※村紗がお好きな方はごめんなさい。
おかしい。
絶対おかしい!
「皆ちょっといいですか?」
「あら、どうしたの村紗?」
聖と星に雲山、そしてナズーリンとぬえ。
聖は相変わらずお美しいし、その他大勢も元気そうでなによりなんだけど。
「……聖のことを皆はどのように呼びますか?」
「「聖」」
「聖白蓮」
「……」
雲山も聖と呼んでいることをボディランゲージで教えてくれた。
「じゃあ、星のことは?」
「星ちゃ、寅丸様の方がいいかしら?」
「星」
「……」
雲山もボディランゲージで以下同文……しゃべればいいのに。
それはともかくとして。
「ご主人だが……しかし、いきなりどうしたんだい船長?」
こ れ で す よ 。
「私のことは、なんて呼びます?」
「「「村紗」」」
「船長」
皆の答えを聞いた瞬間、私は船長としての淑女的な態度をかなぐり捨てた。
「なぜだああああああああ!?」
※さあ、みんなもノートに船長の名前を漢字で書き込んでみよう!
「なんでよ!? ホワイ!?」
猛烈な怒りに襲われ、私はたたみを両拳でたたき割ろうと。
できなかった……痛い。
「む、村紗? 何がなぜなのさ!?」
「なんでみんなして私のことを村紗って呼ぶんですかー!?」
私の動揺のせいか、皆がいまさら慌てているが、もう遅い。
何これ、いじめですか。
寺子屋時代から陰湿ないじめがあるせいで冷めた子どもが量産されるってけーねも言うかもしれないのよ!?
「ひどいですよ皆……う、うう……」
「よしよし、泣かないで……」
聖が、その真っ白な手で私をなでてくれた。
「ああ聖、あなたはやはり素晴らしいお方です……」
「あらあら、そんなことはないわよ? 私は村紗のことが大事なだけだもの」
「聖……」
「村紗……」
「私の名前覚えてます?」
「あら?」
聖があさっての方向を向いた。
なにやら宝石のような冷や汗をかいてらっしゃるけれど。
「ひ、聖……?」
「あらあらあら?」
え、そんなことはないよね?
「星! 私の名前」
「にゃあん」
あなたは虎でしょう!?
ええい、喉をごろごろならすなっ!
「ナズーリン、ついうっかり村紗の名前をなくしてしまったので探してきてくれませんか?」
「ナズーリン……そうだ、こんな時こそ! お願いマイ・コロンブス!」
世界が丸いことのように、私の名前が幻想入りしてないことを証明してください!
「私にも探せないものはある」
生卵を立てるどころか堂々と割ったー!
「というかそれって遠まわしに忘れたって断言してるよね!? ねえ!?」
「あーもう……というかキミもいまさらだな。 呼び方なんて封印される前から変わっていないだろう?」
それはそうなんだけど。
「あの時はもうちょっと仲良くなってからにしようと……」
「キミはデビューに失敗した新人かい?」
「ねえ村紗、私には聞かないの?」
うん、半年経つと声かけづらくなっちゃうよねっなどと考えていたら、ぬえが不満そうに質問を要求してきた。
ぬえは、ねえ……。
「聞かないわよ、どーせほら私って正体不明がウリだから~なんて言い出すんでしょう?」
「なによそれー!」
「最初からぬえには期待してませんから、安心して……」
「……う」
ヤバ、泣かしちゃったかしら。
「ぬえ、ごめんなさ」
「村紗の……村紗のぉ!」
あ、避けられないわこれ、と思った瞬間には、顔を真っ赤にしたぬえの拳は眼前にあった。
「どあほ~!」
「おぶ!?」
鼻を中心に、突き込むようなストレートを、もろに食らってしまったようだ。
顔がねじれていく感触がある。
それに合わせて、体が右方向に回転していく。
「ぐは!?」
そして、脇腹に強烈なインパクト。
「死ぬ! マジで死ぬ!」
「わああああん、水蜜なんて死んじゃえばいいんだー!」
なぜか涙を目にためながら走り去っていくぬえが何か言ったようだが聞きとれなかった。
何せ、体中が痛い。
「泣きたいのはこっちよぅ……」
名前は忘れられるわ、吹っ飛ばされるわでもう散々だ。
「船長……」
「村紗……」
え。
なにこの虎もどきとコロンブスもどきの視線の意味は。
「あらあら、村紗ったら」
ああ、聖だけは笑顔でいてくださる……。
なんか苦笑いっぽいけど気にしない!
「聖~!」
「なにやってんのよアンタ……」
我が聖母様に泣きつこうとしたところで、一輪が顔を出した。
「一輪。どうしたのですか?」
「ああ、寅丸様とナズもいたのね。 食事ができたんですけど……あら、ぬえは?」
「あの子なら、そこの不届き者に傷つけられてね……また物置でいじけてるんじゃないかい?」
肉体的にも精神的にも痛めつけられたのはこっちなんですけど。
「なーに? また水蜜はやっちゃったわけ?」
あれ。
「あれれれれれれれ?」
「な、何よ急に!?」
一輪……。
「あなたが仏か」
「はあ?」
「わんもあ」
自分の聴覚が信じられなかった。
耳だけ取り外して水洗いしたいくらいに。
「わんもあぷりーず! ねーむ! まいねーむ!」
「う、うざった……え? 水蜜?」
真実の友情はここにあった!
「一りいいいいいん!」
「ぎゃああああああああ!?」
覚えてくれていた人がいた、いたんだ!
「ありがとう! ありがとおおお!」
「や!? 気色悪いってば……ほおずりするな!」
一輪のこといつも地味って言ってごめんね!?
こんなにほっぺすべすべなのに!
「あーもう……! 雲山、トランスフォーム!」
「センキュー! センキューベリーマッチ!」
「げんこつ……スマアアアアッシュ!」
再び殴られ、今度は宙を舞う私。
でも気分は爽快だった。
「そう、私は村紗水蜜! 幻想郷のキャプテンみっちゃんとは私のことだああああああ!」
良かったね、船長!(違
ネタ自体はありだと思います。門番さんと共に名前で呼んで同盟とか組めばいいと思う。
まぁ船長、聖も苗字で呼ばれてるから安心しろよ
聖の場合は名前で呼ぶのが恐れ多いって感じでもあるがw
うん、キャプテンが悪い
しかしぬえが……船長ここでも悪霊だなww
コーラ吹いたww
ぬえ……ぬえぇぇええええん!!