Coolier - 新生・東方創想話ジェネリック

温かい靴音

2006/04/17 03:53:39
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第百十九季

冬と春の間の白玉楼は、雪解け水で、諸所に水溜りができてたり、地面が泥濘(ぬかるみ)になってたりで、作業がしずらい。
妖夢は、その日も、庭の仕事を終え、屋敷の玄関に戻ってきた。

~白玉楼・夕方~
妖夢  「幽々子様~、お庭の手入れ、終わりましたー」
幽々子 「アラ、ご苦労様。少し休んだら、夕飯の支度して頂戴」 奥から声が聞こえた。
妖   「はい。・・ううう、靴に水が染み込んで、冷たいし、気持ち悪いし・・・」
妖夢は、玄関で濡れた靴下を脱ぎ、足を拭いてから家に入った。

~~少女祈祷中~~

~翌日昼過ぎ・魔法の森~
妖   「大変だ!幽々子様が、お戻りにならない!」
魔理沙 「出会い頭の第一声がソレかい。『こんにちわ』の一つも言いなさい」
妖 「こんにちわ」
魔 「はい、こんにちわ」
妖 「で、幽々子様が戻ってこないで大変なんだ!」
魔 「落ち着け。話が全く見えん」
妖 「む・・・今朝・・・」
(回想シーン)
幽 「妖夢~、少し出かけて来るわね。お留守番ヨロシク」
妖 「はい。お昼御飯は、いかがいたしますか?」
幽 「用意しておいて頂戴。まぁ、お昼前には戻って来るけど」
(回想終了)
妖 「という訳で」
魔 「昼過ぎになっても、幽々子が戻ってこないから、心配だと」
妖 「そのとうり」
魔 「それって大変か?」
妖 「幽々子様が、食事を用意させておいて、時間に戻って来ないなんて、ありえない!」
魔 「どっかの食堂街を、食べ歩きしてんじゃ?」
妖 「それが目的なら、わざわざ昼食を用意させたりしない!そもそも、昼前には戻ると仰ったのだ!」 目が半泣きだ。
魔 「あーもー、判った判った、探すの手伝ってやるよ」

~マヨヒガの森付近~
妖夢と魔理沙は、茂みに身を隠していた。
魔 「準備OK」
妖 「なんだ、アレは?」

道には点々と、食べ物が落ちている。その先には、つっかえ棒で持ち上げられた大きなザル。
ザルの下には、加熱した鉄板にお肉が置かれている。良い匂いが森に漂う。

魔 「こっちから動くより、こうやって待ち構えて、誘い出した方が、効率的だろ」
妖 「・・なぜ、こんな場所で、あんな仕掛け?」
魔 「ふふ、妖夢の話から、幽々子嬢の身に何か起こったと簡単に推測できる。が、『アノ』幽々子だ。
   何者かに襲われたとは考えにくい。となると、どっかで道に迷ってる可能性が高い。しかも、出かけてから大分経つ。
   腹も空かしてるだろう」
妖 「いや、別に幽々子様が食事を摂るのは、お腹が空いてるからでなく、趣味なのだが」 

幽霊は(普通)寝ないし、食事もしない。

魔 「そして、迷うと言えば『マヨヒガ』。
   空腹の者を誘い出すといえば、古来より、ああいう仕掛けが妥当だと相場が決まっている」
妖 「勝手に決めるな!ソレに、あんな仕掛けで引っかかるのは、夜雀か、氷の妖精ぐらい!
   幽々子様を侮辱すると、斬るぞ!!」
魔 「でも、現にかかってる」 ザルの中から声がする。
幽 「アラ?もう夜かしら?」
妖 「(コケッ)」

~~少女祈祷中~~

妖夢達は、ザルにかかった幽々子を助けた。
妖 「幽々子様~」
幽 「あふゃ、ふぉうふ、ふふゃふぇひふぃへふふぇはふょ?」←(アラ、妖夢、わざわざ迎えに来てくれたの?)
魔 「いいから、食べてる物を飲み込んでから喋れ」
幽 「(モグモグモグモグ・・ゴクン) アーン」
魔 「食べるな」 お肉を取り上げる。
妖 「幽々子様、今までどちらに?」
幽 「ちょっと、買い物にね~」
妖 「お遣いでしたら、私が」
幽 「私が行かないと、意味がないのよ」
魔 「で、その買い物って?」
幽 「ああ、コレよ。妖夢、包装取ってくれる?」 包装紙に包まれた、箱を手渡した。
妖 「はぁ?はい」
幽 「気に入ってくれるといいけど」
妖&魔 「?」

包装紙を取り、箱の蓋を開けると、中に可愛らしい靴が入っていた。
色は赤・・より、やわらかい。明るい朱色と言った感じか。

魔 「靴?幽々子、これが意味するのは?」
幽 「妖夢ったら、昨日、『靴に水が染み込んで、冷たいし、気持ち悪い』って言ったでしょ。」
魔 「そうなのか?」
妖 「聞こえてたんですか・・」
幽 「妖夢の靴は、見た目普通でも、庭師の靴だから丈夫のはずなのに、おかしいな~って思ったの。
   で、妖夢の靴を見たら、見た目綺麗でも、縫い目が広がってたり、薄くなってる箇所があったりって、
   実はボロボロだったのよ。」
妖 「では、これは・・」
幽 「今と同じ靴だと、つまらないでしょ?お散歩も兼ねて、色々探し回ったんだけど、
   いざ探すとなると、なかなか見つからない物ね~。
   やっと見つけたと思ったら、帰り道が解らないし」
妖 「・・・」
幽 「靴が古くなったって言えば、新しい靴ぐらい買ってあげるのに、妖夢ったら遠慮深いんだから~」
妖 「幽々子様・・ありがとうございます」
幽 「妖夢、足を冷やして、風邪なんかひかないようにね」
妖 「はい!」 と、妖夢のお腹が、『グ~』と鳴った。
幽 「あら、妖夢、お腹空いてるの?」
妖 「幽々子様より早く、膳に手を出すわけには行かないと思い・・」
幽 「アラアラ、じゃぁ、早く帰って食事にしましょう。昼食には遅いけど」
魔 「この上、まだ食うか」

二人は白玉楼へと帰り、冷えた昼食を温めなおし、遅めの昼食を摂った。
玄関には、朱色の靴が、誇らしげに並んで置かれていた。

春は、すぐそこまで来ている。

~完~
笑いが足りない。いい話っぽくなってる事に、書き終えてから気づく。
オチにリリーを付け足そうと思ったが、全部がグダグダになるのでボツ。
サヂテリアス・ズィ・アーチャー
コメント



1.CODEX削除
で、妖夢が喜び勇んで靴を履いたところ…ピヨ
「…ピヨピヨ靴~!?ゆゆこさまぁっつ!!」「あらあら妖夢、よく似合ってるわぁ~♪」
ってなオチはどーでやしょ…およびでない?こりゃまた失礼しました~(脱兎)
2.名無し妖怪削除
(´ー`)o0(「そのとうり」…じゃなくて「そのとおり」、ね?)