと起きていらしたんですね。
時間は止められても巻き戻せないなんて…本当に世知辛い世の中だわ。
後方の吸血鬼は瞳を輝かせ私を見つめている。
前方の吸血鬼に至っては…墓穴を掘った私がそんなにも可笑しかったのか、愉快そうに羽を揺らしている。
あぁ困ったわ…
こんな時は
逃げるに限る。
「お嬢様方、申し訳ありません。美鈴が居眠りに勤しんでいないかチェックをしに行く時間ですわ」
勿論そんなものある訳ないじゃない。ごめんなさい美鈴。
後で差し入れでも持って行ってあげよう。そうしよう。
「それでは失礼致します。」
「あ、まだ話は終わってな…」
幼い吸血鬼を引き離し、時間を止め、瀟酒に退場。流石ね私。
「お嬢様方、素敵なティータイムをごゆっくりどうぞ。」
一礼をし、部屋の扉を静かに閉める。
そして時間は動き出す。己の二つ名に恥じぬ程の完璧さ。やるわね私。
さて、美鈴の待つ門前へ向かう前に、何か用意していかないと…
一息つき、自分の左手を見遣る。
『まるでエンゲージリングみたいで素敵ね』
先程の妹様の言葉が忘れられない。
あの娘にこの事を伝えたら、どんな反応が返ってくるのか…想像するだけで愉快だわ。
ねぇ…貴女は今、何処で何をしているの。
会いたい…今すぐ会って貴女に触れたいの。
そんな願いを込めて、紅に染まった薬指に口づけた。
明日こそは彼女に会えますように。
幼い声に指摘され、ふと自分の指を確認してみる。
あぁ、本当だ。自分で言うのも何だが…白い肌には紅がよく映える。
「気が付きませんでしたわ」
腰の辺りにくっ付いて、離れようとしない幼い吸血鬼の頭をひと撫で。
見た目相応の無邪気な笑みが本当に可愛らしい。
どこぞの人形使いも、このくらい素直に笑ってくれたら可愛いだろうに。
「左手の薬指だなんて、まるでエンゲージリングみたいで素敵ね」
私の左手をとり、幼い吸血鬼がコロコロと笑う。
エンゲージリング。そんな言葉どこで覚えたんだろう…
それに言われてみれば…そう見えなくもないから不思議ね。
「あら、それなら相手は誰なのかしらね?」
紅茶をひと口含み、まだ眠気から覚めていない瞳を向けてくるのは我が主。
本人はきっと不敵な笑みを浮かべているつもりなのだろうが…
眠気眼のせいでいつも以上に幼く見えるのはこの際黙っておこう。
「相手ってだぁれ?」
私の左手は離さないまま、幼い吸血鬼は私の方を見上げてくる。
この、好奇心に満ち溢れた瞳に一度捕まってしまったら…逃げるのはそう容易くはない。
「ご想像にお任せ致しますわ」
「相手が居るのは否定しないのね」
お嬢様のまさかのツッコミ。しっかりと起きていらしたんですね。
時間は止められても巻き戻せないなんて…本当に世知辛い世の中だわ。
後方の吸血鬼は瞳を輝かせ私を見つめている。
前方の吸血鬼に至っては…墓穴を掘った私がそんなにも可笑しかったのか、愉快そうに羽を揺らしている。
あぁ困ったわ…
こんな時は
逃げるに限る。
「お嬢様方、申し訳ありません。美鈴が居眠りに勤しんでいないかチェックをしに行く時間ですわ」
勿論そんなものある訳ないじゃない。ごめんなさい美鈴。
後で差し入れでも持って行ってあげよう。そうしよう。
「それでは失礼致します。」
「あ、まだ話は終わってな…」
幼い吸血鬼を引き離し、時間を止め、瀟酒に退場。流石ね私。
「お嬢様方、素敵なティータイムをごゆっくりどうぞ。」
一礼をし、部屋の扉を静かに閉める。
そして時間は動き出す。己の二つ名に恥じぬ程の完璧さ。やるわね私。
さて、美鈴の待つ門前へ向かう前に、何か用意していかないと…
一息つき、自分の左手を見遣る。
『まるでエンゲージリングみたいで素敵ね』
先程の妹様の言葉が忘れられない。
あの娘にこの事を伝えたら、どんな反応が返ってくるのか…想像するだけで愉快だわ。
ねぇ…貴女は今、何処で何をしているの。
会いたい…今すぐ会って貴女に触れたいの。
そんな願いを込めて、紅に染まった薬指に口づけた。
明日こそは彼女に会えますように。
精神的に優位に立つ咲夜さんも良いけど、宴会漫画の様にピチューンするのも良いです。
というかあのカップリングならどんなシチュでもおk。