上海人形 蓬莱人形
アリスの人形の中でも特にこの2つは他の人形とは出来が違った
常にアリスをサポートしてくれる2体の人形であり、アリスの自慢の人形だった
簡単な自立行動も可能なこの2体をアリスはいつも連れている
それぐらい上海と蓬莱はアリスにとって、とても大切な人形だった
しかし、人とは誰かの大切にしている物を奪いたくなるというのが性というやつで……
紅魔館 図書室
「ちょ、ちょっと!!このロープを解きなさいよぉ!!」
アリスはイスにロープで手足を縛り付けられていた
縛り付けられ、身動きが取れない状態でなんとか脱出できないかともがいている
縛りつけた犯人 魔理沙はアリスのことを無視して、手元にあるモノに夢中になっている
魔理沙の手には上海人形が握られていた
「ほ~よくできてるなぁ これ アリスの人形の中でもこれは違うと思っていたが……これほどとは」
丹念に上海人形を調べる魔理沙
まるで新しいおもちゃを貰った子供のように、目を輝かせている
上海人形を調べる魔理沙の傍らには、パチュリーがいた
パチュリーも自分の分野ではない魔導人形ではあるが、魔理沙と同じく興味津々のようだ
「なるほど…この機能にはこの魔法が使われているのね……素材もただの人形の素材じゃないわね…」
様々な魔導具をとっかえひっかえ使って、調べている
そんな二人を見て、アリスこのままでは上海人形がどうなるか心配で、いっそう暴れ始める
「やめてよ!返してよぉ!!おねがいだから!!魔理沙ぁ!!」
アリスは魔理沙に懇願するが「悪いなぁ」と言って魔理沙は相手にしてくれない
アリスのことなど眼中にはまったく無かった そりゃあ0.1%ほども
「もう!なんなのよ!!」
そういってアリスは暴れるのをやめた どうやっても抜け出せそうにない…
怒りを隠せないアリスに、いつのまにか横に現れた咲夜が哀れみを込めた視線でアリスを見ながら言う
「まぁお気の毒にね…あの二人には何を言っても無駄よ」
傍から見れば、少女二人が人形で遊んでいるという微笑ましい光景のようだが、アリスには上海をどうされるか分かったもんじゃない
気の毒なんてもんじゃなかった
「おい、パチュリーここなんかすごいぜ」
「あら、確かに……これは応用できそうね」
アリスから見て、二人は背を向ける形なので、アリスには何をされているかわからない
そのことがいっそうアリスの不安を掻き立てる
そんなアリスの気も知らず、二人はキャッキャウフフと言わんばかりに、楽しそうに上海をいじくり倒している
「あぁぁぁ…しゃ、しゃんは~~い……」
アリスは半ばあきらめた様子で目を潤ませ、ガクッとうな垂れた
その時アリスは大変なことに気付いた
(上海…このままじゃ蓬莱まで………ほうらい?」
「ほ、蓬莱は!?」
顔をガバッと上げ、辺りを見回すアリス
首を限界まで使って、見える範囲をくまなく探すがそれらしき影はない
「ど、どこにいっちゃったの…蓬莱……」
今にも泣き出しそうになるアリス
(もしかして…すでに……)
アリスは絶望した 再起不能なほどに
そんな時、咲夜が口を開きアリスの心に光をさす
「蓬莱、だっけ?それならここよ」
アリスは咲夜の方を向く そこには蓬莱を抱きかかえている咲夜がいた
咲夜の顔は少し赤らみ、熱心に蓬莱を見つめている
普段の咲夜からは想像できないような仕草だった
「ねぇ…この娘 カワイイわね… 私にくれないかしら?」
咲夜はなんでもなさげにそんなことを言う
なんで大切な人形を自分のことも助けないメイドにやらなければいけないのか
「あ、あげるわけないでしょっ!!!」
アリスは咲夜を怒鳴りつける
「残念ね…でもそこから抜け出せないなら私の物ね」
とジャイアニズム全開で言うと、咲夜も魔理沙たちのように蓬莱を弄り始める
ぺろ~ん
「ふ~んよくできてるわね………あら、この娘パンツ脱げるのね へ~~」
咲夜は蓬莱のスカートをめくり上げ、パンツを脱がし始める
「だっだめぇ!!そんなとこみちゃあっ!!!」
アリスは動揺し、ガタガタと身体を揺する
しかし無情にも少しずつ下げられていくパンツ
そんなとき、咲夜の手が止まる
なぜなら魔理沙の口からとんでもない発言がでたからだ
「よし!解体してみるか!!咲夜、そいつもよこせ」
パチュリーはすでに解体道具を用意し始めている
「いやよ!かわいそうでしょ!」
咲夜は守るように蓬莱を抱きかかえと魔理沙と言い合いを始める
アリスはそんな様子に肩を震わせる
弄り倒され、解体すらされかかっている上海………
いつのまにか咲夜のモノにされている蓬莱………
そして、アリスの怒りが絶頂に達した時、アリスの中で…『種』のようなモノがはじけるイメージが走る
「上海と……上海と蓬莱はやらせはしないっ!!」
シュパーーーーーーン!!!
そんなアリスに気付くことなく、解体作業を始めようとするパチュリーと言い合っている咲夜
アリスはガタガタと震えだし……
バキン!!バキン!!!
手足の力だけでイスの縛り付けてある部分を折って、イスを壊し ゆらり と近づいていく
「「「!!??」」」
その音を聞いた一同は振り返り、顔面蒼白になる
「あ、アリス 話せば分かるっ!!なっ、なっ 咲夜もそう思うだろっていねぇ!! 逃げたな!!」
いつの間にか魔理沙の手には蓬莱人形が握らされていた
じりじりと距離を詰めるアリス
パチュリーもさすがにヤバイと感じ、説得しようと口を開く
「あ、アリス このことはね、魔導を発展させるために必要なことなのよ わかるでしょう もっとお互いを高めるためには必要な犠牲なの わかってちょうだい」
普段は冷静なパチュリーも焦りながら言い訳を述べる
そんな二人の言葉を自分がそうされたように耳を貸すことはない
そしてアリス壁際に二人を追い詰めると、ピタッと立ち止まり……
「それでも……それでもっ!守りたい人形があるんだぁぁ―――――――――!!!!」
アリスは拳を振りかざした……
その夜 アリスの家
「ゴメンネ…上海、蓬莱」
アリスは自宅のベットの中で上海と蓬莱を優しく撫でながら囁く
その表情はまるで、愛しい我が子を寝かしつける母親のようだった
今日は本当に災難だった
危うく上海と蓬莱を失う所だったし、腕は筋肉痛になるし……
アリスは疲労からくる眠気に身を任せると、瞼を閉じ、意識を夢の中に沈めて行く
「おやすみ…上海、蓬莱」
そう言ってアリスは眠りに落ちた……
大切な子供でもある、人形を抱いて…………
「いててて……アリスの奴、本気で殴りやがって…」
身体中に絆創膏やらシップを貼った魔理沙がベットに横たわっている
その隣のベットには、同じような状態のパチュリーが寝かされている
「まったく…魔法使いなのに野蛮ね……」
「あぁ 今度からはアイツを怒らせないようにしよう……」
一応反省はしているようだった
一方、咲夜は部屋で一人呟いていた
「今度アリスの人形を……いや、むしろアリスにお嬢様の人形を…うふふふ…」
咲夜の方はあまり反省はしていなかった
次は運命ですねw
幻想郷に行きたいと ってか
こんな感じ?