Coolier - 新生・東方創想話ジェネリック

たぬき

2006/05/05 10:37:51
最終更新
サイズ
3.48KB
ページ数
1
あらすじ  

  ホラーイ



 月の綺麗な  夜だった


 ぽんぽこ  ぽんぽこ  庵の裏で

 ぽんぽこ  ぽんぽこ  はらつづみ


「おや、たぬき?」


 ぽんぽこ  ぽんぽこ  藤原妹紅

 ぽんぽこ  ぽんぽこ  たぬきと出会った


 ぽんぽこ  ぽんぽこ

 ぽんぽこ  ぽんぽこ


「もんもこ!」

「もんもこ?」


 もこだぬき




       じょいやっさ!



    -平成たぬき合戦  もんもこ-


 
 それは去年の年の暮れ。
 藤原妹紅はたぬきを助けた。
 ちいさなこどもの化けだぬき。



 雪に浮かれて外に出た。
 たぬきがころりん崖から落ちた。

 雪に埋もれて岩にぶつかり。
 怪我をこさえて満身創痍。

 誰も助けてくれぬなら。
 たぬきの人生ゲームオーバー。
 戻り橋にも戻れない。

「お、たぬき?」

 そんなとき、通りがかった一人の娘。
 雪の髪の毛、赤いズボン。
 
 娘の名前は藤原紅妹。
 老いず死なずの蓬莱人。

 ぐったりしているちいさなたぬき。
 やさしい妹紅の血が騒ぐ。


「たぬきを見捨てちゃ妹紅が廃るわ」

 
 廃るらしい。


 藤原妹紅、たぬきを助けて。
 藤原妹紅、たぬきの手当て。
 
 手厚い看護とあふれる情熱。
 たぬきの命はリザレクション。
 思わずもこたんばんじゃいしちゃう。

「ばんじゃーい」

 ばんじゃーい。


 かわいいよ。



 ぽんぽこ  ぽんぽこ  雪の厳しい

 ぽんぽこ  ぽんぽこ  年の暮れ


「怪我治るまでは面倒みるよ」


 ぽんぽこ  ぽんぽこ  一人と一匹

 ぽんぽこ  ぽんぽこ  冬を過ごした


 ぽんぽこ  ぽんぽこ

 ぽんぽこ  ぽんぽこ


 やさしいこ



「一人の冬は寒くて辛い。
 不意に泣きたいときもある。
 
 たかが一匹、されど一匹。
 おまえがいれば、全然違うよ」


 ぽんぽこ  ぽんぽこ

 ぽんぽこ  ぽんぽこ


 ありがとう



 時は流れて春が来て。
 一人と一匹、別れのとき。
 
 達者でね、元気でね。

 やさしいあの子は手を振って。
 ちいさなたぬきを見送った。


 たぬきの頭にリボンがひとつ。
 おふだによく似た、リボンがひとつ。


 駆けるたぬきの物思い。
 あの子にお礼をあげたいな。
 あの子にお礼を言いたいな。


 あの子の友達、なりたいな。


 ちいさなたぬきは考えた。
 いっしょうけんめい考えた。


 たぬきのてのひら小さくて。
 お礼をたくさんはこべない。


 たぬきじゃことばが話せない。
 あの子にお礼が言えないよ。


 たぬきはたぬきでたぬきなの。
 おともだちには、なれないね。


 葉っぱのかわりにリボンをのせて。
 じょいやさじょいやさ化け始め。


 あの子にお礼を持っていこう。
 あの子にお礼を言いに行こう。
 あの子の友達なりに行こう。


 ヒトになったら持てるかな?
 たくさんお土産持てるかな?


 ヒトになったら言えるかな?
 「ありがとう」って言えるかな?


 あの子の友達、なれるかな?
 あの子と一緒にいれるかな?


 じょいやさじょいやさ化けだぬき。
 じょいやさじょいやさがんばった。



 


 ぽんぽこ  ぽんぽこ  もこだぬき

 ぽんぽこ  ぽんぽこ  はらつづみ


 赤いズボンに白いシャツ
 
 頭に妹紅の大きなリボン


 ちいさなたぬきはがんばって

 けれども服しか出なかった


 お顔もあんよもてのひらも

 たぬきのまんまで大失敗


 まあるいしっぽも出たままの

 ちいさなちいさなもこだぬき



 月の綺麗なある夜に

 かなしくなったもこだぬき

 ぽんぽこ  ぽんぽこ  かなしみのせて

 ぽんぽこ  ぽんぽこ  はらつづみ


「おや、たぬき?」


 ぽんぽこ  ぽんぽこ  そしたら出会った

 ぽんぽこ  ぽんぽこ  藤原妹紅


 ぽんぽこ  ぽんぽこ

 ぽんぽこ  ぽんぽこ


「もんもこ!」

「もんもこ?」


 もこだぬき

 
 妹紅な妹紅と妹紅なたぬき
 
 会って分かれてまた出会う


 月の綺麗な 夜だった
つづくよ!
じょにーず
コメント



1.植物削除
 ―――例えるならば。
 とはいえど、この文章から私の魂が受けた感銘に対する言語化を成すにあたって最大の障害となるのは合致するメタファーが存在しないことでありそれは既存の言語による表現が困難であることに起因する。つまるところ存在しない神を如何にして言葉を用いて現すかという命題にも通じる物があると私は愚考するものである。即ちそれはとある十字奉ずる一神教が自らの冷厳なる神の名を子音のみで「Y.H.V.H.」と記述したように、新たなる要素を抽象化するに当たっては新たな名称、お呼び単語を開発するのが妥当であると判断する。

 つまり。それは。

 妹紅い。
2.liois削除
続くのか!
3.名無し妖怪削除
嗚呼嗚呼嗚呼。
今宵もこの夢想空間を愉しめるとは。
待ちますとも、続き待ちますとも!
4.名無し妖怪削除
みんなのうたを思い出した
5.名無し妖怪削除
このリズム、この世界観、このm(ry
きっと誰にも真似できないと思う。
貴方の力は計り知れない……。
6.名無し妖怪削除
続きを!もんもこ!
7.名無し妖怪削除
七五調に繰り返しをかぶせたこのリズム、相変わらずお見事ですなぁ・・・

ところで、幻想郷の年号は平成なんですか!?
8.はむすた削除
ぽんぽこ あの子は やさしい子
9.wasabi削除
もこうやさしいよもこう
10.名無し妖怪削除
あーんもうあーんもう!!
続きまってますよ!