Coolier - 新生・東方創想話ジェネリック

虹の花びらを散らしたわけ

2010/03/13 14:31:54
最終更新
サイズ
2.73KB
ページ数
1

分類タグ


曇天で淡い光が降り注ぐ紅魔館の庭で、レミリアとフランは仲良く遊んでいた。

「ふらん! こっちにおいでよ!」
「あーん! 待ってよおねぇたま~」

二人は美鈴が普段手入れしている花畑を駆ける。
その花畑は赤、橙、黄、緑、青、藍、紫の七色、すなわち虹色の花畑であった。
当然走れば花は幾つか散るが、美鈴は少しも気にしないで、二人が遊んでいるところを眺めている。

「め~りん! いっしょにあそびましょ!」
「め~りん! こっちにきてよ!」
「あ~……私はいいですよ。ここでお嬢様方の様子を見てるだけでお腹いっぱいですよ」

自分が手入れした花畑を自分では散らしたくない。それが美鈴の本音だったが、幼い二人はそんなことはお構いなしだ。

「やーだー! め~りんも一緒にく~る~の~!」
「ほら、め~りんこっちくる!」
「うわわっ!」

美鈴は二人に引っ張られて、花畑へと特攻にする。
幼いとは言え、吸血鬼に二人も引っ張られては、美鈴と言えども抵抗出来ない。
美鈴はそのまま花畑に突っ込んだ。

「め~りんのまけー!」
「まけー!」

きゃっきゃっと騒ぐレミリアとフランに美鈴は苦笑いを隠せない。
美鈴は半ばヤケになって、二人を喜ばせるためにあることをする。

「ほら! お二人とも! 見て下さい! 虹の嵐ですよー!」
「わー!」
「きゃー!」

美鈴は花をかき集め、上空に放り投げた。
投げられる花びらは空気の抵抗を受けながらも、ヒラヒラと、優雅に舞い落ちる。
そして、舞い落ちる七色はまさに虹。まるで虹が結晶となって降ってきているかのような光景に、レミリアとフランは大はしゃぎである。

「め~りん、きれ~い!」
「きれ~い!」
「そうですか~? それでは、もう一丁~!」
「わー!」
「きゃー!」

美鈴はもう一回、花びらを散らせ、レミリアとフランを喜ばせる。
結局、美鈴は目の前の楽しみを優先させてしまった。


気が付いたら、自分が手入れをしていた花畑は全滅していて、自分の主にこっぴどく叱られたのだった。














「なんて、こともありましたよね」
「あったね~。それで、その後私とお姉さまで美鈴の胸を枕にして寝たもんね」
「あぁ。あの時も無理やりに連れ込まれて大変でしたよ」

美鈴が笑って応える中、フランの表情に暗い影が差す。

「あの頃は……いつもお姉さまと一緒だった。けど……今は……」
「妹様……」
「どうしてこうなったんだろうね? やっぱり、私がおかしくなっちゃうからかな」
「それは――」

その時、美鈴は地下室の扉の方へと視線を向けた。

「美鈴?」
「……外が騒がしいですね。妹様、申し訳ありません。ちょっと行ってきます」
「美鈴!」

美鈴はフランのベッドから立ち上がり、そのまま扉の方へと向かう。
扉の前まで歩いた時、美鈴が不意に足を止めた。

「あぁ、妹様。もしかしたら、今起こっている騒動が終わったら、ここから出ることが出来るチャンスがあるかも知れませんよ?」

「? どういうこと? 何でそんなことが分かるの? お姉さまみたいに運命でも見えるの?」

フランの問いかけに、美鈴は振り返って微笑んだ。

「いえ、そんな『気』がするだけです。それでは、行って参ります」

美鈴は扉を勢いよく開けて、そのまま駆け抜けた。

そう――扉を開けたままにして……。
そうして外に出たフランは、赤い霧に姉の魔力を感じながら門の前へと向かった。

そこで美鈴は侵入者と戦っていたのだが、その弾幕は――七色の結晶を相手に降らすという技だった。

「あっ……」



まるで、あの時に美鈴が花びらを集めて散らしてくれたように。




あの時と同じように自分の姉といつまでも一緒になれる日が来るのではないかと、フランはその弾幕で予感した。
ちゅーん
コメント



1.名前が無い程度の能力削除
( ;∀;)イイハナシダナー
2.名前が無い程度の能力削除
希望の虹…
…いやなんでもない。しかしイイハナシダナー
3.ずわいがに削除
超絶ほんわか空間に迷いこんだかと思えば暗黒の園へご案内されたんだが最終的に虹で希望を得た
4.奇声を発する程度の能力削除
良いお話だ!
希望はある!
5.名前が無い程度の能力削除
そして紅魔郷へ……なのかな?