それは秋の初めのことであった。
「大変やで霊夢!」
「んあ~、なしたん?」
慌てて神社に飛び込んでくる魔理沙。そうとう焦っている様子だが、霊夢は全く動じなかった。
「山! 妖怪の山! 神社!」
「落ち着け」
「あ、あぁ、すまん。すーはー……あんな、妖怪の山のてっぺんにいきなり神社がでーんと現れおったんやて!」
「ほぉー」
「ってな訳で早速――」
「んなもんほっときーや」
ずずずっと、出涸らしの茶を啜る霊夢。
「……気にならへんのか?」
「ならへんならへん、どーでもええわ」
なんとノリの悪い巫女か! 魔理沙は呆れて飛んで行ってしまった。霊夢は気にせず茶を啜る。
と、そこへ――
「博麗のもんはおるかー!」
はて、聞きなれない声が神社に響き渡る。
「博麗のぉ! おったらよう聞いとけよ? この神社はこれより、八坂様を祭る我が守矢神社の分社とする! ええな!? ええに決まっとるわな!? ほななぁ!」
その声は一気に捲くし立てると、すぐに聞こえなくなった。
霊夢はのほほ~んとした頭で今の言葉を整理する。
「はぁーん、うちが分社になぁ。へぇー、ほぉー、ふぅーん、……はぁぁあああ!?」
唐突にのほほ~んは弾け、気性の荒い鬼巫女が姿を現す。
「ええ度胸しとんやないか」
「地元組の恐さ」
「思い知らせたるぁっ」
霊夢は自分の大切な神社を護るため、単身、要塞の山――もとい妖怪の山へ、そしてその頂上に現れたという新入りの神社へと向かいました。
「紅葉見てかへんか~」
「質素な服やなぁ」
「ひどッ」
「うちの姉貴が世話んなったなぁ。この借りはきっちりと」
「芋臭ッ」
「ひどッ」
「危ないからこっから先は行ったあかんて!」
「だが断る。私の最も好きなことは、自分に注意を促すやつをぶちのめすことや」
「ひどッ」
「およ? こ~ら珍しいっ、人間やないか!」
「河童やないか、どーでもええわ」
「ひどッ」
「ちょい待ちぃ、こっから先は私ら天狗のなわば――」
「あっ、あんたチャウチャウちゃうん!?」
「ちゃうわボケぇっ!」
「あやややや、霊夢さんやないですか!? お久しぶりです~」
「……あんた誰や」
「ひどッ」
道中立ち塞がる数々の強敵(ライバル)たちに、流石の博麗の巫女も容易には目的地に辿り着けなかった。
さらにそこへ“あの声”が!
「ちょっ、待てーや! はーい、ちょい待ちー、はーい、そこー、はいはいストップストーップ。……あんただいぶ飛ばしとったなぁ。何キロ出しとった、ん? 言うてみ」
「あんたが何言うとんねん」
「ポリの真似~。うちの親戚のおっちゃんがよースピード違反で世話んなっとってんよ~。でもパクられたことは一回も無いんやで? 奇跡的に」
霊夢とはまた違った巫女服に身を包んだ謎の少女。彼女は台詞まで謎だった。
ここでは仮にこの少女を「早苗さん」とでも呼んでおこう。しかし果たして彼女の正体は何者なのか!?――それは誰にもわからない。
早苗さんは霊夢を頭からつま先までジーッと見つめると、不意に鼻で笑い、憐れみの表情を作る。
「なんやダサい格好してんやん」
「あんた人のこと言えんかい!?」
「私のは配色がベターやからええんよ。そっちは紅白やん? なんっか古臭い感じ言うか、運動会? 年末歌合戦? ウルトラマン? そんなイメージやん」
「……久々にキてもうたわ。ええで、かかってきぃや」
「ちょwwwええんですかww先輩wwwwwあたし強いですよwww結構強いですよあたしwwwwwホンマにええんで――」
「ええからかかって――」
「隙あるぃっ!」
メ キ ョ ッ
「三途の川や~」
頭からドクドクと血を垂れ流しながら、虚ろな瞳に幸せそうな表情でどこかへとふらふらと飛んでいく早苗さん。
「……さ、もうすぐてっぺんやな」
それをガン無視して霊夢は先を急いだ。
『我を呼ぶんは何処のワレ乎』
とうとう頂上へ辿り着いた霊夢。そこに待っていたのは無数の立派な柱と大きな湖、そしてなんとも神々しいというかまんま徳の高い神様であった!
この神様は謎の存在だが、仮にここでは「神奈子様」と呼ばせて頂く。神奈子様……いったい何者なんだ!?
その姿たるや、もはや全世界が称賛の嵐。ウインク一つで相手は鼻血を吹いて死ぬ。歌声一つで相手は頭が狂って死ぬ。神の毛一本で相手は鼻を詰まらせて死ぬ。パンチラだけで相手は目が爆発して死ぬ。足のカホリだけで相手は涎が止まらなくて死ぬ。言葉一つで相手は舞い上がって死ぬ。腰のライン……鎖骨……小指……胸……死ぬ!
「なーんや麓の巫女やないの、どないしたん?」
「人ん神社パクろうとした癖にようもぬけぬけと」
「……あぁ、なるほど」
霊夢の言葉に、神奈子様はにやりとしました。
(きっと早苗の仕業やね。ホンマやんちゃなんやから、あの子は。しゃーないなぁ、もう。ま、そこも可愛えとこなんやけどね。それに……おかげで楽しめそうやわ!)
「あんたはそろそろ、年貢の納め時や!」
「ぬかせ! たま(スペル)とったらぁ!」
こうして始まった神社間の争いは幻想郷全土を巻き込み、この被害の余波を受けた人間たちは世直し一揆を巻き起こした。
この混乱に乗じて外の世界からも開郷の圧力がかかる。現在の制度に不満を持った妖怪たちは有志を募り、これに対抗して幻想郷の完全閉鎖を目指し、パワーバランスの革命まで行われる。
同時に、主権を妖怪から人間の手に取り戻そうとする動きも活発化し、幻想郷は混沌の道を歩みだしたのだ。
まあ、それはともかく皆ヤ○ザみたいwwwww
あとタイトル見るとお好み焼きが食べたくなってくる。
「ほななぁ!」っていう諏訪子様(ケロちゃん)楽しみにしてたのに……残念。
次は舞子はん風味を期待してますえ~?
この調子で姐さんを塀越えさせるために星蓮組が暗躍し、主人公組とドンパチ起こす星蓮事件も書いてほしい