これは、前作『とある巫女と人形使い』の続編です。先にそちらを読んでいた方が、話が分かると思います。
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アリスが神社を後にしてから、数分後に霊夢は目を覚ました。まだ頭は眠っているのか、暫くはボーっとしていたが直ぐに思い出した様に顔を真っ赤にして、うつ伏せになり枕に顔を埋める。情けない……折角二人きりだったというのに、頭を撫でられたくらいで動揺して倒れるとは。だが、もっと一緒にいたかったと悔やむよりも、霊夢の心は何故だか分からない達成感に満ちていた。何故かは分からないが、自然と表情が緩んでいくのだ。(聡明な皆様ならお解かりだろうが、原因は勿論アリスである)
それは一先ず置いておいて、よくよく考えれば彼女は一体何のために、神社に来たのだろうか?気紛れで行動するほど、彼女は行動的ではない。どちらかというと、石橋を叩きながら渡るほどの慎重派だ。勿論、ただ遊びに来ただけという事も考えられなくは無いが、これも考え難い。そもそもアリスが一人で神社を訪ねて来る事からして、今日が初めてなのだ。前例の無い事もいくら考えても答えが出る筈が無い――霊夢は考えるのを止めると、頭上に腕を伸ばす。すると、手の甲が何かにぶつかった。長い事押し付けていた顔を枕から離し、視線を向けると、綺麗に包装された箱と一枚の紙が置いてあった。
布団から起き上がり手にした紙に目を通すと、かなり几帳面な字体で――久しぶりにお菓子を作ったのは良いが、少々作り過ぎてしまった。置いて行くので、気が向いたら食べて欲しい。いきなり倒れたから驚いた、あまり無理をしてはいけない――といった内容が書かれていた。霊夢はその内容に苦笑を浮かべてポリポリと頭を掻くと、手紙と一緒に置いてあった箱の包装紙を取って、ゆっくりと蓋を開ける。中に入っていたのは丸型のクッキーで、半分が白くもう半分が黒かった。それを一つ摘んで口の中に運ぶと、ほんのりとした甘みが口中に広がる。甘い物がそれ程好きではない霊夢にとって、ピッタリの味だった。
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所変わって魔法の森にあるアリス宅、その家の主であるアリス・マーガトロイドは鼻歌を歌いながら、台所に立っていた。その手にはボウルと、泡だて器が握られている。彼女は気付いてくれただろうか。甘さが控えられ色が半々――それも一直線に半分ではなく、奇妙に湾曲した形になっているクッキーの意味に。ボウルの中身を混ぜながら、アリスは小さく微笑む。おそらく分かっていないんだろうな……作り過ぎたなんて嘘だ。本当は初めから彼女の為に作ったのだ。甘い物が得意ではない彼女のために、いつもより砂糖を抑えて。それと円形という事から彼女の宝具を模って……
さて、今度は何を作って持って行こうか。今日は見る事が出来なかったが、今度は彼女が食べてくれるまで傍にいよう。そうじゃないと、彼女の感想が聞けないから。感想が聞けないと、彼女の好みが分からないから――もし喜んでくれたとしても、その笑顔を一番に見る事が出来ないから。
もう喜びの声しか出ません!!!本当にありがとう御座います!
モニターの前で悶えまくりですよ。
もっと広がれ霊アリの輪!!!……………更に続いちゃったりして(チラッ
なぁ、霊夢はちゃんと気づいてるんだろ?流石に気づくだろ?
しかし陰陽玉柄のクッキーとは。流石アリスだな。
>追伸
違ったら申し訳ないのですが、前々作っていうのはもしかして『you』っていう、てゐと鈴仙のSSでしょうか(題名はうろ覚え)。違いましたらこのコメントはただの勘違いのため削除しますので、お手数ですがご指摘下さい。
私はその作品にコメントした者の一人ですが(たしか二件目のコメント:前のコメに同意云々)、気分を害したという訳ではなく、今後のため忠告しておこうと思っただけです。言い方が少しキツくなった事、お詫び申し上げます。
ネットという場では著作権を軽んじるような行為が割と平気で行われますし、それ故にそういったグレーな部分に敏感な人もいます。なので、二次創作という特殊な性質をもつ活動に関わるからには、著作権には多少慎重過ぎるくらいの姿勢がちょうどいいと思ったのです。
今回の場合、言葉を密かに盗むという意図が有ったわけではなく(タイトルに曲名をもってきてることから明らか)、好きな歌詞の一部を引用したが出展を明記し忘れたというだけです。指摘されたとき早めに追記修正すれば済む話であって、許されないというほどの事ではないでしょう。
私個人としては、すべきは軽い謝罪くらいであって、せっかくの作品を削除するのは少し自分に厳しすぎではないかと思います。
行動を反省しけじめをつける姿勢はとても立派ですが、どうかあまり気に病まぬようお願い致します。
読んでて気持ちいい関係
何があったのかは存じませんが、作品は削除しなくても良かったのではないかと思います。人間誰しも完全に違う作品なんて作れないのですから。
運が悪かった、次は気を付けようくらいの反省で良いと私は感じておりますが、おそらく貴方の作品を見ている人達の多くもそんな考えを持っているのではないでしょうか。
貴方のファンである一個人の私から、図々しいかも知れませんが一言申し上げます。これからも頑張ってくださいね。
さすが都会派。やりおる。