幻想郷_100%
パーソナルコンピューターを使用するためには電気が必要なのは常識なのである。
「ふむ、ものは相談してみるものだな。」
霖之助は部屋の片隅のスキマから出たコンセントの差し込み口を見てしみじみと呟く。
実は、ダメもとで紫が店に来た時に店に電気が引けないか頼んでみたのだ。
その時、紫はある条件とともにそれを承諾した、その条件とは・・・
「まったく、”これからは宴会に出席する”なんて条件を呑むべきではなかったのかな・・・」
まあ、条件自体は厳しい物ではなかったのでどうということは無かったのだが・・・
「このコンセントをプラグに差し込めばいいのか。」
霖之助は”初心者でも解るパソコン入門”と書かれた本を片手にパーソナルコンピューターの電源プラグをスキマから延びたコンセントに差し込む。
そして、スイッチを押して電源をONにした。
ピポッ♪
CPU MOOD High
MEMORY 640 +1024 KB OK
「むむ、何か表示されたぞ。そうか、式神が目を覚ましたのか。」
NEC PC9800シリーズパーソナルコンピュータ
マイクロソフト MS-DOS バージョン6.20
copyright (c)1981 ,1994 Microsoft Corp./NEC Corporation
HIMEM is testing extended memory...done
A:\>
「なんなんだこれは・・・こんな物、本に載ってないぞ?・・・そうか、ここに自分の名前を入力して主だと認めて貰うのだな。」
霖之助は慣れない手つきでキーボードのカナ入力を使い自分の名前を入力した。
そして恐る恐るの手つきでエンターキーを押した。
NEC PC9800シリーズパーソナルコンピュータ
マイクロソフト MS-DOS バージョン6.20
copyright (c)1981 ,1994 Microsoft Corp./NEC Corporation
HIMEM is testing extended memory...done
A:\>lykr:
コマンドまたはファイル名が違います
「うう、やっぱり僕では式神には認められなかったのか・・・」
「よう、お邪魔するぜ。」
「あら、霖之助さん、何をしているの?」
霖之助が落ち込んでいると霊夢と魔理沙が2人揃って店に入って来た。
彼は2人に自分が式神に認められなかった事を話した。
「そう、外の世界の式神に認めてもらえなかったのね。」
「そういえば、ガラクタの中に何かあったな・・・確か。」
魔理沙は店の棚から黒くて四角い真中に穴があいたペラペラした物を沢山出してきた。
「これは・・・名称、5インチフロッピー 用途は、パーソナルコンピューターを動かす。そうか、これか!!」
霖之助は早速その5インチフロッピーをパーソナルコンピューターに差し込み、スイッチを押して再起動をした。
すると、今までは黒い画面しか出なかった画面に、カラフルな画面が出たではないか。
「幻想郷_100%・・・ってなんじゃこりゃ?」
「なにこれ、SuperMurasa?いったい何かしらね?GameStartとか出ているけど。」
「 星連船が海に浮かんでいるぜ、あと、何故か⑨が潜水艦に乗っているぜ・・・」
「ちょっと僕がやってみる。」
霖之助はコンピューターの前に腰かけると、エンターキーを押してその”ゲーム”をやりはじめた。
「なるほど、カーソルキーが移動、Z、Xキーで弾幕を海中に落すのか・・・。」
霖之助は最初は調べるつもりで”ゲーム”をやっていたのだが、いつしか夢中になってしまい画面に釘付けになっていた。ゲームオーバーになっても、何度でも挑戦しなおしていた。
「ちょっと下手だぜ、ちょっと私に変われ。」
霖之助が7回くらいゲームオーバーしたところで魔理沙が痺れをきらして霖之助を席から追い出した。
「まったく、こんなもん簡単・・・あれ?」
しかし、自機(星連船)の当たり判定が大きく、敵弾にかすっただけでミスになってしまう。
「ちょっと魔理沙、あんたも下手ね・・・ゲームオーバーしたら次、私ね。」
いつのまにか霖之助と魔理沙と霊夢は交代でパソコンのキーボードを操作していた。
そして、約50回のゲームオーバー、霊夢の番でついにクリアーした。
「う、やっとクリアできたわ。星連船が幻想郷に辿り着けたわ・・・」
「辛い戦いだったぜ。とくに後半の弾幕・・・」
「ああ、でもまだ沢山ある。」
霖之助はそう言ってフロッピーの山を指さす。
彼らの戦いはまだ始まったばかりだった。
「やあ、紫、久しぶりだね、Super Murasaっていうキャプテンムラサが星連船に乗って海中の敵を倒したり、空の敵を弾幕で倒したり、挙句の果てに宇宙まで行ってボスと闘ったりするゲームや、
あと、橙とお燐が猫たちを率いて戦うTURBっていうゲームや、弾幕を避けるのではなく、相手に弾を当てて倒すゲームなど面白い物が沢山あってね・・・」
「あと、ほかにも陰陽玉をうまくはじいて紫色の悪い陰陽玉を倒すゲームや、3分間の間、橙やお燐あいてに弾幕ごっこするゲームもあったぜ。ロリロリローリングもいいかも。」
「でも、やっぱり1番面白いのは、Super Murasaよね。この、レーダーを見て先読みしたり、星連船が宇宙へ行ってボスを倒すなんて・・・ロマンがあるわね。」
3人は、もはやパーソナルコンピューターを式神としてではなくゲーム機として見ていた。
FIN
元ネタのゲームは一つもわかりませんでしたがw
見かけたことすらないものなぁ。
弾幕より黒歴史で沈む魔理沙やら、初見のはずなのに
明らかに初見じゃないアリスやら想像余裕でした。
Super Murasaだけやったことある! いずれ幻想の人妖たちも、ゲーム作って楽しむのかね。
あと、タイムアタックなギャラクシャンっぽいのと、カーレースの。
何もかも懐かしい・・・
特にろりろりのスペハリばりの3Dっぽさには感動したもんだ
カーレースなんかは円形でどっち向いてるのかわからないマシンで操作できるぐらいに…
ああ、何もかも皆懐かしい……。
今使ってる06年製のマイPCの千分の一なのかぁ……技術の進歩は速いですねぇ。