よくある話の話

―　よくある話の話　―

秋の面影は薄れ、もうすぐ冬が訪れようとする頃、
八雲　紫の邸宅にて
藍はイライラしていた。
最近やって来た山の神との調停がうまくいってないのである。藍としては早く終わらせたかった。
何故なら藍は最近、‘猫が喜ぶビデオ’とやらを手に入れたのである。
だから一分一秒すらおしかったのだ。早く私の橙が喜ぶ姿をみせろと。
しかし肝心の主人が動かぬ「ねぇ、私が冬眠中に藍が何とかしてくれない」と言い出す始末であった。
そんな橙への愛を邪魔する奴の夕飯なんぞ作っていられるかと藍は憤慨して作らなかった。
だが、夕飯の時刻が近づくにつれ震えてきた。
……どうしよう。もし紫様が怒って私の橙のコレクションを捨てたら。想像した。
恐怖のあまり腰が抜けた。毛も抜けた。
そんなとき誰かが八雲　紫の邸宅の玄関の戸を叩いた。無視するわけにはいかないので出た。

「あら、藍ちゃんどうしたの」

西行寺　幽々子であった。グラビガの直後のアルテマだった。死んだ。

「どう……されましたか」

「それがね妖夢ったら今日、凄い張り切って肉じゃがをたくさん作ったのよ」

と言って大きい鍋を見せた。これは古き良き時代の隣人の肉じゃがイベントだった。
起死回生。
アレイズだった。



「だけど……ごめんなさいね。妖夢が作った分じゃ足んなかったのよ。何かわけてくれるかしら」

と言って鍋の蓋を外して空なのを見せてくれた。

やっぱりな。

まぁこうなるでしょうな日常です。

今日、実は４つ投稿したんですが、最初は全部、ひとつだったんですよね。
ただ一つといっても話がつながってないんですけど。
その繋がりのない短いワンシーンを４つまとめて詰めてある状態のものをプチとしてだそうとしたんですが、グロい話とかあったんでそんなの読みたくないという方もいると思い、全部、分けました。
やけに短いのはそのおかげです。
また冒頭ではある頃の秋が流れるようにしたんです。
が３つ目が実は事故ってるんですよね。色々と。これが分裂した決め手でした。
ちなみに並べたかった理由は
１つのプチで一つの幻想郷と外の世界にグロい面もあるし、さびしい場面もあるし、変な場面もあるし、予想通りの場面もあるし、みたいなのをやりたかったんです。いろんなワンシーンが集まれば同じ世界でもいろんな雰囲気が混ざっているんだなと。
説明下手ですいません。わかりにくいとおもいます。

と　あとがきを書いていたら日付変わってる。本当にすいません。

ちなみにこの現実世界で　猫が喜ぶビデオ　は本当にあるらしいですよ。