さくり、と小気味の良い音と共に、串が立ち上がろうとカウンターに体重をかけた文の右手を貫いた。
その痛みに、夢じゃないんですね、と文は嘆く。
「女将さん、串があらぬところを貫いてますよ」
「あらやだ、文さん。串って鳥を刺してもいいのよ? 盟友を見捨てて逃げ出すようなのには、と・く・に」
「これが夢だと教えてくれるサービスだったら良かったんですが」
「私もそうね~」
なにしろ、暗がりの向こうから傘が二つ。仲良く並んでこちらへ向かってきたのだ。間に、香霖堂の店主を立てて、だ。急ぐでもなく、かといって話に興じる訳でもなく、しずしずと歩いてくるのだ。
聡いものなら、一目散に逃げるだろう光景に、
「馬手に八雲紫、弓手に風見幽香、ですか」
「そこは素直に両手に花、って言わないと、なんか武装してるみたい~」
「客観的に言って、傍迷惑な状態にしか見えませんが」
「つ~ま~り?」
どう見ても修羅場です、ごちそうさまでした、とめげずに席を立とうとカウンターに左手をつく文。その左手をにっこりと微笑みながら手を添え、ミスティアは、
「だから逃がさないって言ってるでしょ?」
さくりと、爪で貫いたのだった。
そこへ、
「ふむ。勘定を払わずに逃げるのは良くないな」
「あらあら、霊夢や魔理沙に払われないのに取り立ての一つもしない霖之助さんが言っても説得力がありませんわ」
「あの二人から取り立てが出来るのがいたら見てみたいもんだが?」
「森近が甘やかしすぎてるから払わないだけ、じゃないのかしら?」
けして視線を合わせようとしないまま喋る大妖達に対し、ミスティアは何事もなかったかのように文の左手から爪を抜くと、何時も通りに注文を伺いつつも一片の疑問を挟む。香霖堂はたまにここに来るけど、今日はどうしたのか? と。
「うん、店を出たらたまたま出会ってね。どうせだから、と僕が声をかけたんだ」
さらりとした霖之助の回答に、カウンターの端で刺さった竹串を丁寧に抜いていた文は、ぱきりと竹串を折ってしまった。と、同時に霧雨魔理沙という少女が恋の魔法使いと名乗る割に、自分に対する好意に理解できない理由の一旦を垣間見れましたねえ、と独りごちる。
なにしろ、この鈍感店主にも育てられたというあの少女。昼間のイベントで、みんな神社に居てくれて配るのが一度に片付いて助かった などと平気で抜かしたのだ。
まず誰が一番最初に受け取るかで半月ほど議論と弾幕が白熱し、最終的に全員一度に受け取りましょう、という妥協案で手を打ち、そこから半月ほどじゃあどこで受け取るか、で弾幕と拳が白熱したことをあの極楽な少女は多分気がつくことは無いでしょうね、と文は遠い目をする。
チルノさんも気がつくことは無いでしょうがと思いつつ、その目をちらりと、椅子に腰掛け手を拭っている店主へと向ける。恐らくこの店主も同じように気がついていないのだろうな、と呆れながら。
この大妖達は言った通りに、取り立てに行ったのだと。そして、店主にしてみれば幸いなことに、大妖にとっては想定内通り、鉢合わせし膠着状態となっていたことに。
「ごめんください」
そして、のれんを潜る竹林の薬師の声を聞いて、文は半ば折れた竹串をさくり、とカウンターに突き刺したのだった。
「串って鳥を貫いてもいいんでしたよね?」
その痛みに、夢じゃないんですね、と文は嘆く。
「女将さん、串があらぬところを貫いてますよ」
「あらやだ、文さん。串って鳥を刺してもいいのよ? 盟友を見捨てて逃げ出すようなのには、と・く・に」
「これが夢だと教えてくれるサービスだったら良かったんですが」
「私もそうね~」
なにしろ、暗がりの向こうから傘が二つ。仲良く並んでこちらへ向かってきたのだ。間に、香霖堂の店主を立てて、だ。急ぐでもなく、かといって話に興じる訳でもなく、しずしずと歩いてくるのだ。
聡いものなら、一目散に逃げるだろう光景に、
「馬手に八雲紫、弓手に風見幽香、ですか」
「そこは素直に両手に花、って言わないと、なんか武装してるみたい~」
「客観的に言って、傍迷惑な状態にしか見えませんが」
「つ~ま~り?」
どう見ても修羅場です、ごちそうさまでした、とめげずに席を立とうとカウンターに左手をつく文。その左手をにっこりと微笑みながら手を添え、ミスティアは、
「だから逃がさないって言ってるでしょ?」
さくりと、爪で貫いたのだった。
そこへ、
「ふむ。勘定を払わずに逃げるのは良くないな」
「あらあら、霊夢や魔理沙に払われないのに取り立ての一つもしない霖之助さんが言っても説得力がありませんわ」
「あの二人から取り立てが出来るのがいたら見てみたいもんだが?」
「森近が甘やかしすぎてるから払わないだけ、じゃないのかしら?」
けして視線を合わせようとしないまま喋る大妖達に対し、ミスティアは何事もなかったかのように文の左手から爪を抜くと、何時も通りに注文を伺いつつも一片の疑問を挟む。香霖堂はたまにここに来るけど、今日はどうしたのか? と。
「うん、店を出たらたまたま出会ってね。どうせだから、と僕が声をかけたんだ」
さらりとした霖之助の回答に、カウンターの端で刺さった竹串を丁寧に抜いていた文は、ぱきりと竹串を折ってしまった。と、同時に霧雨魔理沙という少女が恋の魔法使いと名乗る割に、自分に対する好意に理解できない理由の一旦を垣間見れましたねえ、と独りごちる。
なにしろ、この鈍感店主にも育てられたというあの少女。昼間のイベントで、みんな神社に居てくれて配るのが一度に片付いて助かった などと平気で抜かしたのだ。
まず誰が一番最初に受け取るかで半月ほど議論と弾幕が白熱し、最終的に全員一度に受け取りましょう、という妥協案で手を打ち、そこから半月ほどじゃあどこで受け取るか、で弾幕と拳が白熱したことをあの極楽な少女は多分気がつくことは無いでしょうね、と文は遠い目をする。
チルノさんも気がつくことは無いでしょうがと思いつつ、その目をちらりと、椅子に腰掛け手を拭っている店主へと向ける。恐らくこの店主も同じように気がついていないのだろうな、と呆れながら。
この大妖達は言った通りに、取り立てに行ったのだと。そして、店主にしてみれば幸いなことに、大妖にとっては想定内通り、鉢合わせし膠着状態となっていたことに。
「ごめんください」
そして、のれんを潜る竹林の薬師の声を聞いて、文は半ば折れた竹串をさくり、とカウンターに突き刺したのだった。
「串って鳥を貫いてもいいんでしたよね?」
魔理沙辺りの件から何が起こっているのか解らない
ぐちゃぐちゃになっちゃってるね
高名な小説家だったり有名なSS書きがやる言葉回しを真似して失敗した作品なような気がする
長編連載作品の、途中の1話だけ読んだような感じ
前後がなんとなく想像ついて是非とも保管話が読みたくなりました
なんとなくわかんないけどなんとなくはわかる
多分考えた話自体は面白そうだと思うので次回に期待します。
応援してます!
前作があったりするのかなと思って、検索してみたんですが…ないっぽいような
雰囲気はなんとなーくわかったんだけど。