博麗神社。
「安全、確実な局所地震式解体工事はいかがですか」
「帰れ」
霊夢の投げつけたお札を、衣玖はひらりと受け流した。チチチ。
「喧嘩売りに来てんの?」
「滅相もありません。宣伝活動の一環でして」
「ここで宣伝したって効果は無いわよ」
「そのようですね」
相変わらず神社に参拝客の姿は無かった。
「というか、何よその比那名居ブレイク工業って」
「総領娘様が、会社経営をしてみたいと仰いまして」
「あんたも大変ねえ」
「慣れてますから」
ため息混じりにお茶を啜った霊夢に、衣玖は苦笑する。
「能力を活かした仕事が良いでしょう、とアドバイスしてしまいました。空気を読んで」
「で、解体業者ってわけ?」
「ええ。社歌も出来ています」
「社歌?」
比那名居ブレイク工業
作詞:比那名居天子 作曲:不明
ブレイク ブレイク 幻想郷の
解体 地鎮祭 一役買いたい
大型地震がやって来る 耐震防備が不足する
地中の平和を阻む奴らさ ブレイクアウト!
比那名居ブレイク工業 開闢プレスDA DA DA!
比那名居ブレイク工業 不譲土壌の剣突き刺せ
神社壊すぜ 神社壊すぜ 神社壊すぜ 東へ西へ
走る 走る 比那名居ブレイク工業
「いろいろとヤバそうだから止めなさいその社歌」
「そうですか?」
「また紫にシバかれるわよ」
「それはそれで総領娘様は喜びそうですが」
「めんどくさいわねえ……ていうかこれ以上神社壊すな」
「私に言われましても」
全くである。
「で、当人はどこで何やってんのよ」
「初仕事に」
「誰が依頼したのよ?」
「先日核の炎で炎上した紅魔館の解体工事だそうです」
「ああ、何か燃えてたわね、そういえば」
「新しく『小熊館』として建て直すとか」
「それは可愛いわね」
「可愛いですね」
そういえば、と霊夢は思い出す。
この間、萃香が熊の着ぐるみを着て「がおー」と部屋に入ってきたことがあった。
お札を投げつけて追っ払ったのだけど、あれは何だったのだろう。
「とにかく、宣伝するんだったら人里でも行きなさい。で、神社は壊すな」
「総領娘様に伝えておきます」
「ああ、そうだ、もうひとつ」
「なんでしょう?」
「壊すならうちより山の神社かお寺にしておきなさい」
「そのこころは?」
「うちの神社なら壊してもとっちめに行くのは私ひとりだけど、山の神社なら3人、お寺なら6人がかりで来るわよ」
「総領娘様が大フィーバーですね」
「はた迷惑なフィーバーね」
今日もお茶が美味い。霊夢は長閑な青空を見上げた。
数日後、博麗神社は倒壊した。
あんたはもう末期ですねw
もっとやって下さいww
小熊館…ぜひ行きたい。
もうフィーバーどころか確変ですね分かりますwwww
いいぞ、もっとやれ。
とりあえず小熊メイド一匹お持ち帰りしてよろしいでしょうか
小熊館どんな中身かきになるw
しかし音痴な自分も歌ってみたい。カラオケ行ったことないけど(マジで)。
最近ずいぶんプチで活躍されてますが、個人的にはそろそろ無印の秘封シリーズも見たいな~と思ったり……
解体キタ━━━(゚(゚∀(゚∀゚(☆∀☆)゚∀゚)∀゚)゚)━━━!!
浅木原さん、もう手遅れですかwww