Coolier - 新生・東方創想話ジェネリック

予防接種

2006/04/13 07:00:52
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「藍、そろそろアレの季節ね。近い内に行っておきなさい。」
「ええ、明日にでも橙と共に行って参ります。」
そう答えた妖怪の式、八雲藍の表情は少々ひきつっている様に見えた。
―――
「では、次の方どうぞーっ!」
月の頭脳の一番弟子、うどんげの可憐な声が永遠亭の待ち合い室に響く。待ち合い室には数多くの人妖が集まって来ていた。この時期は、犬や猫の類の妖怪が大勢この永遠亭に集まって来る。医者としては掻き入れ時なのだ。
「ちょっとチクッてするわよ。」痛みを堪える子犬の妖怪
「ハイ、お終い。」
「お大事にー、お会計はあちらになりまーす。」
うどんげの鈴の鳴る様な声が診察室に響く。勿論彼女の格好はナース服だ。
「次の方どうぞー!!」
――――
「ねえ、藍様本当にしなきゃ駄目?」
「コレをやっておかないと後ですごく痒いのは橙だって分かってるだろう?それに、死ぬ様な病気に掛ってしまう事だってあるんだぞ。」
「大丈夫よ、ちょっとチクッってしたらすぐ終わるわ。」
ぐずる橙をなだめながらうどんげは橙を椅子に座らせる。
「それじゃ、袖捲ってね?」
永琳は橙に優しくそう言うと、橙の肘の内側を消毒し、注射針を肘の内側の太い血管に突き刺す。注射器の中から透明な液体が橙の体に流れ込んでいくのが分かる。
「はい、お終い。」
―――(待ち合い室)
診察室のドアが開き、うどんげが橙を連れて出てくる。
「どう、少しも痛くなかったでしょ?」うどんげが橙に向かって笑顔でそう言うと、
「うん!藍様ー、私泣きませんでしたよ!!」
「ああ、偉いぞ橙!」思わず藍は自分の式を抱き締める。
「それじゃ、次はあなたの番ね。」
―――
藍にとって、もとい全ての『注射嫌い』にとって死刑宣告にもふさわしい台詞が、藍の耳に響き渡る。だが、自分を慕っている可愛い式の手前、それを表情には出さず診察室のドアをくぐる。既に掌にはおびただしい量の汗をかいている。
――――
「それじゃ、袖を捲って頂戴?」
この一言に藍の顔色は一際悪くなる。藍にとってはさながら死刑台への13階段を上っているかの様な感覚である。
「はい、ちょっとチクッてするわよ。」
鋭くとがった注射針を見た瞬間、藍の顔色はブルーを通り越し、土気色になる。藍のこんな表情を知っているのは月の頭脳、八意永琳と彼女の弟子であるうどんげ、そして藍の主である八雲紫の三人だけである。こんな表情はとてもじゃないが他人に見せられない。特に自分を慕ってくれる可愛い式には間違っても見せてはいけない。
「ちょっと、そんなに震えていたら針が上手く刺さらないわ。大人しくして頂戴。」
「あー、橙ちゃんは偉かったなぁ。ちゃんと我慢しましたしね、師匠?」
「そうね、あのコは偉かったわ。全然痛がらなかったし。」
二人の言葉が藍の胸に突き刺さる。『グサッ』という擬音が聴こえた気がする。意を決した藍の左腕に永琳の持つ注射器の針が突き刺さる。既に藍は死人の様な表情である。口から半分程魂が抜け出ている。
「はい、お終い。」
「頼む、この事は橙には内緒にしといてくれ!」
「分かってますよ。」
うどんげは苦笑しながら藍に向けてそう言った。
「それにしても藍さんも相変わらずですね、注射が怖いなんて…。」
「う、煩い!私だって怖いモノは怖いんだ!!」
―――
「藍様ー!」診察室から出てきた藍に橙が抱きつく。
「わっ、とっと。」藍は事も無げにそれを抱き止めると、可愛い式の頭を優しく撫でる。
「えへへー。」撫でられている橙の表情はとても嬉しそうだ。
―――
そんな二人が帰路に付くと、午前の診療が終りを告げる。
「それにしても、あのコのアレはとてもじゃないけど橙ちゃんには見せられないわね…。」
と永琳が溜め息混じりにそう言うと、
「そうですね。」と、うどんげがそれに応える。
そんな麗らかな昼下がり、今日も幻想郷は平和である。
――終―

二度目ですね。ほのぼのした感じとヘタレぶりが出せてれば幸いですが、違和感
バリバリな気がします。愛犬、愛猫、ペットの予防接種はお早めに、しておいた
方が何かと良ろしいのでは無いでしょうか?

ところで、明らかに反則(かもしんない)なネタが出来たんですが、それを出しち
ゃって良いのか不安です。内容としては「特定の方々の作品に対するリスペクト
。(のつもり)」なのですが怒られるのは怖いので、Goサイン貰えたら出したい思
います。

コメント



1.CACAO100%削除
藍様・・・スッパに続き、こんな不名誉を・・・