Coolier - 新生・東方創想話ジェネリック

ある晴れた日のこと。

2010/03/13 02:49:04
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霊夢が風邪をひいた。それには今まで誰も予想だにしていなかった出来事だったから、幻想郷の誰もが驚いた。
あの紅白が風邪をひくなんて、と。
それから毎日のように代わる代わる、博麗神社には様々な妖怪たちが訪れるようになった。
一番最初にたずねてきたスキマ妖怪は、「外の世界のお薬よ」と言ってマムシが描かれた小ビンを置いていった。
二番目にたずねてきたカラス天狗のブン屋は、「これはスクープですよ」と写真を撮りまくって逃げていった。
三番目にたずねてきた小さな吸血鬼は、「死にそうになったら言ってね。咲夜にケーキにしてもらうから」と言って泣かされた。
四番目にたずねてきた風祝は、「大変ですね。早く良くなってください」と言いながらにやにや笑っていた。
最後にたずねてきた鬼は、「呑めばよくなるって!」と無理やり酒を呑ませようとしたので殴られた。
「最初から最後まで、ろくなやつが来なかったわ」
と、ため息をつく巫女の横で魔理沙はからから笑う。
「いいじゃないか、皆なんだかんだ心配してるんだぜ?」
「心配している人がこんなもん持ってくるかしら?」
霊夢はそう言って八番目に彼女のもとを訪れた人形遣いのお土産である釘でめった刺しにされた藁人形を、魔理沙に投げつけた。
「これは……きっと病気が瞬く間に治る画期的なまじないかなんかだろうよ」
「そうかしら、私には死んでほしい人に贈る呪われたプレゼントにみえるけど」
「それは心の持ちようだ。ネガティブに考えちゃきりがないぜ」
「……まったく、あんたは気楽でいいわね」
そう言って今度は霊夢がクスリと笑った。

かけられた毛布の中、少しだけ出した視線からみる外の景色は霊夢にとって初めての経験であった。
今まで風邪どころか病気一つすらしたことのなかった彼女にとってそれは新鮮であり、ちょびっとだけこわいものであった。
「ねぇ、私がこのまま死んだらあんたはどう思うかしら」
「あー?」
すぐそばで怪しげなキノコを挽いていた魔理沙は、手を止め、霊夢の言葉に耳を傾ける。
「あんたの目の前でこのまま、眠るようにぽっくりと。二度と彼女の目が開くことはなかった――なんて素敵だと思わない?」
「……熱が上がってきたか」
魔理沙は霊夢の額に手を当てる。「もう下がったわ」と言う彼女の言葉通り、もうほとんど熱はなかった。
「どう?」
「あー、どうだろうな。その後幽霊になって、幽々子にこき使われるだけだってわかってるから、いまいち素敵だとは思えんね」
「夢がない事言わないでよ。せっかく詩的な気分に浸ってたところなのに」
「詩的だなんて……、お前やっぱりまだ熱あるんじゃないか?」
「ないって言ってるでしょ、しつこいわね。それより質問に答えてないわ。早く答えなさい」
布団から足を出して魔理沙の尻を小突く霊夢。
「なに言ってるんだ。今答えたじゃないか」
「それは私が望んだ答えじゃないの。ほら、早くする」
執拗に魔理沙に催促をする――まるで駄々っ子のような霊夢の様子に、魔理沙はいよいよ本当に霊夢がおかしくなったのだと、思わざるを得なかった。
同じように魔理沙が風邪をひき、霊夢が看病しに来てくれたとき、魔理沙は霊夢に同じような質問をしたことがあった。
「私がもし死んだら」という質問に、霊夢が出した答えは、
「どうせ幽々子のところにいるんでしょう? 気が向いたら会いに行ってあげるわよ」
と言って具合に、詩的ではないどころか、ロマンもへったくれもない現実感あふれる返答で、魔理沙はがっかりすると同時に、霊夢らしいと感じたものだった。
それが霊夢の答えだろう、そう思って魔理沙はそれをそのまま返した。はずなのに、なぜわざわざ問いなおすのか、なぜそれを間違いというのか。
魔理沙は相当な時間考えた挙句、
「……まぁ、悲しむかなぁ」
と言った。
「それだけ?」
「それだけって、それ以上はないじゃないか。悔しいとか、辛いとか、色々あるだろうけど、一番最初に思うのは悲しいだと思うぜ?」
「……ふーん、そう」
結局、満足したのかしていないのかよくわからない曖昧な返事をすると、霊夢は毛布を深くかぶり、しばらくするとすやすやと穏やかな寝息を部屋中に聴かせた。
「散々振りまわしといて、自分はさっさとおやすみかよ。良い御身分だな、巫女さんは」
さっきまであんなに騒がしかったのが嘘のように静かに眠る霊夢。しかし、魔理沙の心中はあまり穏やかではなかった。猫のように丸くなって布団にくるまる霊夢の姿、それが魔理沙には何か良くないことが起こる前触れとしか思えなかった。
霊夢らしくない数々の言動や振る舞いがそう感じさせたのかもしれない。生き物に生来備わっている第六感が、彼女にそう耳打ちしたのかもしれない。とにかく、この場を離れてはいけないと、彼女は自分の中で決め、次の太陽が昇るまで、彼女は霊夢のそばに居続けた。



翌日。
目の下に濃いクマをつくり、寝ぼけ眼をこする魔理沙をしり目に、霊夢は縁側に出て、ひとつ大きな伸びをした。
「やっぱり寝てばっかりだと体がなまるわね。具合の良い妖精でも見つけて弾幕勝負とでもいこうかしら」
威勢よく話す霊夢とは対照的に、魔理沙は今にも倒れそうな声で言う。
「ああ……、好きなだけすればいいさ。私はもう寝るからな、おやすみ」
先ほどまで霊夢がいた布団に潜りこみながら、ぶつぶつと文句を言いながら答える魔理沙に、霊夢は声を張り上げた。
「ちょっと、何言ってんのあんた。これからすばらしい一日が始まるっていうのに、寝るってどういうことよ」
「朝っぱらから大声出すなよ、ご近所迷惑だ。こっちは誰かさんのおかげで色々と無駄な労力を消費しちまいましてね。回復でもしないとやってられないのですよ」
「誰かさんて誰のことよ」
「さあね。私にはよくわからんのです」
本格的に寝る体制に入った魔理沙は、霊夢に背を向け、
「このまま死んじまっても、そのままほっておいてくれ」
と言うやいなや、小さく寝息をたてながら、夢の世界へと旅立っていった。
静かになった部屋で、霊夢はそれはそれは小さな声で呟いた。
「馬鹿ね。ほっておけるわけないでしょうに」
一番初めに飛んできて、一番長くそばにいた人間のことを無視できるほど、霊夢は賢くない。
博麗結界は、霊夢を人知を超える、触れることのできない何かに仕立て上げているわけではない。
他人には興味がないが、恩があれば報いるくらいはする。人間だから、人間として当り前のことくらいはする。
たとえ、その方法が人一倍分かりにくいものであるとしても。
霊夢は魔理沙を一人残し、部屋を出た。
「おやすみ」
と、一言残して。
なんというテキトー感。
でも二時間だったらこんなものでしょう。


……ねぇ?
早乙女エリカ
コメント



1.名前が無い程度の能力削除
・・・さぁ?
2.名前が無い程度の能力削除
ちゃんと時間をかければもっと良く出来るんならそうしてください。
出来もしないのに虚勢はってるだけなら見苦しいので止めてください。
3.名前が無い程度の能力削除
とりあえずこれはリメイクしてもう一度投稿だ!
4.名前が無い程度の能力削除
時間をかければ良い物ができるってわけでもないでしょーに

私は十二分楽しませてもらいました
二人にはやり取りがよく似合っています。マブ達!
5.名前が無い程度の能力削除
あとがき見るまではよかったよ
6.名前が無い程度の能力削除
タイトルからテキトー感はあったんだよ……。