酩酊、とは素晴らしい。
かくも思考が浮き立ち、全てが等しく平等に美しく楽しげに見えるのは真に素晴らしい、としか言い様が無いだろう。
思考の旅立ち、と言っても過言では無い。否、これは神隠しと説明しても良いのではないか。
良いではないか、良いではないか。
かくも素晴らしき酩酊、これぞまさに目まぐるしく狭苦しく重い現代という鳥籠において、許されるべきにして唯一の嗜好品とは、いささか言い過ぎだろうか。
いやいやこれはこれで。
これはこれで、良いではないか良いではないか。
笑みこぼれ、お世辞にも美しいとは呼べない歯並びでさえ、絶景の山脈に見間違うばかりに聡明に映るのだから、酩酊とは厄介な事この上ない。
だが、それが良い。にやり。
にやりにやり、嗚呼また歯が浮き出る。美しくも姦しくも無い汚らわしく黄ばんだ歯並びが垣間見える。
終ぞなら許されぬ罪、断罪、傲慢、死罪にすべき……やや、それはいささか飛躍し過ぎではナイカ。
良いではないか良いではないか。閻魔様も笑って許してくれるだろう。
わたくしとは天と地の差はあるであろう美しく聡明な歯並びを、まざまざと隠す事無く見せてくれながら、酩酊を許してくれるであろう。
何故なら閻魔様も好きな筈なのだから。
ほれほれお代官様、好きでしょう好きでしょう?
呑んで酔ってふらふらして、どうでも良いくらいに酔って酔って、でも吐かない程には冷めてて周囲の憂いが吹き飛ぶ妖気さ、否、陽気か。
どっちだって良いのよ良いのよ。良いではないか良いではないか。
紅白も黒白も瀟洒も紅姉も紅妹も紫本も氷精も死神も月人も罪人も幽霊も半人も。
蓬莱も上海も黒幕も蟲姫も暗闇も夜雀も秘封も隙間も式式も半獣も春精も月兎も。
幸兎も騒霊も剣爺も人形も天狗も小鬼も傘妖も時空も怪奇も神々も魔界も紅館も。
白玉も永遠も不死も一次も二次も大祭も人間も妖怪も天地も広湖も竹林も花々も。
旧作も新作も阿求も人間も妖怪も七色も悪魔も地獄も天国も外世も内世も箱庭も。
神社も境目も機械も魔法も地球も宇宙も神話も伝説も最澄も空海も広重も京都も。
幻想、酔いどれほれほれ踊れ幻想。
神主、呑んで呑んで呑んで呑んで尚、雅なりけり。
語呂合わせ、文法、遺憾ですよ~。宜しくない。
酩酊の場にては、無粋な行為以外の何物でも無い。
決め付けてやれ、くひひ、くひひ。
うふふ、うふふふふ。
白い黒白、過去は無かった事に~!
嗚呼、冷めるとはかくも涙溢れて挫折するのか。
酩酊、嗚呼酩酊。貴殿の幻惑、おしゅうございました、まだ消えないでねお願いお願い。
消える? いやいや妖夢よ、いやいや妖夢。
わたくし達の中、内、もっともっとおくそこぉ。
其処に酩酊は有るのかしら?
疑問係? 何故に疑問系? わたくしにも解らないんですものね、解せない解せない、理解出来ないのさぁ!
アルコールとか肝臓とか、わたくし難しい言葉は解せないですけど、聞いた事はありますよ、そりゃ。
小耳に挟んで、冷め切ったつまらない頭の中の脳味噌さんで、嗚呼ナルホド、などと知った被った事は多々ありますよ、そりゃ。
そりゃそりゃ、二つ並べばまるで気合声ですね。やーれん、そーらんそーらん。
もっと小塩としてー、否、腰落としてー!
ソーラン節、格好良いよね。しっかり踊れて見せれたら、羨ましいよぅ……まあ私は、踊るつもりは毛頭ございませんがごめんね。
何が言いたいか、と言われると、酩酊とは素晴らしい。
これ以外に呼べるものは、何も無いんですよ。
酒は万病の薬。昔からですけど、その程度の薄っぺらい言葉さんが縛れる程、酒は薄っぺらくも軽くも無い……筈。
旅立ちの切欠、片道切符、バーチャルシュミレーション。
幻想を垣間見せておいて、わたくしを連れて行く気など微塵も無いのに見せておいて、後々へ引っ込むんですよね、もぐら叩きのもぐらみたく。
もぐらさん、もう少しだけ浸らせておくれよぅ。
この指先柔らかくて頭フラフラうふふで笑みこぼれる酩酊の幻想を、在るがままに体験させておくれ。
幻視させておくれよぅ、幻想郷の宙に浮く素敵な楽園みたいな酩酊を、味あわせておくれよ。
紅白も黒白も瀟洒も紅姉も紅妹も紫本も氷精も死神も月人も罪人も幽霊も半人も。
蓬莱も上海も黒幕も蟲姫も暗闇も夜雀も秘封も隙間も式式も半獣も春精も月兎も。
幸兎も騒霊も剣爺も人形も天狗も小鬼も傘妖も時空も怪奇も神々も魔界も紅館も。
白玉も永遠も不死も一次も二次も大祭も人間も妖怪も天地も広湖も竹林も花々も。
旧作も新作も阿求も人間も妖怪も七色も悪魔も地獄も天国も外世も内世も箱庭も。
神社も境目も機械も魔法も地球も宇宙も神話も伝説も最澄も空海も広重も京都も。
ほんの少しだけ、幻視させておくれ。
ちなみに上の単語の羅列、上からのコピーして貼り付けだろ! と素晴らしきシックスセンスで指摘した諸君。
なるほど大正解ですよ、手抜きでごめんね本当ごめん。
嗚呼、素面の君よ、素面となりて冷めたつまらない頭で眺める私よ。
こんな文、書いてごめんね。先に謝っておくよ。
酩酊万歳、酩酊最高、酩酊は万死に値する……あれれ?
東方の半分は、お酒の加護が形作っている。
ならば幻想郷の不可思議で退屈で陽気で物騒な空気とは、素面の幻想とも呼べる酩酊そのものが、わざわざ形作っているのではないだろうか?
「下らない思考は後々に厄を撒き散らす……肝に銘じて覚悟して、それでも呑みたいと渇望をするのなら、迷わずそのまま酒を呑め」
語ってくれたのは、酩酊の幻想で浮かび上がった、少女の誰かでしたとさ。
お終い終い、もうお終い。
後はただ、呑まれて貪り腐ろうか。