Coolier - 新生・東方創想話ジェネリック

人形世界情勢

2006/05/01 10:18:25
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※本文中のネタは多分に私の記憶と価値観に頼っております。




 あら? どうしたの? 突然。
 え? あ、ああ、宴会? そうね、行かせてもらおうかしら。――様子が変? そう見える? ええ、うん、ちょっとね。よかったらちょっと聞いてくれるかしら? 少し頭が混乱しててね、誰かに話したいの。
 あれは昨日の夜、寝つきが悪くて水を飲みに行った時だったわ。人形達の部屋から声が聞こえたから聞き耳を立ててみたのよ。



「立てよフランス国民! われわれはこの愚かで不条理な雇用政策に鉄槌を下すべきである! すでに数十万という同士達が立ち上がっている! われわれはこの同士達に続くのだ! 私に続けー!!」
「ああオルレアン、ひとまず落ち着いて。もう政府も反省しているから」
「お黙りなさい仏蘭西! あなたがそんなだから今回みたいな事態を招くのよ!」
「……ねえ、オルレアンどうしちゃったの?」
「ああ、彼女ジャンヌ信者だから」
「ふん、あの魔女さえいなければいまごろオルレアン、ひいては仏蘭西は私のように栄えていたはずなのに」
「……ねえ、倫敦は?」
「ああ、彼女仏蘭西嫌いなのよ。ジャンヌもそうだし、ほら、ナポレオンもいるし」



 え? って思うでしょ? 愚かで不条理な雇用政策って、もしかして私に対する不満? しかも同士が数十万よ、数十万。どう思う? それによく分からない名前も出てくるし。それによ、今まで皆仲が良いと思ってたのに、倫敦は仏蘭西が嫌いだって言うのよ。さすがにショックだったわ。しばらくその場に立ち尽くしちゃったぐらい。



「そういえば上海、最近上り調子じゃない」
「おかげさまでね、露西亜さん」
「むっ、なにか引っかかる言い方ね」
「それはそうよ。私は貴方を信じていたのに、あっさりと資本主義に膝を屈しちゃって。おかげで私達共産主義国がどれだけ苦労したか分かる?」
「しかたないじゃない! ソ連だって頑張ってたのよ! それをアメリカがことあるごとに邪魔するから……!」
「言い訳なんて聞きたくないわ。私の中の露西亜はね、百年前にソ連ができたとき終わったのよ! 私は貴方を露西亜なんて認めないんだから!」
「貴方だってもうほとんど資本主義じゃない! なんで私だけ責められなきゃいけないのよ!」
「だから! それが貴方のせいだって言ってるんじゃない!」



 露西亜と上海までよ! 私の知らないところでいつの間にこんなどろどろの確執が生まれていたって言うの!? このショックがわかる? 私はマスターとして何一つ知らなかったのよ!



「それにしてもひまねえ。ねえ、和蘭、京、野球しましょうよ」
「は? 野球? ごめんね、私サッカーで忙しいの。今年はファンニステルローイがくるわよ~」
「野球? 上海に和蘭と? 冗談よしてよ。そういうことはせめて予選通ってから言ってよね。貴方たち程度で優勝者に挑もうなんておこがましいにもほどがあるわ」
「そんなことよりCLよCL。とうとう決勝よ決勝! 私達の国のチームがここまでくるなんて……感無量!」
「なによ、それも結局私のアンリがいたからでしょう。感謝の一つもして欲しいものだわ」
「はん、自分たちのリーグがすぐに負けたからってひがまないでよ」
「……なんですって……?」
「なによ? 言い返せないくせに」
「別に口だけが反論手段じゃなくてよ」
「あら、やる気? あっさり独逸に占領されたくせに」



 やきゅう? さっかー? ちゃんぴおんずりーぐ? 貴方なんのことだかわかる? 分からないでしょう? 大体私が知らないことをなんで人形達が当たり前のように語り合ってるのかがわからないわよ。
 しかも「どいつ」って誰よ! さっきも「それん」とかいう名前でてきたし! 私そんな人形作ってないのよ!? ねえ、もしかしてこの幻想郷には私以外にも人形使いがいるの? 貴方知ってる!?
 ああ、ごめんなさい、どうしても冷静になれなくって。――うん、大丈夫。でもね、まだ話は続くのよ。



「二人とも、そこまでになさい」
「――蓬莱!」
「蓬莱さん!」
「蓬莱さんが光臨なされたぞー!」
「貴方たち、勝負事に熱くなるのは構わないけど、私達は仲間でしょう? 仲間同士で殴り合いなんてしてはいけませんよ」



 うん、確かに蓬莱は人形達の中じゃ一番高性能よ。
 だけど、だけどよ、さすがに背中に後光背負って天空より降り立ち、皆がひれ伏して拝聴するほど偉いなんて思わないじゃない!



「あー! 蓬莱! 貴方と上海のせいで私はダライラマ様を失ったのよ! お願いだから私にダライラマ様を返してよ!!」
「ああ、あの人は勝手に亡命しただけじゃない。私達に責任なんてないわ。ねえ、蓬莱」
「そうね、気の毒だけど、仕方のなかったことよ」
「な、なんですって――!?」
「やめなさい西蔵! 皆、西蔵を抑えて!」
「はなせー! 蓬莱殴らせてー!」



 しかも完全な仲間割れ勃発って、なによそれ! さすがに聞いてるだけじゃいられなかったから、中に入ったわよ。
 そしたら、皆どうしたと思う?



「わー! 黒船だー!」
「あーあ、自称世界の警察のおでましか」
「今に見てなさいよ、英語は私の国の言葉だって思い知らせて見せるんだから」



 黒船よ黒船!? なんで私が船なのよ!? しかも警察だとか訳の分からないこと言うし!



「ちょっとねー、貴方の正義なきイラク攻撃のせいで受けた私達の被害をどうしてくれるのかしら」
「いい加減力で全てが押し切れるって思ってるのがうざったいわ」
「私は確かに資本主義になったけど、ソ連の無念を忘れたわけじゃないからね!」
「ちょ、ちょっとやめなよ皆! そこまで言うことないじゃない!」
「はっ! 出た出た、やっぱ京はアメ公の手先なのよね」
「ていうかさっき黒船だーとか言ってたくせに。京は手のひら返しがお得意ね」



 意味分からないわよ! アメ公ってもしかして私のこと? なんでそんな呼び名がでるのかさっぱりよ! 私をかばってくれた京人形には皆ぼろくそいうし! ――さすがに怒ったわ。何言ってるのかはわからないけど、とりあえず最低限喧嘩はしないように、って言ったのよ。



「はいはーい、わかりましたー」
「核怖い……核怖い……逆らったら……核怖い……」
「あ、京がまた核恐怖症になっちゃった」
「放っておきなさいよ。そのうち治るわ」
「ちょっと仏蘭西に和蘭と倫敦、いい加減EUで対抗できないの?」
「うるさいわね、貴方だって常任理事国じゃない」
「ああ駄目よ上海は。これから発展するためにアメリカには媚売っとかないといけないから。……京ともども、アジアは役に立たないわね」
「ふざけないで! 私を京と一緒にしないでよ!」
「なっ! なによ、上海なんて私が工場作ってあげたから今発展できてるくせに! 恩知らず!」
「別に私は京なんていなくても自力で発展できるわよ! ちょっと早く先進国入りしたからって、調子に乗らないで!」



 うん、もう限界よって思ったの。そう思った私を貴方は責めるのかしら? 責めないわよね? ぷっつんして人形達を動作停止にしても、誰も私を責めないわよね? ――ありがとう、貴方ならそう言ってくれると思ったわ。
 ああ、もうこんな時間。宴会はいつ? ――分かった、じゃあ準備してから行くわ。
 それじゃ、また後でね。
オルレアン(フランス):フランス中央部、サントル地域圏の都市である。県庁所在地。百年戦争では、オルレアンの乙女とも呼ばれるジャンヌ・ダルクによって、英軍から解放された街である。
西蔵(チベット、中国):チベットの西部から南部にかけてを占めるガリ地方、ウーツァン地方、カム地方西部などをまとめて呼ぶ場合の中国語の呼称。中国人民政府は、現在、この領域に、チベット民族の省級の民族区域自治単位として西蔵自治区をもうけている
蓬莱:古代中国で東の海(渤海とも言われる)上にある仙人が住むといわれていた五神山のうちの一つ。蓬莱山。一説には日本を指すとも言われている。
以上wikipediaより転載。

なぜか時事ネタを口走る人形達が思い浮かびました。なので書いてみました。アリスになるか人形達になるかは貴方の知識次第です。
櫻井孔一
コメント



1.名無し妖怪削除
英語を話して10億人と仲良くなって、のこり30億とけんかしよう!っていうノリが欲しかったかも。
2.じょにーず削除
こういうネタだいすき!
3.名無し妖怪削除
生々しすぎて幻想郷と呼んでいいのかわからんが
面白いからどうでもいいや