伊吹萃香は憂鬱だった。
「全く、どいつもこいつもさぁ」
伊吹瓢を傾けながら、ひとりくだをまく。聞き手は居ない。
いつもなら神社の縁側か、あるいは勇儀なり文なり紫なりを捕まえて晩酌といくところだというのに――。
『れいむ~』
『こら、くっつくな、暑苦しい』
神社では、霊夢がレティといちゃついていて。
『悪いね、これからパルスィとデートなんだよ』
春の訪れた旧友にはすげなく断られ。
『もーみじっ♪』
『わひゃぁ!? あ、文様、やめてくださいッス』
天狗は部下をモフって遊ぶのに忙しく。
『申し訳ない。紫様は「まだ寒いからもう少し寝てるわ」と』
もう雪も消えたとゆーのにスキマはまだ惰眠を貪っていた。
「うーがー!」
月夜に萃香は雄叫びをあげる。
ああもう畜生妬ましい妬ましい。
霊夢はレティに取られるし。
勇儀は橋姫なんかに腑抜けにされちまうし。
文は部下の調教にハマって抜け出せなくなってるし。
紫は――ああもう。
「大っきらいだー! 白い雲なんかー!」
叫んでも、今は夜である。
月が冴え冴えと、孤独な鬼を見下ろしている。
「私にも春来やがれってんだちくしょー!」
「春と聞いて飛んできましたー!」
伊吹瓢に口をつけたところでリリーホワイトが体当たりしてきた。萃香は盛大に噎せた。
「お前さんは違うよ! そういう直接的な春じゃないんだよ!」
「春じゃないですかー?」
「私の孤独な心は冬のブリザードだよ……」
何しろブリザードを起こす冬妖怪に霊夢を取られた身の上である。
ちくしょう神社凍ってしまえ。
「春にしますよー♪」
「だからいらんって」
「貴女の心にもスプリングカムズトゥルー♪」
「あ、あいきゃんのっとすぴーくいんぐりっしゅ」
萃香は英語がわからなかった。
「つまり、貴女を春にするです!」
「見合い相手でも探してくれるのかい?」
「イエッサー! サーチアンドデストローイー!」
リリーホワイトは飛び去って行った。
萃香はそれを見送って杯に酒を注いだ。
水面にどこからか桜の花びらが舞い落ちた。切ない。
「検索終了しましたー!」
戻ってきた。
「早いな!」
「やふーでぐぐってきました!」
「んで、何が見つかったんだい」
「春です!」
リリーホワイトが指し示した先。
青のユニフォームに身を包んだ背番号2がバットを構えていた。
「そら波留だよ! 波留敏夫だよ! マシンガン打線の二番センターだよ!」
「波留ですよー?」
「波留と聞いて船に乗ってきたんですけど」
背番号2を身に纏っていたのは村紗水蜜だった。
それはそうだ。波留は今は背番号71である。まだ幻想入りはしていない。
「ああ、横浜が毎年沈没するのは舟幽霊のお前さんが応援してるからか……」
「うわひどいし! こちとら大洋時代から猛鯨魂を熱く燃やしているのですよ!?」
「燃える星たちよー、ああ、あんたんトコの星は虎」
「そう、おかげで今現在命蓮寺は冷戦状態なのです! ひじりん・星ちゃん・ナズにゃんの阪神連合vs私とぬえっちといっちゃんの大洋連合で!」
「雪解けですよー♪ 球春ですよー♪」
連合って、毘沙門天組が阪神なのはともかく、ぬえと一輪はムラサが勝手に引きずり込んだだけではないのかと思ったが、言わないでおくことにした。
「というわけで聖輦船ホエールズは戦力を探しているのです」
「戦力とな?」
「打倒阪神! すーちゃん、うちに助っ人として入団しない?」
「すーちゃんって私のことかい」
すーちゃん。なんだかちょっといい響きだと萃香は思った。
「ポンセ2世として丁重に迎えますよ」
「ポンセかよ! もう少し今の子にも分かりやすい名前を挙げなよ!」
「じゃあダン・ジョンソン2世」
「かえってダメじゃんさ!」
「月に向かって打て! 砕月的な意味で」
「それは大杉勝男じゃん! ヤクルトだよ!」
「晩年は大洋でコーチしてたもん!」
というわけではい、とムラサからバットとボールを手渡された。
「健全なる精神は健全なる肉体に宿るのですよすーちゃん」
「波留ですよー♪」
まだいたのかリリーホワイト。
「命蓮寺で全てを青空に昇華させよう!」
しかしまだ夜である。
「そりゃ構わんけどね」
「おお心強いお言葉! よーしこれであと4人萃めればひじりんたちと試合ができるよ!」
「プレイボールですよー♪」
「ホントに野球すんのかい。相手も人数足りてるのかい?」
「ひじりんたちは守矢神社の面々と合同チームだって」
「守矢神社と? ふむ」
萃香は眉を寄せた。「んに?」とムラサは不思議そうに首を傾げる。
「お前さん、非想天則を見たかい?」
「あの巨大ロボット?」
「あれ、守矢の球団マスコットだよ。ジャイアンツ的な意味で」
「な、なんだってー!?」
事実である。
「これはひじりんたちに伝えなきゃ!」
ダッシュでムラサは去っていった。ついでにリリーも引きずられていった。
去っていく背番号2を見送り、萃香は渡されたままのバットとボールを見下ろした。
「春よ来やがれってんだちくしょー!」
春は来た。球春だった。
かきーん、と月に向かって打ち上げられた白球が夜空に消えていった。
もう、大好きだ!
ともあれ諏訪子様が守矢ジャイアンツなのか厄ルト諏訪ローズなのか
それが問題だ
てっきり永遠亭が巨人だと思ってた。ウサギ的な意味で
厄ルト諏訪ローズに盛大に吹いた。厄ルト頑張ってほしいぜ……。
>2氏
そこは私も気になったwwww
厄神と祟り神の組み合わせはやばい、マジで
と言うか萃香さん、暇を持て余した天人のことをお忘れでないかい?
文脈上リリーが『直接的な春』というのはおかしいかと思います
妖精は自然の具現=象徴ととるか自然そのものととるかで
解釈がわかれるところですが
この場合は春の象徴ととった方が適すると判断します
文中に桜の花びらの描写があるように、春はすでに来ています
文中でリリーに求められているのは、『春そのもの』ではなく『春を連想させる小事』、
つまりリリーは、『春のような感じ、精神状態』=『間接的に春を表す』ものです。
と解釈したのですが、的外れでしょうか
どうでもいいですねごめんなさい
これはなかなか思いつかないwww
1番センター文・2番ショート椛・3番サード魔理沙・4番ファースト神奈子・5番C紫・6番セカンド早苗・7番レフトアリス・8番ライトにとり・9番P霊夢
命蓮寺タイガース
1番ライト妹紅・2番センターナズーリン・3番ファースト輝夜・4番サード聖・5番レフト星・6番C永琳・7番セカンド慧音・8番ショートてゐ・9番P鈴仙
聖輦船ホエールズ
1番ショートぬえ・2番セカンド一輪・3番センター村紗・4番ファースト勇儀・5番サードお空・6番レフトお燐・7番Cこいし・8番ライト小傘・9番Pさとり
天界ドラゴンズ
1番センター萃香・2番セカンド萃香・3番C衣玖・4番P天子・5番サード萃香・6番レフト萃香・7番ライト萃香・8番ファースト萃香・9番ショート萃香(´・ω・`)
紅魔カープ
1番センター美鈴・2番セカンド小悪魔・3番サードフラン・4番Pレミリア・5番ライトフラン・6番ファーストパチュリー・7番C咲夜・8番ショートフラン・9番レフトフラン(・ε・)
厄ルト諏訪ローズ
1番セカンド静葉・2番ショート穣子・3番サード諏訪子・4番ファースト幽香・5番Cレティ・6番ライトチルノ・7番センター大妖精・8番レフトリリー・9番P雛
てか、ドラゴンズとカープがwwwwww
聖輦船ホエールズ 投手さとりって反則じゃね?
守矢ジャイアンツ 戦力はいい 優勝候補
命蓮寺タイガース ドーピング疑惑
紅魔カープ 弱点のデーゲームをどう克服するかがカギ
厄ルト諏訪ローズ 秋姉妹は終盤に本領発揮するが序盤の鈍足を挽回できず レティは論外
天界ドラゴンズ 疎鬼の持続時間次第 でも投手がアレだし
レティと霊夢を別のチームにするのはヒドイんじゃないか?
守矢ジャイアンツには天魔・大天狗・烏天狗・哨戒天狗といった天狗達が!
紅魔カープには妖精メイド(内勤)・妖精メイド(門番)が控えている!
能力の高い天狗達が控えているだけあって、守矢ジャイアンツの選手陣の質・厚さ共に目を見張るものがある。
妖精メイドの存在で、弱体化は避けられないものの、これで紅魔カープも問題無くデイゲームを戦える!
守備交代で咲夜を投手、美鈴を捕手、空いたポジションに妖精メイドを配置すれば良いかなぁ。
フランと萃香便利だなぁw
勢いのあるギャグで面白かったです。